- 更新日 : 2024年6月28日
合同会社や株式会社設立を司法書士に依頼する費用【比較】
合同会社や株式会社の設立については司法書士に依頼できます。定款作成や登記申請などの手続きを代行してもらうことで依頼主は時間を節約でき、不安を抱える必要もなくなるでしょう。ただし、費用が発生することを忘れてはいけません。いったい費用にいくらかかるのか、司法書士に任せられる作業内容と併せて当記事で解説をしていきます。
目次
司法書士とは?
司法書士とは、法律に関する実務家であって、特に「登記のプロ」と呼ばれる専門家のことです。
司法書士が依頼を受けて行うことのできる業務については司法書士法第3条や司法書士法施行規則第31条に規定されており、同規定は次のようにまとめることができます。
- 登記や供託手続きに関する代行や相談
- 法務局長に対する登記や供託の審査請求手続きの代行や相談
- 法務局に提出する書類の作成代行や相談
- 裁判所や検察庁に提出する書類の作成代行や相談
- 成年後見人や不在者財産管理人、破産管財人としての業務
- 簡易裁判所での訴額140万円以下の訴訟・調停・裁判外和解などの代行や相談(法務大臣の認定を受けた司法書士に限る)
これら登記手続きなどの代行は司法書士の独占業務とされており、この業務については、弁護士を除くさまざまな専門家やコンサルタントなどでも依頼を受けて対応することができません。
司法書士に合同会社・株式会社の手続きを委託できる?
司法書士は法律の知識を活かして人の権利・財産を守り、法律に関する問題解決をサポートします。主な仕事内容は次の通りです。
司法書士に委託できる分野 | |
---|---|
不動産の登記 | 土地や建物について、売買・贈与・相続などによる名義変更があった際の登記手続きを代わりに行う。住宅ローンを完済したときの登記手続きについても対応可能。 |
遺言書の作成支援 | 法律に従った適式な遺言書の作成をサポート。公正証書遺言の作成についても支援する。 |
相続財産の管理 | 相続財産を管理する人物がいないとき、相続財産管理人となって管理や処分を行う。また、遺言執行者となり遺言書の内容通りに譲与を行ったりする。 |
後見人などへの就任 | 認知症などで判断能力が衰えた人物に対し、後見人として法律行為や財産管理などの支援を行う。 |
債務整理の支援 | 借金の返済について債権者との交渉を行ったり、裁判所への提出書類を準備したりする。 |
日常の法律トラブルについての相談 | 未払い賃金、家賃の滞納、消費者被害のことなど、法的紛争についての相談に対応する。 ※法務大臣から認定を受けた認定司法書士のみ、争っている価額が140万円以下の事件に限り、訴訟対応や相談対応ができる。 |
会社・法人の登記 | 会社や法人の設立、役員の変更や資本金の増加などの場面で必要となる登記手続きを代わりに行う。 |
上表に掲げているように、「会社・法人の登記」は司法書士にとって主な仕事の1つです。この“会社”には、合同会社や株式会社ももちろん含まれています。
司法書士に合同会社・株式会社の手続きを委託するメリット
司法書士に合同会社や株式会社に関する各種手続きを依頼するメリットはいくつか列挙することができます。
- 手続きにかかる時間と労力を節約できる
(各種の届け出や登記申請には専門知識が必要となり、不慣れな方が行うと時間を浪費してしまいやすいが、司法書士に委託すれば事業に集中することができる。) - 安心感を持って手続きに臨むことができる
(焦りや不安でストレスを抱えることもあるが、司法書士に委託することで精神的な負担も軽減させられる。) - 手続きがスムーズに進められる
(司法書士が対応することで不備も起こりにくく、手続きがスムーズに進められ、次のステップに素早く移行できる。)
司法書士以外の専門家に依頼してもこうしたメリットを受けられますが、それぞれ対応できる範囲などに違いがあります。
税理士との違い
会社設立や運営に関する手続きで、司法書士と税理士はどちらも頼りになる存在ですが、得意分野が異なります。
司法書士は上述の通り設立登記や変更登記、そして契約書の作成や紛争解決に向けたサポートなどを得意としています。
一方の税理士は「税のプロ」であり、法人税や消費税などの計算や申告書の作成、申告の代行、節税対策への助言、日々の記帳代行などを得意としています。
会社設立時に関しては資金調達へのアドバイスや、税・税務の負担を考慮した資本金の額の設定や事業年度の設定などのアドバイスを行います。
お金まわりの知識にたけており、特に税に関する相談をしたいときは税理士を活用することになるでしょう。
行政書士との違い
行政書士も法律に関する専門家で、司法書士とは比較的性質が近いといえます。
ただ、行政書士は許認可取得や在留資格の取得などを得意とする専門家で、「行政に対して行う手続きの代行や書類作成のプロ」です。そのため飲食業や建設業など特定の事業を始めるときなどには行政書士を活用することになるでしょう。一方で登記申請の代行などはできません。
遺言書の作成や契約書の作成など共通する分野もありますが、司法書士の方がやや対応可能な範囲が広いのです。
