- 更新日 : 2024年4月25日
小売業の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説
小売業を始めるときの資金調達で必要となる「事業計画書」はどうやって作成するのか、当記事ではこの書き方についてテンプレートを基に解説しています。
店舗の内装工事や商品仕入れなどで資金が必要になりますが、外部から資金を得るには事業計画書を使って信用を獲得しなくてはなりません。ここでそのためのポイントを押さえておきましょう。
※事業計画書のテンプレートをお探しで当記事を訪れられた方は、こちらをご活用ください▼
目次
小売業を開業するための事業計画書とは?
事業計画書を作成しなくても小売業を開業することは可能ですが、計画を立てずに始めて事業を安定させるのは簡単なことではありません。また、資金調達をするためためにも事業計画書は必要な存在です。
事業計画書が重要な理由
取り扱う商品は同じ小売業でもさまざまですが、仕入れをするための運転資金を確保しておく必要がありますし、実店舗で販売するケースでは内装工事などの設備資金も用意しておかないといけません。
また競合も少なくありませんので他店との差別化も図る必要があります。そのための工事や、家具・備品類を取り揃えるための資金が必要になることもあるでしょう。
こうした開業のための資金は融資を受けるなどして調達するのが一般的であり、そのときの審査において事業計画書がチェックされます。融資を受けようとする事業者がどのような事業を展開し、どのような戦略を持っているのか、利益についてどのような見通しが立てられているのか、こうした情報を相手方に知ってもらうために事業計画書は重要な存在なのです。
事業計画書はいつから作成するべきか?
事業計画書の作成は法的に求められているものではありませんが、資金調達をする際に必要となるケースがほとんどです。事業の立ち上げ準備を進めつつ、どこから資金を調達するのかが具体的に定まれば本格的な作成に着手できます。
早めに計画の策定を進めることで「具体的に何をしないといけないのか」「今後どのように活動していくべきか」がはっきりさせられますので、起業者自身のツールとしても役に立ちます。
小売業開業の事業計画書のひな形、テンプレート
マネーフォワード クラウド会社設立では、小売業向け事業計画書のひな形、テンプレートをご用意しております。
無料登録後のページにある「会社設立ナビ」にて、小売店向け事業計画書を含む、40種類以上の事業計画書をダウンロードしていただきますので、ぜひお気軽にご利用ください。
小売業の開業に伴い資金調達を検討している方は、事業計画書の作成にあたってこちらのテンプレートを参考にしていただければと思います。
ゼロから事業計画書の構成を考えるよりひな形などを使った方が効率的ですし、記載欄の整理されたフォーマットを使用しておけば見る側もチェックがしやすくなります。
小売業開業の事業計画書の書き方・記入例
事業計画書で最低限盛り込んでおきたい項目がこちらです。
- 創業の動機・目的
- 職歴・事業実績
- 取り扱い商品・サービス
- 取引先・取引関係
- 従業員
- 借入の状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し
以下では、小売業のうち「小物雑貨」を例に取り上げて、テンプレートを基に各項目の書き方を解説していきます。
創業の動機・目的
多くの場合、事業計画書には「創業の動機や目的」について記載する欄が設けられます。なぜ当該事業を始めようと思ったのか、どういった背景があって創業を決意するに至ったのかをここで整理していきます。
ただ、動機について詳しく記載しても審査への影響度合いは大きくありません。そこで熱意を伝えることも大切ですが、経営者としての適性や素養を感じさせるような背景をここで伝えられるとよいのです。経営者、あるいは管理者としての経験、管理業務に関わった過去の実績なども絡めて創業動機を記入していきましょう。
職歴・事業実績
過去の職歴や事業実績に関して、簡潔に記載していきましょう。
「〇年〇月:株式会社〇〇に就職」などと記入するだけでなく、「店長として就任」「〇〇を達成」などと、立ち上げ予定の事業に関連する実力・スキルをアピールします。逆に関連性の薄い取得資格などまですべて記載していく必要はありません。
取り扱い商品・サービス
どんな商品・サービスを取り扱うのか、この点は他店との差別化も意識しながら慎重に内容を考えていきましょう。
特に小売業の場合、よほどニッチな商品に絞らなければ大手小売店とも競争していかないといけません。同程度の商品、同程度の価格であればほとんどの顧客は大手から購入しようとしますので「付加価値の高さ」「希少性の高さ」など、自社なりのアピールポイントがなければ長く生き残ることは難しいでしょう。
そこで、ウリにするコンセプトや集客の方法、市場調査に基づく分析結果などを具体的に記載して、その業界で勝ち残るための戦略をアピールします。
