• 作成日 : 2025年11月13日

節税に役立つ本は?初心者から法人経営者まで使える書籍を紹介

節税は、税金対策という意味だけではなく、事業の健全な成長と資金繰りの要となる重要な経営スキルです。

本記事では、初心者が税の仕組みを理解するための入門書から、フリーランスや個人事業主に実務で役立つ本、さらには法人経営者や上級者向けの専門書まで、節税に関する良書を紹介します。

目次

初心者におすすめの節税入門書は?

節税初心者の方におすすめできる入門書を5冊ご紹介します。各書籍とも、税金の基本から控除・経費・確定申告・節税対策の考え方を丁寧に解説しています。

大河内 薫  『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』

この本は、税金に不慣れなフリーランス・個人事業主向けに、会話形式・マンガ形式を交えて税金・経費・申告・控除の基礎をわかりやすく解説しています。

著者と対象読者

著者は税理士の大河内 薫氏です。フリーランスや副業を始めたばかりの人が「税金って何?」「確定申告ってどうやるの?」という疑問を持つ場面から優しく入っていく構成です。

内容の特徴

この書籍では「経費って何か」「所得税・住民税消費税の違い」「青色申告白色申告とは何か」など、税金の仕組みをイラストや実践的な例を用いて紹介しています。初心者が読みやすいよう、専門用語をむずかしく使わず、ストーリー仕立てで進む点が好評です。

活用法

副業を始めた直後、あるいはフリーランスとして開業したばかりの段階で手に取ると効果的です。経費をどう使えるか、申告書をどう作るかといった「知っておかなければ損をする」ポイントが整理されているため、節税対策を本格的に始める前の土台づくりとして最適です。

出典:『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』 著:税理士・大河内薫 / 漫画家・若林杏樹

梅田 泰宏  『これだけは知っておきたい「税金」のしくみとルール 改訂新版』

税金の基礎を幅広く、かつ体系的に理解したい人に向けた一冊で、「所得税」「法人税」「消費税」「贈与税」などを網羅的に解説しています。初心者が税金の枠組みを押さえるのにとても役立ちます。

著者と対象読者

著者は税理士の梅田 泰宏氏です。「税金って何でこんなに複雑なんだろう」という疑問を持つ一般の個人やビジネスパーソンに向けて、税金の仕組みとルールの全体像を平易に提示しています。サラリーマン、副業者、経営初心者に適しています。

内容の特徴

本書では、たとえば「所得税=収入から必要経費・控除を引いた金額に対して課税される」「法人税・消費税の基本的な仕組み」「贈与税・相続税の基礎」などを図解や一覧表を用いて整理しています。税制改正にも対応した新版ということで、制度変更にもある程度目を通せる仕様です。

活用法

税金の「森」をまず見渡したいタイミングで読むと、節税対策を考える際の基盤ができます。節税に関する本を数冊読むうえで共通言語を持ちたいとき、本書がその役割を果たします。また、より実践寄りの書籍を読む前に、基本知識を固めるためにもおすすめです。

出典:『これだけは知っておきたい「税金」のしくみとルール 改訂新版』著:梅田 泰宏

久保 憂希也 『すべての日本人のための 日本一やさしくて使える税金の本』

税金の仕組みをライトに学びたい初心者向けの入門書です。物語形式や図解を通じて、難解な制度をやさしく説明し、「税金の全体像」を把握しやすく構成されています。

著者と対象読者

著者の久保憂希也氏は、税理士として初心者向けの執筆に定評があります。本書はサラリーマンや主婦、退職後の生活設計を考える人など、税金に対して強い抵抗感がないが、体系的な知識を持たない層に向いています。「税金について何となく知っておきたい」という段階からでも、気負わず読み始められる設計です。

内容の特徴

この書籍は物語形式で進行しながら、各章で「税金の使われ方」「所得税・住民税・消費税の違い」「控除の種類」「申告の流れ」などを取り上げています。図表も豊富に用いられ、専門用語の解説にも丁寧な配慮がされています。一般的な入門書よりも「読むハードル」が低く、税金に対する心理的負担を軽減する効果もあります。