社会保険労務士との違い
社会保険労務士も法律に関わる専門家ですが、こちらは「雇用関係に特化したプロ」です。
健康保険や厚生年金保険、雇用保険、労災保険など、従業員を雇ったときに必要となる各種手続きの代行をします。ほかにも就業規則の作成や労務相談、給与計算などの相談から代行までに対応可能です。
そのため従業員と雇用契約を交わす場合に社会保険労務士を活用することになるでしょう。
なお、社会保険労務士に設立登記や変更登記の代行はできません。
司法書士に会社設立を委託する際の費用相場
司法書士に会社設立を委託する場合、依頼する仕事の範囲や内容に応じた報酬が発生します。
料金体系は各司法書士事務所・司法書士法人によって異なるため事前によく確認しておく必要がありますが、基本的な依頼内容だと、おおむね「5万円~10万円」程度が費用の相場といえます。
ただし、司法書士への報酬とは別に発生する登録免許税など、実費の存在も忘れてはいけません。
合同会社の場合
合同会社の設立を司法書士に頼んだ場合、「5万円~9万円」程度の費用が発生することが多いです。
もちろん、それ以上の費用がかかるケースもあればより安く依頼を受けてくれるケースもあるでしょう。しかし重要なのは、その金額に何が含まれているのかをチェックすることです。
少なくとも設立登記の申請を代行する費用は含まれているはずです。定款の作成費用が含まれている例も多いですが、この点についても一応正式依頼の前にチェックしておきましょう。
その他にも、次の費用が基本料金に含まれているのか、オプションの場合いくらかかるのかを確認しておくべきです。
- 相談
- 商号の調査
- 定款の認証
- 印鑑カードの交付申請
- 登記事項証明書の取得
- 印鑑証明書の取得 など
相談料に関しては相談時間に対応して「5,000円~1万円/時」程度で設定、証明書などの取得については「1,000円/通」程度で設定されていることが多いのです。
なお、実費についてもご注意ください。司法書士への報酬とは別に負担しなくてはなりません。各種書類の取得費用もそうですが、これらは数百円程度ですので大きな問題とはなりません。比較的金額が大きいのは設立登記にかかる登録免許税です。
「資本金の額×0.7%」または「6万円」のいずれか大きい方が費用として発生します。
また定款を書面(紙)で作成したときは印紙税に「4万円」が発生しますが、電子定款としたときは印紙税がかかりません。
株式会社の場合
株式会社の場合、合同会社より設立手続きの負担が大きくなりやすいことから、司法書士への報酬も少し大きく「6万円~10万円」程度かかることが多いのです。
このときも、この金額でどれだけの仕事を頼めるのか、よくチェックしておくことが大切です。
なお、株式会社の場合は実費も合同会社より大きくなります。
登録免許税の計算方法は共通しており「資本金の額×0.7%」なのですが、最低額が「15万円」と定められています。
また株式会社だと定款の認証手続きも必要で、その際資本金の額に応じて「3万円~5万円」の手数料が発生します。
※電子定款なら印紙税が発生しない点は合同会社と同じ。
司法書士に会社設立を依頼した際の流れ
司法書士に会社設立に関する依頼を行った場合、基本的に手続きは次のような手順で進んでいきます。
- 会社設立についての相談と基本情報の決定
- 定款を作成してもらう
- 資本金を振り込む
- 設立登記を代行してもらう
ただし、対応してもらえる範囲・支援内容は依頼先によって差があること、合同会社と株式会社とで手続き内容に差があることはご留意ください。
設立についての相談と会社概要の決定
まずは会社設立に関して司法書士と話し合います。依頼主は、これからどんな会社を設立しようとしているのかを伝え、費用の見積もりも出してもらいます。
その際、定款への記載事項や登記事項となる会社の基本情報を伝えましょう。会社の商号や本店の所在地、事業内容などを伝えることで定款も作成できるようになります。
※株式会社であれば、発行可能株式総数も設立までに定める必要がある。
定款を作成してもらう
原則として定款は起業を行う方自身(合同会社なら“社員”、株式会社なら“発起人”)で作成を行います。しかしその作業を司法書士に依頼することも可能です。
法律に詳しい司法書士が対応することで不備も起こりにくくなることが期待されます。
合同会社だと認証手続きを行う必要がなく公証人にチェックしてもらう過程がありません。その分費用は抑えられますが適正性が担保されないため、法的に無効な定款となってしまうリスクがあるのです。しかしながら、司法書士が作成していればそのような心配も不要です。
また、電子定款の作成方法についてわからなくても司法書士に対応してもらえます。電子データであれば管理も簡単ですし、印紙税の納付も必要ありません。
資本金を振り込む
資本金となる出資金の振り込みも必要です。出資の履行は基本的に起業者自身で対応しますが、そのやり方や払込証明書の作成方法などについて司法書士から助言を受けられます。
例えば大事なポイントとして「代表者個人の口座に“入金”ではなく“振り込み”を行い、出資者の氏名・名称が通帳に記載されるようにすること」が挙げられます。
