- 更新日 : 2026年1月14日
履歴事項全部証明書とは?取得方法(オンライン・法務局・郵送)や手数料などを解説
履歴事項全部証明書は、法人口座の開設や融資、補助金申請など、会社の登記情報を証明する場面で必須となる公式書類です。
この記事では、履歴事項全部証明書の基礎知識から、他の証明書との違い、手数料を安く抑える具体的な取得方法まで分かりやすく解説します。これを読めば、取得に関する疑問が解消され、迷わずスムーズに手続きを進められるようになります。
目次
履歴事項全部証明書とは?
履歴事項全部証明書とは、会社の「現在の情報」と「過去の履歴」を公的に証明する書類です。
法務局が発行するこの書類には、以下の情報が記載されています。
- 現在の情報:商号(社名)、本店所在地、資本金、役員など
- 過去の履歴:交付請求日の3年前の年の1月1日以降に変更された主な履歴
金融機関や行政機関、取引先に対して、会社の信頼性や実在性を示すための「会社の戸籍謄本」とも言える重要な役割を担います。バックオフィス業務においては、取得する機会が非常に多い書類の一つです。
履歴事項全部証明書は登記事項証明書のひとつ
履歴事項全部証明書は、登記事項証明書という大きな枠組みの中の一種類です。登記事項証明書は、記載される情報の範囲に応じて、主に以下の4種類に分けられます。
- 履歴事項全部証明書
現在有効な情報に加え、過去3年間の商号変更や本店移転、役員変更などの履歴が記載されます。最も情報量が多く、一般的な手続きで広く利用されます。 - 現在事項証明書
現在効力のある登記事項のみが記載されます。過去の履歴は記載されないため、最新の情報だけをシンプルに証明したい場合に適しています。 - 閉鎖事項証明書
合併や解散などで閉鎖された登記記録が記載されます。過去の会社の情報をすべて確認したい場合などに使用します。 - 代表者事項証明書
会社の代表権を持つ代表取締役や代表社員に関する情報のみを抜粋して証明する書類です。契約手続きなどで代表者の資格証明のみが必要な際に利用されます。
どの証明書を取得すべきか迷った場合は、提出先が求める情報範囲を確認するのが確実ですが、特に指定がなければ最も汎用性の高い履歴事項全部証明書を取得しておけば間違いありません。
履歴事項全部証明書と登記簿謄本の違いは?
実務の現場では「登記簿謄本」という言葉もよく使われますが、これは現在「登記事項証明書」と呼ばれるものと実質的に同じです。かつて紙で管理されていた時代の名残でそう呼ばれていますが、現在はデータ化されているため、正式名称は「登記事項証明書」となります。
履歴事項全部証明書が必要になる主な場面は?
では、具体的にどのような場面で履歴事項全部証明書が必要になるのでしょうか。ここでは代表的な利用シーンをいくつかご紹介します。
1. 法人設立後や変更時の届出
会社を作った後や、登録情報を変えたときに行政へ届け出る際に必要です。
2. 労働保険・社会保険への加入
従業員を雇う場合や、社長一人の会社で社会保険に加入する場合の手続きに使用します。以下の機関での手続き時に提出が求められます。
3. 金融機関での口座開設・融資
銀行で法人口座を新規開設する際や、事業資金の融資を申し込む際には、会社の存在と代表者を証明するために、ほぼ確実に提出を求められます。金融機関は、取引の相手方が法的に正しく登記された組織であることを確認する必要があるため、この書類が重要な審査資料の一部となります。
4. 補助金・助成金の申請
国や地方自治体が実施する補助金や助成金を申請する際も、申請者が要件を満たす法人であることを証明するために提出が必要です。事業内容や資本金、設立年月日といった情報が、公募要領に定められた条件と一致しているかを確認するために用いられます。
5. 許認可の申請や更新
建設業や古物商、飲食店営業など、事業を行うために行政の許認可が必要な業種では、新規申請時や数年ごとの更新手続きの際に、履歴事項全部証明書の提出が義務付けられています。役員の構成などが許認可の要件に関わるため、最新の登記情報が確認されます。
6. 不動産契約やオフィス賃貸契約
事業用のオフィスや店舗を借りる際の賃貸借契約や、会社として不動産を売買する際には、契約の当事者である法人の実在性と代表者の権限を証明するために、相手方(不動産会社や売主・貸主)から提出を求められるのが一般的です。
履歴事項全部証明書の取得方法は?
