- 作成日 : 2024年9月26日
ドローンを飛ばすには飛行許可が必要?国土交通省などへの申請方法も解説
ドローン許認可が必要かどうかを把握しておくことは、安全にドローンを飛ばすために欠かせません。飛行場所や方法に応じて、航空法やその他の法律に基づく飛行許可が求められる場合もあります。
本記事では、国土交通省などへの申請方法も含め、ドローン飛行に必要な許認可の具体的な手続きや注意点を詳しく解説します。適切な準備を行い、安全にドローンを活用しましょう。
目次
ドローンを飛ばすには許認可が必要?
ドローンを飛ばす際には、場所と方法に応じて許認可が必要となる場合があります。例えば、航空法に基づき150メートル以上の高さや空港周辺、人口集中地区(DID地区)の上空で飛行する際には事前に許可を取得する必要があります。
また、小型無人機等飛行禁止法では、国の重要施設や皇居、原子力施設周辺の飛行も許可が必要です。さらに、公道・私有地・公園などでの離発着や、夜間飛行・目視外飛行など特定の飛行方法に対しても法律に基づく許可が求められることもあります。
ドローンを安全に飛行させるためには、これらの許認可要件を事前に確認し、必要な手続きを適切に行うことが大切です。
航空法による飛行許可が必要なケース
ドローンを飛行させる際には、航空法をはじめとするさまざまな法律の規制を受けます。ここでは、航空法による飛行許可が必要となるケースについて、許可が必要な場所や飛行方法、申請方法などを詳しく解説します。
飛行許可が必要な場所
航空法に基づき、ドローン飛行には特定の場所で許可が必要です。地上から150メートル以上の高さの上空では、航空機との接触リスクを避けるため許可が求められます。また、空港周辺の空域では航空機の安全確保のため、原則飛行が禁止されています。
人口集中地区(DID地区)上空も許可対象です。これらの空域で無許可飛行を行うと法律違反となるため注意が必要です。なお、災害時に設定される「緊急用務空域」では、一般個人への許可は出ません。
飛行許可が必要な飛行方法
航空法では、特定の飛行方法に対して許可が求められます。夜間飛行は視認性低下のため、目視外飛行は操縦者がドローンを直接確認できないため、それぞれ許可が必要です。
また、第三者やその建物・車両から30メートル未満での飛行、多数の人が集まる場所の上空飛行にも許可が求められます。さらに、危険物の輸送や物の投下を行う際も同様です。
これらの規制は安全確保が目的です。許可なく飛行すると法律違反となるため、事前に確認し適切な手続きを行いましょう。
飛行許可の申請方法
航空法に基づくドローンの飛行許可申請は、飛行開始予定日の10開庁日前までに行う必要があります。申請方法には、オンライン・郵送・持参の3つがあり、オンラインでは、国土交通省の「ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)」でオンライン申請ができます。
紙の申請書類は国土交通省ホームページからダウンロード可能です。郵送の際は簡易書留が望ましく、返信用封筒の同封も推奨されます。
公共性が高く、人道的な支援が求められる緊急の飛行許可申請については、飛行予定日の10開庁日前であっても、電子メールやFAXでの申請が可能です。ただし、電子メールやFAXでの申請が承認された場合でも、後から正式に書類を提出する必要があります。
申請は、「個別申請」と「包括申請」の2つの方法です。趣味でドローンを飛行させる場合は、飛行ごとに申請を行う「個別申請」を利用します。一方、事業でドローンを活用する場合は、「包括申請」が便利です。これは、一定期間内の反復的な飛行をまとめて申請できる制度です。
申請方法 | 特徴 | 適用ケース |
---|---|---|
包括申請 | 複数回の飛行をまとめて許可を取得する方法 | 定期的な業務で、同じ条件下での飛行が繰り返される場合に適している |
個別申請 | 特定の日時や場所での飛行ごとに許可を取得する方法 | 新しい場所や異なる条件下で飛行を行う場合に必要 |
小型無人機等飛行禁止法による飛行許可が必要なケース
航空法に加えて、ドローンの飛行を規制する法律として「小型無人機等飛行禁止法」があります。ここでは、小型無人機等飛行禁止法に基づき、飛行許可が必要となるケースについて詳しく解説します。
飛行許可が必要な場所
小型無人機等飛行禁止法は、国の重要施設とその周囲約300メートルの上空でのドローン飛行を規制しています。対象施設は、国会議事堂・首相官邸・最高裁判所・皇居などです。
また、防衛関連施設・空港・原子力事業所も規制対象となっています。さらに、大会会場や特定公共施設周辺も飛行禁止エリアに指定されています。安全確保のため、法令を遵守しましょう。
飛行許可の申請方法
小型無人機等飛行禁止法に基づく飛行許可を得るには、事前に都道府県公安委員会(警察)や管区海上保安本部長などに通報する必要があります。
また、対象防衛関係施設や対象空港周辺地域上空での飛行については、施設の管理者にも通報が必要です。これらの通報を怠ると、1年以下の懲役または50万円を科される可能性があるため注意しましょう。
民法による飛行許可が必要なケース
ドローンの飛行に関する法律は、航空法や小型無人機等飛行禁止法だけではありません。実は、民法もドローン飛行と深く関係しています。ここでは、民法に基づき飛行許可が必要となるケースや、トラブルを避けるための注意点について解説します。
飛行許可が必要な場所
民法に基づく飛行許可については、私有地でのドローン飛行には土地所有者または管理者の許可が必要です。これには、個人の住宅地、商業施設、農地などが含まれます。許可を得ずに飛行させると、土地所有者の権利を侵害する恐れもあるため注意が必要です。
