• 作成日 : 2022年1月21日

会社設立時に必要な商号とは?決め方や会社名・屋号との違いも解説

会社設立時に必要な商号とは? 決め方や会社名・ 屋号との違いも解説

会社設立時に行う商業登記(一般社団法人など会社以外の法人は法人登記)では「商号」の登録が必要です。会社の名前を表す商号は、一度決めると簡単には変更できないもの。長く使える商号にするには、どのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか。

この記事では、商号とは何か、商号を決める際のルール、ネーミングのポイントなど、商号のことに解説していきます。

商号とは

商号とは、株式会社や持分会社(合同会社)の設立時に登記を行った会社の名前を指します。商号がそのまま会社の名称として呼ばれるのが一般的ですので、会社の名前=商号と考えて良いでしょう。

NPO法人、一般社団法人などの公益法人・非営利法人の設立時に登記される名前は、商号ではなく「名称」とされます。

商号・会社名・屋号の違い

商号と会社名は意味としてはほとんど同じです。会社名は、一般的に会社の名前を表す言葉として使われます。商号は法律上の言葉で、法人の名前を正確に表したいときに使われる言葉です。会社設立のための商業登記においては、会社の名前を「商号」として登録します。

商号は商業登記時に記載する法人の名前です。「株式会社○○」と登記された場合、一般的にはその登記名で呼ばれます。会社名は「一般的な会社の呼称」ですが、商号そのままに呼ばれるか、○○の部分だけで呼ばれるのが一般的ですので、多くの場合商号=会社名と考えられています。

屋号は、個人事業主が事業上使用する名前です。事業内容をわかりやすく伝えるため、消費者に覚えてもらいやすくするためなどの目的で用いられます。法人化していない飲食店の店名を屋号にすると考えると理解しやすいでしょう。なお、屋号は登記の必要がなく、開業届に記載して登録します。ただし屋号の設置は義務ではなく、登録をしていたとしても確定申告の際に記載する義務もありません。

屋号については、以下の記事で使い方などを詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。

商号を決める際のルール

商号の設定には、一定のルールがあります。ここでは、商号を決める際に押さえておきたいルールを解説していきます。

「株式会社」等の会社の種類を含める

商号を登記するにあたって、「株式会社」「合同会社」「合資会社」などの会社の種類を含めなくてはなりません。一般的には、「○○株式会社」や「株式会社○○」のように、会社の種類を先頭、又は末尾につけます。

なお、会社の種類を含める必要はありますが、ほかの会社の種類と誤認するような文字を含めて商号を定めることはできません。たとえば、「○○合同会社株式会社」など、会社の種類が判断できないような表記はできませんので注意しましょう。

また、「Co., Ltd.」(日本企業がよく使う株式会社の表記)、「Inc.」(多数の株主を有する事業組織で法的な法人団体)、「LLC」(合同会社)、など、英語で株式会社を表記して商号とすることも認められていません。英語表記を載せたいときは、商号ではなく、定款の会社名に記載します。

商号に使用可能な文字

商号には、漢字、ひらがな、カタカナのほか、一部の符号の使用が認められています。商号に使用できる符号はローマ字、アラビヤ数字(1,2,3、…)、「&」(アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」(コンマ)、「-」(ハイフン)、「.」(ピリオド)、「・」(中点)、です。

ローマ字は、大文字と小文字のどちらも使用できるほか、ローマ字使用時に限りスペースの使用が認められます。

使用可能な文字であれば、ローマ字と漢字の組み合わせや、アラビヤ数字のみを使用するなど、さまざまなスタイルの商号を登記できます。

商号に使用できない言葉

使用可能な文字のみが商号に使用できるほか、業態や法人形態を誤認させるおそれのある表現も使用が制限されています。

たとえば、証券会社ではない会社が「○○証券株式会社」と表記したり、銀行でない会社が「株式会社○○銀行」などと表記したりすることは認められません。同様に、生命保険、信託、弁護士、税理士、など、その業と関連のない会社が、あたかもその業を行っているように捉えられかねない表記は制限されます。一方で、「銀行」などの特定の業種は、商号の中に業種を表す文字を含める必要があります。

