• 更新日 : 2026年7月15日

ピザ屋を開業するには?儲からないって本当?必要な費用や資格、オーナーの年収まで解説

Pointピザ屋を開業すると儲かる?

ピザ屋開業は需要があるが競合が多く、差別化と適切な価格設定で利益を出せる業態です。

  • 初期費用は500万〜2,000万円
  • 食品衛生責任者と営業許可が必要
  • オーナー年収は売上と利益率次第

Q. ピザ屋が儲からないと言われる理由は?

A. 原材料費・人件費・配達コストが高く、競合が多いため利益を圧迫しやすいからです。

自分の理想のピザを提供するお店を持つことは、料理好きにとって大きな夢の一つです。しかし、「ピザ屋は儲からない」「ピザ職人はきつい」といった声も聞こえてくる中で、夢への一歩を踏み出すには、正しい情報と現実的な計画が必要です。

この記事では、ピザ屋の開業に必要な費用や資格、気になるオーナーの年収、そして厳しい競争の中で成功を掴むための具体的な方法を詳しく解説します。

目次

ピザ屋の開業の現状は?儲かる?

ピザ屋は、宅配・テイクアウト需要を取り込みやすい一方で、原材料費、人件費、配達コスト、競合の多さが利益を圧迫しやすい業態です。「儲からない」と決めつける必要はありませんが、イートイン型か宅配型かで収益構造が大きく変わるため、開業前に採算を具体的に試算することが重要です。

日本のピザ市場には需要があるが競争も激しい

日本国内のピザ市場は、宅配、テイクアウト、冷凍・市販用、レストラン提供など複数の販売形態で成り立っています。食品新聞によると、ピザ協議会調べの2024年度ピザマーケットは推定末端売上高で2,948億円、前年比7.5%減でした。一方で、総菜売場の自家製ピザなどを含めると、実質的には3,000億円規模と推測されています。つまり、需要そのものは一定規模がありますが、宅配ピザチェーン、冷凍ピザ、スーパーの総菜ピザ、コンビニ、イタリアンレストランなど競合は多い状況です。個人店が開業する場合は、価格勝負ではなく、窯焼き、地域食材、専門性、テイクアウト対応などで差別化することが重要です。

参考:ピザ市場 24年度は7.5%減も人気高まる|食品新聞

外食需要は回復しているが飲食店全体の倒産も多い

日本フードサービス協会の2025年年間結果では、外食全体の売上は前年を上回り、ファーストフード、ファミリーレストラン、ディナーレストランなど多くの業態で回復が見られます。一方、帝国データバンクの「飲食店」の倒産動向では、2025年の飲食店倒産は高水準で、原料価格や人件費の高騰、節約志向の影響が指摘されています。ピザ屋も需要はあるものの、経営管理が甘いと赤字化しやすい業態です。

参考:外食産業市場動向調査 令和 7 年(2025 年)年間結果報告|日本フードサービス協会

小麦価格や人件費を価格に反映できるかが利益を左右する

ピザ屋では、小麦粉、チーズ、トマトソース、肉類、電気・ガス代が原価に影響します。農林水産省は、令和8年4月期の輸入小麦の政府売渡価格を5銘柄加重平均で62,520円/トン、前期比2.5%引き上げると公表しています。原価上昇を吸収できないまま安売りを続けると、販売数が増えても利益が残りません。サイズ設計、トッピング、セット販売、デリバリー手数料を含めた価格設定が重要です。

参考:輸入小麦の政府売渡価格の改定について|農林水産省

ピザ屋の開業形態とそれぞれの特徴は?

ピザ屋を開業する方法には、店内飲食を前提にした店舗型、持ち帰りや配達に特化したデリバリー・テイクアウト専門店、イベントや出店場所を移動できるキッチンカーがあります。初期費用、必要設備、集客方法、利益の出し方が異なるため、資金力やターゲットに合わせて選ぶことが重要です。

【店舗型】店内飲食で客単価を上げやすい

店舗型のピザ屋は、客席を設けて店内でピザやドリンク、サイドメニューを提供する形態です。焼きたてのピザを最もよい状態で提供でき、ワイン、前菜、デザートなどを組み合わせれば客単価を上げやすい点がメリットです。一方で、物件取得費、内装費、客席設備、人件費がかかりやすく、固定費は重くなります。

