• 作成日 : 2025年11月13日

結婚後に使える節税策は?活用したい控除制度を解説

結婚をきっかけに、税金面で得をすることがあるのをご存じでしょうか。

結婚によって適用できる「配偶者控除」や「配偶者特別控除」などの制度は、条件を満たせば所得税・住民税の負担を軽減できます。さらに、夫婦で住宅ローン控除を分け合ったり、将来に向けてiDeCoやNISAを活用したりと、共働き・片働きの形に応じて取れる節税策はさまざまです。

本記事では、結婚後に使える節税メリットを網羅的に解説します。

結婚すると税金はどう変わる?独身との違いは?

結婚すると、独身のままでは受けられない税制上の優遇措置を利用できるようになります。ここでは、代表的な「配偶者控除」と「配偶者特別控除」について解説します。

配偶者の所得が低い場合「配偶者控除」により税負担が軽くなる

結婚すると、所得の低い配偶者がいる場合に「配偶者控除」を受けられるようになります。

この制度は、納税者本人の課税所得から最大38万円を差し引くことができる仕組みです。これにより所得税と住民税が軽減され、年収によっては数万円単位で税負担が減ります。所得税の控除額は最大38万円、住民税では最大33万円とされており、夫婦の合計手取り額が増える効果を持ちます。

適用条件として、配偶者の年間所得が一定以下であることが必要です。2025年の税制改正によってこの所得条件が緩和され、給与収入ベースで「年収123万円以下」まで対象が拡大しました。以前は「103万円の壁」と呼ばれる上限がありましたが、改正により「123万円の壁」へと引き上げられたことで、より多くの世帯が恩恵を受けられるようになっています。

ただし、納税者本人の所得が1,000万円を超える場合は控除の対象外となります。また、青色事業専従者として給与を受けている配偶者がいるケースなどでは、この控除を利用できません。したがって、結婚後に節税効果を得るためには、世帯の所得構成や働き方を確認し、配偶者控除の条件を満たすよう調整することが重要です。

配偶者控除の対象外でも「配偶者特別控除」が適用されるケースがある

共働き世帯では、配偶者の収入が高いために配偶者控除が受けられないケースがありますが、その場合でも「配偶者特別控除」によって税負担を軽減できる可能性があります。

配偶者特別控除は、配偶者の所得が一定範囲内であれば段階的に控除が受けられる制度です。2025年改正では、この制度の適用範囲が広がりました。従来は配偶者の年収が150万円を超えると控除額が減少していましたが、改正後は「160万円の壁」に引き上げられ、160万円以下の収入であれば最大38万円の控除が受けられるようになっています。

たとえば、配偶者が年収160万円で働いている場合、従来なら控除が減っていたところ、改正後は配偶者特別控除を通じて満額の38万円控除を適用可能です。さらに、配偶者の年収が201.6万円未満であれば、控除額は段階的に減少するものの、一定の税軽減効果を維持できます。

この制度のポイントは、共働きでも「収入バランス」によって控除を最大化できる点です。配偶者の収入が160万円以下なら配偶者控除と同様の節税効果があり、201.6万円未満であれば部分的に控除を受けることができます。

一方、配偶者の年収が201.6万円以上になると特別控除の対象外となります。加えて、配偶者控除と同じく、納税者本人の所得が1,000万円を超える場合は控除を受けられません。したがって、共働き夫婦の場合は、双方の年収と税率を比較しながら、どちらが控除を受けるべきか、また収入をどの水準で維持するのが有利かを検討する必要があります。

配偶者の年収に応じた配偶者特別控除の額(2025年12月改正後)

配偶者の年収(給与収入) 控除額(所得税) 控除額(住民税)
160万円以下 38万円 33万円
160万円〜165万円以下 36万円 33万円
165万円超〜170万円以下 31万円 31万円
170万円超〜175万円以下 26万円 26万円
175万円超〜180万円以下 21万円 21万円
180万円超〜185万円以下 16万円 16万円
185万円超〜190万円以下 11万円 11万円
190万円超〜197.2万円未満 6万円 6万円
177万円超〜201.6万円未満 3万円 3万円
201.6万円以上 0円(適用外) 0円(適用外)
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結婚が前提となるその他の税制優遇は?

