- 作成日 : 2022年7月29日
50代からの起業に向いている職種は?成功するコツや独立開業支援制度も解説!
これまでのビジネス経験や積み上げてきたスキルと知見、そして広く培ってきた人脈などを活かして起業したい、と考える50代のビジネスパーソンは少なくありません。では、50代で実際に起業する場合、具体的な開業方法や事業計画、または資金計画などについてどのように考えればいいのでしょうか。本記事では、起業におすすめの業種や利用できる独立開業支援制度、成功するためのポイントなど、50代の起業について広く解説します。
目次
50代での起業は難しい?
経営学の専門家の多くが、起業に最適な年齢または年代はないとする立場をとっています。某大手ハンバーガーチェーンの創業者がオリジナルのハンバーガー店の第一号店を購入し、フランチャイズを始めたのは彼が52歳の時でした。また、日本でも、世界長者番付で一位になったこともある某不動産王が起業したのは彼が51歳の時でした。年齢は、起業を成功させる必要条件であるというよりも、起業の成功に影響を与える可能性があるファクターの一つであるといえます。起業を成功させる条件は年齢ではなく、ビジネスチャンスやマーケットのコンディション、あるいはニーズやウォンツといった市場や顧客の状態、そして何よりも提供する製品やサービスが持つ価値や効能または斬新性であるとすべきでしょう。起業の成功率と年齢は、直接的な相関関係にはないと考えられます。また、50代だからといって起業が難しいということはないでしょう。
50代で起業するメリットは?
とは言うものの、50代で起業するメリットがまったくないかと言うと、そうではありません。50代で起業するメリットの一つは、それまでに培ってきた豊富な経験やスキルを実際に活かせる点です。特に経営に近いポジションで仕事をしてきた人は、営業、マーケティング、人事、経理、財務、生産管理、在庫管理といった、経営の重要なファンクションについての経験と知識を相応に持っているでしょう。また、50代のビジネスパーソンとなれば、それなりの人脈を有している人が多いはずです。それぞれの業界に特化した、属人的な人脈があれば、新たにビジネスを立ち上げる際にも強力な事業基盤として活用できるでしょう。経験と人脈が活かせることこそ、50代で起業する最大のメリットです。
50代の起業におすすめの業種は?
ところで、50代の起業におすすめの業種は何でしょうか?経験や人脈を活かせるという理由から、以下の業種をおすすめします。
コンサルタント
一つ目のおすすめはコンサルタントです。50代のビジネスパーソンであれば、特定の分野で経験とスキルを磨いてきた人が少なくないでしょう。営業部長を務めてきた人であれば営業コンサルタント、財務部長を務めてきた人であれば財務コンサルタント、製造管理部長を務めてきた人であれば製造管理コンサルタント、技術分野でノウハウを蓄積してきた人であれば技術コンサルタントとして起業するイメージです。専門性が高いニッチな領域に特化したスキルを持つ人にはおすすめの業種です。
人材紹介業
二つ目のおすすめは人材サービス業です。人材サービス業の中でも、人材を企業に紹介する人材紹介業がおすすめです。これまでに培ってきた幅広い人脈に対し、即戦力となる人材を紹介し、紹介料を獲得するビジネスです。特に人材不足が問題化している業界や職種においては、大きなニーズが存在しています。人材紹介業の免許を取得する必要がありますが、それを含めても立ち上げが比較的容易なビジネスです。
コンサルタントも人材紹介業も、どちらも比較的ローコスト・ローリスクで始められるのがメリットです。
50代で起業するための準備の仕方は?
では、50代で起業するための準備の仕方については、どのようにすればいいでしょうか。
事業計画を立てる
準備の第一は事業計画を立てることです。事業計画は、以下のことを明確にすることが大切になってきます。
- 何を(売るか)
- 誰に対して(売るか)
- いつ(売るか)
- どのようにして(売るか)
- いくらで(売るか)
これらが明確になっていない状態で起業してしまうのは大変に危険です。特に「何を(売るか)」が明確でない状態で起業するのは、売り物がない状態で小売店を開店するのと同じことです。
資金計画を立てる
同時に、資金計画を立てることも同じくらい重要です。特に、銀行などの外部から資金調達をする際は、資金使途や返済財源、具体的な返済計画などを含む資金計画を立てる必要があります。資金計画なしに起業することは、起業当初からどんぶり勘定で経営を行うことになってしまいます。
50代で利用できる独立開業支援制度は?
