- 更新日 : 2026年2月27日
支店登記は廃止された?いつから不要に?法務局での手続きや費用、メリットも解説
現在も会社法上の義務です。支店所在地での登記が不要となり本店所在地の法務局1箇所のみの手続きとなりました。
- 登記は設置から2週間以内に申請する。
- 支店機能を持つ営業所も登記義務が生じる
- オンラインを活用して自分で手続きを行うと費用を抑えられる
支店登記をしないリスクは、100万円以下の過料や支店名義の口座開設、融資、許認可が受けられないなど、信用低下による実務上の支障が生じます。
企業の事業拡大に伴い設置される支店の登記手続きに関して、「支店登記は廃止されたのでは?」という声を耳にすることがあります。実際、2022年に商業登記規則等が改正され、支店登記の取り扱いに変更がありました。この記事では、その変更点と現在の支店登記制度について分かりやすく解説します。
目次
支店登記の制度自体は廃止されていない
支店登記の制度そのものが完全に廃止されたわけではありません。しかし、2022年9月1日施行の商業登記規則等の改正により、従来必要だった支店の所在地を管轄する法務局における登記が不要となりました。
2022年9月改正のポイント
- 不要になったこと: 支店の所在地を管轄する法務局への登記申請
- 引き続き必要なこと: 本店所在地を管轄する法務局への登記申請
これまでは本店と支店の両方の法務局で手続きが必要だったものが、本店所在地の法務局一箇所で済むようになったため、手続きがシンプルになり、手間や時間が削減できるようになりました。
そもそも支店とは
支店とは、本店(主たる営業所)に従属し、本店の指揮命令のもとで、独立して営業活動を行うことができる営業所を指します。法律上、支店は本店と一体の法人格に属しますが、一定の範囲で独立した営業拠点としての機能を有します。本社(本店)は会社の最高意思決定機関であり、支店はその指示に基づき業務を遂行する関係にあります。
支店と営業所の違い
支店と営業所は混同されやすいですが、法的な取り扱いには違いがあります。
営業所という名称は、法律上の明確な定義があるわけではなく、企業が内部的に使用する呼称であることが一般的です。したがって、単に「〇〇営業所」という名称で活動するだけであれば、必ずしも登記が必要となるわけではありません。
ただし、その営業所が独立して契約を締結するなど、実質的に支店と同様の機能を持つ場合には、支店としての登記義務が生じる可能性があります。
支店登記のメリット
支店を登記する最大のメリットは、社会的信用の向上です。登記情報は法務局によって公示されるため、取引先や金融機関は、その支店が法的に認められた営業拠点であることを確認できます。これにより、新規取引の開始や融資審査が円滑に進む可能性が高まります。
また、支店名義での契約締結や銀行口座の開設がスムーズになる点も実務上の大きなメリットです。許認可事業においては、支店の登記が許認可の要件となっている場合もあります。
支店登記しない場合の罰則・デメリット
会社法では、支店を設置したにもかかわらず登記を怠った場合、会社法第976条第1号に基づき、代表者個人に対して100万円以下の過料が科される可能性があります。
さらに、登記がないことで対外的な信用が得られず、取引に支障が出たり、金融機関からの融資が受けにくくなったりするデメリットも考えられます。
支店登記の具体的な手続きと流れ
支店登記の手続きは、いくつかのステップに分かれます。ここでは、一般的な株式会社が国内に支店を設置する場合の手続きの流れを解説します。
1. 本店での支店設置に関する決定
まず、本店において支店を設置することを正式に決定します。
この決定事項には、設置する支店の所在地、設置日などが含まれます。決定後、その内容を記載した議事録を作成し、適切に保管してください。この議事録は、後の登記申請で必要となる重要な書類です。
2. 必要書類の準備
次に、支店登記の申請に必要な書類を準備します。
必ず必要となる書類
一般的に、本店所在地法務局へ支店設置登記を申請する際に必ず必要となる書類は以下の通りです。
- 支店設置登記申請書:法務局のウェブサイトで最新の様式を入手し、作成します。
- 取締役会議事録または取締役の決定書:支店の設置を決定したことを証明する書類です。取締役会議事録の場合、出席取締役及び監査役(設置している場合)の記名押印が必要です。
- 委任状:司法書士などの代理人に申請を委任する場合に必要です。
これらの書類は、登記申請の根幹となるため、記載内容や押印などに不備がないよう慎重に準備してください。
場合によって必要となる書類
上記の必須書類に加えて、会社の状況や登記内容によって必要となる書類があります。
- 定款:会社の基本的な規則を定めたもので、本店所在地に変更がある場合など、関連する変更があれば提出を求められることがあります。
