• 更新日 : 2026年1月26日

合同会社の社員とは?従業員との違い・役割・報酬の仕組みを解説

Point合同会社の「社員」とは、従業員と何が違う?

合同会社の社員とは、出資者であり経営者でもある構成員です。

  • 社員=出資者
  • 経営と所有が一致
  • 全員が有限責任

業務執行社員は定款に基づく「社員報酬」を受け、利益は出資比率に限らず分配できます。

起業や法人化を検討する際、「合同会社の社員とは誰を指すのか?」「従業員とどう違うのか?」と疑問に感じる方は少なくありません。合同会社における「社員」とは、一般的な雇われた従業員ではなく、出資者であり経営者でもある存在です。

本記事では、合同会社の社員の定義や種類、役割から、報酬や利益分配の仕組みなどを解説します。

目次

合同会社の「社員」とは?

合同会社における「社員」という言葉は、一般的に使われる従業員の意味とは大きく異なります。合同会社の社員は、会社に雇われて働く立場ではなく、会社そのものを構成する出資者としての地位を持ちます。

合同会社の社員は出資者であり会社の構成員

合同会社の社員とは、法的にはその会社に出資を行った構成員を指します。つまり、合同会社の社員は会社の所有者、いわゆるオーナーにあたる存在です。社内で業務に従事していても、出資をしていない場合は会社法上の社員には該当しません。この点が、雇用契約に基づいて働く従業員との決定的な違いです。合同会社は、出資した人だけで会社が成り立つ仕組みになっています。

株式会社の株主に近いが、経営への関与が異なる

合同会社の社員は、立場としては株式会社における株主に近い存在です。ただし、両者には大きな違いがあります。株式会社では、株主は会社の所有者である一方、経営は取締役などの役員に委ねられる仕組みが一般的です。これに対して合同会社では、所有者である社員自身が経営を担います。所有と経営が一致している点が、合同会社の特徴といえます。

出資と利益配分、責任の範囲が明確に定められている

合同会社の社員は、必ず出資を行い、その対価として会社の利益配分を受けます。利益配分は必ずしも出資比率に比例させる必要はなく、定款で柔軟に定めることができます。また、合同会社の社員は全員が有限責任社員です。会社が負債を負った場合でも、責任は原則として出資額の範囲内に限られ、個人資産まで責任が及ぶことはありません。これにより、リスクを限定した形で経営に関与できます。

参考:社法 第三編 持分会社|e-GOV

合同会社の社員と従業員の違いは?

合同会社の「社員」は出資者として会社を所有・経営する立場であるのに対し、従業員は会社に雇用されて働く労働者です。合同会社では出資しないスタッフは法律上「社員」ではなく従業員とみなされます。

社員は会社の意思決定に参加し出資者として利益配分(利益の分配)を受けます。業務執行社員であれば役職に就けば役員報酬を受け取りますが、従業員は労働の対価として給与を得る点が対照的です。また、合同会社の社員(特に代表社員や業務執行社員)は労働者ではないため労働時間の管理や残業代の支払い対象になりません。一方で従業員は雇用契約に基づき労働時間や給与が法的に保護されます。

区分合同会社の社員(出資者)従業員
立場・役割会社の出資者・所有者。経営にも携わる構成員。会社に雇用され労働に従事する人材。
法的地位会社法上の社員(構成員)。有限責任で出資義務あり。基本的に雇用契約は締結しない。労働法上の労働者。会社と雇用契約を結び、労働基準法や労働契約法の適用対象。
報酬出資者として利益配分(利益の分配)を受ける。業務執行社員であればに就けば役員報酬を受け取る場合もある。従業員として給与・賃金を受け取る。時間外手当や有給休暇など労働法に基づく権利がある。
社会保険経営者としての立場のため、雇用保険・労災保険の対象外(労働者ではない)。健康保険・厚生年金保険は役員扱いで加入。労働保険(雇用保険・労災保険)や社会保険の加入対象となる(会社は従業員に保険加入させる義務)。

合同会社の社員の種類と役割は?

