- 作成日 : 2024年8月2日
美容クリニックの事業計画書の書き方・無料テンプレート【簡単解説】
美容クリニックの事業計画書は、創業動機やサービス内容、売上高などを記載する書類です。融資を受けるためや、安定経営を続けるために必要になります。
本記事では、美容クリニックの事業計画書について、テンプレートを基にした書き方や、作成のコツなどを解説します。事業計画書のテンプレートが必要な場合は、以下からダウンロード可能です。
目次
美容クリニックの事業計画書はなぜ必要?
意味のある事業計画書を作成するには、目的の理解は必要不可欠です。
美容クリニックの開業において事業計画書が必要な理由は主に、以下の2つが挙げられます。
- 安定して経営するため
- 金融機関からの融資を受けるため
安定して経営するため
長期的に安定した経営を続けるためには、事業計画書の作成が欠かせません。美容クリニックは医療機器や設備など初期費用が多額にかかるため、綿密な計画がなければ経営が困難になる可能性があります。
事業計画書を作成することで、開業直後から約1年後までの必要資金や売上の見通しが明確になり、安定した経営を実現しやすくなります。
金融機関からの融資を受けるため
美容クリニックを開業するために金融機関から融資を受ける際には、事業計画書が不可欠です。融資申請の際には、売上や患者数、必要資金など、根拠のある数字が求められます。市場調査や競合調査を行い、融資担当者に説得力のある説明ができる内容の事業計画書を作成しましょう。
金融機関に根拠をもって説明できる事業計画書を提出すれば、開業後も事業計画書を基に運営を進めることで安定した経営につながります。
美容クリニックの事業計画書のひな形、テンプレート
マネーフォワード クラウドは、美容クリニック向けの事業計画書のひな形、テンプレートをご用意しております。事業計画書作成の参考として、ぜひダウンロードして、ご活用ください。
美容クリニックの事業計画書の書き方・記入例
美容クリニック開業のための事業計画書について、それぞれの項目ごとに内容や書き方を解説します。全体を通して一貫性のある内容にし、思い描いた事業を実現可能にする道しるべとして活用できるよう意識して記載しましょう。
創業の動機・目的
創業の動機・目的は、事業への思い入れや事業を通じて実現したいことを記載する重要な部分です。動機や目的は、経営理念やコンセプトに反映され、事業の継続力にもかかわります。融資審査においても重視されるため、事業計画書全体で一貫性をもつようにしてください。
動機や目的が明確で一貫性がある事業計画書は、金融機関からの信頼を得やすくなり、開業後の安定した経営にもつながります。
皮膚科、美容クリニックでの職務経験を通じて美容への関心が高まり、独立開業し独自の運営方針で美容医療の提供をしたいと考えるようになった。さまざまな不安やストレスを抱える患者に対し、安心して施術を受けられるクリニックとするのが大きな目的である。
職歴・事業実績
職歴・事業実績では、自身の職歴、事業実績、保持資格を記載します。
勤務先名や役職、担当業務などを可能な限り詳細に記載してください。履歴書のように経歴を羅列するだけでなく、開業する上で必要な知識や経験、スキルを示しましょう。これまでの経験を通して学んだことも記載すると、より説得力が増します。
〇年〇月 〇〇大学卒業
〇年〇月 〇〇皮膚科に就職 お客様の不安に寄り添う施術を学び、顧客満足度1位を獲得
〇月〇月 〇〇クリニック院長に就任。クリニックの経営に必要な知識や、スタッフのモチベーション向上につながるリーダーシップスキルを学ぶ
取扱商品・サービス
取扱商品・サービスでは、以下の内容を記載します。
- 取扱商品・サービスの内容
- セールスポイント・販売ターゲット・戦略
- 競合・市場などの分析
取扱商品やサービスの具体的な内容を詳細に記載してください。たとえば、ターゲットとする顧客層に対してどのようなサービスを提供し、競合と比べてどのように優れているかを具体的に示すと良いでしょう。
市場や競合の調査を基にターゲット・戦略を練り、詳細なサービス内容を決定することで、事業計画書全体が一貫性を持ち、根拠のあるものとなります。
