- 更新日 : 2023年11月30日
カフェを起業・開業するために必要な資金は?経営を成功させるポイントも解説!
カフェや喫茶店を起業したいと考えている方が、まず検討しなければならないのが「開業資金」についてです。何にいくらぐらいの資金がかかるのか知っておくことは非常に重要です。また、全くの未経験から経営を始める場合、どのような準備が必要なのかも把握しておかなければなりません。カフェ・喫茶店経営で成功するには何が大事なのか、考えていきましょう。
目次
カフェを起業・開業するには資金がいくら必要?
カフェを起業・開業するためにどのような資金がいくら必要なのか解説します。今回ご紹介するのは、店舗型カフェの資金についてです。
物件取得費用
賃貸物件でカフェを開業したいという方も多いでしょう。賃貸の場合、特に立地条件によって賃料が大きく変わるため注意が必要です。「駅の近く」「低層階にある」「近くにオフィスが多い」「人口が多い」といった特徴がある場所は賃料が高くなります。若干、不便な場所、オフィスや人が少ない場所などであれば、賃料を抑えることはできますが、集客に問題が生じる場合もあるため、慎重に考えるべきでしょう。
また、売上に対する家賃の比率も検討する必要があります。一般的には売上の10%以下程度に抑えるべきとされているため、どのくらい売上が出るか予想したうえで、物件を決める必要があるといえるでしょう。
物件を借りる際の保証金は家賃の3ヵ月から10ヵ月分程度とバラつきがあり、費用が大きく変わってきます。また、これとは別に仲介手数料や礼金も必要です。礼金は家賃の数ヵ月分を求められることもありますので、よく確認してください。
内装工事・設備・備品費用
ここでは、23区内で10坪のカフェ開業を想定します。
居抜き物件を賃貸し、設備などもそのまま使うという場合は別ですが、スケルトン物件を賃貸した場合、内装工事や設備の工事が必要です。
内装工事を全て業者に依頼した場合、坪単価で30万円~50万円程度を考えておきましょう。10坪の店舗であれば、300万円~500万円ということになります。
また、シンク・冷蔵庫・オーブン、エアコンなどの設備ですが、予算を抑えたい場合は中古機器の利用を検討しましょう。全て新品で揃えた場合、200万円~300万円程度が目安となります。
備品についても、何がいくつ必要かを確認してから準備します。例えば、テーブル・イス、食器(皿・グラスなど)、調理器具(鍋・フライパンなど)、POSレジなどです。
また、備品は目指す雰囲気で選ぶものが変わってきます。場合によっては非常に高額になることもあるかもしれません。まずは、お店のコンセプト・イメージをしっかり考えてから予算と相談して購入しましょう。一般的には50万円程度かかります。
広告宣伝費
近隣にカフェオープンを知らせるための看板・チラシ、ホームページなどを作成する場合には広告宣伝費が必要です。看板・チラシ作成の費用として20万円程度、ホームページは簡易なものなら5万円、洗練されたものだと50万円程度は見込んでおくべきでしょう。
運転資金
売上が安定するまでの「人件費」「仕入れにかかる費用」「当面の家賃」「水道光熱費」はある程度事前に準備しておいた方がいいでしょう。最低でも半年分はあった方が安心です。
カフェを経営するために必要な資格は?
開業のために動き出す前に、カフェの経営をするためには、次の2つの資格が必要です。
- 食品衛生責任者 <保健所>
- 防火管理者 <消防署>
食品衛生責任者
飲食店には1名以上の食品衛生責任者を置くことが義務付けられています。食品衛生責任者の資格は講習会の受講により得られます。講習の内容は次の通りです。
※東京都の例です。
- 食品衛生学
- 公衆衛生学
- 食品衛生法
6時間の講習(テスト含む)を受講すると修了証が交付されます。受講料は1万2,000円(税込)となっています。
調理師免許、栄養士、製菓衛生士の資格を持っている場合、食品衛生責任者講習を受ける必要はありません。
防火管理者
収容人数30人以上のカフェを経営する場合に取得必須の資格です。講習の受講により得られます。
※収容人数=店員数+客席数
講習内容は次の通りとなっています。
- 防火管理の意義および制度
- 火気管理、施設設備の維持管理
- 防火管理に係る訓練および教育
- 防火管理に係る消防計画
10時間(2日間)の受講で取得可能です。受講料は8,000円(税込)となっています。
その他の資格・申請
その他、必要に応じて取得・申請するものは以下の通りです。
- 開業届:事業者としてカフェ経営をする場合に提出します。提出先は税務署と都道府県、市町村です。
- 菓子製造業許可申請:カフェで菓子等のテイクアウトを行う場合に必要な申請です。申請先は保健所です。
テイクアウトの品目により細かく許認可が分かれており、また市町村の条例によって届出が違う場合がありますので、開業前に各管轄の保健所に確認してください。
カフェを起業・開業する方法は?
