• 更新日 : 2023年10月12日

焼き鳥屋の経営は儲かる?開業に必要な資金や失敗を防ぐコツを解説

焼き鳥屋の経営は儲かる?開業に必要な資金や失敗を防ぐコツを解説

香ばしい香りにジューシーな鶏肉の旨味。飲食店の開業を考えているなら、大人気の焼き鳥屋を選択するというのもひとつの手段です。

本記事では焼き鳥屋を経営するメリット・デメリットや開業に必要な費用、経営の方式から開業までの流れ、経営に成功するためのコツなど、開業を考えている方に役立つ情報をお届けします。

焼き鳥屋経営の現状は?

NTTタウンページのデータによると、2021年時点で全国に15,325軒の焼き鳥屋が存在しています。業界全体の売上は2,000億円規模となっていて、年々増加しているようです。

しかし、コロナ禍では焼き鳥屋も含めて飲食店の需要が大幅に低下しました。また、競争が厳しい業界でもあるため、競合との差別化を図りながらしっかりと顧客のニーズに応えていくことが大切です。

焼き鳥屋の経営は儲かる?年収の目安

居酒屋の経営者の平均年収は600万円前後といわれています。とはいえ、焼き鳥屋も含め経営者は売上や経費によって年収が大きく左右される点には注意が必要です。人気店であれば年収1,000万円超え、多店舗展開に成功したら2,000万円、3,000万円も実現できるかもしれません。一方で全くお客様が来なくて売上が立っていない、経費がかかりすぎているとなると、収入が0になってしまったり赤字になってしまったりするリスクもあります。

焼き鳥屋を経営するメリット

飲食店の中でも焼き鳥屋経営を選択するメリットはさまざまあります。以下のような利点も意識して、開業するかどうかを検討してみましょう。

幅広い層に人気がある

焼き鳥は若者から年配の方まで、性別問わず幅広い層に人気があります。鶏肉にタレや塩をつけて焼くという非常にシンプルな料理な故、万人に受け入れられやすいです。焼き鳥というとお酒のおつまみというイメージもあるかもしれませんが、スーパーやコンビニでも買えるため、子どもにも人気があります。

顧客層が非常に幅広いため、開業してもお客様を獲得しやすい、リピートされやすいというメリットが期待できます。

仕込みや調理の効率が良い

前述のとおり焼き鳥は非常にシンプルな料理なので、仕込みにも手間がかからないというのも利点です。例えばラーメン店であれば何時間もかけてスープを作り、その間にチャーシューや他の具材の仕込み、餃子や唐揚げなどサイドメニューの仕込みも行わなければなりません。

焼き鳥であれば材料となる食材を切って串を打つ、タレを作るなど、仕込みは限られます。これらにも技術が必要なので楽な仕事ではありませんが、他の飲食店と比較すると手間がかからないといえます。

他の業態より低コストで開業できる

ファミリー層を想定したレストランや宴会需要を想定した居酒屋は広い店舗が必要となります。一方、焼き鳥屋は一人から数人で利用するお客様が多いため、カウンターのみなど限られたスペースでも営業でき、賃料を抑えることが可能です。焼き台が中心となるため、大掛かりな設備もそれほど必要ありません。

また、テイクアウトに特化する場合、キッチンカーを使うことでさらに開業費用を抑えることもできます。

原価が安く高い利益率が見込める

開業費用だけでなく、仕入れの原価も抑えられて高い利益率が見込めるのも焼き鳥屋経営の魅力です。材料は鶏肉がメインであり、仕入れ品目が少なくて済みます。また、焼き鳥はお酒のおつまみなので材料の消費量が少なく、原価率が低いお酒の注文を大量に受けられるのも利益率を見込める要因です。

焼き鳥屋を経営するデメリット

以上のように焼き鳥屋を開業して経営するメリットはさまざまありますが、デメリットも少なからずあり、場合によってはオープンしてもお客様が全然来てくれず売上が立たないという事態に陥ってしまうリスクもあります。以下のような点も考慮した上で開業するかどうかを判断しましょう。

ライバル・競合店が多い

前述の通り焼き鳥は幅広い層から人気があるのに加え、手間やコストがかからないというメリットがあるため開業する人も多いです。特に需要が高い地域には大手も積極的に出店しています。お客様も多いですが、競合もひしめいているレッドオーシャンといえる市場です。

ライバルや競合店との差別化を図らないと、お客様が来てくれない、あるいはリピーターを取られてしまってすぐに廃業に追い込まれてしまう、ということにもなりかねません。差別化のポイントは後述します。

売上が立地により左右されやすい

焼き鳥屋も含め飲食店ビジネスは立地が重要です。いくら素材にこだわり、良い技術をもって調理し、美味しい料理を提供していたとしても、立地が悪いとお客様は来てくれません。とはいえ、需要が高いエリアでも近隣にライバル・競合店が存在する場合、やはりお客様が来てくれない可能性もあります。

さらに、焼き鳥は焼き鳥屋だけでなく、一般的な居酒屋や飲食店、さらにはスーパーやコンビニでも提供されているため、これらの店舗とも戦っていかなければなりません。

通いやすさや需要、競合の状況など、総合的に判断して出店地を決めることが大切です。

焼き鳥屋の経営スタイルは?