また、出資がなされたことの証明は設立登記の際にも重要になってきますので、払込証明書も作成しておかないといけません。その他必要書類の準備など、サポートしてもらえる範囲については事前にチェックしておきましょう。
設立登記を代行してもらう
定款の準備と出資の履行ができれば、設立登記の申請を行います。登記がなされることによって法人格を取得することができますので、非常に重要な手続きです。
このときの登記申請は司法書士にお任せできます。申請書などの作成、必要書類の収集など、わからないことがあっても司法書士がついていれば問題ありません。
また、登記完了後は資本金や役員のことなど会社に関する証明書として機能する「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」を取得しておきましょう。その対応についても司法書士にお願いできます。
「登記代行プラン」なら司法書士に依頼しながら費用も抑えられる
会社設立手続きについて支援が受けられるクラウドサービスの利用もぜひご検討ください。
「マネーフォワード クラウド会社設立」の「登記代行プラン」なら、簡単に手続きを進められますので時間を節約できますし、難しい作業については専門家に任せることができます。
費用も「40,000円」と比較的低コストです。
※登録免許税や定款認証にかかる費用は除く。
このプランには次のようなさまざまなサポートが含まれています。
- 定款の認証手続き
- 公証役場で認証された定款の受け取り
- 登記書類の作成
- 登記書類の製本
- 法務局での登記申請
詳細はこちらのページからご確認いただけます。
「クラウド会社設立」で自分で設立すれば、さらにお得に
上記の「登記代行プラン」を使わない場合ご自身で対応する作業は増えますが、「マネーフォワード クラウド会社設立」を使えば設立手続きもスムーズに進められるでしょう。
フォーム入力を進めていくことで簡単に書類を作成できますし、登記書類の準備もガイドに沿って進めていくだけです。特別な知識を持たない方でも3ステップで簡単に会社設立ができる上、サービス利用料金は「0円」です。
電子定款にも対応していますし、合同会社でも株式会社でも同サービスを使って設立可能です。
詳細はこちらのページからご確認いただけます。
会社設立で迷ったときは司法書士に頼ろう
司法書士なら定款の作成から設立登記の申請まで対応可能です。合同会社を設立したい方、株式会社を設立したい方まで広くサポート可能ですので、無理にご自身で対応しようとせず、わからないこと・不安に思うことがあるなら積極的に司法書士を活用しましょう。
自分で対応できそうなときでも「マネーフォワード クラウド会社設立」なら楽に設立手続きを進められますし、専門家を頼りたいときでも同サービスの「登記代行プラン」から司法書士とつながることができます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
エステサロンの定款の書き方!事業目的の記載例・テンプレート
エステサロンやネイルサロンの会社を設立するには、定款の作成が義務付けられています。定款とは会社を経営するためのルールをまとめたもので、商号や事業目的、本店所在地など法律に定められた事項の記載が必要です。 本記事ではエステサロンやネイルサロン…
詳しくみる消費税の免除を2年間受ける要件とは
起業して2年間は消費税が免除される場合があるのをご存じですか? 平成23年の税制改正で要件が少し厳しくなったものの、要件を満たす場合は消費税が免除されます。この特典を受けるための要件について解説します。 資本金1,000万円未満であること …
詳しくみるはじめての会社設立!節税できる創立費のポイント10選
「創立費」は節税対策に有効! 会社設立時に繰延資産として計上し、のちの節税対策として利用できる創立費。 しかし、創立にかかる費用と言っても、その内容は実に多種多様です。まず理解しておかなければならないのは、「会計上の創立費」と「税務上の創立…
詳しくみる合同会社設立登記申請書の書き方を簡単に解説!必要書類について
合同会社設立登記申請書は、合同会社を立ち上げるための登記申請で作成が必須となる書類です。商号や本店などの事項を記載するとともに、各種添付書類も一緒にして申請書を提出する必要があります。 この申請書はどのように書けばいいのか、また必要書類につ…
詳しくみる甲府市での会社設立に失敗しないために!お得に設立する方法
甲府市での会社設立をはじめ、日本で株式会社や合同会社を設立する際は、主に【①無料の会社設立サービスを利用して自分で進める、②専門家である税理士や司法書士に依頼する、または③法務局のサイトを参照しながら自分で手続きを行う】という3つの主な方法…
詳しくみる中小企業向けの定款の作成方法!種類や書き方、記載方法を紹介
中小企業向けの定款とは、中小企業の設立に際して会社の基本的なルールを定めた文書です。法人格を付与できたり、会社の統率がスムーズにできたりする点でも必要になります。株式会社と合同会社、一般社団法人によって、記載する項目が異なるため、考慮してお…
詳しくみる