取引先・取引関係
販売先として想定されている相手方、仕入れ先や外注先などの取引関係も明記しておきます。
小売業でも一般個人向けの商品を取り扱うケースもあれば、法人向けの商品を取り扱うケースもあるでしょう。個人・法人問わず販売先となることも考えられます。
また、小売業なら仕入れも行うことになるでしょう。仕入れ先が確保できていないと事業が始められるかどうかも怪しくなってしまいますので、できるだけ固有名詞を使って取引先を特定し、支払い条件も記載しておきます。
従業員
従業員の数と種別についても記載します。株式会社などの法人を立ち上げる場合は役員の人数、従業員に家族従業員やパート従業員もいるときはその内訳についても記載します。
従業員数が多いほど多くの顧客をさばきやすくなりますが、その分人件費の負担が重くなってしまうことには留意しなくてはなりません。店舗の規模が大きくない場合は起業者1人+αと少人数から始めることも検討してみましょう。
借入の状況
現在すでに借り入れを行っている場合は、その情報も正確に記載しなくてはなりません。融資を受けようとするなら、借入残高の有無・大きさが審査に大きく影響します。
そこで、借入先はどこか、借入の種別(住宅ローンやカーローン、カードローンなど)、それぞれの借入残高と年間返済額などを整理しておきます。
必要な資金と調達方法
資金調達を目的とした事業計画書なら「必要な資金と調達方法」の記載はとても重要な情報です。小売業においては運転資金のうち「商品仕入れ」に相応の資金が必要になると思われますし、従業員がいるときは3か月分程度の人件費も確保しておく必要があるでしょう。
実店舗を運営するのであれば、店舗の内装工事費用、家具や備品を揃えるための設備資金も発生します。あいまいな想定で金額を設定することなく、しっかりと見積もりを行ったうえで具体的な金額を記載しましょう。
また、必要資金全体の中に占める自己資金割合も重要です。「調達の方法」として、いくらの自己資金が用意できているのか、いくら借り入れでカバーする必要があるのかを明記しておきます。
事業の見通し
融資においては相手方から「着実に返済をしてくれるだろう」との信用を得なくてはなりません。事業者に誠実さがあるだけでは不十分で、安定的に利益が出ることを説得的に示せないといけません。
そこで創業当初の売上高はいくらになりそうか、経費の大きさや利益の大きさはいくらになりそうかを数字で明らかにします。さらに1年後または事業が軌道に乗ると売上高や利益はどうなる見込みなのか、についても根拠とともに記載していきます。
小売業を成功に導く事業計画書の作成ポイント
事業計画書を作成するときは、「必要な資金」や「売上高・利益の見通し」に関して根拠ある数字で示すようにしましょう。
必要な資金に関しては、上述の通り金額の見積もりを出してもらうことが重要ですし、本来必要な資金が考慮できていないといった問題が起こらないよう注意が必要です。
事業の見通しに関しては、想定される売上高を単価や客数などから計算することが大事です。取り扱う商品の価格帯、1日あたりの客数、営業日数などから具体的な値を導き出しましょう。計算方法に決まりはありませんが、「確かにそのような売上高になりそうだ」と思わせる必要があります。平日・休日によっても差が出ると思われますし、さまざまな要因を考慮した計算ができるほど説得力は高められます。
その他知っておきたいポイントがいくつかありますので、こちらのページもぜひ参考にしてください。
小売業の資金調達方法
小売業を始める場合、日本政策金融公庫からの融資や民間の銀行からの融資などが主な調達先として挙げられます。他には、「事業計画書を活用して金銭を得る」という意味では共通しているものの、開業時に元手として調達するものではないのですが、ITツールを適切に導入・運用することで「IT導入補助金」が受けられるケースもありますし、従業員を雇用するときは雇用管理改善や従業員への教育訓練によって「人材確保等支援助成金」や「人材開発支援助成金」などが受けられることもあります。
資金調達方法を複数知っておくとつぶしが利きますし、資金調達がうまくいかない場合におけるリスクを低減させられますので、事前によく調査しておくとよいのです。
商品に合った戦略や見通しを考えよう
同じ小売業でも、事業計画書の内容は取り扱う商品によって大きく異なります。単価が大きいケースもあればそうでないケースもありますし、商品によって付加価値に対する考え方も異なります。
そこで商品が違えば戦略の立て方も変わり、事業の見通しの立て方も変わってくるはずです。新規顧客の獲得やリピーターを確保する工夫、売上高の計算などはよく考えて事業計画書にまとめる必要がありますし、この点でしっかりと作り込めていれば好印象を持ってもらうこともできるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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