- 作成日 : 2025年1月28日
PayPay銀行の個人事業主口座とは?メリット・デメリット、使い分けを解説
PayPay銀行では、個人事業主口座を開設できます。個人事業主口座とは屋号付きのビジネス口座のことで、安価な振り込み手数料や審査不要のVisaカードなどメリットが満載です。
ただ、個人事業主口座は屋号なし、屋号のみで開設できないので注意してください。必ず名義は「屋号+本名」となります。
この記事では、そんなPayPay銀行の個人事業主口座のメリット・デメリットや開設に必要な書類などを解説していきます。
目次
PayPay銀行の個人事業主口座とは?
PayPay銀行の個人事業主口座とは、屋号付き口座のことです。屋号付き口座を開設すれば、顧客や取引先からの信頼を得やすくなったり、プライベートと事業の資金を分けて管理できたりします。
Webから申し込みでき、最短即日で開設可能。そのため、すぐに屋号付き口座を持ちたい人にもおすすめです。
ただ、屋号なしの名義や屋号のみの名義では作成できません。必ず「屋号+本名」の名義になるので注意しましょう。
PayPay銀行の個人事業主口座と個人用口座との違い
PayPay銀行の個人事業主口座と個人用口座には、下記の通りいくつかの違いがあります。
PayPay銀行口座 | 個人事業主口座 | 個人用口座 |
---|---|---|
屋号 | あり | なし |
Visaデビットカード | 翌月払いできる | 翌月払いできない |
WEB総振(総合振込) | 可能 | 不可 |
まず、大きな違いは屋号付きの名義で口座を開設できるかという点です。個人事業主口座の名義は屋号付きになり、個人用口座の名義に屋号は付きません。
また、Visaデビットカードが翌月払いに対応しているかどうかにも違いがあります。Visaデビットカードとはキャッシュカードにデビット機能がついたカードのことです。国際ブランドはVisaであるため、MastercardやJCBなど他の国際ブランドは使えません。
個人事業主口座についてくるVisaデビットカードは翌月払いが可能です。一方、個人用口座についてくるVisaデビットカードは翌月払いができないので、必ず即時払いとなります。
そして、個人事業主口座を開設した方は、最大3,000件の振り込みを一括で行える『WEB総振(総合振込)』というサービスが利用可能です。『WEB総振(総合振込)』は、外注先や従業員にお金を振り込みたい時に便利です。一方、個人用口座しかない方は『WEB総振(総合振込)』のサービスは利用できません。
このように、個人事業主口座を開設すると事業に役立つサービスを利用できます。
事業用として個人用口座を使うデメリット
事業用として個人用口座を使い続けるデメリットをいくつか紹介します。
デメリットを踏まえて個人用口座を使うか個人事業主口座を開設するか検討しましょう。
個人用と事業用の資金が混ざる
デメリットの一つ目は、事業用として個人用口座を使うと個人用と事業用の資金が混ざることです。
個人用と事業用の資金が混ざることにより、事業関連のお金がいくら入ってきて、いくら出ていっているのかが把握しにくくなることが考えられます。
また、事業で稼いだお金をプライベートな買い物に利用してしまい、税金や経費など必要な事業の支払いが滞る可能性もあるでしょう。その結果、口座の預金が少なくなった時に、事業費と私費のどちらが原因なのか分かりにくくなるという弊害も生まれてしまいます。
個人用と事業用の資金が混ざっていること自体は問題ではありませんが、資金繰りや支出を区別することに自信がない方は口座を分けるのがおすすめです。
突発的に税務調査が行われた場合、口座の残高や明細を確認されることもあるため、プライベートな出費を見られるのに抵抗がある方も事業用の口座を用意しましょう。
帳簿付けの手間が増える
個人用口座の一つにまとめていると、帳簿付けの手間が増えることもデメリットとして挙げられます。
帳簿を作成する際は、事業関連のお金とプライベート関連のお金を分けて記帳しなければなりません。そのため、個人用口座で全てのお金を管理していると、仕訳や記帳の手間が余計にかかってしまいます。
例えば、プライベート関連のお金の支出があった場合も、「事業主借」「事業主貸」などの項目で毎回記帳しなければなりません。
もし、事業用の口座と分けていれば私費の記帳の手間が省けるので、帳簿付けの作業がかなり楽になります。
会計ソフトでの集計がやりにくなる
個人用口座と事業用口座を分けずにいると、会計ソフトでの集計がやりにくくなることも懸念されるでしょう。
具体的には、口座と会計ソフトを連携した場合、口座での取引が全て同期されます。結果、会計ソフト上でプライベートな支出も仕訳をする必要が出てくるでしょう。
帳簿付けと同様に、会計ソフト上で同期された私費は「事業主借」「事業主貸」などの項目で一つずつ仕訳しなければいけません。
事業用の口座と分けてその口座と会計ソフトを連携すると、プライベートな支出を仕訳する手間が省けるだけでなく、仕訳作業の量が格段に減ります。
確定申告が面倒になる
個人用口座のみを使い続けると、確定申告が面倒になることもデメリットの一つです。
特に青色申告の場合、複式簿記で帳簿を作成したのち貸借対照表と損益計算表を提出しなければなりません。