焼き鳥屋を開業する方法としては、「店舗を借りて経営する」「キッチンカーなどの移動販売を行う」「フランチャイズで経営する」という3通りがあります。それぞれメリットと注意点があるため、開業方法も検討することが大切です。3つの方法について詳しく見ていきましょう。

店舗を借りて経営する

まずは物件を借りて、お客様が飲食できる店舗を自分で設けるという方法が挙げられます。焼き鳥屋を開業する方法としてはもっともベーシックでしょう。

特に需要が高い地域に出店したら集客がしやすい、利益率が高いお酒を提供しやすい、場所がわかりやすい、営業時間内に行けば焼き鳥が食べられるためリピーターを増やしやすい、設備を充実させやすいといったメリットがあります。

一方で賃料がかかって運営コストが高くなる、出店場所選びを誤ると失敗するリスクが高くなる、利用者の幅が狭くなるという点がデメリットです。

キッチンカーなどの移動販売

車に食材や調理設備・器具を積んで、公園や商業施設などでお客様に商品を提供するキッチンカーを用いて開業するという方法もあります。特にコロナ禍以降はテイクアウト需要が伸び、キッチンカーで焼き鳥の移動販売をされる方も増えてきています。

出店地を選べるため場所選びで失敗するリスクが少ない、仕事中の会社員や主婦(主夫)層、ファミリーなど、幅広い顧客層にアプローチできるのがメリットです。

一方で集客が難しい、追加注文が受けにくくお酒も提供しづらいため利益率が低くなる傾向がある、お客様にとっては出店場所や出店時間が不明瞭なためリピートしづらいといったデメリットがあります。

フランチャイズで経営する

フランチャイズ契約を締結して店舗型あるいはキッチンカーで焼き鳥店を開業するという方法もあります。フランチャイザー(フランチャイズ本部)に加盟金とロイヤリティを支払う代わりに、本部のサポートを受けながら、フランチャイザーのブランドを使って店舗を運営します。

大手企業や有名企業のブランドが使えるので集客がしやすい、本部のサポートが受けられて経営ノウハウも使えるので自分で起業する場合と比べてスムーズに開業や経営がしやすいなどのメリットがあります。

一方で加盟金やロイヤリティの支払いにより開業資金やランニングコストが高くなる、本部の方針に従う必要があり経営の自由度が低くなるといった点がデメリットです。

焼き鳥屋の開業・経営にかかる費用

焼き鳥屋を開業するためには開業資金が必要です。また、経営を続けるためにはランニングコストもかかります。焼き鳥屋を開業・経営していくためには、ある程度の資金を用意しておくことが大切です。ここからは開業資金とランニングコストの目安と、それぞれの内訳を見ていきましょう。なお、今回はご自身で開業されるパターン(キッチンカーやフランチャイズを活用した開業ではない)を想定しています。

開店時の初期費用

まずは店舗で使う物件の取得費用がかかります。約30坪の物件を都内で借りるとすると、おおむね物件取得費用は400~800万円ほど必要です。物件を調達した後は内外装工事を行います。目安は30~150万円ほどで、工事の程度や面積に大きく左右されます。他にも設備費用と備品購入代がそれぞれ30~50万円、広告宣伝費が20~50万円ほどかかるとすると、開業時に600~1,000万円は必要になると考えておきましょう。

仕入経営のランニングコスト

焼き鳥屋の経営にはさまざまな経費がかかります。おおまかな内訳としては人件費が100万円、賃料が30~50万円、原材料費が100万円、水道光熱費が20~30万円、広告宣伝費が10~20万円、トータルで毎月300万円ほどかかると見込んでおいた方が無難です。なお、最初のうちは知名度が低くてなかなか売上が安定しない可能性もあります。数ヶ月分の運転資金を確保しておくと安心です。

焼き鳥屋の開業・経営に必要な準備

焼き鳥屋を開業するまでにはさまざまな準備を行わなければなりません。開業までの大まかな流れについて説明しますので、しっかりと把握して抜け・漏れがないよう進めましょう。

事業計画を立てる

どの業種でもいえますが、安定的に長く経営を続けるためには事業計画が必須です。特に融資を受ける場合は事業計画書の提出が求められます。「どのような事業を行うのか?」「どれくらいの開業資金が必要となるのか?」「売上や経費、利益はどれくらい見込まれるのか?」などをまとめましょう。

