- 更新日 : 2020年7月16日
会社設立費用と新会社法のメリットとは
平成18年5月1日施行の新会社法により、資本金1円で会社設立ができるようになりました。開業前に準備する資金は以前と比べ、少額になりましたが、1円だけでは会社運用できません。
会社設立に係る費用には、どうのようなものがあるかを確認しながら、改めて新会社法のメリットを確認していきます。
目次
会社設立の書類作成に必要となる費用
会社設立のための書類を作成する際に必ず発生する費用には、次のようなものがあります。
公証役場にかかる費用
株式会社の設立では、定款を公証人に認証してもらう必要があり、公証人に支払う定款認証手数料が5万円、定款印紙代は4万円です。また定款謄本は1部1,000円程度で、登記申請用とは別に会社での控え用の2部が必要になるため、2,000円程度かかることになります。定款を電子文書で作成する電子定款は印紙税の課税対象外となるため、定款印紙代は発生しません。ただし、電子定款作成には必要な機器やソフトを買う必要があるため、自分で作成する際には別途費用が発生します。
合同会社の設立の場合、公証人の認証を受けなくてよいので、公証人定款認証手数料は不要です。印紙代の4万円と謄本代の2,000円程度は必要になりますが、電子定款で行う場合は前述のとおりです。
なお、提出書類に発起人全員の印鑑証明書が含まれますので、その費用も必要です。
法務局でかかる費用
法務局へは、登記に際して必要な税金を納めなければなりません。これを登録免許税といいます。会社設立に必要な登録免許税は印紙によって支払われ、その金額は、15万円を下限として、資本金の1,000分の7で計算します。
合同会社の場合は、資本金の1,000分の7は変わりませんが、下限が6万円になります。
このほかに、必要に応じて登記簿謄本や印鑑証明書の発行を法務局に請求します。印鑑証明書や登記簿謄本は銀行の法人口座を作るときや、契約締結の際などに必要になります。
なお、提出書類に役員全員の印鑑証明書が含まれますので、その費用も必要です(取締役会設置会社の場合は代表取締役の印鑑証明書のみで問題ありません)。
代理業務にかかる費用
会社設立の登記に関して、代理権を有する司法書士に依頼をした場合には、その報酬が必要になります。なお、行政書士は申請の代理を業務として行うことができず、できるのは定款作成や認証手続き・会社設立関連書類の一部作成のみに限られます。
税理士および行政書士は登記申請の代理業務によって報酬を得ることは認められていませんので、注意が必要です。
新会社法のメリット
古くは明治32年に制定された商法に始まり、有限会社法や商法特例法などの分散していた規定をまとめたものが新会社法(平成18年5月1日施行)です。それまでばらばらだった規定をひとつにまとめ、ひらがな口語体表記で読みやすくしただけでなく、内容も大幅に改正されました。
これによって中小企業のメリットも多くなりました。主なものは次のとおりです。
株式譲渡制限の定め設置会社
取締役が1人でも可能で、取締役会・監査役の設置も任意であるため、機関設計をフレキシブルに行えるようになりました。
譲渡制限株式制度
これまでは、株式に譲渡制限をつけるには全ての株式に対して付与しなければなりませんでしたが、一部の株式でも譲渡制限をつけることができるようになりました。これにより、複数の種類の株式を発行している場合でも利用できるようになりました。
自己株式取得方法
定時株主総会に限定されていた取得の決議が限定されないようになりました。臨時株主総会での決議や、譲渡人を指定しないなど、自己株式の取得方法が幅広くなりました。これにより、株主の整理がしやすくなりました。
株券不発行制度
定款に定め、登記しない限り、株券は発行されません。これにより発行にかかっていた費用を削減することができます。
社債の発行
株式会社に限られていた社債の発行が合同会社、合資会社、合名会社、特例有限会社でもできるようになり、資金調達の手段が増えました。
会計参与制度
新設された会計参与制度によって、専任された会計参与が取締役と共同して、P/L やB/Sをはじめとする計算書類の作成や説明、開示などを担当できるようになりました。会計監査人の設置が難しい中小企業でも専門家の協力が得やすくなり、決算書の信頼を向上させる手段が増えました。また、会計参与の設置は任意であり、強制されるものではありません。
このほかにも株式会社制度と有限会社制度の統合や最低資本金の撤廃など、中小企業のメリットが大きい制度があります。
まとめ
まとめると、会社設立にかかる費用は以下のとおりです。
定款印紙代:4万円
定款謄本の手数料:2,000円
登録免許税:15万円を下限として、資本金の1,000分の7
資本金:1円~
合計:約25万円~
会社設立時は25万円あればよいわけではなく、開業後の運転資金まで見据えた資金を事前に準備する必要がほとんどだと考えられます。
中小企業のその他メリットについては、中小企業庁が作成したよく分かる中小企業のための新会社法 33問33答(PDF)を参考にしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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