• 更新日 : 2022年6月3日

起業できる年齢は?成功するには何歳がベスト?年代ごとのメリットも解説

人生100年時代と言われますが、起業には年齢は関係ないのでしょうか?平均的な起業の歳や年代というのはあるのでしょうか?また、たとえば起業の際、20代と50代では成功率に違いはあるのでしょうか?

年齢的な開業メリットや制限がある場合、「遅い」と言われる前にできるだけ準備したいものです。この記事では、起業について年代別に考えてみます。

起業の成功率が高い年齢は何歳?

日本政策金融公庫が起業について行ったアンケート「2021年度起業と起業意識に関する調査」(18歳から69歳までの2,460人が対象)をもとに、起業の傾向について年齢を中心に見ていきましょう。

このアンケートでは、勤務などの合間にネットなどを使って小規模に起業する人を「パートタイム起業家」と位置づけています。まずは、起業家とパートタイム起業家について見ていきましょう。

起業家の年齢と性別

引用:「2021年度起業と起業意識に関する調査」|日本政策金融公庫総合研究所

このアンケート結果からは、起業家の割合は40歳代が27.8%と多いものの、その他の年代の割合はほぼ均等であるということがわかります。本業がメインであるパートタイム起業家においては、40歳未満が37%と際立っており、50代、60代ではそれぞれ約1割となっています。

また性別について、起業家は男性が約7割と女性の3倍弱ですが、パートタイム起業家の場合は、男性対女性の比率が約6対4となっており、起業家より女性比率が大きくなっています。家事や育児をメインとしつつもパートタイムで起業家である女性が多いことの表れでしょう。

起業の成功を定義するのは難しいですが、仮に起業によって一定の収入を得られることを成功とするのであれば、次のような結果があります。

事業の収入が世帯収入に占める割合

引用:「2021年度起業と起業意識に関する調査」|日本政策金融公庫総合研究所 

起業家の約1/3は、世帯収入のうち事業からの収入が100%という結果があります。

もっともこれらアンケート結果からは「成功率が高いかどうか」が直接分析できるものではありませんが、起業による収入の割合が年々高くなることにより、起業の成功は実感できるでしょう。

引用:「2021年度起業と起業意識に関する調査」|日本政策金融公庫総合研究所

起業・開業する人の平均年齢

では別の角度からもう少し詳細に起業家の年齢を見ていきましょう。

総務省が5年に1回実施する「就業構造基本調査」をもとにした「小規模企業白書(2017年版)」によりますと、近年の起業家の平均年齢の推移は次のようになっています。

男性起業家の平均年齢の推移

女性起業家の平均年齢の推移

引用:中小企業庁 2017年版小規模事業者白書 第1章 起業・創業より筆者作成

上のグラフから読み取れることは、約30年の流れの中で男性も女性も着実に起業家の平均年齢が年々高くなっているということです。

バブル崩壊期(1991~1993年ごろ)やリーマン・ショック(2007~2008年ごろ)にあっても、起業家の平均年齢は徐々に高くなっています。

男性では1979年は39.7歳であった起業家の平均年齢が、2012年には49.7歳にまで10歳も高まり、女性も37.1歳(1979年)から44.7歳(2012年)と7歳ほど高くなっています。

実は、この30年間では起業希望者数は減少しており、実際は2007年や2012年(東日本大震災の翌年)には激減しています。起業家数はやや減少しているものの、毎年20~30万人は誕生しているようです。つまり、起業家や起業希望者の平均年齢が上がっているのは、若年層における起業家や起業希望者が減ってきたということだったのです。

最近は2年超にわたるコロナ禍に加え、エネルギー及び原材料の高騰や部材調達難などの制約もあり、起業者にとって厳しい環境は続きます。特に、家族を持つ若年層の起業となると失敗を恐れるあまり、計画が先延ばしになることは仕方ないとも言えます。

しかし、中小企業庁などでは「起業家教育支援」などにより若年層へも積極的に働きかけ、起業希望者を増やそうとしています。

引用:中小企業庁:経営サポート「起業家教育支援」

起業できる年齢に制限はない

業種や適性を考慮する限りにおいて、起業には年齢制限などはありません。次のグラフを見てください。
男性起業家の年齢構成推移

女性起業家の年齢構成推移

引用:中小企業庁 2017年版小規模事業者白書 第1章 起業・創業より筆者作成

先ほどと同様、1979年から約30年の流れの中で男性も女性も年代的なバラつきがだんだん解消されているようです。

特に男性では39歳以下より60歳以上の起業者の方が増えてきていますし、女性は30年間で60歳以上の起業者が実に5倍の割合になっています。

この結果が示すように、「年齢」だけを起業における障壁と見ることはないと言えます。

起業する年代別のメリット・デメリットは?

起業において年代別のメリット・デメリットは、選択する業種や営業方法によって大きく異なります。たとえば個人事業主になるための「開業届」の提出にあたって年齢制限はありません。

しかしながら、法人設立に必要な印鑑証明は15歳以上でないと登録できず、法人の代表者となることは難しい上、金融機関からの融資も無理があると言えます。

これらの手続きや法的な部分を除けば、起業家になるには環境が整えばその時が起業タイミングと言ってもいいでしょう。

ここには一般的な傾向を記載しますが、あくまで「業種」や「営業形態」を主体としてメリットやデメリットを考えることをおすすめします。また、同じ10代でも小学生から大学生までと幅広いため、あくまでもケースバイケースと受け止めてください。

