- 作成日 : 2023年4月14日
シーシャ屋を開業するには?必要な手続きや許可、費用について解説!
シーシャは水タバコとも呼ばれ、フルーツやハーブ・スパイスなどを加えたタバコに水を通したパイプを通じて吸い、フレーバーを楽しむための装置です。シーシャは、中東を起源として、現在では西アジアや南アジア、東南アジアの一部などアジアを中心に世界中に広く普及し楽しまれています。
タバコの煙を一度水にくぐらせることによって、煙の中に含まれるニコチンの一部が水に溶けるため、一般的な紙のタバコに比べて摂取するニコチンの量が少なくなるといわれており、中にはニコチンの成分を一切含まずにフレーバーだけを楽しめるものも存在します。普段タバコを吸わない人や、タバコの摂取によるニコチン中毒を心配している人たちにも楽しめるものとなっています。
日本においてシーシャは比較的新しい嗜好(しこう)品であり、一部の若者層や外国人コミュニティーの間でひそかなブームの兆しを見せています。公共の場での喫煙に対する規制が厳格化する流れの中、ここ10年の間に全国的にシーシャ屋の店舗数は増加しており、愛煙家にとっての新しい憩いの場としての役割を担いつつあります。
こちらの記事では新しくシーシャ屋を開業したいと考えている人のために、新しく店舗を開く際に必要な手続きや許可について解説していきます。
目次
シーシャ屋を開業するまでの流れ・手続きは?
シーシャ屋を開業したいと思った場合、開業までの流れと手順を把握しておきましょう。手順と流れのポイントは、次の4つです。
十分な予算を用意する
シーシャ屋に限らず、新しいお店を開業するには十分な予算を確保することが重要です。開業してから営業が安定するまでには数年単位の期間がかかるため、開業するのに必要なスレスレの予算で始めてしまうのは危険です。
店舗の改装費などの初期費用だけでなく、最低でも数カ月~半年分のテナント賃料が払える程度の予算をあらかじめ準備しておいた方がいいでしょう。自分の手持ちの予算だけで準備できるのが理想ですが、足りない分は日本政策金融公庫などを利用して借りることを選択肢に入れても良いでしょう。
店舗の立地を決める
シーシャ屋を始めるためには、まず店舗の立地を選定する必要があります。比較的若い世代に人気のあるお店のため、ある程度若者の集客が見込める立地が必要になります。交通のアクセスが良い場所か、郊外でも比較的若い世代が多く住む地域を選んだ方が良いでしょう。
また、店舗の規模と賃料の兼ね合いについても熟考する必要があります。予算や将来の拡大の可能性などを考え、適切な規模のテナントを借りる必要があります。路面店は集客は見込めますが賃料が高くなるため、収益を上げるためには2階以上のテナントを借りる方が現実的でしょう。
また、シーシャを扱う特性上、火や煙が発生するため、建物のオーナーにあらかじめ理解を得ておく必要もあります。周辺のテナントともきちんと話をしておかなければ、後々トラブルになってしまうリスクがあるので注意しましょう。
また、周辺の競合店についても前もって調査しておく必要があります。後に説明するタバコ小売販売業許可を取得しての開業を考える際には、営業を行う店舗予定地と最寄りのタバコ屋との距離が条件の一つになるので、競合するシーシャバーやシーシャカフェだけでなく一般のタバコ屋が周辺にあるかどうかまで確認する必要が生じます。
必要な免許、許可の取得
シーシャはタバコの一種であるため、開業には一般的なタバコを取り扱うのに必要となる免許や許可の取得が必要となります。また、シーシャ屋では一般的にお酒などのドリンクやフードメニューなどを提供するため、飲食店営業許可など一般的な飲食店で必要とされる許可も併せて必要になります。
店の設備を整える
店の内装や備品を整えます。予算を抑えるためにはカフェなどの居抜きの物件が望ましいですが、シーシャ屋は賃料の高い路面店よりは2階以上の物件を選ぶことが多いため、簡単にシーシャ屋に適した居抜き物件を見つけることは難しいでしょう。なるべく改装費を抑えるために、自分で作れるものはDIYで作っても良いかもしれません。
このほか個人事業主としての開業にあたっては、税務署に対して開業届や青色申告であればその申請書の提出があります。
シーシャ屋の開業に必要な資格・許可は?