活用法

本書は、節税対策や申告手続きを始める前に「税金という制度の大枠を理解しておきたい」というときに最適です。今後より具体的な節税策や控除制度を学ぶための“土台”づくりとして活用できます。女性向け資産運用セミナー「マネカツ」などでも紹介されており、税知識の第一歩として広く支持されています。

出典:『すべての日本人のための 日本一やさしくて使える税金の本』著:久保 憂希也

きたみ りゅうじ『フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。』

税理士とのやりとりを再現した対話形式の書籍で、フリーランス・副業初心者にとって実践的な内容となっています。確定申告や経費、節税の仕組みを体感的に学べます。

著者と対象読者

著者のきたみりゅうじ氏は、ライターとして活躍しながら、自身の税務知識の学びを読者と共有する形で本書を執筆しています。対象読者は、開業したばかりのフリーランス、副業での収入を申告する必要が出てきた会社員など。税理士から教わるという構成により、読者自身が「質問者」になったような感覚で読み進められます。

内容の特徴

本書は「確定申告って何をするのか」「何を経費にできるのか」「青色申告と白色申告の違い」などを、実際の質問と回答の形で丁寧に紹介しています。章ごとにまとめがあり、チェックリストやポイント整理も充実。実務にすぐ反映できる形式が特長です。執筆協力には税理士法人ベンチャーサポートも関わっており、専門性にも裏付けがあります。

活用法

確定申告の準備を始めようとしている段階、あるいはすでに初めてみたが「分からないところが多い」と感じている人に向いています。読了後には、「帳簿の基本」「経費の整理」「控除の理解」など、自ら動き出せる状態になります。実務の“つまずきポイント”を避けたい人にとって、実用性の高い一冊です。

出典:『フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。』著:きたみ りゅうじ

税理士法人千代田タックスパートナーズ(監修) 『図解 いちばんやさしく丁寧に書いた青色申告の本 ’25年版』

個人事業主・フリーランスが青色申告をこれから始める際に、帳簿づけから申告書作成までを図解で丁寧に解説した初心者向けの入門書です。

著者と対象読者

本書は税理士法人千代田タックスパートナーズが監修しており、帳簿の付け方や確定申告書の書き方、青色申告特典の活用などを「はじめてでもわかる」レベルで構成しています。対象は、個人事業を開始したばかりのフリーランスや副業で収入が出始めた会社員など、「青色申告をこれから検討/実践する」段階の方です。

内容の特徴

書籍内では、「青色申告にすればこんなにトクする7大ポイント」「スタートの手続きと3つのコース」「帳簿のつけ方」「確定申告書の書き方」などが、豊富な図解とともに順を追って解説されています 。さらに、最新の改正制度(たとえばインボイス制度)にも触れており、初心者が陥りやすい仕訳や勘定科目の整理・経費の要件なども丁寧に補足されています 。

活用法

この本を読み終えれば、帳簿を正しく整理できるようになり、青色申告に必要な提出書類を把握し、自力で申告書を作成するための基礎力が整います。次のステップとして、より高度な節税策や法人化を視野に入れた書籍へ移行する準備としても有用です。

出典:『図解 いちばんやさしく丁寧に書いた青色申告の本 ’25年版』監修:税理士法人千代田タックスパートナーズ

個人事業主・フリーランス向けの実践的な節税に関する本は?

個人事業主・フリーランスにとって実践的な節税知識を得られる書籍を3冊紹介します。

青木 茂人 『個人事業の経理と節税 ’25年版』

個人事業主として経理・帳簿付け・確定申告までをカバーし、最新の制度(インボイス等)にも対応した実践ガイドです。

著者と対象読者

著者は青木 茂人氏です。長年にわたり個人事業主向けの会計・税務書籍を手がけており、本書は「経理・帳簿をこれから始める」「確定申告を控えている」個人事業主に向けて書かれています。

内容の特徴

本書では、帳簿付けの基本から日常の売上・支出管理、決算処理、消費税(とくにインボイス制度対応)まで、項目ごとに図解や表を用いて整理されています。経理未経験の方でも理解できるよう配慮されており、節税のヒントも随所に含まれています。

活用法

まずこの本で「経理・帳簿の流れ」「必要書類の整理」「消費税・インボイスの影響」を理解します。そのうえで、節税を意識しながら毎月の帳簿を整え、期末にはこの本に記載された決算・申告の段取りに沿って準備を整えることで、安心して確定申告に臨めます。

