- 更新日 : 2024年9月27日
おにぎり屋を開業するには – 必要な手続きや費用、資格も解説!
手軽に利用できるなど、さまざまな理由でテイクアウトサービスを利用する人も増えています。おにぎり屋さんもテイクアウトに適したビジネス形態です。自身でおにぎり屋を開業しようと思った場合、どのような準備が必要になるのでしょうか。この記事では、おにぎり屋の開業に必要な資格や許可、手続き、費用の目安などについて解説します。
目次
おにぎり屋の開業に必要な手続きや資格、許可
おにぎり屋の営業は、飲食店営業に該当します。食品を取り扱うことになりますので、食品衛生責任者の資格と飲食店営業許可が必要です。資格や許可がないとおにぎり屋を開業できません。
なお、資格や営業許可関係は日本国内で営業する場合ですので、海外でおにぎりを販売したい場合は、その国の法律に基づき手続きを行う必要があります。
今回は、日本国内でおにぎり屋を開業する場合に必要な、食品衛生責任者の資格と飲食店営業許可について見ていきましょう。
食品衛生責任者
おにぎり屋のように食品営業を行う場合は、食品衛生責任者の設置義務があります。食品衛生責任者とは、食品衛生の知見があり、事業場の衛生管理を担う責任者のことです。
都道府県知事等の定める講習会(6時間程度)を受講することで資格を取得できます。なお、調理師や製菓衛生士、栄養士など特定の資格を有する人については講習会を受講することなく資格取得が可能です。
一人でおにぎり屋を開業する場合は、開業者自身が食品衛生責任者の資格を取得しておく必要があります。
飲食店営業許可
食品や食品を入れる容器に関わる事業を始める場合、管轄の保健所で営業許可を取得するか営業届出を出さなくてはなりません。おにぎり屋が該当する飲食店営業は公衆衛生への影響が大きいため、届出ではなく、飲食店営業許可を取得する必要があります。
営業許可を得るには、業種によって定められた営業施設の基準などを満たした上で、管轄の保健所に申請書を提出し許可を得なければなりません。
おにぎり屋の開業資金の目安
おにぎり屋の開業資金がどれくらいかかるかは状況によります。出店するエリアはどこか、店舗の契約が必要か、どの程度の設備(厨房設備や空調設備など)を整えるか、内装工事でどこまで手を加えるか、などで異なるためです。
おにぎり屋のような飲食店に限ったデータではありませんが、日本政策金融公庫の「2021年度新規開業実態調査」によると、500万円未満で開業するケースが全体の約4割で最も多く、次いで500~1,000万円未満が約3割。開業費用の平均は941万円だったことがわかりました。
おにぎりを専門に取り扱う場合は、扱う食材などが限られるため、居酒屋や喫茶店ほどの設備は必要ないかもしれませんが、500万円前後の開業資金が必要になることもあります。
開業資金を抑えたい場合は、中古の設備を導入する、店舗ではなくキッチンカーで営業するなど、出店の方法や導入する設備を検討するとよいでしょう。
おにぎり屋(飲食店)開業の手続きの流れ
個人事業主として一人でおにぎり屋を開業する場合は、次のような手順で手続きを進めていきます。
- 食品衛生責任者の資格を取得する
- 店舗開業の場合は物件を決める
- 消防署に「防火対象物工事等計画届出書」を提出する
- 営業許可の基準を満たせるよう設備を整える
- 飲食店営業許可を申請する
- 仕入先を確保しておく
- テナント出店などの場合は開業の7日前までに消防署に「防火対象物使用開始届」を提出する
- 管轄の税務署に個人事業主の開業届を提出する
営業の準備や申請手続きの準備など、時間がかかるものもあります。開業までに必要な期間を見積もって計画的に準備を進めるようにしましょう。
おにぎり屋の開業資金を調達する方法
店舗を借りる費用、内装工事の費用、厨房機器などの必要な設備をそろえるための費用など、おにぎり屋の開業時にはある程度まとまった資金が必要になります。開業にあたって必要な資金を調達しておくことも大切です。おにぎり屋が開業するための資金調達の方法を取り上げます。
自己資金
自己資金とは、自身で所有する資金のことです。開業時に利用できる融資もありますが、一部自己資金の準備が要件となっているケースもあります。自己資金はあるに越したことはないでしょう。
なお、所有する預貯金をすべて開業資金にしてしまうと、生活に支障をきたします。開業しようと決めたら、生活に必要な預貯金とは別に、開業のための資金として自己資金の準備を始めるとよいでしょう。
日本政策金融公庫から借りる
日本政策金融公庫は、民間金融機関の取り組みを補完する政策金融機関で、個人事業主や中小企業などの支援をしています。
さまざまな融資事業を行っていますが、開業者向けの融資で代表的なのが新たに事業を始める人などを対象とした「新規開業資金」です。設備資金と運転資金が融資の対象となっており、最大で7,200万円までの融資が受けられます。なお、実際に融資を受けられるかどうか、いくらまで受けられるかは審査によります。
日本政策金融公庫では、融資のほか、創業前支援、創業時支援、創業後支援も行っていますので、うまく活用するとよいでしょう。
銀行や信用金庫などの金融機関からの融資を受ける
銀行や信用金庫などの金融機関には、個人事業主が利用できる融資もあります。一般的な融資のほか、融資のスピードが早いビジネスローンやカードローンもありますので、必要に応じて活用を検討してみてはいかがでしょうか。
補助金の支援や融資もおすすめ!