結婚していることが前提となる税制優遇は、配偶者控除だけではありません。夫婦の協力によって成立する「住宅ローン控除の共同利用」や「贈与税の配偶者控除」は、長期的な家計改善や資産形成にもつながる節税手段です。ここでは、それぞれの制度について解説します。

夫婦で住宅ローン控除を併用すれば控除枠を倍にできる

住宅ローン控除は、ローンを使って自宅を購入・新築した場合に、その年末時点のローン残高の0.7%(最大で年35万円※)を10~13年間にわたり所得税から控除できる制度です。夫婦でマイホームを取得し、住宅を共有名義にし、それぞれがローン返済を負担している場合、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けることが可能になります。

たとえば、夫婦で5,000万円の住宅を購入し、名義とローンを半分ずつにすれば、各人が2,500万円分の控除対象となり、それぞれ最大で年17.5万円の控除を受けられます。これにより、所得税を軽減でき、家計支出を減らす効果が期待できます。共有名義や返済負担の比率が制度要件に合致していれば、共働き夫婦にとって有効な節税策となります。※長期優良住宅などの場合は上限額が異なることがあります。

夫婦間の贈与でも税金がかからない特例がある

婚姻期間20年以上の夫婦間では、「贈与税の配偶者控除」によって、居住用不動産またはその購入資金を贈与する際に、2,000万円までの贈与が非課税になります。さらに、通常の贈与税の基礎控除額110万円も併用可能なため、実質2,110万円まで税金がかかりません。

この制度は、長年連れ添った夫婦が住宅名義の整理や生活資金の移転を行う際に利用されており、相続税の節税にも効果的です。ただし、「一度限りの適用」かつ「贈与を受けた翌年の申告が必要」などの条件があります。適用には細かなルールがあるため、活用前には専門家や税務署への相談がおすすめです。

共働き夫婦におすすめの節税対策は?

共働き家庭は、配偶者控除を受けにくい一方で、それぞれの収入を活かして使える節税策が多くあります。以下に、代表的な方法を紹介します。

各種控除は夫婦それぞれで使うのが効果的

ふるさと納税生命保険料控除医療費控除などは、夫婦がそれぞれの名義で活用することで、控除額を最大化できます。

ふるさと納税は所得に応じた控除上限が設定されており、共働きであれば二人分の上限額まで寄付が可能です。結果として、所得税や住民税の大幅な軽減が期待できます。また、医療費控除は世帯全体の医療費を合算し、所得の高い方が申告することで控除効果が高まります。

さらに、子どもがいる場合は「扶養控除は収入の高い方が受ける」ことで、より高い税率に対して控除が適用され、節税効果が大きくなります。

iDeCoとNISAで将来の税負担を減らす

老後資金の準備と節税を両立させるには、iDeCoとNISAの活用が効果的です。

iDeCoは拠出した掛金が全額所得控除となり、税率の高い共働き家庭では大きな節税につながります。年収600万円で税率20%の人が年間27.6万円を積み立てれば、約5.5万円の節税になります。

NISAは投資の運用益が非課税になる制度で、夫婦それぞれが口座を持てば、非課税枠が2倍になります。新NISAでは年間最大360万円まで投資可能で、将来的な譲渡益や配当金に対する税負担をゼロにできます。

参考:iDeCo公式サイト NISA特設ウェブサイト|金融庁

子どもがいる・生まれた場合の節税策は?