【デリバリー・テイクアウト専門店】小規模で始めやすい

デリバリー・テイクアウト専門店は、客席を持たず、注文受付、調理、受け渡し、配達に特化する形態です。店舗面積やホール人員を抑えやすく、住宅街やオフィス街の需要を狙いやすい点が特徴です。ただし、デリバリーサービスの手数料、配達人員、容器代、広告費が利益を圧迫することがあります。配達範囲や注文導線の設計が重要です。

【キッチンカー】イベントや観光地で販売しやすい

キッチンカー型は、車両にピザ窯や調理設備を積み、イベント会場、商業施設、観光地、公園などで販売する形態です。出店場所を変えられるため、曜日や季節に合わせて需要のある場所を狙えます。一方で、車両費、設備費、出店料がかかり、天候やイベント集客に売上が左右されやすい点に注意が必要です。

ピザ屋を開業するための手順は?

ピザ屋を開業するには、販売形態を決めるだけでなく、事業計画書の作成、資金調達、物件選び、設備準備、営業許可、集客準備まで順番に進める必要があります。店舗型、デリバリー専門、キッチンカーでは必要な設備や運営体制が異なるため、最初に方向性を明確にしましょう。

1. コンセプトと開業形態を決める

まず、どのようなピザ屋にするのかを決めます。店舗型、デリバリー・テイクアウト専門店、キッチンカーのいずれにするかによって、物件、設備、必要資金、集客方法が変わります。あわせて、ナポリピザ、アメリカンピザ、窯焼きピザ、地域食材を使ったピザなど、商品の特徴も明確にしましょう。

2. 事業計画書を作成する

次に、事業計画書を作成します。事業計画書には、ターゲット、出店エリア、競合との差別化、販売価格、想定客数、客単価、原価率、月商、利益、資金計画を記載します。融資を受ける場合は、ピザ窯や厨房設備、内装費、運転資金の使い道を具体的に示すことが重要です。デリバリーを行う場合は、配達範囲や手数料も試算しましょう。

3. 物件・出店場所を選ぶ

店舗型なら、駅前、住宅街、商業施設周辺、オフィス街など、ターゲットが来店しやすい立地を選びます。デリバリー専門店なら、配達エリア内の人口や注文需要を確認します。キッチンカーなら、イベント会場や商業施設などの出店先を確保する必要があります。物件契約前には、ピザ窯の設置可否、換気、電気・ガス容量も確認しましょう。

4. 設備・仕入れ先を準備する

物件や出店場所が決まったら、ピザ窯、オーブン、ミキサー、冷蔵庫、冷凍庫、作業台、シンク、換気設備、レジなどを準備します。あわせて、小麦粉、チーズ、トマトソース、肉類、野菜、箱、袋などの仕入れ先を決めましょう。焼き上がりの品質を安定させるため、レシピや調理手順を標準化することも大切です。

5. 営業許可を取得し、開業告知を行う

設備が整ったら、食品衛生責任者を設置し、保健所に飲食店営業許可を申請します。デリバリーやテイクアウトを行う場合も、調理して販売する以上、営業許可が必要です。許可取得後は、Googleビジネスプロフィール、SNS、チラシ、予約サイト、デリバリーアプリなどで開業を告知します。開業後は、売れ筋商品、原価率、注文数、口コミを確認しながら改善を続けましょう。

ピザ屋の開業に必要な費用は?

ピザ屋の開業費用は、物件取得費、内装工事費、ピザ窯・厨房設備費、材料仕入れ費、包装資材費、広告費などで構成されます。店舗型、デリバリー・テイクアウト専門店、キッチンカーのどれで始めるかによって必要資金は変わるため、開業形態ごとに試算することが重要です。

初期費用は500万〜2,000万円程度が目安

店舗型のピザ屋を開業する場合、初期費用は800万〜2,000万円程度が目安です。居抜き物件を活用できれば費用を抑えられますが、スケルトン物件からピザ窯や排気設備を整える場合は高額になりやすくなります。デリバリー・テイクアウト専門店なら500万〜1,200万円程度、キッチンカーなら400万〜1,000万円程度で始められる場合もあります。

主な内訳は、以下のとおりです。

  • 物件取得費:100万〜400万円程度
  • 内装工事費:200万〜800万円程度
  • ピザ窯・オーブン・ミキサーなどの厨房設備費:200万〜700万円程度
  • 冷蔵庫・冷凍庫・作業台・シンクなどの設備費:100万〜300万円程度
  • テーブル、椅子、食器などの客席備品費:50万〜300万円程度
  • 小麦粉、チーズ、ソース、具材などの初期仕入れ費:30万〜150万円程度
  • ピザ箱、袋、カトラリーなどの包装資材費:20万〜100万円程度
  • 看板、Webサイト、SNS広告、チラシなどの広告宣伝費:30万〜150万円程度