自治体の融資や国・自治体の補助金制度を活用するのも方法のひとつです。例えば補助金は基本的に返済を必要としないため、開業したばかりの事業主にとっては強い味方となります。ただし、補助金は基本的に後払いとなるため、開業に必要な設備を整えるための資金源としては不向きです。ほかの資金調達の方法と組み合わせながら、うまく活用するとよいでしょう。
おにぎり屋は儲かるのか?
個人経営のおにぎり屋さんは儲かるのでしょうか。結論から言えば、儲かるかどうかはお店によります。儲かることもあれば、儲からずほぼ赤字というケースもあるためです。
おにぎり屋の平均年収
個人開業のおにぎり屋さんの平均年収については公的なデータがありません。出店するエリア、平均的な客数、顧客単価などに大きく左右されますので、どのくらいの年収になるかは予想が難しいです。1日に何個売れるかも店舗によります。
例えば、毎月20日間営業で、200円のおにぎりを毎日300個売った場合を考えてみましょう。売上は毎日6万円ですが、おにぎり製造には原価のほか水道光熱費や家賃などの経費もかかるため、売上がまるまる儲けになるわけではありません。
200円のうち原価と経費の割合が8割だとすると、おにぎり1個あたりの利益は40円です。300個で1万2,000円の利益、1カ月20日間の営業だと24万円、年間だと288万円の利益になります。
おにぎり屋として成功する(失敗しない)ためのポイント
おにぎりは自宅でも気軽に作れるため、普通におにぎりを作って売るだけだと失敗しやすいです。おにぎりを売るには、おにぎりに付加価値を付ける必要があります。例えば、使用するお米にこだわったり、具材の質にこだわったり、価値のある商品作りを心がけましょう。
また、いくら商品の質にこだわってもお客さんが入らないことには売上は立ちません。特に開業当初は思うように売れないことも多いです。SNSを活用するなど、成功のために集客にも力を入れましょう。
おにぎり屋の確定申告
確定申告とは、個人の所得(儲け)に対する所得税を納税者自身が計算して、管轄の税務署に納税額を申告する手続きです。会社員の場合、会社が年末調整を行うため、個人が確定申告する必要はありませんが、個人で開業する場合は年末調整のような仕組みがないため、確定申告が必要になることがあります。
おにぎり屋で確定申告が必要な場合とは?
確定申告が必要になるのは、納める所得税がある場合です。具体的には、以下の計算を行った場合に残額があれば確定申告が必要になります。
収入がおにぎり屋だけで赤字の場合などは確定申告の必要はありません。
確定申告の方法
確定申告は、確定申告書を入手して必要事項を記入してから、管轄の税務署に提出します。e-Taxを利用すれば確定申告書を書面で入手する必要もなく、インターネット上から申告できます。
確定申告の方法や期限などは以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参照ください。
開業資金や確定申告についてしっかり理解した上で、おにぎり屋を開業しよう!
おにぎりは、日本人にとってなじみが深く、朝食や昼食に手軽に食べられるものとして人気があります。おにぎり屋は、ほかの飲食店営業と比べると必要な設備が少ないことなどから参入しやすいイメージがあるかもしれません。
しかし、ある程度の開業資金が必要になりますし、自宅でも作りやすいことから工夫しないと売れません。まず、短時間にどれくらいお客さんをさばけるかなどのシミュレーションをしておかないといけません。また、近くのイベント、天候、季節、曜日などいろんな要件が売上数に影響しますが、自分の店ではどの指標を重要視するかを考えておくべきでしょう。
開業資金や融資、売り方のポイント、確定申告について、よく把握してから開業準備を進めていきましょう。
よくある質問
おにぎり屋の開業に資格や許可は必要?
おにぎり屋開業のためには、食品衛生責任者の資格と飲食店営業許可が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
おにぎり屋は儲かる?
おにぎり屋の年収は、出店するエリアや平均的な客数、顧客単価などで変わってきます。儲かるかどうかは店舗の営業努力やおにぎりの商品価値によるでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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