(記入例)
- 取扱商品・サービス
シミ取り・肝斑取り
- セールスポイント
特定の悩みを持つ顧客からの信頼感や安心感の獲得を図る
- 販売ターゲット
シミや肝斑に悩む女性
- 戦略
定期的にモニターになってもらう方を募集し、広告効果を狙う
- 競合・市場などの分析
主な競合は近隣の「〇〇クリニック」
特化型で競合となるクリニックは近隣にはない
取引先・取引関係
取引先・取引関係は、販売先や仕入先、外注先を記載する項目です。
美容クリニックの販売先は主に患者のため「一般個人」と記載してください。仕入先には、備品や設備の供給元を記載します。美容クリニックの場合、外注先は広告・宣伝に関する業者となるケースが一般的ですが、事業計画書の作成時点で決まっていない場合は、空白で問題ありません。
(記入例)
- 販売先
一般個人
- 仕入先
医療機器供給元:株式会社〇〇メディカル
備品供給元:株式会社△△
従業員
従業員の項目は以下の内容を記載します。
- 常勤役員の人数:事業運営に直接関与する役員数
- 従業員数(3ヶ月以上継続雇用者):3ヶ月以上継続して雇用を予定している従業員数
- うち家族従業員数:従業員として従事する予定の家族数
- うちパート従業員数:パートタイムで雇用を予定している従業員数
事業開始直後は従業員数をできる限り少なくし、人件費を抑えることが成功のポイントです。
(記入例)
- 常勤役員の人数:1名
- 従業員:5名
- うち家族従業員数:0名
- うちパート従業員数:3名
借入の状況
借入の状況は、経営者個人の借入を記載する項目です。
金融機関の融資を利用する場合、金額の間違いや記載漏れがあると、審査に悪影響を与えます。住宅ローンやオートローン、カードローンなど、すべての借入を正確に記載しましょう。
すべての借入を正確に記載することで、金融機関に対して信頼性を高め、審査における評価が向上します。
(記入例)
借入先名 | 内容 | 借入残高 | 年間返済額 |
---|---|---|---|
〇〇銀行〇〇支店 | 自動車ローン | 200万円 | 60万円 |
必要な資金と調達方法
設備・運転に必要な資金と資金調達の方法を記載します。
設備資金は初期費用、運転資金はランニングコスト(継続して支払う費用)が主な内容です。
- 設備資金
店舗費用:物件の取得費用、内装工事費用など
機材購入費用:診療機器、施術用ベッドなど
- 運転資金
人件費:従業員の給与、法定福利費など
仕入費用:医療材料や消耗品の購入費用など
その他運転費用:広告宣伝費、光熱費、家賃など
「必要な資金」と「調達方法」の合計金額はそれぞれ同じ金額になるように調整しましょう。
(記入例)
必要な資金 | 調達方法 | ||||
---|---|---|---|---|---|
内容 | 見積先 | 金額 | 金額 | ||
設備資金 | 内装工事 医療機器 備品 | ~~ | 1,700万円 | 自己資金 | 900万円 |
運転資金 | 商品仕入 人件費 広告宣伝費 | ~~ | 400万円 | 日本政策金融公庫からの借入 | 1,200万円 |
合計 | 2,100万円 | 合計 | 2,100万円 |
事業の見通し(月平均)
事業の見通しの項目は、開業直後および開業1年後に予想される「売上高」「売上原価」「経費」を記載します。見通しの根拠を基に、収益性を明確に伝えることが重要です。
売上高は「平均客単価×顧客数×診療日数」で予測できます。調査を基にした数値を計算して算出しましょう。
経費には、人件費や消耗品費、家賃などが含まれます。売上高から経費を差し引いた後の利益を確認し、事業の収益性を判断しましょう。
具体的な数値と根拠を基にした予測を行うことで、事業の安定性や成長性について説得力のある説明が可能となります。
(記入例)
創業当初 | 1年後 | 見通しに関する根拠 | ||
---|---|---|---|---|
