• 作成日 : 2025年3月7日

個人事業主のベビーシッターになるには?開業届や確定申告についても解説

ベビーシッターは、個人事業主として開業する道もあります。会社との雇用形態に縛られないため、ある程度自由な働き方を実現できるのが個人事業主のベビーシッターの特徴です。個人事業主として開業する場合どのような点に注意すればよいか、必要な資格や開業のポイント、確定申告の際に注意したい経費計上などについて解説します。

個人事業主のベビーシッターの働き方

個人事業主のベビーシッターの働き方には複数のパターンがあります。主な働き方を紹介します。

利用者の自宅に訪問して働く方法

ベビーシッターの依頼者の自宅に訪問して、依頼者の家でベビーシッターをする働き方です。依頼者はベビーシッターの自宅や施設まで子どもを預ける時間を捻出せずに済みます。ベビーシッターも自宅を事業用に改装する必要がないため、開業資金を抑えて事業をスタートできるのがメリットです。

ベビーシッターの自宅で預かる方法

依頼者からお子様を預かって、自宅でベビーシッターをする方法です。自宅で開業する場合は、子どもに危険が及ばないように内装などを整えておく必要があります。

また、依頼者の希望に応じて、依頼者宅や自宅以外でベビーシッターの業務を行うことも考えられます。例えば、子育て支援センターや公民館、外出先などです。業務場所については依頼者と事前の打ち合わせが必要であることはもちろん、安全が確保できることが求められます。

個人事業主のベビーシッターとして開業する方法

個人事業主としてベビーシッターをする場合に必要な手続きについて解説します。

開業届を提出する

個人事業主としてベビーシッターを開業する場合、事業所得が生じると考えられることから、税務署に開業届の提出が必要です。

ベビーシッターの開業届の必要性や提出しなかった場合の影響、開業届の書き方については下記の記事で詳しく説明しています。

損害賠償保険に加入する

ベビーシッターの業務中に、予想もしないトラブルが発生する可能性もあります。例えば、お子様を預かっているときに誤ってケガをさせてしまったり、誤飲のトラブルが発生してしまったり、利用者の自宅で家具を破損させてしまったりといったトラブルです。

個人事業主であるベビーシッターは、発生したトラブルに対して、すべて自己責任で対処しなければなりません。トラブルの内容によっては高額な賠償金を請求される可能性もあるため、真摯に対応するためにも、また安心して仕事を依頼してもらうためにも、損害賠償保険の加入が求められます。加入の検討対象になるのは、ベビーシッター向けに幅広く補償を行なっている保険などです。

個人事業主のベビーシッターになるために必要な資格

ベビーシッターの仕事をするのに、資格は必須要件ではありません。ベビーシッター(許可外の居宅訪問型保育事業)の開業においては、保育士あるいは看護師を配置することが望ましいとされていますが、明確に資格要件は定められていません。

ただし、保育士資格、幼稚園教諭免許、看護師免許などの公的な資格を有していることで、利用者とのマッチングで有利になる可能性はあります。仕事の受注率を上げたい場合は、民間の資格を含め、公的な資格の取得を前向きに検討するとよいでしょう。

個人事業主のベビーシッターの年収

個人事業主のベビーシッターの年収を示す公的なデータはありません。依頼内容や依頼時間などで変動するため、個人事業主であるベビーシッターの平均的な年収を算出するのは難しいといえるでしょう。

ベビーシッターのマッチングサイトでは、ベビーシッターが希望の時給を提示して利用希望者とマッチングするのが一般的です。例えば、時給2,000円で毎日5時間、月20日間ベビーシッターとして働いた場合、月収は20万円になります。

個人事業主のベビーシッターが注意すべきポイント

個人事業主がベビーシッターとして開業する際に意識しておくとよいポイントや注意点を取り上げます。

ベビーシッターのマッチングサイトに登録して集客を行う

個人事業主としてベビーシッター業を開始した場合に課題となるのが、いかに仕事の依頼をもらえるかです。個人事業主の場合でも時間制にしているシッターが多いことから、依頼が少ないと労働時間も短くなり、安定して収入を得ることが難しくなります。

