- 作成日 : 2024年10月25日
経営企画とは?仕事内容や資格、向いている人、キャリアパスを解説
経営企画とは会社の方針や経営者が思い描くビジョンを具現化する部門です。経営者と接する機会が多く、経営に近い仕事ができることが特徴です。
本記事では経営企画の業務内容や平均年収、必要となるスキルや資格、キャリアパスについてご紹介します。
目次
経営企画とは?
経営企画とは経営者と会社の橋渡し役です。会社の方針やビジョンは社長や取締役などの経営者層が決めた後、それを基に経営企画部門が目標値や戦略、具体的な施策、予算を立案し、会社の各部署に落とし込んでいきます。逆に経営層に対して改善案を進言したり現場の意見を伝えたりする機会もあります。
経営者の代わりとなって会社の舵取りをする重要な部門であり、会社の業績がよくなるかどうかは経営企画の働きが左右するといっても過言ではありません。重大な責任がともなう反面、大きなやりがいも感じられるでしょう。
経営者や経理が兼任する場合も
ある程度の規模の会社では経営者直轄で「経営企画部」という一つの部門が置かれるケースが一般的です。また、同じような役割の部署で「事業企画部」「企画部」「事業推進部」などの名称がつけられることもあります。
特に組織が大きくなると幅広い部門が存在するため、少数の経営層だけでは会社の舵取りが難しい場合があります。そういったときに、こうした経営者直轄部門が置かれるのです。
一方中小企業では経理部や総務部が経営企画の役割を兼任しているケース、あるいは経営者自らが経営方針やビジョンから戦略を立てて現場に落とし込んでいるケースもあります。
経営企画の業務一覧
経営企画の業務内容は非常に多岐にわたります。会社によっては担当業務も異なりますが、主に以下のような仕事があります。
経営戦略の立案
まずは会社の現状を分析して中長期的な経営戦略を立案します。立案にあたっては経営会議に参加、あるいは経営者とミーティングを行い、今後の経営方針や経営者のビジョンを把握します。
例えば「売上を5年間で現在の倍にする」というビジョンを立てるのは経営者、それをどのように達成するのかを考えるのが経営企画の役目です。
施策への落とし込みと実行
経営方針やビジョンに基づいて立てた戦略を、さらに具体的な施策に落とし込んでいきます。例えば売上を増加させるという一点においても、営業部門の増強、カタログやWebなど集客ツールの強化、代理店や販売店などの販路拡大、製品の品質改善、保証やアフターケアなどサービスの充実など、方法はさまざまです。
経営者とコミュニケーションをとりながら、目標値や具体的な施策の内容、スケジュール、予算などを決め、経営者の代わりに社内の各部門に落とし込みます。
施策の進捗管理と改善
戦略や施策を現場に全任すると、うまくいかないケースもあります。施策の進捗や目標の達成状況などを随時管理するのも経営企画の重要な仕事です。
また、施策がうまく実行されていない、目標に達していない、その他トラブルが発生した場合、それらを改善する役割を担っています。
経営者のサポート
経営企画は経営者直轄の部門であることも多く、経営者が抱えるさまざまな業務をサポートするよう求められることあります。具体的には、書類や資料の作成、情報収集、会議の準備、来客対応など非常に幅広い傾向です。
このように、経営企画には「何でも屋」のような側面もあります。
経営企画の平均年収
経営企画の平均年収については、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト『job tag』では公表されていません(※2024年10月)。
ただし、「経営企画 年収」と検索すると、民間の人材サービスを中心としたWebサイトで目安となる年収を確認することができます。詳細を知りたい方は、このようなサイトを参考にするとよいでしょう。
経営企画は、会社全体を統括する立場であり、責任が大きいこと、高いスキルや知識が求められることから、一般社員よりも高い水準になる傾向があります。
経営企画に必要なスキル
ここまでご紹介したように経営企画は幅広い業務を担当するため、以下のようなスキルを求められる傾向があります。
経理・財務のスキル
経営企画ではどれだけ利益が出ているのか、企業が存続できるだけの体力があるのか、会社の状況を踏まえて経営者とともに今後の方針を決めなければなりません。会社の数字、つまりお金の出入りを分析する経理・財務スキルが必要なのです。
経営計画の企画力
前述の通り、経営企画は経営方針や経営者のビジョンを具現化する仕事です。その方法は一つではなく、正解・不正解もわかりません。戦略を立て、施策を考え、現場にいかに落とし込むかという企画力も必要となります。
マーケティングスキル
経営戦略を立てるうえでは市場の動向やトレンド、消費者のニーズを踏まえる必要があるためマーケティングスキルは欠かせません。技術革新の流れが早く、価値観が多様化している現代において、これまでと同じ方法ではなかなか商品やサービスが売れにくくなっています。
情報を収集し、それらを分析したうえで、市場に合った販売や商品戦略を立てられるスキルが求められるのです。
データ分析スキル
会社の状況を把握する、あるいは経営戦略を立てるうえで、データの分析力は欠かせません。経営企画部門では財務データや販売データ、生産実績、労務データ、あるいはアンケートや統計など、さまざまなデータを分析する機会があります。また、そこで得たデータをどのように処理するのか、どのような角度で見るのか、データから「何を読み取る」といった分析スキルも重要です。
プレゼンテーションスキル
会社の方針や経営者のビジョン、施策を現場に伝える場合や、現場の意見や施策の進捗状況を経営者に報告する際には、相手にわかりやすく、そして伝えたいことを正確に伝えるプレゼンテーションスキルが必要です。
コミュニケーションスキル