シーシャはタバコの一種であるため、開業にあたり、タバコを取り扱うための許可や資格が必要となります。その中には、役所に申請するものもありますので、ここでは詳しく解説をしていきましょう。
タバコ小売販売業許可
シーシャ屋を開業するにあたって必要となる許可で、店舗ごとに取る必要があります。必要な要件として最寄りのタバコ屋から一定の距離を取る距離基準や、一定の本数を取り扱う取扱高基準などが設けられており、審査を通すのは難しいといえるでしょう。
タバコ出張販売許可
タバコ出張販売許可は、タバコ小売販売業許可を持つ業者と業務提携契約を結ぶことで取れる許可で、先ほど説明したタバコ小売販売業許可に比べると取得が容易です。
業務提携先から仕入れたタバコを代わりに販売する許可なので、前述のタバコ小売業許可のように取扱高の条件がなく、必要な分だけを仕入れられるのも魅力です。
許可を得るためには、シーシャのタバコ葉の仕入れ先となる業者を見つけ、協力してもらう必要があります。
また、シーシャ屋は飲食店としての営業形態を持っているため、飲食店を開業するのに必要となる許可や資格もそろえなければいけません。
飲食店営業許可
飲食店を開業する際に必要となる許可です。保健所に対して申請を行います。
店舗で調理した食品を提供する場合は、以下の2つの要件をクリアする必要があります。
- 食品衛生責任者を店におくこと
- 保健所の検査に合格し、営業許可を得ていること
食品衛生責任者の資格は、「食品衛生責任者養成講習会」を受講することで取得が可能です。講習会に1日参加すれば取得できるため、そこまでハードルの高い資格ではありません。
一方で、保健所による検査については申請書類を保健所に提出した後、保健所の担当者によって厳しい現地検査が行われます。この時点で問題点を指摘されてしまうと、改善するまで営業が開始できなくなってしまうため、店舗の改装前に保健所に施設や設備の要件を確認しておくことが望ましいでしょう。
深夜酒類提供飲食店営業届
シーシャ屋を深夜0時以降も営業することを考えている場合、飲食店営業許可に加えて「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書」を営業の10日前までに警察署に届け出る必要があります。
要件として客室の床面積が9.5平方メートル以上であることや、客室に見通しを妨げる設備(部屋やパーティション)がないこと、営業所内の照度を20ルクス以下としないことなどが求められます。届け出る際には営業の方法や店のメニューの写し、営業所平面図などの店舗の状況を示す書類が必要です。
防火、防災サポート
開業するシーシャ屋が30人以上の席数を有する場合、防火管理者の選任が必要となります。
防火管理者の資格には甲種、乙種の2種類があります。乙種は延べ床面積300平方メートル未満の店舗にのみ使用できる資格です。資格取得の講習にかかる日数は甲種の2日に対して、乙種は1日で済みます。
また、店が開業する7日前までに「防火対象物使用開始届」を届け出る必要があります。届け出る際には、添付書類として防火対象物の配置図、付近見取図、各階平面図、電気配線図および消防用設備の配置図などが必要となります。できれば、内装を依頼する業者と相談し、図面を準備してもらうようにしましょう。
シーシャ屋の開業にかかる費用の種類は?
