- 作成日 : 2023年2月22日
経営分析とは?正しい手法や指標を解説!
世の中には多くの企業が存在しますが、その中で勝ち残り、長く事業を行うためには企業努力が不可欠です。
経営を行うにあたっては、「どのような点に問題があるのか」また「どのような手法や指標を用いて経営を円滑に継続させるか」が非常に重要です。
企業の経営を分析すること、そして今後の経営計画を確実に立てることを目的に行うのが、経営分析です。
経営分析には損益分岐点分析や利益増減分析などがあり、専用のツールなどを用いて読み解く必要があります。
この記事では、経営分析の概要や具体的なやり方について詳しく解説しますので、ぜひご覧ください。
目次
経営分析とは?
そもそも、経営分析とはどのようなものなのでしょうか。
経営分析は「会社のことを細部まで理解し、適切な計画を立てる」ために行います。
企業が経営を行うにあたって売上や利益がどのようになっているのか、経費などがどれくらいあるかを把握します。
業績を細かく分析したり、競合企業や市場の動き、シェア率を詳しく調べたりして、企業の在り方や経営方針を決めるのが一般的です。
「なぜ経営分析が必要なのか」と疑問に思うかもしれませんが、特に会社を設立して間もない場合や競合企業が多い場合は、企業を存続させるのに必要不可欠な作業と言えます。
昨今のコロナ禍によって業績が伸び悩んだり、競合企業に負けてしまったりして、倒産の危機に陥っている企業もあるかもしれません。
そのような苦しい状況だからこそ経営分析を行うことが大切であり、それが存続の可否を決めると言っても過言ではありません。
ところで、経営分析にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
具体的なメリットがないと、積極的に行動することは難しいでしょう。
最大のメリットは、自社の経営状況を把握できることです。
自社が赤字か黒字か、ざっくりとした情報を把握している企業が大半ではありますが、細かく数値化したデータは把握できていないというケースが多々見受けられます。
経営分析ではデータを数値にすることによって可視化することができ、より詳しい経営成績や財務状況を知ることが可能です。
具体的なデータを知り得ると、経営方針や今後の事業スケジュールなどを迅速に改訂できます。
一度決めた経営方針は大きく変更のないまま数年が過ぎている企業を散見しますが、経営成績の原因が間違った経営方針であることもよくある話です。
従業員にも数値化したデータを見せることで、自社の情報をより詳しく知ってもらえることも、経営分析のメリットと言えるでしょう。
経営分析の目的は?
実際に経営分析を行おうとした場合、具体的な目的が見えなければ本腰を入れられないでしょう。
経営分析を行う際はデータを正しく読み解くために、具体的な目的を把握した上で行う必要があります。
企業が経営方針や業務スケジュールを定める際には、どうしても主観的に見た情報から判断してしまう傾向にあります。
これは企業だけに言えることではなく、私たち個人個人にも同じことが言えるでしょう。
企業に関しても、社内で得た情報と事実だけを頼りに経営方針を定めているケースはとても多く、その結果満足できる利益を出せないばかりか、倒産にまで追い込まれている企業も存在します。
経営分析は客観的にあらゆる角度から自社の状態を知るというところに大きな目的があります。
具体的には、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を用いて財務状況を把握することから始めますが、財務分析との大きな違いは「財務状況だけに特化した分析ではない」という点です。
財務分析は損益やキャッシュフローを紐解くことを目的としていますが、経営分析はそれらに加えて企業の問題点や改善すべき点も細かくチェックします。
財務諸表を数値化したデータでそこまで分析の幅を広げられるのか不安に思われるかもしれませんが、過去のデータを積み重ねた結果を導き出すこと、そして経営状況が少しでも変化したら迅速に行動を起こすことでより高い精度で分析を行うことが可能です。
しかしながら、財務諸表の作成時から分析までにタイムラグが発生する可能性があり、精度の高い分析であっても100%確実ではないという点に注意が必要です。
経営分析の正しい手法・指標は?