許可取得の際は、所有者と詳細な飛行計画について相談し、必要に応じて書面での同意を得ることが望まれます。
飛行許可の申請方法
民法による飛行許可の申請方法は、まず土地所有者や管理者を特定することから始まります。個人所有の土地であれば、直接連絡して許可を求めます。法人や団体が管理する場合は、所定の申請手続きが必要となることがあるため、問い合わせの上、必要書類を提出するようにしましょう。
許可を求めるべき土地所有者や管理者の範囲については、ケースバイケースで判断されます。ただし、リスクを回避するためには、可能な限り許可を取得するようにしましょう。
道路交通法による飛行許可が必要なケース
ドローンは、飛行場所や状況によっては、道路交通法の規制を受ける場合があります。以下では、道路交通法で定められたドローンの飛行規制と、許可が必要となるケースについて見ていきます。
飛行許可が必要な場所
道路交通法は、道路上でのドローン離着陸に許可を求めています。これは他の交通の安全と円滑な流れを確保するためです。許可取得には管轄警察署長への許可申請が必要です。無許可で道路上にてドローンを使用すると、法律違反のリスクが生じます。
例えば、道路上での工事・作業・露店出店・祭礼行事・ロケーション撮影などと同様に扱われます。
飛行許可の申請方法
道路交通法に基づく飛行許可の申請は、管轄の警察署の交通課窓口で行います。申請方法は、道路使用許可申請書と必要な添付資料を2部ずつ用意し、窓口に持参して提出する形です。オンラインでの申請も「警察行政手続サイト」を利用できます。
ただし、道路使用許可は「1行為1申請」のため、ドローンの飛行ごとに申請が必要であり、申請先は飛行予定場所を管轄する警察署の交通課です。
都道府県・市区町村条例による飛行許可が必要なケース
都道府県や市区町村の条例により、特定の地域でドローンの飛行許可が求められるケースもあります。これらの条例は、地域ごとの特性や安全上の配慮から、ドローンの飛行を制限することが目的です。ここでは、どのような場所で飛行許可が必要なのか、またその申請方法について詳しく解説します。
飛行許可が必要な場所
各自治体がドローン飛行を規制する独自の条例を定めていることがあります。例えば、東京都では都立公園内での飛行が全面禁止です。大阪府の淀川でも、管理上の理由から飛行が禁じられています。
河川や海岸などの公共物でも、特定条例により制限される可能性があります。そのため、飛行予定地の条例を事前に確認し、必要な許可を取得することが重要です。
国土交通省の「無人航空機の飛行を制限する条例等」で各自治体の規制を確認できます。安全で適法な飛行のため、確認するようにしましょう。
飛行許可の申請方法
地方自治体の条例によるドローン飛行規制に対応するには、まず管理者との直接コンタクトが重要です。メールや電話を通じて、具体的な申請方法を確認しましょう。
各自治体によって手続きが異なるため、一律の方法は存在しません。そのため、飛行予定地の管轄部署に直接問い合わせる方法が確実です。申請に必要な書類や期限、審査基準などの情報を確認するようにしましょう。
ドローンの飛行許可が不要となるケース
ドローン飛行には許可が必要な場合も多いですが、例外もあります。屋内での飛行は航空法の適用外となるため、許可は不要です。トンネルや地下道など、内部と外部が明確に区別された空間も許可は必要ありません。
また、緊急の人命救助活動では、その公共性から許可が不要です。ただし、国や地方公共団体が行う場合、またはそこからの依頼に限られます。
さらに、100グラム未満のドローンは航空法上の無人航空機に該当しないため、許可は不要です。ただし、他の法律や条例による規制には注意しましょう。
ドローンの飛行許可以外に必要な許可
ドローンを飛行させるためには、航空法等の関係法令に基づく飛行許可が必要となる場合もあります。ここでは、飛行許可以外に必要となる可能性のある許可や資格について確認しておきましょう。
ドローンの操縦に必要な許可
ドローンを操縦する際には、飛行許可以外にも操縦者の技能証明が必要となる場合があります。特に、特定の飛行条件や場所での操縦では、国土交通省が定める「無人航空機操縦者技能証明」が必須です。この技能証明は、国が認定した試験機関での試験に合格することで取得できます。飛行前には、必要な許可や証明を確認し、適切な準備を整えることが重要です。
ドローンの撮影に必要な許可
ドローンでの撮影には、飛行許可以外にもさまざまな許可が必要な場合もあります。例えば、個人のプライバシーに関わる映像を撮影する際は、対象者の承諾を事前に得なければなりません。
また、商業施設内や公共の場所での大規模な撮影には、施設管理者や自治体からの撮影許可が求められることも多いです。さらに、商用利用目的で撮影した映像を使用する際は、著作権や商標権の許可も確認が必要です。
安全なドローン運用のために許可を確認しよう
ドローンを飛ばす際には、飛行場所や方法によって国土交通省やその他の機関からの許可が必要な場合もあります。各種法律に基づく許認可や申請方法について詳しく理解し、安全に運用できるよう準備を整えましょう。特に飛行許可が必要なケースを確認し、必要な手続きを忘れずに行うことが重要です。安全なドローン運用を心がけて、安心して楽しめる環境を作りましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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