出典:『個人事業の経理と節税 ’25年版』 著:青木 茂人

大村 大次郎 『フリーランス&個人事業主 確定申告でお金を残す! 元国税調査官のウラ技 第11版』

この本は、元国税調査官という著者の立場から、事業を営む個人が税務署の視点も踏まえて「どのように申告し、どのように残せるか」を解説します。確定申告の基礎から節税の応用までカバーされています。 

著者と対象読者

著者・大村 大次郎氏は、元国税調査官という経歴を持ち、税務調査の実務を知る立場から執筆しています。対象読者は、既に個人事業主やフリーランスとして活動しており、確定申告を自分で行おうとしている、あるいは税金を支払う額を少しでも残したいと意識している方です。また、「事業を営んでいく中で税務署からの視点も意識しておきたい」と考えている中上級レベルの読者にも向いています。

内容の特徴

本書は、確定申告の流れを「収入→必要経費→所得→控除→税額」というステップで整理しながら、税務署がチェックしやすいポイントや、誤りやすい事項、そして節税につながる“裏技”的注意点を元国税調査官の視点で解説しています。「この申告だと税務署の目につく」「ここをこう書けば今後の税務調査に備えられる」といった実務に根ざした情報が含まれています。さらに、巻末には実際の申告書記入例や図解も掲載されており、「どこをどう書けば良いのか」が明確に示されています。 

活用法

この書籍を活用するには、まず自分の年度末申告の準備段階で「何をすべきか」「どこが税務署に狙われやすいか」を本書でチェックします。それから、帳簿・領収書・申告資料を整理しながら、書籍に記載された記入例や節税ポイントを照らし合わせることで、自分の申告書作成の精度を上げられます。さらに、申告後も税務調査リスクを軽減するための対応策(記録維持・説明準備など)を本書の助言に沿って実装することで、節税効果だけでなく安心感も高められます。

出典:『フリーランス&個人事業主 確定申告でお金を残す! 元国税調査官のウラ技 第11版』著:大村 大次郎

監修:大沢 育郎 『知識ゼロでも自分でできる! 個人事業の経理と節税 第2版』

個人事業主・フリーランスが帳簿付けから節税まで自力で進められるよう構成された実践入門書です。

著者と対象読者

著者の益田あゆみ氏は、個人事業主・フリーランス向けに経理や申告、税金の本を多数執筆しており、「知識ゼロ」スタートでも理解できるよう配慮された本書を執筆しています。対象読者は、個人事業を始めたばかりの方、副業収入が出始めて経理・申告に不安を感じている会社員、あるいはこれから帳簿や確定申告を自分でやろうと考えている人です。

内容の特徴

この書籍では、帳簿付けの基本、領収書・仕訳の整理、青色申告・白色申告の違いについて図解を交えながら解説しています。さらに「どこまで経費にできるか」「節税につながる具体的なポイント」も明示されており、インボイス制度への対応も含まれている構成です。初めて経理・申告に取り組む人にとって“実務的なガイド”として非常に使いやすい内容です。

活用法

この本を使う際は、まず自身の事業の「収入」「支出」「帳簿付けの実状」を確認しながら読み進めると効果的です。章ごとに整理された手順に沿って「どの支出を経費とできるか」「帳簿をどう整理すればいいか」「節税としてどの制度を使えるか」を洗い出します。そして、決算・申告のタイミングでこの一冊を参照しながら実践すれば、初心者でも安心して節税対策と確定申告を進められます。

出典:『知識ゼロでも自分でできる! 個人事業の経理と節税 第2版』 監修:大沢 育郎

法人経営者・上級者向けの節税に関する本は?