シーシャ屋の開業にかかる費用の種類は、いくつかありますが、経営する上で知っておきたい主な費用について解説します。
テナント契約費用
シーシャ屋を始めるにはまずテナント契約が必要となります。仮に賃料25万円のテナント契約を結ぶ際、初期費用は
- 仲介手数料(25万円程度)
- 敷金(50~200万円程度)※立地による
- 礼金(25万円程度)
となります。敷金は地域や立地によって大きく異なってきますが、おおまかに見積もっての4カ月分から1年分の賃料が必要になると考えておけば良いでしょう。
内装工事費用
内装工事費用はテナントの状況によって大幅に変化します。20坪ほどの居抜きの物件なら200万円以内で十分なケースもあり得ますが、もし全改装が必要な場合だと500万円以上の出費が必要となる可能性もあります。
キッチンや防火設備周辺は飲食店としての要件を満たさなければいけないため予算を削ることは難しいのですが、フロアの内装に関しては一部自分で手掛けることで安く済ませられる部分もあるでしょう。
運転資金
シーシャ屋が安定軌道に乗るまでは、当面赤字経営になることを覚悟しておく必要があります。
一般的な飲食店では3カ月分の営業資金を確保しておく必要があるといわれています。シーシャ屋においては、特にテナント賃料が最大の出費となるので、軌道に乗るまでの期間を耐えられる十分な資金を温存しておきましょう。
シーシャ屋の開業に失敗しないためのポイントは?
シーシャ屋を開業する場合、失敗しないポイントも事前にしっておきたいものです。ここでは2つのポイントについて解説します。
メニューの厳選
飲食店を始めると、多くの経営者はメニューを拡大し過ぎてしまう傾向があります。さまざまなフレーバーのシーシャやバラエティに富んだお酒をそろえて、お客様のニーズに応えたいと考えてしまいがちですが、あまりにもメニューを拡大し過ぎるとその分多くの在庫を抱え込んでしまうことになります。
健全な経営状態を保つためには在庫を極力抱えず、資金の流動性を高く保つことが重要です。
売上を欠かさずチェックして売れ筋を把握し、メニューを厳選することで不要な在庫を抱えないよう心がけると良いでしょう。
SNSなどの広告ツールの活用
宣伝は開業前から始めましょう。開業前からWebサイトやSNSのアカウントを作成し、反応が得られなくても諦めず頻繁に情報を発信しましょう。活発に活動している様子を演出することはとても重要です。シーシャの主なターゲットは若者なので、ターゲットになる年齢層に合わせてSNSやWeb、動画サイトといったネットメディアをうまく活用しましょう。
シーシャはタバコの新しい可能性を示す存在
タバコ税の増税とともにタバコの価格が年々上昇する中、喫煙率も低下の一途をたどっており、紙タバコ文化は縮小していく傾向が見られます。今後もタバコの価格が上昇を続けると、将来的には、タバコは「日常的にたしなむもの」としての役割を果たせなくなってしまうでしょう。
一方で、若者たちはシーシャと呼ばれるかつて日本ではあまり知られていない存在だった水タバコを通して、タバコを「日常的にたしなむもの」ではなく「特別な体験」として楽しんでいます。紙タバコを吸わない若者もシーシャの甘い風味や香りに魅力を感じ、シーシャバーを訪れています。
シーシャを扱う店舗も内装に独自性を持たせてシーシャを吸う体験の非日常感を演出しており、シーシャはタバコを「特別な体験」として楽しむものに昇華させたといえるでしょう。現在はまだシーシャは若者世代でのみ流行するブームのように見えますが、将来的には紙タバコと肩を並べる存在になる可能性を秘めています。
シーシャは近年ブームの兆しを見せていますが、まだ本格的なブームには到達していません。シーシャのブームが今後も緩やかに進展し、数十年後には日本人のスタンダードな嗜好品の一つになっている可能性も十分に秘めています。シーシャに対する愛情を持ち、シーシャの将来性を信じる人にとっては、今この時期だからこそ開業のチャンスであるといえるかもしれません。
よくある質問
シーシャ屋を開業するまでの流れ・手続きは?
テナントと契約して、内装工事を行い、協力してくれるタバコの仕入れ業者を見つけてタバコ出張販売許可を取り、飲食店営業許可を取って営業を開始します。詳しくはこちらをご覧ください。
シーシャ屋の開業に必要な資格・許可は?
タバコ出張販売許可または、タバコ小売販売業許可。場合によっては飲食店営業許可、防火管理者、深夜酒類提供飲食店許可。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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