合同会社の社員は、すべて出資者である点は共通していますが、会社の代表権や業務執行への関与の有無によって役割が分かれます。ここでは、合同会社における社員の種類と、それぞれが担う役割の違いを整理します。

【代表社員】合同会社を代表し、経営全体の責任を負う

代表社員は、合同会社を代表して契約の締結や対外的な意思表示を行う権限を持つ社員です。株式会社の代表取締役に近い立場ですが、必ず出資者である社員の中から選ばれます。会社との関係は雇用ではないため、労働時間管理や残業代、雇用保険・労災保険の対象にはなりません。氏名と住所は定款および登記簿に記載され、任期の定めがなく、1名または複数名を置くことができます。

【業務執行社員】合同会社の業務を実際に執行する役割を担う

業務執行社員は、合同会社の経営実務を担当する社員です。原則として社員全員が業務執行権を持ちますが、定款で特定の社員を業務執行社員として定めることで、役割分担を明確にできます。業務執行社員は経営者としてに基づいて職務を行い、代表社員を別に定めていない場合には、会社を代表する権限も併せ持ちます。氏名は登記事項となり、変更時には登記手続きが必要です。

【出資のみ行う社員】経営に関与せず所有者としての権利を持つ

代表社員や業務執行社員でない社員は、出資のみを行い、経営実務には関与しません。この社員は合同会社のオーナーとして利益配分に参加し、株式会社でいう株主に近い立場です。業務執行や代表権はありませんが、定款変更や重要事項の決定においては他の社員と同様に同意権や決議権を持ちます。また、会社の業務や財産を確認する調査権も有しています。氏名や住所は登記されず、対外的に公開されません。

【職務執行者】法人社員に代わって業務を行う

職務執行者は、法人が合同会社の社員となっている場合に、その法人に代わって業務を執行する個人です。合同会社では法人も出資者として社員になれますが、法人自身は業務を行えないため、職務執行者を選任します。代表社員や業務執行社員として実務を担いますが、法的には合同会社の社員ではなく、あくまで出資法人の代理人という位置付けです。代表権を持つ場合には氏名と住所が登記され、複数名の選任も可能です。

合同会社の社員になるための条件は?

合同会社の社員になるための条件は、他の会社形態と比べてシンプルです。人数や出資額に厳しい制限はなく、個人でも法人でも社員になることができます。ここでは、合同会社の社員になるために必要な要件と流れを整理します。

出資者として会社を設立または参加する必要がある

合同会社の社員になるためには、合同会社を設立する際に出資者として参加するか、すでに設立された合同会社に出資して構成員となる必要があります。会社法上、合同会社は社員が1名以上いれば設立できるため、出資者が一人だけでも問題ありません。そのため、合同会社は単独で起業したい人にとっても選択しやすい会社形態とされています。

金銭または現物による出資が求められる

合同会社の社員は、必ず出資を行うことが前提となります。出資の方法は金銭に限らず、設備や知的財産などの現物出資も認められています。出資額に法定の下限はなく、資本金1円からでも設立は可能ですが、実際の事業運営を考えると、当面の運転資金を見込んだ金額を設定するのが一般的です。出資を行うことで、会社の持分を取得し、オーナーとしての権利を持つことになります。

定款の作成と設立登記を行うことで社員としての地位が確定する

合同会社を設立する際には、定款を作成し、社員となる出資者の氏名・住所および出資内容を記載します。その後、法務局で設立登記の申請を行い、登記が完了した時点で会社が成立します。この手続きが完了すると、定款に記載された出資者は正式に合同会社の社員となります。登記は社員としての法的地位を外部に示す手続きといえます。

設立後に社員を追加・変更する場合は定款変更と登記が必要

合同会社は、設立後に新たな社員を迎え入れることも可能です。ただし、その場合は既存社員全員の同意を得たうえで定款を変更する必要があります。また、社員の加入や退社、持分の譲渡があった場合には、内容に応じて変更登記を行います。合同会社では社員の構成が登記簿に反映されるため、株式会社のように株主が増減する場合とは異なる手続きが求められます。

合同会社の社員として起業するメリットとデメリットは?