また、「〇〇支社株式会社」のように、支社や支所、出張所などの会社の一部のように捉えられる言葉は商号には使用できません。

同一住所で同一商号は不可

商業登記法第27条により、同じ住所で同じ商号は登録できません。ただし、会社の種類を含めた商号全体が一致していることが同一商号とみなされますので、「株式会社ABC」という会社が同じ住所で登記されている場合、同一住所でも、「ABC株式会社」や「合同会社ABC」などの登記はできます。

不正競争防止法に配慮する

よく知られている商品の表示を冒用するなどの不正競争をなくし、公正な競争を確保するために「不正競争防止法」が定められています。不正競争防止法に反する商号の登録はトラブルになりますので、配慮した登録を行うようにしましょう。

たとえば、ほかの有名な会社や業界でよく知られている会社と誤認させるような商号や類似した商号は、不正競争防止法に反する可能性が高いです。差止請求や損害賠償に発展する可能性もありますので注意しましょう。

他社の商標を避ける

商号を登録する際は、他社の商標を避けて登録しなければなりません。商標とは、他社の商品やサービスと区別するために使用する文字や図形のことをいいます。オリジナルの商品名、オリジナルのサービス名、看板などに使用しているロゴマーク、いずれも商標です。

商標は、商号とは異なり登記の必要はありません。特許庁で商標登録をすることで、はじめて商標権が発生し、以後、同様のマークなどはもちろん、紛らわしい商標の登録を阻止できます。また、登録済みの商標を無断で使われたときは、差止請求や損害賠償の請求が可能です。

新たに商号を登録するときは、すでに登録された商標に類似している場合、損害賠償などに発展する可能性もありますので、慎重に検討するようにしましょう。

商号の決め方

商号には、株式会社などの法人格を含める、業態に関わる文字使用の制限があるといった一定のルールはありますが、ルール内であればさまざまなネーミングが可能です。

ここでは、商号のルールを押さえた上で、どのようにネーミングしていけば良いのか、ネーミングのポイントを見ていきましょう。

ネーミングのポイントを押さえる

商号のネーミングは、会社のイメージやインパクトにもつながる重要なものです。登記上のルールや法律上のルールを守るだけでなく、会社にとってメリットのあるネーミングにしましょう。特に押さえておきたいポイントは、以下の4つです。

  • 読みやすく記憶に残りやすい
  • オリジナルである
  • 語感が良く会社のイメージがしやすい
  • 会社のサービスなどが端的でわかりやすい

商号は、可能な限り自社の事業がイメージしやすいようなネーミングを意識し、読みやすくインパクトのあるものにしましょう。ありきたりな名前ではなく、他社としっかり差別化することで、ブランディングにもなります。

ネーミング手法の分類

商号は、できるだけポイントを押さえたい一方で、まっさらな状態から考えようとすると、なかなか難しい部分もあります。ここでは、ネーミング開発に使える分類を紹介しますので、ネーミングの参考にしてみてください。

■連結型

連結型は、「ハッピー+フラワー=ハッピーフラワー」のように、異なる単語を組み合わせるネーミングのテクニックです。組み合わせ次第で、会社の世界観をストレートに伝えられるメリットがあります。

■混合型

混合型は、連結型と同じく異なる単語を組み合わせるネーミング手法ですが、「ビタミン+ミント=ビタミント」のように、一方の文字の末尾と、もう一方の文字の先頭の音が重複している特徴があります。簡単な文字の並列でも、オリジナリティを出せるのがメリットです。

■化合型

「トリプルサクセス→トリサス」のように、複数の単語の中から一部を取り出してネーミングする方法もあります。長い名称から短くしたいとき、キャッチーにまとめられるのがポイントです。

■切抜型

「パフォーマンス→パフォーム」などのように、1つの長い語句の一部を取ってネーミングする方法を切抜型といいます。同じ語句でも、異なる雰囲気にできるのがメリットです。

■機能重視型

「どこでもピカピカ」など、機能を訴求するネーミングを機能重視型といいます。商品名やサービス名のネーミングでよく使われる手法です。メインの特定のサービスを推したいとき、特定のサービスに特化して事業を行っているときは、機能重視型を検討しても良いかもしれません。

■イメージ重視型

顧客や取引先などからどのような会社として見られたいか、イメージを重視してネーミングする手法もあります。イメージを重視するので、好印象を与えるネーミングにしやすいのがメリットです。