売上高 | 280万円 | 364万円 | 〈創業当初〉 売上高 平均客単価10万円/月×顧客数28人/月=280万円 経費 人件費:従業員数40万円×2人、パート従業員12万円×3人 〈1年後〉 リピーター獲得、紹介制度により月間顧客数が1.3倍に増加の見込み 280万円×1.3=364万円 経費 人件費:従業員ひとりを増員 | |
売上原価(仕入高) | 0万円 | 0万円 | ||
経費 | 人件費 | 116万円 | 156万円 | |
家賃 | 38万円 | 38万円 | ||
支払利息 | 1.5万円 | 1.5万円 | ||
その他 | 5万円 | 7万円 | ||
合計 | 160.5万円 | 202.5万円 | ||
利益 | 119.5万円 | 161.5万円 |
美容クリニックの事業計画書作成のポイント
美容クリニックの事業計画書を作成するには、事前の情報収集や計画が大切です。事業開始後に安定した経営を実現するために、根拠を明確に示せるように準備しておきましょう。
調査・計画を行うべき点について、以下の4つのポイントを参考にしてみてください。
- 診療分野における売上相場について根拠を持っておく
- 購入が必要な医療機器や設備について、早めに見積りをもらう
- スタッフの採用計画について、盛り込む
- 集客・広告戦略について検討しておく
診療分野における売上相場について根拠を持っておく
美容クリニックは主に自由診療を行うため、クリニックごとに施術料金を設定します。施術料金は、患者の獲得や収益の確保に大きな影響を与えるため、競合や市場の調査を行い、適切な施術料金の相場を決めましょう。
たとえば、施術料金が安すぎると利益率が下がり、継続的な安定経営が困難になります。一方、施術料金が高すぎると利益率は上がりますが、新規患者やリピーターを獲得しづらくなるため、需要が減少するでしょう。
したがって、診療分野における適切な施術料金を調査することで、根拠のある売上相場を立てやすくなり、安定した経営が可能になります。
購入が必要な医療機器や設備について、早めに見積りをもらう
美容クリニックを開業するにあたり、医療機器や設備には高額な資金が必要です。購入を検討している機器の見積りを早めに入手し、資金計画を立てましょう。
事業計画書には具体的な必要資金を反映させた上で資金調達の方法を検討し、返済計画も立てる必要があります。また、初期費用だけでなく、メンテナンス費用など長期的にかかる費用も確認しておきましょう。
スタッフの採用計画について、盛り込む
美容クリニックのスタッフを確保するには、費用や期間が必要です。人材を確保できるかどうかは事業の安定性にかかわるため、採用計画を事業計画書に盛り込みましょう。
採用計画に盛り込む内容は、主に以下の4点が考えられます。
- どの程度のスキルを持った看護師を採用するのか
- 採用費用はいくらかかるのか
- どのように人材を見つけるのか
- 研修日数や費用はどれくらいかかるのか
運営費用やリクルート活動にかかる費用を把握し「事業の見通し」の項目に記載してください。人材確保にかかる費用を事前に盛り込むことで、安定経営につながります。
集客・広告戦略について検討しておく
美容クリニックの成功には、効果的な集客と広告戦略が欠かせません。事業計画書の戦略の項目に、集客・広告戦略の方法を具体的に記載してください。たとえば、SNS・ホームページなどを活用したオンライン広告を通じて集客したり、リピーター戦略を行ったりが挙げられます。
宣伝・広告を外注する場合は、継続的な費用または、まとまった費用が一度にかかることがあります。あらかじめどのような宣伝・広告を行うかを決め、収支計画に組み込みましょう。
リピーター戦略を行う場合は、リピーター向けの割引やキャンペーンを打ち出したときの収支計画を盛り込むと具体的な内容で作成できます。どれくらいの集客・利益があるのかシミュレーションし、1年後の事業の見通しに記載してください。事業の安定性・将来性を示すことにもつながります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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