こちらでは経営分析にはどのような種類があるのか詳しく解説していきます。
企業によって優先すべき分析の種類が異なりますので、それぞれの分析方法を詳しく認識するべきでしょう。
収益性分析
企業が利益を生み出すことができなければ存続させることは難しく、赤字が続けば倒産するおそれもあります。
収益性分析は企業が利益を生み出す力があるかをどうか調べるための分析で、収益性が高いということは、少ないコストで売上を上げることができ、利益を生み出す能力が高いということです。
逆に、指標が悪ければ大きなコストをかけても利益を十分に生み出す能力がないことを意味しますので、早急に対応し利益を上げる措置を取らなくてはなりません。
収益性分析には3種類の分析があります。それぞれについて詳しく説明します。
利益増減分析
利益増減分析は利益額と利益率を比較し、企業の利益がどのようにして生み出されているのかを把握するための分析です。
販売価格、販売数量、原材料価格の3つの視点から、自社利益にどのような影響を与えているのかを分析します。
損益分岐点分析
損益分岐点分析は、コストと販売量に着目した分析です。
収益とコストが同額になる売上高を「損益分岐点」と言い、一定の利益を上げるためにはどの程度のコストをかける必要があるのかを分析します。
資本利益率分析
資本利益率分析は、企業が持つ資本がどれくらい利益を生み出すのに活用されているのかを知るための分析です。
安全性分析
安全性分析は、企業が銀行から融資を受けた時に確実に返済できる能力があるかどうかをチェックするための分析です。
代表的な分析として、短期財務安全性分析、長期財務安全性分析、資本調達構造分析の3つが挙げられます。
生産性分析
生産性分析は自社の商品を販売するにあたって資本や労働力、原材料などの経営資源が無駄なく活かされているか、効率性を調べるための分析です。
労働生産性、資本生産性、労働分配率という指標があります。
活動性分析
活動性分析は、売上を上げる際に資本や資産を有効に活用できているかどうかを調べるための分析で、総資本回転率と棚卸資産の回転率をもとに行います。
成長性分析
成長性分析は、今後の成長率を数値化するための分析です。
自社のみに着目するのではなく、市場全体や競合企業とも比較して数値を導き出します。
経営分析を正しく行うポイントは?
経営分析は、正しく行わなくては意味がありません。
分析を行う際にはどのようなポイントにするべきなのか、こちらで3つのパートに分けて解説していきます。
財務諸表の基礎知識を身につける
経営分析には、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表が不可欠です。
それぞれが何を意味しているのか、何のために作成されたものなのか、詳しく知っておく必要があります。
「経理がやってくれるから」と丸投げしていると、自社の状況を正しく把握することができずに、適切な経営方針を定められず、満足な利益を出すことができないといった不具合が起こります。
また、財務諸表に関しては情報が正しいものを用意することがとても重要です。
財務諸表は数字で管理されているため、パソコンや会計ソフトを使って作成した時に数字の打ち間違えや入力ミスなどが起こり得る可能性があります。
一つの間違いによって表全体の結果が大きく変わることも十分に想定できますので、作成時にはダブルチェック、トリプルチェックなど管理体制を強化しましょう。
そして経営分析には過去に作成した財務諸表が必要であることが大半ですので、年度の古いものも確実に管理しておきましょう。
自社に合った指標を選ぶ
経営分析にはさまざまな種類の指標を用いますが、企業の規模や事業内容によって選ぶべき指標が異なります。
分析方法や指標を一通り知った上で、どれが適切なのか考えてみましょう。
分析ツールを活用する
経営分析を行う際は、BIツールなど専用の分析ツールを用いるのがおすすめです。
手作業で分析を行うと多くの時間と手間がかかり、生産性の低下を招くおそれがあります。
専用の分析ツールは財務諸表と連携させることによって、自動的にデータを収集し作成してくれるため、人の手を煩わせることがありません。
新しいシステムを導入する際は不安もあるかもしれませんが、分析ツールによって特色や使い方が大きく異なるため、それぞれの製品について詳しく理解すると安心です。
複数の分析ツールを併用して使いこなしている企業も存在しますので、ソフトの概要をはじめ口コミなども参考に選ぶと良いですね。
経営分析で計画的な会社経営を行いましょう
経営分析を行うことで現在の状況や問題点、取るべき対策が明確にわかります。
財務諸表などを活用し、企業独自の方法で経営分析を行った場合でも分析に成功している企業もありますが、現在多くの優れた分析ツールがリリースされています。
専用の分析ツールを用いることで精度の高い分析結果を導き出すことができ、また誰が見てもわかりやすいデータとなるため、ツールを上手に活用することが経営分析成功のコツと言えるでしょう。
前述のとおり、経営分析には収益性分析、安全性分析、生産性分析、活動性分析、成長性分析があります。
目的や導き出せる結果、用いる指標はそれぞれ違うため、採用する分析方法は慎重に検討してください。
企業の規模や事業内容、業種によって用いるべき分析方法は異なりますが、適切ではない分析方法を用いると求めるデータを得られないだけでなく、正しい結論を出すことも難しくなります。
どの分析方法が適切か選定する際には、まずそれぞれの分析方法と用いる指標について理解を深めることから始めるべきでしょう。
経営分析を行って終わりにするのではなく、導き出したデータを基に企業の状況をさらに良いものにし、利益を伸ばすためにはどのような対策をとるべきか、従業員も交えてさまざまな角度から話し合うことが望ましいと言えます。
ただし、経営分析の結果が常に正しいとは限りません。
用意した財務諸表のデータが間違っていることもあれば、財務諸表の作成と経営分析にタイムラグがあり、その間に業績や人員が変わることもあります。
経営分析の結果はあくまでも参考にとどめておき、企業独自の努力を行うことが経営を上手に存続させると言っても過言ではないかもしれません。
よくある質問
経営分析とは?
経営分析とは、適切な方法を用いて企業の現状を正しく把握する目的で行う分析のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
経営分析の正しい手法・指標は?
経営分析には収益性分析、安全性分析、生産性分析、活動性分析、成長性分析があり、それぞれの指標を正しく読み解く必要があります。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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