- 作成日 : 2025年1月23日
内装工事・内装仕上工事の許認可とは?建設業許可の要件や取り方を解説
内装工事・内装仕上工事の許認可とは、一定金額以上の建物の内装工事を行うために必要になる許可を指します。この許可を取得するためには、経営管理責任者の設置や専任技術者の配置、一定の資金力など、複数の要件を満たさなければなりません。
本記事では、内装工事・内装仕上工事における許認可の要件や取得方法について解説します。
目次
内装工事・内装仕上工事の許認可とは?
内装工事や内装仕上工事を行う際には、規模にもよりますが建設業法に基づいた許認可が必要です。許可によって工事の質を確保し、安全を守るために、事業者は特定の基準を満たさなければなりません。
以下で、許認可が必要なケースと、内装工事・内装仕上工事の違いについて見ていきましょう。
建設業許可が必要なケース
内装工事・内装仕上工事において建設業許可が必要になるのは、発注者から直接500万円以上(消費税込)の工事を請け負う場合です。また、発注者からの直接の請負金額が4,000万円以上(建築一式の場合は6,000万円以上)となる場合には特定建設業許可が必要になります。
元々は500万円未満の工事であった場合でも、追加工事が発生して請負金額の合計が500万円を超えてしまうのであれば建設業許可が必要です。この場合、未許可業者は追加工事を行えず、他の業者に依頼するか、別の工事として新たに契約を結ぶなどの手段を検討することになります。
内装工事・内装仕上工事の違い
内装工事は、建物内の電気・水道・空調などの設備工事を含む総合的な工事を指します。一方、内装仕上工事は、壁紙や床材の施工など、仕上げに特化した工事を対象としており、水道などのライフラインとなる設備は取り扱いません。具体例としてはインテリア工事や壁張り工事、家具工事などが挙げられます。
なお、内装工事と内装仕上工事はいずれも「内装仕上工事業」に分類され、同じ許可基準が適用されます。
内装工事・内装仕上工事で建設業許可を取得する要件
内装工事・内装仕上工事で建設業許可を取得するには、一定の要件を満たす必要があります。
以下で詳しく解説します。
1.管理責任者の設置(5年以上の経験が必要)
内装工事・内装仕上工事の許認可を取得するためには、経営業務の管理責任者などの設置がひとつの要件です。管理責任者には建設業の経営に関する5年以上の経験が求められます。法人の場合は常勤役員のうち1人が、個人事業主(一人親方)の場合は本人または支配人のうち1人が、建設業を営む会社での役員経験または個人事業主としての経営経験が必要です。
この管理責任者は、財務・経理・労務管理などの業務全般を統括する立場として、会社の健全な運営を担保する役割を持ちます。
2.専任技術者の設置
内装工事・内装仕上工事で建設業許可を取得するためには、営業所ごとに専任の技術者を配置する必要があります。専任技術者には、一級・二級施工管理技士などの国家資格保持者、または10年以上の実務経験者である、一級建築士などの指定の国家資格を有している方などが該当します。
特定建設業の許可を取得する場合は、これに加えて元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験があること、もしくは一級建築施工管理技士または一級建築士であることが必要です。
3.一定の資金力
建設業許可取得には、工事が確実に実施できることを証明するために一定の資金力が欠かせません。一般建設業の場合は許可を受けようとする建設業の種類ごとに、500万円以上の資本金または自己資本が必要です。なおこれは、500万円以上の資金調達力、許可申請直前の5年間も許可を得て継続営業していた実績によっても代えられます。
特定建設業の場合は、より厳格な基準が設けられており、資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上などの要件があります。
4.誠実性
申請者には高い誠実性が求められ、これは建設業者としての社会的責任を果たすうえで重要な要件といえます。建設業法をはじめとする関連法令の遵守、工事の適正な施工能力、従業員への適切な賃金支払い、下請業者との公正な取引などが評価対象です。
また、過去5年以内に特定商取引法違反や労働基準法違反などの法令違反がないことも確認されます。さらに、経営の継続性や安定性も審査対象となり、これまでの事業実績や今後の事業計画なども考慮されます。
5.欠格要件に該当しないこと
欠格要件とは、建設業許可を受けられない事由を定めたものです。破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、建設業法違反や他の法令違反による刑事処分を受けた者、暴力団員等の反社会的勢力との関係がある者などが該当します。
また、過去に建設業許可を取り消された場合、一定期間は新たな許可申請ができないなどの制限も設けられています。