法人経営者・上級者向けの節税本を3冊ご紹介します。

福岡 雄吉郎 『会社にお金を残したいなら今すぐ経費を増やしなさい――グレーゾーンが白になる47の節税ルール』

上場企業・監査法人出身の著者が、オーナー会社・法人経営における実践的な節税策を「47のルール」という形式で整理した一冊です。

著者と対象読者

著者の福岡 雄吉郎氏は公認会計士・税理士の資格を持ち、監査法人時代から数多くの企業の決算・税務を手がけてきたプロフェッショナルです。対象読者は、法人代表・取締役・経営幹部クラスで、「何とか会社にお金を残したい」「税負担を減らしつつ成長に資金を回したい」と考えている方です。法人化・役員報酬交際費・福利厚生など、経営視点での節税を実践したい読者に向いています。

内容の特徴

本書は「グレーゾーンが白になる」という副題の通り、「合法かつ攻めの節税策」を図解・事例・Q&A形式で展開しています。具体的には、経費の拡大・役員報酬の適正水準・福利厚生費の活用・決算直前の節税アクションなどを47項目に分けて解説しています。経営判断を要する事項が多く、経営者自身が“選択肢”として検討できるようになっています。

活用法

まず本書で「どの節税策が自社の業種・収益構造に合うか」をチェックリスト形式で洗い出します。そのうえで、決算前のタイミングで47のルールから該当するものをピックアップし、実施可能かどうかを社内で検討します。実施後は帳簿・領収書・仕訳を整理し、税務調査に備えた説明資料(なぜそれを経費計上・役員報酬にしたか)を準備することで、安心して「攻めの節税」に移れます。

出典:『会社にお金を残したいなら今すぐ経費を増やしなさい――グレーゾーンが白になる47の節税ルール』 著:福岡 雄吉郎

岩佐 孝彦 『会社のお金を増やす攻める経理』

経営者・管理職向けに経理・会計と節税を「資金を残す」観点から整理した実務書です。

著者と対象読者

著者の岩佐 孝彦氏は経営コンサルティングおよび会計・税務分野の実務経験が豊富な専門家です。対象読者としては、法人代表や財務・経理責任者で、「経理を単なる記録業務ではなく、資金を残すための戦略に変えたい」「節税と経営戦略を連動させたい」と考えている方です。

内容の特徴

この書籍では「攻める経理=資金を残すための戦略的な経理処理」というテーマで構成されており、例えば減価償却の活用、役員報酬・給与設計、役員借入・貸付の扱い、内部留保の設計など、法人が使える節税・資金戦略を実務ベースで紹介しています。仕訳例・決算書の見方・会計データの活用が含まれています。

活用法

経理部門と経営陣で本書を読み、現在の会計処理・決算方針を「残るお金を最大化する視点」でレビューします。特に、次期の決算戦略として「どの経費を先行投資に回すか」「どの減価償却方法を選ぶか」「役員報酬はいくら水準が最適か」を検討し、本書のケースを自社に当てはめてアクションプランを作成するとよいでしょう。

出典:『会社のお金を増やす攻める経理』著:岩佐 孝彦

杉田 健吾 『「ひとり社長」の賢い節税 元国税が教えるお金の残し方』

著者と対象読者

著者は 杉田 健吾氏です。元国税職員で、ひとり起業家・ひとり社長を専門にお金と税のコンサルティングを行う専門家です。対象読者は、法人化してひとり社長として経営している、もしくはこれから「ひとり会社/社長1人の法人」を検討していて、会社にお金を残したい・税金を最適化したいと考える経営者・代表者です。

内容の特徴

本書では、法人化のタイミング・役員報酬の決め方・経費計上の扱い・ひとり社長ならではの節税ポイントが、実務経験に基づき整理されています。「元国税職員」という立場から、税務署が注目するポイント・指摘を受けやすい経費の扱いなど“リスク対応”の視点も盛り込まれています。

活用法

この書籍を活用するには、まず自社の法人形態(ひとり社長、役員構成、報酬水準)を本書の章と照らし合わせて分析します。次に「経費として計上できる範囲」「役員報酬設計の最適化」「決算・申告に備える帳簿整理と税務対策」を本書のチェック事項に沿って実行計画に落とし込みます。そして、決算期/次期経営計画時に「会社に残すお金を最大化する視点」で活用することで、上級者としての節税戦略が体系化されます。

出典:『「ひとり社長」の賢い節税 元国税が教えるお金の残し方』 著:杉田 健吾

節税は正しい知識と本選びから

節税対策を成功させるためには、まず仕組みを理解し、適切な手段を選ぶことが重要です。2025年の税制改正によって控除や扶養の条件が変化し、これまで以上に節税の幅が広がる中、信頼できる本から知識を得ることは大きな強みとなります。まずは自分の立場に合った一冊から手に取り、節税を味方につけていきましょう。


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