ランニングコストは月100万〜400万円程度

開業後は、家賃、人件費、材料費、水道光熱費、広告費、デリバリー手数料などが毎月発生します。店舗規模や営業時間にもよりますが、月100万〜400万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

主な内訳は、以下のとおりです。

  • 家賃:20万〜80万円程度
  • 人件費:40万〜200万円程度
  • 材料費:30万〜150万円程度
  • 水道光熱費:10万〜50万円程度
  • 包装資材費:5万〜30万円程度
  • 広告宣伝費:5万〜30万円程度
  • デリバリーアプリ手数料・配達費:売上の一定割合
  • POSレジ、予約システム、決済端末などの利用料:数万円程度
  • 借入金の返済:借入額・返済期間によって変動

ピザ屋は小麦粉、チーズ、トマトソース、肉類などの仕入価格が利益に影響します。デリバリーを行う場合は、配達手数料や容器代も含めて価格設定することが大切です。

開業資金とは別に3〜6か月分の運転資金を用意する

ピザ屋は、開業直後から注文数が安定するとは限りません。特にデリバリー・テイクアウト型は広告費やアプリ手数料が先行し、店舗型は家賃や人件費が重くなりやすいです。そのため、初期費用とは別に3〜6か月分の運転資金を確保しておきましょう。

運転資金の目安は、以下のように考えます。

  • 月のランニングコストが100万円の場合:300万〜600万円程度
  • 月のランニングコストが200万円の場合:600万〜1,200万円程度
  • 月のランニングコストが300万円の場合:900万〜1,800万円程度

開業時にピザ窯や内装へ資金を使いすぎると、開業後の仕入れ費、人件費、広告費の支払いに困る可能性があります。初期費用、固定費、変動費、借入返済額を分けて資金計画を立てましょう。

ピザ屋の開業に必要な資格・許認可は?

ピザ屋を開業する際、調理師免許や料理人としての資格は必須ではありません。ただし、食品を調理して販売する以上、食品衛生責任者の設置や保健所の営業許可が必要です。店内飲食、テイクアウト、デリバリー、キッチンカーなど、営業形態によって確認すべき手続きが変わります。

食品衛生責任者

ピザ屋を営業するには、店舗ごとに食品衛生責任者を置く必要があります。食品衛生責任者は、食材の保存、厨房設備の衛生管理、従業員への衛生指導などを担う責任者です。調理師、栄養士などの資格を持つ人は食品衛生責任者になれる場合があります。資格がない場合でも、食品衛生責任者養成講習会を受講すれば取得できます。

参考:食品衛生責任者|東京都保健医療局

飲食店営業許可

ピザを店舗で調理して販売する場合は、原則として保健所の飲食店営業許可が必要です。店内飲食だけでなく、テイクアウトやデリバリー専門店でも、店舗内でピザを焼いて販売する場合は営業許可が必要になります。許可を受けるには、シンク、手洗い設備、冷蔵設備、給湯設備、換気設備など、施設基準を満たす必要があります。

参考:営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報|厚生労働省

キッチンカー営業の許可

キッチンカーでピザを販売する場合も、営業する地域を管轄する保健所の営業許可が必要です。車内の給排水設備、手洗い設備、冷蔵設備、食品保管スペース、調理工程などが確認されます。自治体によって許可の扱いや必要設備が異なるため、車両を購入・改造する前に保健所へ相談しましょう。イベント会場や商業施設に出店する場合は、主催者や施設管理者の出店許可も必要です。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出

ピザ屋でワインやビールなどの酒類を提供し、深夜0時以降も主に酒類を提供する営業を行う場合は、深夜酒類提供飲食店営業開始届出が必要になることがあります。通常のランチ営業やテイクアウト中心のピザ屋では不要なケースが多いですが、ピザバルや深夜営業の店舗では確認が必要です。なお、接待を伴う営業を行う場合は、風俗営業許可が必要になる可能性があります。

参考:深夜における酒類提供飲食店営業(様式一覧)|警視庁

ピザ屋の売上と年収の目安は?

