• 作成日 : 2025年3月7日

赤帽の個人事業主として独立開業するには?やめたほうがいい理由も解説

軽貨物運送業で独立開業を実現したいなら、赤帽に加盟して個人事業主として仕事をする方法があります。赤帽は、全国的な組織で、国土交通省から認可を受けた協同組合です。赤帽で開業することにどのような期待がもてるのか、赤帽で開業するメリットや注意点を解説します。

そもそも赤帽とは

一般的に「赤帽」として浸透している組織の正式な名称を「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」といいます。赤帽は、運送会社のような会社組織ではなく、軽貨物運送業者のための協同組合です。

赤帽の仕組み

赤帽は、国土交通省から認可を受けた唯一の貨物軽自動車運送事業の全国組織です。昭和53年に国土交通省に認可を受けた組織で、全国44の協同組合を有しています。赤帽に所属する組合員は、ルート配送や緊急輸送、宅配、引っ越しなどの業務を担います。仕事の規模によっては組合員同士が助け合いながら遂行することもあります。

赤帽は社員ではなく個人事業主

赤帽は協同組合で、赤帽に軽貨物自動車運送業者として所属する事業者は組合員となります。組合員は社員ではなく、あくまで個人事業主の扱いです。農家のようにそれぞれ独立した事業主が集まった組織になります。組合員それぞれが経営者であることから、基本的にそれぞれが個別に仕事を行うことになります。

赤帽の個人事業主として独立開業する方法

赤帽(全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会)を利用して個人事業主として運送業の独立開業をする流れを紹介します。

赤帽に加盟する

赤帽の加盟に関しては、全国47の都道府県で説明会が実施されています。加入のためには、説明会に参加して今後の事業に関して説明を受けなくてはなりません。説明会の後に加入申し込みを行い、面接が行われます。問題がなければ、使用する軽自動車の営業ナンバーが交付され、加入手続きへと進みます。加入手続き後は、研修会への参加と車両の正式な契約が必要です。

貨物軽自動車運送事業の届出をする

貨物軽自動車運送事業とは、軽自動車を利用して荷物を配送する事業です。事業を開始するには、運輸支局での「貨物軽自動車運送事業経営届出」や「貨物軽自動車運送事業運賃設定届出」が必要です。運輸支局で事業用自動車等連絡書の交付を受けた後は、軽自動車検査協会でナンバー変更などの手続きを行います(ナンバーの交付などの手続きは赤帽のスタッフと一緒に行うのが通常です)。

開業届を提出する

開業届は、税務署に個人事業を開始したことを知らせる手続きです。事業所得、不動産所得、山林所得を新たに生じる場合に手続きを行います。赤帽での独立開業は事業所得にあたると考えられるため、開業届の提出が必要です。開業から1カ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を管轄の税務署に提出します。

赤帽の個人事業主として独立開業するための必要な資金

赤帽で個人事業主として開業するには、初期費用として、加入手数料と車両費が必要になります。加入手数料については都道府県ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。手数料がかからない場合もあれば、税別35万円以内で加入手数料が求められることもあります。

また、営業用に使用する車両の購入資金も必要です。新車の目安は150万円前後で、リースにも対応しています。赤帽の公式サイトによると、これら開業資金の総額の目安は325,000円~2,458,000円程度とされています。

赤帽の個人事業主の年収

赤帽に加盟する個人事業主の仕事内容はそれぞれ異なるため、単純に年収を算出するのは難しい面があります。赤帽の公式サイトでは、1日2~3件の配送を月25日行なった場合の収益実績として、月収45~70万円とあるため、年収にすると540~840万円程度がひとつの目安になるでしょう。

赤帽の個人事業主として開業するメリット

個人事業主として赤帽で開業する主なメリットを3つ取り上げます。

自由な働き方ができる

赤帽には、社員ではなく個人事業主として加盟することになります。事業主として稼働スケジュールは自分で組み立てられるため、会社員と比較して自由な働き方を実現しやすいのが特長です。対応が必要な顧客が増えたら、従業員を雇用したり、法人化したりすることもできます。