■オノマトペ型

「ポツポツ」「ジリジリ」「サクサク」「ジャリジャリ」「クスクス」など、自然の音や物事が動く音を表現した言葉をオノマトペといいます。オノマトペ型は、オノマトペを取り入れたネーミングのことです。なじみのある表現を取り入れると、親しみやすさや共感を得やすいです。

以上のように、ネーミングにはさまざまな方法があります。いきなり独自性のある単語を考えるのは難しいので、語句の組み合わせや語呂合わせを工夫して考えるとネーミング案も出てきやすいです。テクニックを活用しながら、商号を決めていきましょう。

事前に商号・商標を調査する

商号のネーミングにある程度の目処がついたら、登記する前に、商号や商標を調査するようにしましょう。完全に一致した名前だけでなく、類似する名前を商号にすると、不正競争防止法などに引っかかり、トラブルに発展することもあります。入念に調査した上で、商号を登録するのがおすすめです。

「登録情報提供サービス」や「法人番号公表サイト」を活用する

「登録情報提供サービス」は、登記所の保有する登記情報をインターネットで閲覧できる有料のサービスです。申請者情報を登録することによって、サービスを利用できるようになります。特定の会社の登記情報を詳しく閲覧できるほか、同一の住所に同一の商号が登記されていないか確認するのに便利です。

「法人番号公表サイト」は、国税庁の運営するサイトで、法人番号の指定を受けた事業者の特定の情報を取得できます。サイトから調べられるのは、法人の商号又は名称、所在地、法人番号です。サイト上では、商号の部分一致や前方一致などの検索ができるため、登記したい商号を入力して、類似するものはないか、確認するのに役立ちます。

法務局で商号調査を行う

以前は、法務局支局に「商号調査端末」が設置されていましたが、端末からインターネット上の「オンライン登記情報検索サービス」に置き換わりました。「登記情報提供サービス」や国税庁の「法人番号検索サイト」について前述しましたが、同一住所に登記したい商号がないか、商号調査を行いたいときは「オンライン登記情報検索サービス」も便利です。

なお、商号以外にも、事業内容など詳細を確認したいときは、「登録情報提供サービス」で登記情報を閲覧できるほか、法務局などで申請を行うことによって公表されている他社の登記情報を取得できます。詳細な情報が必要なら、登記情報の取得も検討してみてください。

商標登録を行う

商号が商標として登録されているケースもあります。商号を決める際は、トラブルにならないように商標登録も確認しておきましょう。商標は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)から、検索できます。

また、オリジナリティのある商号に類似した商標を使われたくないなら、商号の商標登録も検討しましょう。商号を決めるために商標登録は必須ではありませんが、自社のブランドを守るためには有効な手段です。

会社設立時に必要な商号とは会社名のこと

商号は、会社設立時に登記する会社名のことです。商号の登記には、使用できない文字があるほか、特定の事業と誤認させるような表記の禁止、同一住所同一商号の登記ができないなど、一定のルールがあります。

また、規定のルールのほか、不正競争防止法や会社法など、そのほかの法律に触れるような商号を登記すると差止請求や損害賠償の請求を受けるなど、トラブルに発展する可能性も考えられます。

商号は、一定のルールや注意すべき法律を確認した上で登記するようにしましょう。また、商号は会社の顔にもなりますので、事業がイメージしやすいもの、キャッチーなものなど、見た人が受ける印象を意識してネーミングすることも大切です。

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よくある質問

商号とは?

商号とは商業登記した会社の名前です。 詳しくはこちらをご覧ください。

会社名や屋号との違いは?

商号は会社の法律上の呼称で、会社名は一般的な呼称という違いがあり、屋号は会社ではなく個人事業主が使用する事業の名称です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岩波 竜太郎 (公認会計士 / 税理士 / 経営学修士)

公認会計士・税理士・経営学修士。大手監査法人、ベンチャー企業を経て、2015年に独立開業。大手監査法人での海外経験や管理本部長としての幅広い経験を武器に会計アドバイザリー業務を主たる業務として行うとともに、東証1部上場企業である株式会社OrchestraHoldingsの社外役員をはじめ、経営アドバイザーとして複数の企業に関与。Webメディア等の記事執筆・監修業務も積極的に行っている。

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