経営企画は経営層と現場の橋渡し役なので、経営企画は経営者や他部門とのコミュニケーションをとる機会は頻繁にあります。相手の意図を汲み取る、相手の考えや伝えたいことを引き出す、部門やスタッフ間の関係を良好に保つなど、社内的なコミュニケーションスキルも重要です。
トップサポート
経営企画はいわば経営者の手足のような存在。経営者がリーダーとしての役割を果たせるように手助けするのも経営企画の仕事です。経営者のニーズを捉えて先回りをし、頼られるトップサポート力も必要となります。
経営企画に向いている人
経営企画にはさまざまなスキルが求められますが、資質も重要です。ここからは経営企画にはどのような人が向いているのかを見ていきましょう。
経営に興味がある人
経営企画の一番の特徴であり醍醐味でもあること、それは「経営者に近い立場で仕事ができる」です。「好きこそものの上手なれ」のように、経営に興味がある人、将来経営者を目指している方であれば成長でき、会社の業績にも貢献できるはずです。
視野が広い人
経営企画は経営者と同じ目線に立つことを求められます。所属する部門だけでなく、会社全体のことを考え、行動しなければなりません。
「成果を出すためには会社としてどう動いかなければならないのか」「部門や社員全員が利益を得られるためにはどうしたらよいか」「施策を行った結果どの部署にどのような影響が出るか」といったように、広い視野で物事を考えられる人が向いているでしょう。
マルチタスクが得意な人
経営企画はさまざまな業務を同時にこなすため、とても多忙です。財務分析や戦略策定を行っている途中に経営者から新たな指示が出たり、突発的なトラブルに対応したりしなければならない場面も想定されること。そのため、複数の業務を同時並行で進めるマルチタスク能力が求められるのです。
メンタルが強い人
経営企画は忙しいうえに会社の業績に直結する部門のため、非常に大きなプレッシャーがかかります。ときには社内から反発され、経営者と現場との板挟みになるケースもあるでしょう。やりがいは十分ありますが、激務や重圧、人間関係のストレスにある程度耐え得るメンタルも求められます。
経営企画に役立つ資格
経営企画を目指されている方、あるいは現在経営企画部門で働かれている方は、以下のような資格を仕事に活かせる可能性があります。
中小企業診断士
中小企業診断士とは中小企業を診断して経営に関する助言を行う能力があると認められた者に与えられる国家資格です。筆記試験と口述試験があり、経済学や経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システムなどの幅広い知識が求められ、これら要素は経営企画の業務に欠かすことができないものばかりです。
日商簿記
日商簿記とは日本商工会議所・各地の商工会議所が主催する簿記検定です。簿記とは会社の資産や負債、純資産の増減を管理し、収益や費用を記録すること。その知識があれば会計帳簿の作成や理解ができ、会計・財務データの分析も可能となります。
公認会計士
公認会計士とは企業の財務情報を監査する専門家です。公認会計士の資格を取得することで、公認会計士法に基づき、公認会計士の独占業務である法定監査を行うことができます。また、公認会計士の勉強を通じて経理や税務に関する業務、その他経営に必要な幅広い知識を習得することが可能です。
経営企画から目指せるキャリア
経営者の間近で仕事ができる経営企画。もちろんそのまま経営企画という道を極める、あるいはその経験を活かして社内でキャリアを積むなど、将来へのキャリアはさまざまです。それ以外にも以下のようなキャリアへと進むことができます。
経営コンサルタント
経営企画では経営に関する幅広い知識・スキルを学べます。経営者に近い立場、経営者に接することが多々ある中で、経営的な視点やマインド、あるいは経営者ならではの心情や悩みに触れる機会も多いでしょう。また、経営企画として経営者への改善案の提案や現場の意見を報告するなどが、コンサルタントのような役割を果たします。
経営企画で身につけた知識やスキル、経験を活かして経営コンサルタントとして転職あるいは独立開業するという道もあります。経営者の悩みを解決しクライアントが獲得できれば、高収入も期待できるでしょう。
財務の責任者(CFO)
最高財務責任者(CFO)とは企業の財務管理や財務戦略を担う役職です。経営企画はこの最高財務責任者を、財務分析や戦略の立案などを通してサポート。最高財務責任者になれば自分自身で財務管理を指揮したり、財務戦略の実行を判断したりすることが可能となります。
企業の中ではかなり重要なポジションであり、仕事の裁量も広がり、待遇も段違いによくなるはずです。
経営者(CEO)
社内で経営者(CEOや社長)のポジションを目指すキャリアパスもあり、経営者が後任や役員を経営企画部門から登用するケースも見られます。また、後継者を育成するため、候補者を経営企画部に配置し、経営に必要なスキルや知識を習得させるというパターンもあるでしょう。そのため、経営企画部門は、他の部門と比較しても経営者へのキャリアパスが多く開かれているポジションと言えます。
また、転職して他社のCEOや取締役に就任する、あるいは独立開業して自分の会社を作ってCEOに就任するという方法もあります。
経営企画はプレッシャーもあるけどやりがいが大きい、成長できる仕事
経営企画は、経営者のパートナーとして会社の現状分析や経営戦略の策定、施策の立案、現場への実行支援や進捗管理などを担う重要な仕事です。これらに加えて経営に関する幅広い業務にも携わります。このように経営企画は、多忙であり、プレッシャーやストレスの多いポジションですが、経営に直接関わるため、大きなやりがいや将来性を感じることができるでしょう。
多くの企業では経営企画は花形部署の一つとされ、将来的に幹部や役員、さらには経営者を目指すチャンスがあります。経営に興味がある方や、将来経営者になりたいと考えている方は、経営企画を目指して就職活動や転職活動を行うのも適切な選択肢となるでしょう。
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