合同会社は、少人数での起業や初期コストを抑えた法人化を目指す人にとって、実用的な会社形態です。一方で、認知度や信用力といった面での課題も指摘されています。ここでは、合同会社の社員として起業する際のメリットとデメリットを整理します。

【メリット】設立費用と運営コストが低く、少人数・単独でも始められる

合同会社は、株式会社に比べて設立費用が安く、定款の認証費用も不要です。登録免許税も株式会社では15万円かかるところ、合同会社は6万円と抑えられます。また、株主総会や取締役会のような機関設計が不要なため、日常の運営もシンプルです。社員1名でも設立可能であり、一人起業にとっては最適な選択肢となります。さらに、役員の任期や公告義務がないことも、事務負担の軽減につながります。

【メリット】利益配分や意思決定の柔軟性が高く、実情に合った経営が可能

合同会社では、利益配分を出資比率にかかわらず自由に決めることができます。たとえば、出資額は少なくても実務への貢献が大きい社員に多くの利益を配分する、といった柔軟な取り決めが可能です。また、経営上の意思決定は原則として社員全員の同意によって行うため、組織内部の透明性と合意形成が重視されます。少人数経営においては、この仕組みが強みとなります。

【デメリット】社会的信用や資金調達の面では株式会社に劣る場合がある

合同会社は株式会社に比べて世間的な認知度や信用力がやや劣ることがあります。特に金融機関や大手企業との取引では、「株式会社でないこと」が不利に働くこともあるため注意が必要です。また、合同会社は株式を発行できないため、外部からの資金調達の手段が限られます。将来的にベンチャーキャピタルなどから出資を受けたい場合は、株式会社への組織変更が視野に入ることもあります。

【デメリット】経営者間の関係性が重要で、内部トラブル時の影響が大きい

合同会社は社員全員が経営に関与する仕組みであるため、社員間の意見の対立が会社運営に直結しやすい特徴があります。複数の社員がいる場合、定款で意思決定の方法や責任分担を明確にしておかないと、トラブルの際に業務が停滞するリスクもあります。スムーズな経営には、信頼関係と事前のルール設定が欠かせません。

合同会社の社員報酬・分配の仕組みは?

合同会社では、株式会社とは異なり、社員(出資者)に対する報酬や利益の分配方法について柔軟な取り決めが可能です。ここでは、社員への「報酬」と「利益分配」の違いや仕組みについて解説します。

社員報酬は「業務執行の対価」であり、定款に明記する

合同会社では、代表社員や業務執行社員に対して、業務執行の対価として「報酬」を支払うことができます。ただし、株式会社と違って株主総会等の決議機関が存在しないため、社員の報酬額の決定方法を定款に明記しておく必要があります。

報酬は給与所得として扱われ、会社側は源泉徴収・社会保険の手続きが必要になります。報酬を設定することで、所得の安定化や社会保険加入による保障面の強化が図れる反面、会社にとってはコストが増える点も考慮が必要です。

利益分配は出資比率に関係なく自由に定めることができる

合同会社では、社員への利益分配は原則として出資割合に応じて行われますが、定款で別途取り決めることで、出資比率に関係ない分配も可能です。たとえば、出資額が少ない社員でも実務面で大きく貢献していれば、利益を多く受け取るといった柔軟な配分が認められます。

この利益分配は、法人の利益から支払われるため、報酬と異なり損金にはなりません。社員側では「配当所得」として課税されます。

合同会社の社員制度を正しく理解して起業に活かそう

合同会社の社員=出資者兼経営者であり、従業員とは立場も責任も大きく異なります。これから会社設立を検討している方は、合同会社の社員制度を正しく理解することで、自分の事業計画に合った会社形態を選ぶ判断材料になります。少人数・低コストで柔軟に経営したい場合、合同会社は有力な選択肢となります。ぜひ本記事の内容を参考に、起業準備に役立ててください。


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