- 作成日 : 2024年9月20日
英会話教室で起業するには?必要な手続きや注意すべきポイントを解説
英会話教室の経営とは、英会話や英語の文法などを生徒に教える場を営むことです。幼児からビジネスや旅行などで英語を習得したい社会人まで、英会話教室は幅広い年齢層において需要が高まってきています。
この記事では英会話教室の主なビジネスモデルや起業の手順、注意点についてご紹介します。
目次
英会話教室で起業できる?
英会話教室の起業は、個人のスキルを活かせる点が魅力の一つです。特に英語力が高い方、英語の指導経験を持つ方にとっては、有望なビジネスモデルといえます。
2007年には大手英会話教室の閉鎖騒動やリーマンショックの影響で、全国の英会話教室は一時的に減少しました。しかし、2010年代後半から海外就労へのニーズ増加、小学校における英語の必修化(3・4年生)および教科化(5・6年生)、オンラインなど自宅から手軽に参加できる学習ツールの普及などが追い風となり、英会話教室や語学学校などの数は徐々に増加し、特に都市部での需要が高まっています 。
参考:経済産業省|回復?まだまだ低水準?外国語会話教室の動向
また、個人事業主として起業する場合、比較的少ない資本で始めることができ、柔軟な経営ができます。スモールビジネスで事業を始めたい人に適していると言えるでしょう。
一方、法人として英会話教室を起業する場合、事業としての社会的信用力が増し、より多くの生徒を集めやすくなるメリットがあります。
「経営に不安がある」「まずは経験を積みたい」という人は、大手英会話教室のフランチャイズとして事業をスタートするという方法も一つの手段と言えるでしょう。
英会話教室の主なビジネスモデル
英会話教室と一口にいってもターゲット層に応じてさまざまなビジネスモデルがあります。それぞれのモデルには独自のニーズと市場があり、ターゲットに合った戦略を立てることが重要です。
子ども向けの英会話教室
子ども向けの英会話教室は、早期教育の一環として非常に高い需要があり、幼児期から小学校までの子どもを対象に英語を楽しく学べる環境を提供します。
遊びやゲームを取り入れたレッスンを通じて、子どもたちが英語に対する興味を持つように工夫を凝らす必要があります。また、保護者向けの説明会やイベントを通じて、英語学習の重要性をアピールするといった集客活動も必要です。
社会人向けの英会話教室
社会人向けの英会話教室は、スキルアップやビジネス英語の習得を目指す人に焦点を当てています。ビジネスシーンで役立つ英語の表現や、プレゼンテーション、電話対応など、実践的な英会話スキルを身につけられることが期待されています。
フレキシブルなスケジュールやオンラインレッスンなどを取り入れ、忙しい社会人でも継続的に学習できるような環境作りを心がけましょう。
受験対策の教室(塾)
受験対策の英会話教室は、中高生を対象に受験で高得点を獲得する、志望校に合格することを目的とします。受験対策では文法、読解、リスニング、スピーチ(適宜)など、受験英語に特化した指導力が求められるでしょう。
また、個別指導や少人数制クラスを設け生徒一人ひとりの弱点を克服しやすい環境をつくったり、定期的な模試や進捗管理を行ったりすることで、効果的な学習計画を立てるといった学習支援も重要です。
英検やTOEICなどの資格取得向けの教室
英検やTOEIC、TOEFLなどの資格取得を目指す教室では、試験合格や高スコア獲得など目標達成に最適化した専門的なカリキュラムを提供します。試験の傾向分析や過去問対策に特化した指導を展開することで、生徒が短期間で効率よくスコアアップを狙えるでしょう。
また、資格取得後の活用方法や将来のキャリア支援に結びつけるサポートも提供することで、生徒の満足度を高めることができます。
英会話教室を開く際に必要な手続き
英会話教室を開く際に必要な手続きについて、個人事業主と法人に分けて、以下のとおりまとめました。
【個人事業主として開業する場合】
- 事業計画の策定:ターゲット層や運営方法、資金計画の策定
- 開業資金の調達:開業費用、当面の運営にかかる事業資金を金融機関などから調達
- 事業所の契約と整備:適切な物件の選定、賃貸契約、内装工事、設備導入(自宅で開業する場合は不要)
- 開業届の作成・提出:税務署に個人事業の開廃業など届出書などを提出
- 宣伝・集客活動:Webサイトや広告で生徒を集める
【法人として開業する場合】
以下の記事では開業準備についてさらに詳しくご紹介しています。
英会話教室を開く際に必要な資金
英会話教室を開業するためには、教室の規模や立地によって異なりますが、初期費用として少なくとも300万~500万円程度は必要となります。
費用の内訳を表にまとめました。
項目 | 金額の目安 | 内容 |
---|---|---|
物件取得費用 | 約0~200万円 | 賃貸物件の敷金・礼金、内装工事費用など ※自宅開業の場合は、物件に関する費用がかからないことがある |
設備投資 | 約100万円 | 机、椅子、ホワイトボード、教材の購入 |
宣伝・広告費 | 約20万~50万円 | Webサイト制作、オンライン広告、チラシ印刷費用 |
運転資金 | 約40万~150万円 | 開業後の運営費用、講師の給与、教材の補充費用など |
事業の立ち上げにかかる費用として、設備費用などに注目しがちですが、初期投資を回収するまでの運転資金も考慮する必要があります。
初期の生徒獲得はその後の経営にも少なからず影響するため、特に宣伝・広告費は重要です。予算を立て、戦略的に投資していくことが成功につながります。
英会話教室を経営する際の注意点
英会話教室を経営するには綿密な準備と運営が求められます。ここからは特に注意すべきポイントを見ていきましょう。
事業計画をしっかりと作成する
英会話教室の成功には詳細な事業計画が不可欠です。ターゲット層の設定や、競合分析、価格設定、収支計画などを具体的に計画しましょう。教室の運営スタイルやカリキュラムの内容も決めておくことが重要です。
通いやすい場所に開業する
立地は英会話教室の成否に大きく影響します。生徒が通いやすい場所を選ぶことが重要なので、駅からの距離や駐車場の有無なども考慮しましょう。競合教室の多いエリアを避け、潜在顧客が多い地域を選ぶことも大切です。
集客に力を入れる
生徒を安定的に集めるためには効果的な集客戦略が必要です。WebサイトのSEO対策やSNSを活用したプロモーション、口コミを促すキャンペーンなど、さまざまな手法を組み合わせて行うと効果的です。英会話教室のように地域性の高い事業はWeb広告だけでなく、看板やポスター、チラシ、地域誌の広告などのオフライン広告も有効です。
加えて、初回無料サービスや体験レッスンを提供するなど、アプローチする機会を増やすと潜在顧客が教室に通うハードルが下がるので生徒数の増加が期待できます。
英会話教室経営には立地選びと教室の形態を考えるのが大事!
英会話教室の経営は一般的に特別な営業許可が必要ないため、英語力や指導のスキルがあれば比較的スムーズに開業できます。ただし、英語学習をする目的はそれぞれ異なるので、集客を効果的に行うためにはターゲット層と教室の形態を明確にすることが大事です。
これから英会話教室の経営を検討されている人は、今回ご紹介したポイントや注意点を押さえながら着実に準備を進めていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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