10代で起業した場合

メリット

  • 柔軟な考え方や今までになかった発想力がある

デメリット

  • 学業との両立が難しい
  • 法律関係においては援助者などを要する場合もある

20代で起業した場合

メリット

  • エネルギーに溢れており、斬新な考え方ができる

デメリット

  • 学業を終えたばかりではまだ社会的な信用力が育っていない
  • 自己資金集めに苦労する

30代で起業した場合

メリット

  • ある程度の社会経験があり、大胆な発想もでき、バランスがよい
  • 体力・気力が充実している

デメリット

  • 家族を支える立場になると、経済的なリスクを抱えることに躊躇する

40代で起業した場合

メリット

  • 社会経験に裏付けられた強い起業動機を持てる
  • 年齢と経験のバランスが取れており、体力的にも無理がきく年齢

デメリット

  • 親を含め家族の大黒柱となる時期で、あまり大きなリスクを抱えられない

50代で起業した場合

メリット

  • 20~30年にわたる社会経験で培ったものを起業における武器にできる
  • 起業するために早期退職制度などを利用すると、退職金が増えて金銭面で安定する

デメリット

  • 老後の資金を考慮する必要がある

60代以降で起業した場合

メリット

  • 培ってきた社会経験や人脈、知見などを使える

デメリット

  • 体力が衰えてきたり、新しい技術の習得が難しかったりすることがある

起業に適した年齢は事業内容や目的によっても異なる

ここでは、年齢というより、心身のコンディションと起業の関係や税金との関係について触れます。

若年層における起業の場合

Microsoftのビル・ゲイツ、Appleのスティーブ・ジョブズなど若くして起業し、大成功をおさめた人は枚挙にいとまがないほどです。

起業するには、まず体力が要ります。手続きや調査、書類の作成から営業と、特に事業立ち上げ時には確かに連日、体力が要求されるときはあり、若年層には有利です。

また、若いほど事業のみに集中できます。30代、40代で家庭を持っている場合には、プライベートとのバランスを考える必要が出てきますが、若く、かつ、仲間との起業であれば、事業に心血を注げます。

しかし、10代でベビーシッターはできても、家事代行はどうでしょうか?10代で楽曲は提供できても、セレモニーの司会はどうでしょうか?起業に若さをうまく取り入れ、成功する例はありますが、家事は熟練した主婦が得意などの一般的な考え方を超える発想がないと、若いことが裏目に出る場合もあり得るでしょう。

高齢層における起業の場合

2021年4月からは、高年齢者雇用安定法改正により、希望すれば70歳まで働くことができるよう企業に努力義務が加わりました。このことは、ある程度、業種にかかわらず70歳まで働ける環境が準備されていることの裏付けと言えます。

高齢者の場合には、仕事を続ける意義として、収入確保以外に社会とのつながりや生きがいなどを求める傾向もあります。今までの知見・経験を存分に活かしながら定年のない仕事に打ち込めるという充実ライフも夢ではありません。

しかしながら、あまり過去の成功体験にとらわれていると起業でうまくいかないこともあります。業界における傾向を冷静に判断し、かつ、退職金などを過度に事業につぎ込まないなどの線引きが必要です。

事業を拡大して会社を設立したい場合

個人事業主でスタートしたものの、事業を拡大して、法人化するタイミングについても年齢ではなく、その事業内容で判断すべきです。

法人成りをすると、会社の社会的信用力がアップし、金融機関からの融資も受けやすくなるなど利点も多いですが、判断基準としては年齢ではなく、事業が軌道に乗り、所得が増えてきた段階で考えましょう。

個人事業主に課される所得税は超過累進課税であり、最高税率は45%となっています。これに対し、法人税なら課税所得が年800万円以下の部分には15%、それを超えても23.4%となっています。

所得が800〜900万円になれば、法人税のほうが節税できて有利になりますが、所得は年々変わりますので、法人成りは事業の状況を見極め、計画的に実施しましょう。

すべての年齢に共通!起業を成功できる人の特徴は?

一番重要とも言える成功者の要件について考えてみましょう。年齢に関係なく、起業に成功できる人にはどのような特徴があるのでしょうか?

明確なビジネスプランを持ち、努力家である

事業において、知っておくべき、経験しておくべきことに対し、真摯に向き合えることです。
自分の間違いを認める素直さも必要です。

良き助言者や指導者がいる

折に触れて、的確な支援やアドバイスをしてくれる助言者、協力者や指導者がいるとメンタル面において非常に心強く、成功のカギとなります。

冷静な判断ができる

起業においては、複雑な判断を迫られるときが多々あります。そのとき、複雑な問題を理性で受け止め、解決できるまで単純化し、解決に向けて自らまっすぐ取り組めるかどうかということです。

物事をあいまいにしない

結論は明確にし、すぐ答えがでないことでも回答期限を決めるなど、事業推進にあたって、物事をあいまいなままにしないことです。

起業に年齢は関係ない!遅いと悩まず準備を進めましょう

起業はひと昔前に比べて身近なものになりました。安易に起業を考えるとその後の人生に大きな影響を与えかねないとネガティブになっていては一生、起業は難しいと言えます。

その人に相応しい業種があるように、その人に相応しい起業タイミングがあります。起業するのに年齢で引っ掛かっている人は、その引っ掛かりを取り去るべきです。準備ができたら進むのみです。遅いと悩まず準備を始めてみませんか?

なお、起業の具体的な方法についてについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

よくある質問

起業の成功率が高い年齢は何歳?

起業家の年齢層は、どの年代も均等です。起業の年齢層と成功率に顕著な相関関係はありません。 詳しくはこちらをご覧ください。

起業する年齢に制限はないですか?

年齢だけを起業における障壁とみることはありません。詳しくはこちらをご覧ください。

法人成りに適した年齢は?

事業を拡大して、法人化するタイミングについても年齢ではなく、その事業内容で判断すべきでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。


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