履歴事項全部証明書を取得するには、3つの方法があります。それぞれのメリット・デメリットを比較し、状況に合わせて選びましょう。
1. オンラインで取得する方法
最もおすすめなのが、法務局の「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと 供託ねっと)」を利用する方法です。
- メリット
手数料が郵送受取で520円、最寄りの法務局での窓口受取なら490円と最も安く、平日8:30〜21:00までであればいつでも自宅やオフィスから申請できます。支払いはネットバンキングやPay-easyで完結するため、収入印紙を買いに行く手間もありません。 - デメリット
初めて利用する際に申請者情報の登録が必要です。しかし、一度登録してしまえば、次回からはログインするだけで済むため、最も効率的な方法と言えます。
2. 法務局の窓口で取得する方法
法務局の窓口で取得する方法は、急ぎで証明書が必要な場合に最適です。
- メリット
法務局の窓口に設置された申請書に必要事項を記入して提出すれば、通常10〜30分程度で発行されます。不明点があれば職員に直接質問できる安心感もあります。 - デメリット
開庁時間が平日の日中(通常8:30〜17:15)に限られるため、時間を確保する必要があります。また、手数料が600円と、他の方法に比べて割高になります。
参考:管轄のご案内|法務局
3. 郵送で取得する方法
郵送で取得する方法は、法務局へ行く時間がない場合に便利です。
- メリット
法務局のウェブサイトから申請書をダウンロードし、必要事項を記入して、手数料分の収入印紙と返信用封筒を同封して郵送するだけです。本人確認関連の書類は不要ですが、返信用封筒と収入印紙は必ず用意しましょう。 - デメリット
申請書を郵送してから証明書が手元に届くまで、数日から1週間程度かかります。急ぎの用途には向きません。また、申請書に不備があった場合、さらに時間がかかる可能性があります。
履歴事項全部証明書はコンビニで取得できない?
履歴事項全部証明書は、コンビニでは取得できません。
個人の「印鑑登録証明書」や「住民票」はマイナンバーカードを使ってコンビニで取得できますが、法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)はコンビニ交付に対応していません。
「コンビニへ行くくらい手軽に済ませたい」という方には、平日8:30〜21:00の間であれば自宅やオフィスから申請でき、郵送で届くオンライン申請が最も近い選択肢となります。
履歴事項全部証明書の取得に必要なものは?
履歴事項全部証明書の取得に必要なのは、取得したい会社の正確な「商号(社名)」と「本店所在地」の情報だけです。どの方法で申請する場合でも、会社の代表者印(実印)や個人の身分証明書、委任状は原則として不要です。
| 申請方法 | 手数料 (1通あたり) |
支払い方法 |
|---|---|---|
| オンライン請求(郵送受取) | 520円 | インターネットバンキング、Pay-easy |
| オンライン請求(窓口受取) | 490円 | インターネットバンキング、Pay-easy |
| 窓口請求 | 600円 | 収入印紙 |
| 郵送請求 | 600円 + 往復の郵送料 | 収入印紙 |
参考:ペイジー
履歴事項全部証明書に関してよくある質問
最後に、履歴事項全部証明書に関する実務でよくある質問とその回答をまとめました。
履歴事項全部証明書は誰でも取得できますか?
はい、誰でも取得可能です。履歴事項全部証明書は一般に公開されている情報のため、会社の代表者や関係者でなくても取得できます 。請求にあたって委任状や身分証明書、印鑑などは一切不要です 。取得したい会社の「正確な商号(社名)」と「本店所在地(住所)」さえ分かれば、誰でも申請することができます 。
本店所在地以外の遠方の法務局でも取得できますか?
はい、全国どこの法務局の窓口でも取得できます。例えば、本社が北海道にある会社の履歴事項全部証明書を、沖縄の法務局で取得することも可能です。
土日祝日でも取得できますか?
手続きは、登記・供託オンライン申請システムを通じて利用します。利用時間は、月曜日から金曜日までの8:30〜21:00となっており、土日祝日は申請できません。申請内容の確認や証明書の発送は法務局の開庁日(平日)に行われます。法務局の窓口での発行は、平日の開庁時間内のみとなります。
履歴事項全部証明書に有効期限はありますか?
法務局が発行する証明書自体に有効期限はありません。しかし、提出先(銀行、官公庁など)が「発行後3ヶ月以内」「発行後6ヶ月以内」といった独自のルールを定めていることがほとんどです。そのため、証明書を取得する際は、事前に提出先へ有効期間を確認してから、計画的に取得しましょう。
履歴事項全部証明書はオンライン申請がおすすめ
会社の公的なプロフィールを証明する履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の取得方法を解説しました。
取得方法は窓口、郵送、オンラインの3つがありますが、最も推奨されるのはオンライン申請です。手数料が490円からと最安な上、自宅やオフィスから手続きが可能で、支払いもネットで完結します。取得に際して印鑑や身分証は必要なく、正確な会社情報さえあれば誰でも請求できる手軽さも魅力です。
注意点として、証明書には法的な有効期限はありませんが、提出先が発行後3ヶ月以内など独自の期限を定めているケースが一般的です。この記事を参考に、計画的かつ効率的に証明書を取得してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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