ところで、50代で利用できる独立開業支援制度には、どのようなものがあるのでしょうか。
経営革新等支援機関
経営革新等支援機関は、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行うために中小企業庁より認定された専門機関です。税理士や会計士などの専門家や、経営コンサルタント、金融機関などが多数認定されています。起業の相談に乗ってくれるほか、事業再構築補助金やものづくり補助金の申請などの支援も行っています。一般的な相談については、ほとんどの支援機関が無料で行っています。なお、支援機関の名称や所在地などの検索は、経営革新等支援機関のホームページで行えます。
シニアアドバイザーセンター
シニアアドバイザーセンターは、全国各地の商工会議所や商工会連合会などに設けられた中小企業や個人事業主に対して経営のアドバイスを提供する支援窓口です。中小企業診断士や公認会計士などの専門家が経営上の課題に対するアドバイスを行ったり、起業に必要な情報やノウハウの提供などを行っています。また、「ビジネスプランの作り方」「資金計画の立て方」などの、経営に役立つセミナーなども開催しています。
都道府県等中小企業支援センター
都道府県等中小企業支援センターは、中小企業支援法に基づく、中小企業や個人事業主を支援するためのセンターで、各都道府県に設置されています。中小企業診断士などの専門家に相談できるほか、独立希望者のための事業可能性評価などのサービスを提供しています。
50代の起業で成功するためのポイントは?
さて、50代が実際に起業する際、成功するためのポイントは何でしょうか。
事業性を確認する
一つ目のポイントは事業性を確認することです。事業性の確認とは、自分が提供するモノやサービスに対する顧客の存在を確認し、同時にビジネスとして収益を確保できそうか確認するという意味です。これはアメリカではバリデーション(Validation)と呼ばれており、起業する際の最も重要な行為の一つとされています。事業性を確認せずに起業することは、魚がいるかどうかわからない沼に釣りに行くようなものであり、獲物がおよそ生息していない砂漠にハンティングに行くようなものです。起業家は、何を置いてもまずは事業性の確認をする必要があります。
コストを抑え、スモールビジネスで始める
二つ目のポイントはコストを抑えることです。これは往々にして大企業出身の起業家にありがちですが、最初から一定の規模の組織を編成し、立派な事務所を構えて多数の人材を揃え、いきなり大きくスタートすることは避けなければなりません。起業は、可能な限りスモールビジネスでスタートさせ、徐々に大きくしてゆく方がリスクは少ないです。今は大企業とされる会社の創業者の多くも、最初は自分の部屋やガレージでビジネスをスタートさせています。また、コストを抑えるに際しては、立ち上げ時はバーチャルオフィスの利用を検討してもいいでしょう。
起業は50代でも遅くない!ただしきちんと計画を立てましょう
以上、50代の起業について、成功するためのポイントなどを含めて解説しました。50代の起業というと、一般的には遅いといったイメージを持たれがちです。しかし、起業は50代でも決して遅くありません。50代での起業には、若手世代の起業にはない強みがあります。その強みを活かすことにより、成功の確率をアップすることが可能になります。
一方、50代の起業においても、きちんとした計画づくりが必要です。上述した事業計画の要諦を踏まえ、「何を」「誰に対して」「いつ」「どのようにして」「いくらで」売るかを明確にし、それをドキュメントに落とし込むなどして明文化し、しっかりと準備をしましょう。そして、くれぐれもコストを抑えて、スモールビジネスでスタートするように心がけてください。
よくある質問
50代で起業するメリットは?
50代で起業するメリットは、起業家のこれまでの経験と人脈を広く活かせることです。特に経営や技術上の専門性の高い経験と人脈を持つ人は、その人の属人的な経験と人脈をビジネスにつなげることが可能になります。詳しくはこちらをご覧ください。
50代の起業におすすめの業種は?
50代の起業におすすめの業種はコンサルタント業と人材紹介業です。どちらも起業家が培ってきた経験と人脈を広く活用できる業種です。特に専門性の高い仕事をしてきた起業家や、大企業出身の起業家におすすめです。 詳しくはこちらをご覧ください。
50代の起業で成功するポイントは?
50代の起業で成功するポイントは、事業性を確認することと、コストを抑えてスモールビジネスでスタートすることです。自分のビジネスが成立するのか確認し、コストをできるだけ抑えて小さく始めるのがコツです。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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