内装工事・内装仕上工事で建設業許可にかかる費用
建設業許可の取得や更新には、申請区分によって異なる費用が必要となります。手数料や登録免許税などの法定費用に加え、行政書士に依頼する場合は別途報酬が発生します。
知事許可
知事許可とは、1つの都道府県内にのみ営業所を設けている場合に必要な許可です。例えば、茨城県内にのみ営業所がある場合は茨城県知事からの許可を受けることになります。
知事許可における主な費用は、以下のとおりです。
申請区分 | 手数料 |
---|---|
新規許可 許可換え新規 般・特新規 | 9万円 |
更新 | 5万円 |
業種追加 | 5万円 |
大臣許可
大臣許可は、2つ以上の都道府県に営業所を設けている場合に必要な許可です。新規の大臣許可は知事許可よりも申請にかかる費用が高くなります。
以下の表は、大臣許可の申請にかかる費用をまとめたものです。
申請区分 | 手数料 |
---|---|
新規許可 許可換え新規 般・特新規 | 15万円 |
更新 | 5万円 |
業種追加 | 5万円 |
内装工事・内装仕上工事で建設業許可を取得する流れ
内装工事・内装仕上工事において、建設業許可申請から許可取得までの流れを紹介します。
申請の流れ
建設業許可の申請は、まず申請要件の確認と必要書類の収集から始めましょう。経営業務管理責任者と専任技術者の要件確認は特に重要で、これらの要件を満たさない場合は申請自体が受理されません。
書類審査では提出されたすべての書類について、記載内容の整合性や必要事項の記入漏れがないかが細かくチェックされます。その後、営業所の実態確認や技術者の常勤性の確認などの実地調査が行われ、問題がなければ許可証が交付される、という流れが一般的です。
申請先
申請先は、知事許可か大臣許可かで異なります。知事許可の場合は営業所所在地を管轄する都道府県知事へ、営業所が複数の都道府県にあり大臣許可が必要な場合は国土交通省の地方整備局長へ提出します。
なお、営業所とは本店・支店など常時建設工事の請負契約を締結する事務所を指し、単なる現場事務所や資材置き場は含まれません。
申請期間
申請から許可取得までの標準的な処理期間は、知事許可の場合で約30〜45日程度です。大臣許可の場合は審査がより詳細に行われるためより長くなり、2〜3ヶ月以上かかることも少なくありません。
また、申請が集中する年度末近くは通常よりも処理に時間がかかる傾向があります。
注意点
申請時の注意点として、まず提出書類の不備や記載ミスがないよう十分な確認が必要です。特に重要な書類として、身分証明書、登記されていないことを証明する書類、社会保険料の領収書、財産要件に関する書類、専任技術者の健康保険証、営業所の写真などがあります。
また、実地調査の際には営業所に関する確認が厳密に行われるため、看板の設置や事務所の実態、技術者の常駐状況なども事前に整備しておきましょう。書類の不備や実地調査での指摘事項があった場合、許可までの期間が大幅に延びる可能性があるため、慎重な準備が求められます。
また許可は永久的なものではなく、取得後も5年ごとの更新が必要であり、その都度費用が発生することも注意点といえるでしょう。
内装工事・内装仕上工事で建設業許可に必要な書類
建設業許可の申請には、多くの書類が必要です。主なものとしては、建設業許可申請書(様式第1号)を基本として、役員等の一覧表、営業所一覧表、専任技術者一覧表などの基本書類が挙げられます。また、工事経歴書や直前3年の工事施工金額、使用人数などの実績を示す書類も必須です。
人的要件に関する書類では、経営業務の管理責任者証明書や専任技術者証明書、実務経験証明書などがあります。これらには健康保険被保険者証や雇用保険被保険者資格取得確認通知書などの常勤性を証明する書類も含まれます。
法人の場合は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表などの財務諸表が必要です。個人の場合も貸借対照表と損益計算書の提出が求められます。
その他、登記事項証明書(提出前3ヶ月以内のもの)や納税証明書、定款(法人の場合)、営業所の所在地を示す書類など、多岐にわたります。
なお必要書類は許可行政庁によって要件証明方法が異なる場合があるため、申請前に必ず確認しておきましょう。
内装工事・内装仕上工事でも許認可が必要なケースもある
内装工事・内装仕上工事では、規模によっては建設業許可が求められます。建設業許可の取得には多数の書類が必要になるほか多くの要件を満たす必要があり、手間も時間もかかります。
あらかじめ申請の流れや満たすべき要件を確認し、できるだけスムーズに許可が得られるようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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