私費が混ざった個人用口座だと、帳簿と仕訳帳を作成するに伴って、その私費を仕訳する手間が発生します。また、帳簿付けの手間が増えるように、貸借対照表を作成する際に、事業主借と事業主貸の項目をそれぞれ集計し記載しなければなりません。
つまり、プライベートな取引が混在していると、その分の仕訳の手間が発生する上に仕訳の量も増えてしまうというわけです。
取引先から信用を得られにくくなる
事業用に個人口座を使っていると、取引先からの信用を得られにくくなる可能性があります。
例えば、請求した金額を取引先に振り込んでもらう場合、個人名義だと事業をきちんと営んでいるのか不安に思われることもあるでしょう。
事業用の口座を用意し取引先にも事業用口座を利用してもらうことで、事業や資金繰りへの信頼も得やすくなるでしょう。加えて、名義に屋号が表示されるので振り込み間違いも防げます。
PayPay銀行の個人事業主口座のメリット
ここからは、PayPay銀行の個人事業主口座のメリットを5つ紹介します。
個人事業主口座には様々なメリットがあるので、ぜひ参考にしてみてください。
屋号付き口座を開設できる
PayPay銀行の個人事業主口座は、屋号付き口座です。事業用の名称+氏名の口座を開設できます。
屋号付き口座を用意すれば、お金の管理がしやすくなるだけでなく、帳簿や確定申告の作成も楽になるでしょう。実際に事業を営んでいることが分かるので、取引先からの信頼度アップも期待できます。
申し込みがWEBで完結し、最短即日で個人事業主口座を開設できるところも魅力です。急ぎで事業用の口座を開きたい方にもおすすめできます。
振込手数料が安い
PayPay銀行の個人事業主口座のメリットとして、振込手数料が安いということも挙げられます。
他社のネット銀行や大手銀行のネットバンキングの振込手数料を比較してみました。
主な銀行 | 他行宛 | 同行宛 |
---|---|---|
PayPay銀行の個人事業主口座 | 160円(税込) | 55円(税込) |
楽天銀行の個人ビジネス口座 | 150円(税込)〜229円(税込) | 52円(税込) |
三菱UFJ銀行の屋号付き口座 | 154円(税込)〜220円(税込) | 無料 |
みずほ銀行の営業性個人の事業用口座 | 150円(税込)〜320円(税込) | 無料 |
三井住友銀行の法人口座 | 165円(税込)〜660円(税込) | 無料〜440円(税込) |
※三菱UFJ銀行『三菱UFJダイレクト』、みずほ銀行『みずほダイレクト』、三井住友銀行『Web21』の振込手数料を比較
PayPay銀行の個人事業主口座は、同行宛がやや高めですが、他行宛の振込手数料が他社よりお得と言えます。
また、他社の振込手数料は振り込む金額によって幅がありますが、PayPay銀行の振込手数料は一律となっているのもポイントです。
他行宛にお金を振り込むことが多い個人事業主の方にとって、大きなメリットと言えるでしょう。
※参考:PayPay銀行、楽天銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行
開業後すぐにビジネスローンも申し込み可能
PayPay銀行の個人事業主口座を開設すると、ビジネスローンに申し込める点もメリットの一つです。
PayPay銀行のビジネスローンは、開業から間もない方でも申し込み可能。金利も他社より低めなので、お金に余裕がない方でも負担なく借りられます。
個人事業主向けビジネスローン | 金利(実質年率) | 限度額 |
---|---|---|
PayPay銀行『ビジネスローン』 | 年1.8〜13.8% | 最大1,000万円 |
AGビジネスサポート『事業者向けビジネスローン』 | 年3.1〜18.0% | 最大1,000万円 |
オリックス・クレジット『BUSINESS LOAN』 | 年5.0〜17.8% | 最大1,000万円 |
セゾンファンデックス『個人事業主専用カードローン』 | 年6.5〜17.8% | 最大500万円 |
オリコ『CREST for Biz』 | 年6.0〜18.0% | 最大300万円 |
上記の表のように、下限金利も上限金利もかなり低め。金利が数%違うだけでも、数万円〜数十万円が浮くこともあります。
事業性資金であれば、用途も自由。高額な機材を購入したい人や一時的に運転資金を調達したい人にもおすすめです。
※参考:PayPay銀行、AGビジネスサポート、オリックス・クレジット、セゾンファンデックス、オリコ
審査不要でカード決済が使える
PayPay銀行の個人事業主口座を開設した方には、キャッシュカードが発行されます。このキャッシュカードにはデビット機能が付帯。審査なしでカード決済が使えるようになります。
さらに、翌月払いも可能で、クレジットカードのように使用できるのも魅力です。アプリ上で、「翌月払い」と「即時払い」を簡単に切り替えられます。
ただ、翌月払いを利用するには、審査に通過しなければなりません。その点だけ注意してください。
税金の支払いがネット決済できる
PayPay銀行の個人事業主口座を持っている方は、税金の支払いをWebで完結可能です。
具体的には、『Pay-easy』のマークがある振込用紙に記載された番号を、PayPay銀行のアプリから入力することで支払いできるようになります。
『Pay-easy』のマークがあれば、国税・地方税・公共料金など様々な支払いがスマホで完結。24時間365日利用できるため、非常に便利です。
PayPay銀行の個人事業主口座に屋号は必須?