- 支配人の選任に関する書面及び就任承諾書:支店に支配人を置き、その登記をする場合に必要です。
- 印鑑届書:支配人の印鑑を法務局に届け出る場合に必要です。
書類作成時のポイントとしては、記載事項の正確性はもとより、使用する印鑑を間違えないこと、書類の有効期限に注意することが挙げられます。
3. 登記申請書の作成
必要書類が揃ったら、支店設置の登記申請書を作成します。法務局のウェブサイトには、登記申請書の様式や記載例の見本が掲載されているため、これらを参考にすると良いでしょう。
主な記載事項は以下の通りです。
- 会社の商号
- 本店所在地
- 登記の事由
- 登記すべき事項
- 登録免許税額
- 添付書類の名称と通数
- 申請年月日
- 申請人(会社の代表者)の氏名・住所・連絡先、会社法人等番号
- 代理人が申請する場合は代理人の氏名・住所・連絡先
記載内容に誤りがないよう、複数人でダブルチェックするなど慎重に作成してください。
4. 法務局への登記申請
作成した登記申請書と必要書類を、管轄の法務局に提出します。支店登記は、本店の所在地を管轄する法務局に申請します。
申請方法は、窓口持参、郵送、オンライン申請があります。申請後、法務局による審査が行われ、問題がなければ登記が完了します。通常、申請から登記完了までには1週間から2週間程度かかります。
5. 登記完了後の手続きと確認方法
法務局での登記が完了したら、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、内容に誤りがないか確認します。登記完了後は、税務署や都道府県税事務所、市町村役場などへの届出が必要となる場合があります。また、銀行口座の開設や社会保険の手続きなど、支店運営に必要な各種手続きを進めます。これらの手続きも漏れなく行うことで、支店は円滑に事業を開始できます。
支店登記にかかる費用
支店登記を行う際には、いくつかの費用が発生します。主なものは登録免許税ですが、それ以外にも専門家に依頼する場合の報酬などが考えられます。
登録免許税
支店を新たに設置する場合、本店所在地を管轄する法務局への登記申請が必要となり、その際に登録免許税を納付します。この登録免許税の額は、1件につき6万円です。
以前は支店の所在地を管轄する法務局にも別途登録免許税(9千円)が必要でしたが、制度改正により支店所在地での登記が不要になったため、この9千円はかからなくなりました。つまり、1つの支店を設置する際の登録免許税は、原則として6万円となります。
その他の費用
登録免許税以外にも、以下のような費用が発生する可能性があります。
- 司法書士への報酬
登記手続きを司法書士に依頼する場合に発生します。報酬額は事務所や依頼内容によって異なりますが、一般的には数万円から十数万円程度が相場です。 - 登記事項証明書(登記簿謄本)の取得費用
登記完了後や、手続きの過程で必要に応じて取得します。1通あたり数百円程度です。 - 印鑑証明書の取得費用
代表取締役個人のものなどが必要な場合に、1通数百円かかります。 - 郵送費・交通費
書類を郵送で提出する場合の郵送費や、法務局へ足を運ぶ場合の交通費などです。
費用を抑えるポイント
- 自分で手続きを行う
司法書士への報酬を節約できます。ただし、時間と手間、書類の正確性が求められるため、自信がない場合や時間に余裕がない場合は無理をしないことが賢明です。 - オンライン申請を活用する
郵送費や交通費を削減できるほか、一部の登記事項証明書の取得費用が安くなる場合があります。ただし、初期設定や操作に慣れが必要です。 - 複数の支店登記をまとめて行う
登録免許税自体は支店ごとに発生しますが、申請手続きの手間を一度にまとめることで、司法書士報酬を相対的に抑えられる可能性があります。
支店登記について理解し、事業成長を加速させましょう
本記事では、支店の法人登記に関する基本知識から、具体的な手続き、費用、注意点まで、幅広く解説してきました。
支店登記は、会社法で定められた義務であり、期限内に適切な手続きを行う必要があります。登記には手間や費用が伴いますが、社会的信用の向上、取引の円滑化、許認可への対応など、多くのメリットがあります。一方で、登記を怠ると過料の制裁や実務上の不利益を被るリスクも存在します。
自社の事業戦略や状況を鑑み、支店登記の必要性を慎重に判断し、手続きを進める際には、法務局の情報を確認したり、必要に応じて司法書士などの専門家のサポートを得たりしながら、正確かつ計画的に行うことが重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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