- 更新日 : 2024年5月28日
人材派遣業の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説
少子高齢化の加速と企業の人材不足が深刻化する中、人材派遣の活用が有力視されています。成長が見込まれる人材派遣業への参入は明るい要素がある一方、競争の激化も避けられません。
起業には初期投資等で、融資のための事業計画書が必要になることもあります。この記事ではひな形を基に、人材派遣業の事業計画書の書き方を解説します。
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・人材派遣業向けの事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例のダウンロード方法
目次
人材派遣業の事業計画とは?
事業計画書とは、事業の目的や内容、戦略、収支見込みなどをまとめた書類であり、開業時だけでなく、新規事業の立ち上げ時や従来の事業転換時などにも作成します。この記事で解説するのは、主として開業時の融資を目的とした事業計画書です。試行錯誤を重ね、練りに練って融資審査の通過確率を高めましょう。
ここで取り上げる「人材派遣」は一般的な呼び方であり、法律上は「労働者派遣法」に基づいて運営されます。以下では人材派遣と労働者派遣を同じ意味で使用しています。
人材派遣事業では、雇用する労働者の中から派遣先のニーズに応じて、業務経験、スキル、就業条件等に適する人材を選んで派遣先へ派遣します。人材派遣事業においては、派遣スタッフから見ると雇用主は派遣会社ですが、業務上の上司である指揮命令者は就業先の会社となることが請負契約などと異なる点です。
派遣先では、派遣社員に命じる業務は原則として契約で定めたものに限定されます。したがって、事前に派遣元と派遣先で相談した上で派遣社員の合意が必要です。派遣社員から見ると業務内容が契約と異なるというトラブルも多いため、派遣元においては事前に派遣社員によく説明しておく必要があります。
人材派遣業における許可について
人材派遣事業をする場合には、厚生労働大臣の許可が必要となります。許可申請に先だって、派遣元責任者は「派遣元責任者講習」の受講が必要です。許可申請は「労働者派遣事業許可申請書」および「労働者派遣事業計画書」に必要書類を添付して、所轄の労働局に提出します。
許可申請には、「労働者派遣事業の許可申請にあたっての自己チェックの結果について」という書面も添付しますが、法令の遵守や規定の整備状況などの他、次の要件が問われます。
・基準資産額や自己名義の現預金の額
会社の規模に合わせて、一定以上の資産、一定額以上の現預金があること
・20㎡以上の事業所面積等
・派遣元責任者の要件
派遣元責任者講習の受講(3年に1回以上)や職務代行者の選任など
・キャリア形成支援制度の充実
派遣事業を実現のための派遣社員に対する人材像の明確化
派遣社員のキャリアアップを支援する教育訓練の実施など
・その他
欠格事由がないことや、派遣社員の社保加入、特定の会社のみの派遣ではないことなど
参考:労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル- |厚生労働省、「労働者派遣事業を適正に実施するために」
人材派遣業の事業計画書のひな形、テンプレート
人材派遣業を始めるにあたって、事業計画書の書式が提示される場合はその書式にしたがって作成します。しかし、一般的な書式が求められた場合には、項目の漏れを防ぐためにも事業計画書のテンプレート利用をおすすめします。
人材派遣業における事業計画書としては次の例が参考になるでしょう。ダウンロードして以下の書き方と一緒にご活用ください。無料登録後のページにある「会社設立ナビ」にて、40種類以上の事業計画書をダウンロードしていただきますので、ぜひお気軽にご利用ください。
人材派遣業の事業計画書の書き方・記入例
先述のとおり、人材派遣業を営むには労働者派遣事業許可が必要となります。事業計画書の事業実績やサービス等の項目には、許可取得に向けた具体的なスケジュール等を意識した記載を入れておくことも重要です。
創業の動機・目的