カフェを起業・経営する方法はいくつかあります。ここでは、代表的な以下の方法についてご紹介します。
- 個人でゼロから起業する
- フランチャイズとして開業する
個人でゼロから起業する
個人でゼロからカフェを起業する場合には、物件を決めるところから始まり、コンセプトや必要な設備・備品も自分で考えなければなりません。また、メニュー開発、スタッフの選定等の作業も生じます。
全くの未経験から始めるのは非常に困難だと思われます。他のカフェで働く、カフェスクールで知識を学ぶなどして、ノウハウを身に付けておくとよいでしょう。
また、料理や接客などのカフェ営業のスキルを得るだけでなく、起業者としての自覚も必要です。起業の方法、会社設立の方法についても確認しておきましょう。
起業や会社設立の方法については、こちらの記事もご覧ください。
フランチャイズとして開業する
自分で全て責任を持って経営したいけれど、コンセプトやメニューを考える自信がないという場合、フランチャイズとして開業する選択肢もあります。
加盟店のオーナーとして店舗を経営できるため、店長としての権限は大きいといえるでしょう。メニューや仕入れのルートなどはフランチャイズ本部が提供するものを利用できます。
ただし、フランチャイズとして開業・経営する場合には、本部に加盟金や使用料(ロイヤリティ)を支払う必要があります。
フランチャイズ開業の方法についてはこちらの記事もご覧ください。
未経験から起業するのにおすすめのカフェスタイルは?
いきなり物件を借りてカフェを開業する自信がない、費用の準備が難しいという未経験者におすすめのスタイルについて考えてみましょう。
自宅カフェ
自宅を改装してカフェ経営をするという方法があります。メリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
- 物件の賃貸費用がかからない
- 内装費用が抑えられる
- 家族を見守ることができる
【デメリット】
- 家族の理解が必要
- 立地が集客に向いていない場合がある
- 公私の境がはっきりしなくなる
売上にそこまでこだわらずにマイペースで続けたいという方に向いている方法といえます。
自宅開業の方法についてはこちらの記事も参考にしてください。
移動式カフェ
「キッチンカー」でカフェを経営する方法です。メリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
- 不動産費用がかからないため、初期コストが少なくて済む
- 人が多いところに自由に移動して営業できる
【デメリット】
- 悪天候の日、人が少ない場所では売上が期待できない
- 調理が複雑な商品の提供が難しい
移動式カフェには、自身でメニューを考えて開業する以外に、フランチャイズ開業という方法もあります。
週末限定カフェ
週末や週に1日~2日程度、限定的に営業するカフェの経営です。自宅や他の店舗を間借りして始めるのが一般的です。メリット・デメリットは以下の通りとなっています。
【メリット】
- 気軽に始められる
- 初期費用を抑えられる
- 繁忙日のみ効率的に営業できる
【デメリット】
- 本格的に売上を上げるのが難しい
- 集客が難しい
- 顧客の定着に時間がかかる
本格的なカフェ経営の前にスキルを身に付けたい方、副業としてカフェ経営を始めたい方に向いている方法といえます。
カフェ・喫茶店の経営を成功させるためのポイントは?
「1年以内に半分近くが廃業する」といわれるほど、カフェを含む飲食店の経営は難しいとされています。そのような状況にあってもカフェ・喫茶店経営を成功させるためのポイントを確認していきましょう。
欲張りすぎない
「メニューをたくさん用意したい」「テーブルやイスはこだわりのブランドで揃えたい」など、これから開業するカフェに多くの夢を抱いていることでしょう。ただ、メニューを多くすると、それだけスタッフの負担やロスが増え、材料費がかかることが予想されます。設備や備品についても、お金をかけすぎると初期費用が増えるというデメリットがあります。
まずは、メニューを絞る、設備や備品にお金をかけすぎないなど、欲張らずに始めるようにしましょう。
収支をしっかりと考える
カフェの経営にはお金がかかります。賃貸費用がどの程度になるかだけでなく、毎日の仕入れや人件費など変動していく費用についてもしっかり考えましょう。また、経営期間がある程度長くなってくると、設備の故障や備品の老朽化も考えられます。これらの買い替え費用、修理費用のことも頭に入れておく必要があります。
専門家や経験者にアドバイスをもらう
カフェ経営で悩みが生じたとき、相談できる人がいると心強いものです。すでに何年か経営をしている同業の方、もしくは、経営に関する専門家にいつでもアドバイスをもらえる環境を作っておくべきでしょう。
現在は、SNSやオンライン上でのスキルシェア・サービスも多くありますので、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
カフェ・喫茶店開業向けの事業計画書テンプレート(無料)
こちらから自由にお使いいただけるので、ぜひご活用ください。
・カフェ/喫茶店の事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例
資金計画を立てたうえでカフェを起業・開業しましょう
カフェを開業する際、最も重要になるのが資金に関することです。どこにいくらかかるのか、どの部分に力を入れたいのか、きちんと考えて資金計画を立てましょう。
また、カフェを開業した後も、仕入れ費用、スタッフの人件費といった費用がかかります。これらの運転資金に余裕を持つことはとても大事です。このことを念頭において余裕を持った計画を立ててください。
いきなり店舗でのカフェ経営を始めるのは自信がないという場合には「自宅カフェ」や「週末カフェ」「移動式カフェ」という選択肢もあります。小規模で始めて、徐々に経営を拡大することを考えてみましょう。
よくある質問
店舗型のカフェを経営する際、どのような資金が必要ですか?
「物件取得、賃料など店舗に係る費用」「内装工事・設備・備品費用」「広告宣伝費用」等が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
カフェ開業に必要な資格とは?
食品衛生責任者の資格が必要です。その他、収容人数が30人以上の場合には防火管理者の資格も必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
店舗型カフェ以外にどのような形態のカフェがある?
「自宅カフェ」「移動式カフェ」「週末限定カフェ」などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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