- 作成日 : 2024年9月3日
個人投資家は開業届の提出が必要?投資会社との違いや書き方を解説!
個人が所有する資産を運用して投資活動を行い、利益をあげる方を「個人投資家」と呼びます。「個人投資家」のなかには、投資活動を本業にして生計を立てている方もいますが、開業届の提出が必要な投資を行っているかの判断がつかない場合もあります。
今回は、投資活動を事業所得とすることはできるのか、投資会社との違いなどについて解説します。
目次
個人投資家は開業届の提出が必要?
個人投資家が得る所得は税法上、所得税の課税対象となります。はじめに、個人投資家と所得税の開業届の関係について解説します。
そもそも開業届とは?
所得税では、個人の方が事業を開始する際、事業を開始する旨を記載した書類の提出が義務付けられています。それが開業届です。開業届は、事業を開始した事実があった日から1ヶ月以内に所轄の税務署長に対して提出する必要があります。具体的には、開業する個人の住所や氏名、屋号や開業日などを記入して提出します。
個人投資家も開業届を提出すれば個人事業主と認められる?
所得税法では、しばしば「事業」の定義が論点となります。事業所得とは「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」とした判例があります(最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決)。
参考:
裁判例結果詳細|裁判所、056332_hanrei
所得税法における「業務」の範囲について|国税庁
要約すると、自己の責任とリスクにおいて営利目的で継続的に行われる業務が事業ということになります。これを個人投資家に当てはめてみると、個人資産を使う責任とリスクをもって、事業として継続的に運用益を追求する意思と取引実績があれば、事業として認められる可能性があります。
事業として認められれば開業届を提出すると、事業所得として青色申告制度の適用を受けることもできます。
個人投資家は投資会社を設立したほうがよい?
投資活動には、個人投資家として事業を行うほかにも、投資会社を設立し法人として活動する選択肢もあります。次に、投資会社を設立することのメリットやデメリットについて解説します。
節税面では投資会社のほうがメリットが大きい
個人投資家の方が得る所得は、所得税の課税対象となります。これに対して、投資会社の所得は法人税の課税対象です。投資会社を設立するメリットについて列挙してみましょう。
- 所得が大きくなるほど税率が下がる
所得税は、所得金額が大きくなるほど税率が上がる「超過累進税率」であるのに対して、法人税は一定税率です。したがって、所得が大きい場合は投資会社のほうが税金が安くなる傾向にあります。
- 必要経費(費用)にできる支出が多い
法人税では、所得税と比較して必要経費(費用)として計上できる範囲が広がります。出張旅費や日当、生命保険料や社会保険料などを事業の必要経費(費用)とすることができます。また、事業主本人に給与(役員報酬)を支給することもできるため、経費面で大きなメリットになります。
投資会社にすることで発生するデメリット
投資会社にすることで発生するデメリットもあります。
- 会社を維持するための固定経費が増加する
投資会社として法人化することで、設立手続きや商業登記などの経費が発生します。また、事業が赤字であっても納税する必要がある税金(均等割)を毎年納めなければなりません。さらに、法人であれば社会保険の加入義務が生じるため、社会保険料の会社負担分が固定的に発生することになります。
- 月次業務や決算業務の事務負担が増加する
所得税と比較して、法人税のほうが税務申告にかかる事務量は増加します。経理面の事務負担に加え、税理士などの外部業者に業務委託することに対する費用負担も増加することになります。
個人投資家の開業届の書き方は?
最後に、個人投資家の方が提出する開業届で注意するポイントを解説します。
職業欄の書き方
開業届には職業を記入する欄があります。一般的に、個人投資家の場合「無職」とされるケースもありますが、事業として投資を本業とし生計を立てている方であれば「個人投資家」あるいは「自営業」と記入すればよいでしょう。
屋号の書き方
屋号とは、法人でいうところの「商号」です。投資事業を行うにあたって、取引先に周知する名称のことを指します。商標権や同一屋号で問題になるようなもの、法人格を連想させるようなものは使用できませんが、屋号を見て投資家であることが分かるようにしておけば、屋号からビジネスチャンスが広がるかもしれません。
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