周囲に呼びかけを行なって仕事をもらえたとしても限りがあるため、ベビーシッターのマッチングサイトをうまく活用するのがおすすめです。マッチングサイトに登録してシッターのページを作成することで、営業の機会が増え、シッターとしての依頼を獲得しやすくなります。サイトによって独自の審査基準を設けているケースもあるため、利用するサイト選びも重要です。

開業時に補助金が使える可能性がある

自治体によっては、創業者のサポートとして、新たに開業しようとする人向けに補助金を設けていることがあります。ベビーシッターの開業でも利用できる可能性があるため、お住まいの自治体で利用できる補助金や助成金がないか確認しておくことをおすすめします。

開業後は忘れずに確定申告を行う

個人事業主として独立すると、会社員のように雇用されている会社で年末調整されることがなくなります。年末調整とは、会社が概算で徴収している所得税の金額を確定させて精算する手続きのことです。個人事業主は、年末調整に代わって、確定申告の手続きを自分でしなければなりません。基本的に確定申告は毎年必要な手続きになるため、毎年忘れずに行うようにしましょう。

確定申告のやり方は以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

個人事業主のベビーシッターは確定申告が必要?

個人事業主のベビーシッターは基本的に確定申告が必要です。原則として、例年3月15日までに前年度分の所得金額や所得税額などの必要事項を記載した確定申告書を税務署に提出して、所得税の申告を行います。

ただし、計算した結果、納めるべき所得税額がない場合は、所得税の確定申告をしなくても問題ありません。しかし、青色申告を選択している場合は、翌年以降に事業の赤字を繰り越せないデメリットがあります。事業が振るわず赤字になってしまい所得税が発生しない場合であっても、確定申告はしておいた方が無難でしょう。

個人事業主のベビーシッターが経費にできる費用

個人事業主がベビーシッターとして開業する場合、確定申告の際に、下記の費用などを必要経費として計上できます。

勘定科目概要
旅費交通費訪問先に移動するために必要なバス代や電車代など
車両費自家用車で訪問先に移動する際にかかるガソリン代など
(プライベート兼用の自動車の場合は家事按分が必要)
水道光熱費自宅でベビーシッターをする際に利用した冷暖房代など
保険料ベビーシッターが業務中の事故における損害賠償に対処するために加入する損害保険料
被服費業務中に使用するエプロンや作業服などの費用
消耗品費ベビーシッター中の子ども用のおもちゃや色鉛筆、仕事で使用する文房具
研修費ベビーシッターとしての仕事のクオリティを向上させるためのセミナー受講費など

個人事業主のベビーシッターが法人化すべきケース

個人事業主のベビーシッターが法人化を検討すべきケースとしてあげられるのが、ベビーシッター業で安定した収入や利益を得られるようになったタイミングです。

下記の表のように、個人事業主が納める所得税と法人(株式会社や合同会社など)が納める法人税は仕組みが異なります。法人税率が所得金額にかかわらず一定であるのに対して、所得税率は課税所得金額が増加するに応じて段階的に税率が上がる仕組みです。

そのため、ベビーシッター業が安定してある程度まとまった利益が得られるようになるタイミングで、税金の面で法人化を検討することもあります。ただし、個人事業主や法人が納める税金は、所得税や法人税以外にもあるほか、社会保険料の負担なども考慮する必要があるため、詳細は税理士などの専門家に相談されることをおすすめします。

収入や利益が伸びてきたタイミング以外では、短期的に事業を拡大していきたい場合などが法人化を検討すべきケースとして考えられるでしょう。

課税所得金額所得税率法人税率
195万円以下5%23.2%
※中小企業の所得800万円以下の部分は15%または19%
195万円超330万円以下10%
330万円超695万円以下20%
695万円超900万円以下23%
900万円超1,800万円以下33%
1,800万円超4,000万円以下40%
4,000万円超45%

出典:No.2260 所得税の税率|国税庁No.5759 法人税の税率|国税庁

個人事業主としてベビーシッター業をするなら基盤が必要

ベビーシッター業は資格を要件としていないため、基本的に誰でも個人事業主として開業できます。ただし、子どもを預かる仕事である以上、安全面の配慮が必要です。資格が必要ないといっても、保育士資格や看護師資格、幼稚園教諭免許などがあった方が信用を得やすい面があります。マッチングでもプラスに働くでしょう。また、万が一のことが発生した際に適切に対処できるようにするためにも、損害保険への加入が必要です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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