PayPay銀行の個人事業主口座を開設するには、屋号が必須です。口座の名義は「屋号+氏名(本名)」となるため、屋号なしでは申し込めません。
また、屋号のみの名義や芸名・別名を屋号として使用することも不可となっていますので、注意してください。
PayPay銀行の個人事業主口座のデメリット
ここからは、PayPay銀行の個人事業主口座のデメリットを2つ紹介します。
きちんとデメリットも考慮して、開設するかどうか決めるようにしましょう。
ネット銀行のため対面相談ができない
PayPay銀行はネット銀行です。そのため、困ったことや疑問に思うことがあっても、対面で相談できません。
例えば、都市銀行や地方銀行は窓口にて、名義・住所変更の相談ができたり、通帳やカード再発行の手続きができたりします。
PayPay銀行だと、Webサイトやメールで相談・解決する場合がほとんどになるでしょう。または、事前にお問い合わせフォームで連絡すれば、来店しての相談も可能なようです。
一部の納税方法には対応していない
PayPay銀行は、振替納税と国庫金のダイレクト納付には対応していません。
振替納税とは預金口座からの引き落としで国税を納付する方法で、ダイレクト納付とはe-Taxで申告書などを提出したのちに預金口座から国税を電子納税する方法です。
振替納税やダイレクト納付ができないため、Pay-easyで税金の支払いをしましょう。
※参考:PayPay銀行
PayPay銀行の個人事業主口座の開設に必要な書類
PayPay銀行の個人事業主口座を開設する際に、必要な書類を以下にまとめました。
本人確認資料(いずれか1点) |
|
---|---|
事業実態の確認資料(いずれか1点) |
|
本人確認書類は、申し込みフォームに入力した住所と一致する現住所が記載された書類のみ有効です。現住所が印字されているか、提出前に確認しましょう。
もし、運転免許証もマイナンバーカードも所有していない場合は、印鑑証明書や住民票の写しなどで代替できます。ただ、その場合はWebで申し込み手続きできず、郵送での手続きとなるので認識しておいてください。
郵送で開設するとなると、約2週間ほどかかります。余裕を持って申し込みましょう。
※参考:PayPay銀行
個人事業主口座と個人用口座を分けるポイント
個人事業用口座と個人用口座を使い分けるコツをいくつか紹介します。
まず一つ目は、事業関連の取引を個人事業主口座に集約させることです。経費・税金の支払いや取引先からの振り込みといった事業に関係する支出は、全て個人事業主口座にまとめましょう。
反対に、食費の支払いや家賃・光熱費の引き落としなど、私生活の支出は個人用口座で管理すると、それぞれの口座をうまく使い分けられます。
二つ目のコツは、事業用とプライベート用で使用するカードを分けることです。個人事業主口座に紐づいたカードと個人用口座に紐づいたカードを用意すれば、使い分けも難しくありません。
個人事業主口座を開設すれば、デビット機能付きのキャッシュカードを発行してもらえるので、そのカードを事業用として利用すると良いでしょう。
事業用口座と個人用口座を使い分ければ、事業関連の支出を一目で把握できるほか、帳簿付けも楽になります。ぜひ実践してみてください。
PayPay銀行の個人事業主口座の開設を検討しましょう
PayPay銀行で屋号付きの個人事業主口座を開設すれば、デビット機能付きキャッシュカードを利用できたり、お得な手数料で振り込みができたりと、メリットが満載です。
また、個人事業主口座で事業関連の支出を管理することで、私費と区別できるだけでなく、帳簿付けや確定申告の効率化も図れます。
気になっている方は、ぜひ本記事を参考に個人事業主口座の開設を検討してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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