人材派遣業界は競争が激しいため、確かな専門知識やノウハウ、ネットワークなど他との差別化が図れる要素が必要です。起業に至ったバックグラウンドや培ってきたスキルなどを効果的にアピールしましょう。
職歴・事業実績
職歴については、勤務先や役職などとともに起業に至った経験などを積極的に記載します。人材業界における経験だけでなく、営業職、マネジメント職や資金調達などの経験があれば記載するのがよいでしょう。
取扱商品・サービス
サービスについては、労働者の派遣事業等と記載します。特に需要の多いとされるIT、医療・福祉、物流などで得意分野があればセールスポイントになります。人材派遣業においては、事業計画策定時点に次の二点が明確であることが求められます。
- 人材の募集方法や登録方法
- 派遣先の開拓方法
販売ターゲットとして、どのような人材をどんな形で集め、どのような地域で、どのような規模の会社に派遣するのか具体的に書くことができれば理想的です。戦略としては、どのような営業方法を採用し、他社とどの点で差別化を図るかを明確にしておきましょう。
取引先・取引関係
取引先で決まっている会社があれば、回収条件も付して記載します。
従業員
人材派遣業における雇用形態として、「常用型」と「登録型」があります。派遣元が常用雇用する場合を「常用型派遣」、あらかじめスタッフ登録し、派遣時に期間を定めて雇用する場合を「登録型派遣」と言います。常用型の場合は従業員を記載します。
人材派遣事業は人件費の割合が大きいのが特徴であるため、資金繰りへの影響が大きいと言えます。取引先の回収条件と関連させて人件費の締め日や支払日のサイクルを確認することも重要です。
借入の状況
借入金については、個人事業主または法人の代表者のプライベートでの借入金も対象となるため漏れなく記載しましょう。
必要な資金と調達方法
先述のとおり、人材派遣業は許可申請にあたって一定以上の資産額や自己名義の現預金の額が求められるため、開業時にある程度の自己資金は必要です。まずは、許可申請の要件をクリアできる段階まで到達しているかどうかを確かめましょう。
事業の見通し
まず、事業開始後の月平均の売上高や必要経費について、損益計算書の形で表します。人材派遣業界は景気の影響を受けやすいことや、離職率のリスクがあることなどを織り込んで数字を計上するようにしましょう。
次に、1年後または軌道に乗ったあとの月平均の損益も記載します。人材派遣業の派遣料金は職種によって異なり、派遣料金に含まれる派遣者一人あたりの利益は高くありません。どのような職種で何名の派遣を行うかをシミュレーションして、計算根拠を明らかにした上で記載しましょう。
人材派遣業の事業計画書作成のポイント
事業計画書作成の「必要な資金」欄は「設備資金」と「運転資金」に分けて考え、必要となる融資額を導きます。
設備資金を考える際には、20㎡以上となる要件を満たすことや、最低限必要となる事務所設備が使えることが求められますが、帰社することも多い派遣スタッフの利便性も考えると立地場所も考える必要があります。
また、通常月単位で派遣料金の回収をするため、運転資金は給与や社会保険料分と事務所経費の最低1カ月分以上は必要です。
さらにこれらの数字を裏付けるものは、「取扱商品・サービス」「取引先・取引関係」における具体的な項目です。そして、「取扱商品・サービス」「取引先・取引関係」は「創業の動機・目的」に基づいています。
このように、事業計画書の項目一つ一つが別の項目を支え合うようになっています。ある項目だけに注目するのではなく、全体的な関連性や整合性を考えましょう。
人材派遣業は企業と労働者を結ぶインフラ
人材派遣業は、新たな雇用を創出し、人材の流れを促すことによって経済の活性化に貢献できる事業であり、企業と労働者を結ぶインフラとも言えます。短期間・短時間の働き方も可能とする柔軟性や、高い法令遵守意識に培われた信頼性を基に今後においても成長が期待できる業界の一つです。
着実に基礎を築いた派遣元には、スタッフも取引先も安心して任せられます。事業の成功を導くための宝の地図とも言える事業計画書を少しでも現実に近づけましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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