- 更新日 : 2023年9月27日
個人事業主の名義変更に必要な手続きは?事業継承の方法についても解説!
個人事業主の名義変更といえば、屋号の変更を思い浮かべる人も多いかもしれません。名義変更をする場面は、親から子への代替わりの際や、妻から夫など配偶者への代表交代、相続、事業継承など、数多くあります。また、個人事業主の名義変更には、さまざまな手続きが必要です。
ここでは、個人事業主の名義変更のタイミングや税務署などの機関への届出、必要書類など、必要な手続きについて解説します。
目次
個人事業主の名義を変更する方法は?
ここでは、個人事業主の名義を変更する方法について見ていきましょう。
事業継承・代表者変更するとき
個人事業主の名義の変更をするケースのひとつに、事業継承などで事業の代表者が代わる場合があります。この場合は代表者自体が代わります。
所得税は個人に対して課される税金であるため、主に前任者の廃業と後継者の開業の2つの手続きが必要になります。
事業継承については、次の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
個人事業主が結婚するとき
個人事業主が結婚して名前が変更になった場合は、税務署に手続きなどは必要ありません。
ただし、住所地が変更になった場合は、手続きが必要です。
もちろん、個人事業主に関係なく、結婚した場合には役所への届出や免許証の名義変更など、一般的な手続きは必要となります。
個人事業主の名義変更に必要な手続きは?
一般的に、個人事業主の名義が変更された場合、変更したタイミングで税務署にて手続きを行います。税務署での手続きでは費用はかかりません。
また、開業届の記載内容に変更がある場合で、変更届が必要となるものは基本、納税地のみです。納税地の変更があった場合は、変更届や変更が分かる書類などの必要書類を税務署に提出します。
ただし、上記の一般的な手続きは、納税者が変わらない場合のみです。納税者が変わる場合には、別の手続きが必要になります。
ここでは、納税者が変わる場合の名義変更に必要な手続きをケース別に見ていきましょう。
親から子へ変更する、代替わりする場合の手続き
代表者(個人事業主)を親から子へ変更する、代替わりする場合は、親が廃業し、子が事業を開業する手続きを行います。具体的な手続きは、次のようになります。
1.親の手続き
- 廃業届の提出
- 青色申告の取りやめ手続き
- 事業廃止届出書の提出(消費税課税事業者の場合)
- 給与支払事務所等の廃止届出書の提出(従業員を雇っていた場合)
- 事業廃止申告書の提出(市区町村など自治体に申告をしていた場合)
このほかにも、状況に応じて行わなければならない手続きもあります。
2.子の手続き
- 開業届の提出
- 青色申告承認申請書等の提出(青色申告をする場合)
このほかにも、自治体や保健所などの許認可が必要な場合に許認可の申請など、状況に応じて手続きを行います。
また、親から子へ資産を引き継ぐ場合には、生前の場合は贈与税、親の死後の場合は相続税の対象となります。そのため、贈与税や相続税の申告・納税が必要です。
配偶者(夫から妻へなど)に変更する場合の手続き
配偶者に名義を変更する場合も、親から子へ変更する場合と手続きはほぼ同じです。事業を引き渡す側は廃業の手続きを行い、引き継いだ側は開業の手続きを行います。
この際も、生前に資産を引き継ぐ場合は贈与税、死後に引き継ぐ場合は相続税の対象となります。そのため、贈与税や相続税の申告・納税が必要です。
他人へ変更する場合の手続き
他人に名義を変更する場合、事業を引き渡す側は廃業の手続きを行い、引き継いだ側は開業の手続きを行います。
ただし、他人へ資産を引き渡す場合は、贈与のケース以外に資産を売却するケースもあります。贈与の場合、贈与を受けた側は贈与税の申告・納税が必要です。資産を売却した場合は、売却者が所得税や消費税の申告・納税を行います。申告・納税を忘れないようにしましょう。
屋号は変える?
個人事業主の名義を変更したからといって、必ずしも屋号を変更する必要はありません。
屋号にブランド力がある場合など、そのままの屋号を使うケースも多いです。
また、代表者が代わったことが分かるように、あえて屋号を変更するケースもあります。
屋号を変えるかどうかは、状況に応じて検討しましょう。
個人事業主の名義変更をした際、税金はどうなる?
個人事業主の名義変更をした場合の税金で問題となるのが、資産を引き継いだ場合です。
多くの場合は事業用の資産を引き継ぐため、税金がかかります。注意点としては、引き継ぎ方で納める税金の種類が次のように異なることです。
無償譲渡の場合
引き継いだ側に税が課されます。生前贈与の場合は贈与税、死後の場合は相続税がかかります。
有料で譲渡した場合
他人に名義変更する場合などで資産を有料で譲渡した場合には、譲渡した側に所得税が課されます。売却代金から経費等を差し引き、所得がある場合は、引き継ぐまでの事業所得と合わせて、所得税を納める必要があります。
また、消費税の課税事業者の場合、事業用資産の売却は消費税の対象になるので注意が必要です。
このように、資産の引き継ぎ方で、納める税金の種類が異なります。そのため、節税対策もそれぞれの税金に合わせたものが必要となります。特に、事業承継の税金は複雑です。
事業継承の税金については、次の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
必要な手続きや注意点を理解して、名義変更しよう!
個人事業主が名義変更をする場面は多くあります。しかし、代替わりでの名義変更や結婚による名義変更など、ケースによって必要な手続きや注意点も異なります。
名義変更が必要な場合は、自分に必要な手続きや注意点を理解して、正しく名義変更するようにしましょう。
よくある質問
個人事業主で名義変更が必要なケースは?
事業継承・代表者変更するときや個人事業主が結婚するときなどです。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主が親から子へ変更する、代替わりする場合の名義変更の手続きは?
親から子へ変更する、代替わりする場合は、親が廃業し、子が事業を開業する手続きを行います。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主の名義変更をした際、税金は?
状況により、贈与税や相続税、所得税や消費税がかかります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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