子どもがいる家庭は、税制上の特典を受けやすい立場にあります。ここでは、出産や子育てに関連して適用できる節税策を解説します。

扶養控除を活用して課税所得を減らす

子どもを扶養親族として申告することで、所得税および住民税の課税所得を減らす「扶養控除」が適用されます。控除額は子どもの年齢に応じて異なり、2025年12月施行の税制改正でも金額の変更はなく、次のように整理されます。

  • 一般扶養親族(16歳以上)
    所得税で38万円、住民税で33万円の控除
  • 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)
    所得税で63万円、住民税で45万円の控除

これらの控除は、親の所得にかかる税額を直接減らす効果があり、所得が高いほど節税効果も大きくなります。たとえば税率20%と想定すると、特定扶養親族1人を扶養に入れた場合、最大で年間10万円以上の税額軽減につながることもあります。

なお、扶養控除は夫婦どちらが申告しても構いませんが、税率の高い親が申告したほうが、同じ控除額でもより大きな節税効果が得られます。共働き世帯の場合、年収が高い方が扶養控除を受けるように分担を調整すると、家計全体での節税につながります。

16歳未満の子どもについては、扶養控除の対象外ですが、代わりに児童手当が支給される仕組みになっています。そのため、子どもが16歳を迎える年以降は、扶養控除の適用を忘れずに行うことで、適切に税負担を軽減できます。

出産・育児にかかる費用は医療費控除の対象になる

出産にかかる費用や、妊娠中の健診・入院・分娩費用、通院交通費などは医療費控除の対象となることがあります。

医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円(または所得の5%)を超えた部分について、所得から差し引ける制度です。正常分娩であっても、出産に関わる入院費・検査費などは控除対象になり得ます。子どもが生まれる年は、医療費がまとまりやすく、控除の適用を受けやすいタイミングです。

ただし、「出産育児一時金」などの公的給付金は、控除対象額から差し引く必要があります。また、家族分の医療費は夫婦どちらか一方がまとめて申告できますが、収入の高い方が申告した方が節税効果が大きくなります。

共働き世帯の「保育料」と課税所得の関係とは?

共働き家庭では、子どもを保育園に預ける際にかかる「保育料」が家計に影響します。この保育料は全国一律ではなく、世帯の課税所得に応じて決定されるため、所得控除を活用して課税所得を抑えることで保育料を下げることが可能です。

保育料は「課税所得」によって段階的に決まる

保育料は、自治体ごとに定められた基準に従い、世帯の「住民税所得割額」を基に決定されます。

共働きの場合、夫婦の課税所得を合算して保育料の階層が決まるのが一般的です。課税所得が高ければ高いほど保育料も高くなるため、いかに所得控除を活用して課税所得を抑えるかが、保育料を抑制するポイントとなります。

なお、2019年10月以降は「3歳〜5歳の幼児教育・保育の無償化」が実施されていますが、0歳〜2歳児については住民税非課税世帯を除いて原則有料のままであり、若年夫婦にとってはこの年齢層の保育料が負担になりやすい点にも注意が必要です。

所得控除を活用すれば保育料も実質的に軽減できる

保育料は、住民税所得割額の算出に使われる「課税所得」に連動しているため、ふるさと納税・iDeCo・医療費控除などを活用して課税所得を減らすことで、間接的に保育料の軽減が期待できます。

たとえば、iDeCoに年間27.6万円を拠出すれば、その全額が所得控除の対象となり、課税所得がその分下がります。同様に、ふるさと納税も限度額内であれば住民税控除として反映され、翌年度の住民税所得割額が減少するため、結果的に保育料階層が1段階下がる可能性もあります。

このように、節税対策は保育料にも波及効果をもたらすため、控除制度を上手に使えば、将来の家計における固定費削減にもつながります。共働き世帯ほど、制度の影響が大きくなるため、早めの対策が効果的です。

結婚後の税制優遇を最大限に活用して家計を豊かにしよう

結婚によって得られる節税効果は、所得税や住民税だけにとどまりません。配偶者控除・配偶者特別控除を上手に利用すれば、夫婦の所得差をうまく活かして税軽減が可能です。

共働き世帯であれば、ふるさと納税やiDeCo、医療費控除をそれぞれの名義で使い分け、課税所得を抑えることで、保育料や社会保険料といった家計負担も軽くできます。

働き方の選択肢も広がった今こそ、夫婦の収入構成を見直し、活用できる制度を最大限に使うことが、実質的な手取りアップと将来の資産形成につながります。


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