コンセプトとターゲットの設定

次にどのような焼き鳥屋を開業するのか、どう差別化するのかといった焼き鳥屋のコンセプトや、年代、性別、地域、職業など顧客のターゲット層を決めましょう。これらが決まることで、物件や内装工事、メニューや集客の方法など、さまざまな事柄も固まってきます。

店舗の取得

上記が定まったら店舗に利用する物件を探します。焼き鳥屋は他の飲食店ほどのスペースは必要ないにしても、やはり30坪ほどの広さは必要となります。物件の取得費や賃料も大切ですが、お客様が来店しやすい物件の立地や、落ち着いて焼き鳥を楽しめるような間取りも意識して選びましょう。

資金の調達

物件探しと同時に資金調達を行います。自分の貯金を使う、日本政策金融公庫や銀行で融資を受ける、親族から借りる、補助金・助成金を使うなど、さまざまな手段がありますが、自己資金を使って足りない分を融資で賄うという方法が一般的です。

資格の取得と関係各所への届出・許可

飲食店を開業するためには「食品衛生責任者」「防火管理責任者(収容人数30人以上の店舗を開業する場合)」という資格と「飲食店営業許可」の申請が必要です。食品衛生責任者は各都道府県の食品衛生協会が行う講習会を、防火管理責任者は消防庁などが行う講習会を受講して取得します。飲食店営業許可は保健所に、開業届は税務署に申請して取得します。

店舗の準備と仕入れ先の選定

事業計画やコンセプトに基づいて内装工事や設備、備品の調達、仕入先の準備などを行います。商品の質や経費を左右する仕入先の選定は非常に重要となってきますので、しっかりと検討しましょう。

ホームページ作成・集客活動

開店後にお客様に来ていただけるよう集客活動も行いましょう。ホームページの作成やSNSでの情報発信、ポータルサイトへの登録、チラシの配布、看板の製作など、宣伝にはさまざまな手段があります。

焼き鳥屋の経営で失敗しないために

先述した通り、焼き鳥屋は競合が多いため経営は簡単ではありません。お客様が来なくなってしまうと、廃業に追い込まれてしまうリスクも十分にあります。ここからは、焼き鳥屋の経営で失敗しないためのコツをお伝えします。

ライバル店との差別化を図る

数多くひしめく競合に勝つためには「差別化」が重要です。味や料金、通いやすさ、内装や店舗の雰囲気、経営者やスタッフの人柄や対応など、他店にはない特徴・強みを作り、それを集客媒体で打ち出しましょう。

素材の質やメニューにこだわる

お客様が飲食店を選ぶ決め手はやはり味です。特に焼き鳥はシンプルが故、素材の品質がダイレクトに味に反映されます。良質な素材を仕入れられる仕入先の確保や品質管理にこだわりましょう。また、焼き鳥と一口にいっても、ももや皮、ハツ、砂肝、ぼんじりなど、部位によって味わいはさまざまです。他にも野菜、牛や豚などさまざまな商品ラインナップを用意することで選択肢も広がり、選ばれやすくなります。

店舗の立地条件にこだわる

焼き鳥屋が繁盛するかどうかを大きく左右するのが立地です。お客様が通いやすい立地、ターゲットが多くいる場所を選定しましょう。やはりお酒を提供することを考えると、駅の近くなどが有利です。一方でこうした場所は競合も数多く出店しています。そのためにも通いやすさや競合の状況、交通量などをしっかり把握し、総合的に判断して選ぶことが大切です。

開業前から集客対策をする

物事は出だしが肝心です。集客はむしろ開業前が本番といえます。まずは焼き鳥屋がオープンすることを知ってもらいましょう。先述の通り、ホームページやSNS、チラシ、看板など、集客に有効なさまざまな宣伝方法があります。ネットを使った集客と紙媒体の集客を組み合わせることで、より多くの見込み客にアプローチが可能です。

日々技術を向上させる

焼き鳥はシンプルな料理なだけに非常に奥深いです。タレの調合具合、串の打ち方、火加減、焼き方によって香りや食感、味が大きく変わってきます。経営者としてのスキルアップはもちろん、料理人としても日々技術向上を目指しましょう。開業前に一旦既存の焼き鳥屋に就職して修行に行くのも効果的です。

美味しい焼き鳥を提供してお客様に選ばれる焼き鳥屋になろう

焼き鳥屋の経営は簡単ではありませんが、需要が高いため安定しやすく、人気店になれば大きな利益を得られるチャンスもあります。

お客様に美味しい焼き鳥を提供して喜んでもらえれば、きっと繁盛するはずです。そのためにもしっかりとリサーチや準備を進めた上で開業しましょう。


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