一般的な運送業よりも低コストで開業できる

運送業を開業する場合、事業用のトラックなどを準備する必要があります。赤帽は、自分で事業用の車両を用意する必要がないのが特徴です。プロの仕事のために開発された赤帽専用車を購入またはリースを利用して用意してもらいます。運送業仕様のため使い勝手がよいほか、トラックを自分で探して購入する手間が省けるため、一般的な運送業と比べて低コストでの開業を実現しやすいメリットがあります。

赤帽の知名度で仕事を獲得しやすい

赤帽は1975年に設立されて以来、長年の取引実績により、大手企業からの信頼も獲得しています。赤帽ブランドがこれまで積み上げてきた歴史や知名度を利用できるのも、赤帽で個人事業主として開業するメリットです。

赤帽はやめたほうがいいと言われる理由

赤帽はやめたほうがいいと言われることもあります。主な理由を取り上げます。

収入が不安定

赤帽で個人事業主として開業すれば、本部から仕事の紹介があります。紹介のあった仕事でうまくいけば、法人から直接仕事の依頼を獲得することが可能です。しかし、仕事数が不安定になるなど、必ずしも直接の依頼をもらえるとは限りません。収入が安定せず、期待以上の年収を得られない可能性もあります。

車両維持費や保険料などのコストがかかる

赤帽では、個人事業主として仕事をしなければならないため、完全出来高制で収入を増やせる反面、必要な費用はすべて自己負担しなければなりません。例えば、車両のメンテナンス費用やガソリン代、毎月の組合費が必要です。さらに、仕事の紹介(斡旋)を受けた場合は、手数料を支払う必要があります。

交通事故やトラブルのリスクがある

赤帽に加盟する個人事業主は、自由に働ける環境を得られる反面、収入を確保するために無理な働き方を自分で強いてしまうことも考えられます。公道を走行することから、心配されるのは疲労や眠気などによる交通事故です。安全運転のためには、自己管理する能力が求められます。

なお、事故発生時の荷物の汚破損などに関する損害賠償のリスクがあります。赤帽加盟で自動的に付加される貨物賠償保険でカバーされていますが、あらゆるリスクが想定されるため、個人事業主としてできる対策を講じておくことが必要です。

赤帽の個人事業主は確定申告も必要

個人事業主は年末調整を受けないため、確定申告が必要です。収入から必要経費を差し引いた所得金額があり、所得控除などを行なった結果、納めるべき所得税額がある場合は、確定申告の手続きと所得税の納付が必要になります。

赤帽で個人事業主として仕事をする場合は、全体の報酬の金額が収入金額となり、後述する営業に必要なあらゆる費用が必要経費として計上されます。

赤帽の個人事業主が経費にできる費用

赤帽の個人事業主が経費に計上できる主な費用項目は下記の通りです。

勘定科目概要
車両運搬具
減価償却費
運送の仕事のために赤帽で購入した自動車の購入費は車両運搬具として資産に計上し、耐用年数にわたって減価償却費として経費に計上します。
車両費運送業で使用する自動車のメンテナンス費用や修繕費、ガソリン代、有料道路利用料などは車両費として経費にできます。
損害保険料
(保険料)
営業で使用する貨物自動車の自賠責保険や任意自動車保険は経費にできます。
通信費仕事で使用する携帯電話やスマートフォンの通話料などは経費にできます。
消耗品費仕事で使用する車載グッズなどは消耗品として経費にできます。

軽貨物自動車の運送業開業なら赤帽

赤帽は、正式名称を全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会という、軽貨物運送業を営む個人事業主のための協同組合です。国土交通省の認可を受けている組織で、赤帽に加盟することで軽貨物運送業として独立開業を実現できます。赤帽の特徴は、独自の特別専用車両で営業ができ、仕事の紹介を本部から受けられることです。未経験者も独立開業を実現しているため、全国ネットワークを活用して個人で運送業を始めたい人に向いています。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事