開業を目指す上で、ピザ屋オーナーの年収がどれくらいになるのかは、大きな関心事です。お店の売上や利益率によって大きく変わるため一概には言えませんが、具体的な数字をシミュレーションすることで、目標設定が可能です。

ピザ屋の一日の売上モデル

たとえば、客単価2,000円、席数15席のお店を考えてみましょう。平日のランチタイムに1回転、ディナータイムに1.5回転すると仮定します。この場合のピザ屋の一日の売上は、(15席 × 1回転 + 15席 × 1.5回転) × 2,000円 = 75,000円となります。ここにテイクアウトやデリバリーの売上が加わります。週末や祝日には、さらなる売上増加が見込めます。

オーナーの年収モデル

飲食店の営業利益率は、業態や立地、運営状況によって異なりますが、経済産業省の調査結果によると、飲食店全体の平均的な営業利益率は8.6%です。仮に月間の売上が200万円の場合、営業利益の目安としては16万〜20万円、年間ではおよそ192万〜240万円程度となります。ここから借入金の返済や税金などを差し引いた額が、オーナーの実質的な手取りになります。

店舗規模の拡大や複数店舗の展開などにより、年収1,000万円を超えるケースも存在しますが、綿密な経営戦略と安定した集客力が求められます。

オーナーの年収を上げるポイント

オーナーの年収を上げるには、売上を伸ばすか、経費を削減するかの二つの方向性があります。客単価を上げるためのセットメニュー開発、リピーターを増やすための会員制度、フードデリバリーサービスの活用などが売上向上の施策です。同時に、食材ロスの削減や水道光熱費の節約といった地道なコスト管理も、利益を確保する上で欠かせません。

ピザ屋の開業に成功するための戦略は?

ピザ屋は需要がある一方で、宅配チェーン、冷凍ピザ、スーパーの惣菜、イタリアンレストランなど競合が多い業態です。成功するには、価格だけで勝負するのではなく、商品設計、販売形態、集客導線、原価管理を組み合わせて、利益が残る仕組みを作ることが重要です。

競合と違う看板商品を作る

ピザ屋で成功するには、まず「この店で買う理由」を明確にする必要があります。薪窯・石窯で焼く本格ピザ、地域食材を使った限定ピザ、チーズにこだわった高単価ピザ、子ども向けのファミリーセットなど、看板商品を作りましょう。大手チェーンと同じ土俵で安売りをすると利益が残りにくいため、味、素材、焼き方、サイズ、提供体験で差別化することが大切です。

店舗・テイクアウト・デリバリーを組み合わせる

ピザ屋は、店内飲食だけでなく、テイクアウトやデリバリーと相性がよい業態です。店舗型で客席売上を作りながら、平日夜や休日は持ち帰り・配達需要を取り込むと、販売機会を増やせます。ただし、デリバリーアプリを使う場合は手数料が発生するため、店内価格と配達価格を同じにすると利益が圧迫されることがあります。容器代、配達手数料、広告費を含めて価格を設計しましょう。

原価率とオペレーションを管理する

ピザ屋では、小麦粉、チーズ、トマトソース、肉類、野菜などの原価管理が重要です。特にチーズや肉類を多く使うメニューは原価率が高くなりやすいため、トッピング量を標準化し、誰が作っても原価がぶれないようにします。また、ピーク時間帯に注文が集中しやすいため、生地の仕込み、焼成時間、受け渡し導線を整え、提供遅れや注文ミスを減らすことが大切です。

リピーターを増やす集客施策を行う

開業直後は新規客の獲得が重要ですが、長く経営するにはリピーターづくりが欠かせません。Googleビジネスプロフィール、Instagram、LINE公式アカウント、ポイントカード、期間限定メニューなどを活用し、再注文のきっかけを作りましょう。誕生日セット、家族向けセット、曜日限定割引、事前予約特典などを用意すると、継続利用につながりやすくなります。

夢のピザ屋開業を成功させるために

この記事では、ピザ屋の開業というテーマで、開業を取り巻く現実から成功のための具体的なステップまでを解説しました。儲からない、きついといった側面があるのは事実ですが、それは競争の激しい飲食業界全般に言えることです。

大切なのは、その理由を正しく理解し、事前に入念な準備と計画を立てることです。開業費用や必要な資格といった初期段階のハードルをクリアし、明確なコンセプトのもとで地域に根差した店づくりを進めていけば、個人店ならではの強みを発揮して、多くの顧客に愛される繁盛店を築くことは十分に可能です。この記事で得た知識を元に、あなただけの理想のピザ屋を開業するという夢に向かって、着実な一歩を踏み出してください。


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