• 更新日 : 2026年1月26日

会社設立後にやることは?優先順位と手続きの流れをわかりやすく解説

Point会社設立後は、まず何から手を付けるべき?

会社設立後は、期限付きの行政手続きを最優先で進める必要があります。

  • 税務署・自治体へ届出
  • 社会保険は5日以内
  • 口座・経理体制整備

最も遅れると影響が大きい手続きは社会保険の新規適用届で、設立後5日以内と期限が極めて短く、遅延すると是正指導の対象になります。

会社を設立した直後、「何から始めればいいのか分からない」と感じる方は多いでしょう。税務・社会保険・資金繰りなど、やるべきことは多岐にわたります。本記事では、会社設立後にやるべき手続きや準備を、優先順位とともに解説します。

会社設立後すぐに行うべき手続きは?

会社設立直後に最も優先度が高い手続きは、税務署・自治体への設立届出や社会保険への加入手続きです。 これらは法律で提出期限が定められており、期限が短いものが多いため速やかに対応する必要があります。

以下に、主な手続きと提出先、提出期限の目安をまとめます。

手続き 提出先 提出期限(目安)
法人設立届出書の提出 税務署 設立後2ヶ月以内
給与支払事務所開設届出書の提出 税務署 事務所開設後1ヶ月以内
法人設立届出書の提出(地方税) 都道府県税事務所・市町村 地域により15日〜2ヶ月以内
社会保険 新規適用届の提出 年金事務所 設立後5日以内
健康保険・厚生年金 被保険者資格取得届 年金事務所 設立後5日以内(役員含む)
労働保険(労災保険)成立届の提出 労働基準監督署 初めて労働者を雇用した翌日から10日以内
雇用保険 適用事業所設置届の提出 ハローワーク 初めて労働者を雇用した翌日から10日以内
雇用保険 被保険者資格取得届の提出 ハローワーク 対象労働者を雇用した月の翌月10日まで

税務署や自治体への設立届出を提出する

会社を設立したら、まず税務署および自治体に対する設立の届出を行います。税務署に「法人設立届出書」を提出し、会社設立を通知します。この届出書は設立日から2ヶ月以内が期限です。加えて、税務署には「給与支払事務所等の開設届出書」も提出します。従業員を雇っていなくても、会社から役員である自分自身に給与(役員報酬)を支払う場合は提出が必要で、事務所開設から1ヶ月以内が期限です。

また、所在地を所轄する都道府県税事務所や市区町村役場への届出も必要です。地方税の「法人設立届出書」を提出する期限は自治体により異なります。地域ごとの規定に注意し、漏れなく届出を済ませましょう。

参考:法 人 設 立 届 出 書|国税庁給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁

社会保険(健康保険・厚生年金)の加入手続きをする

社会保険への加入手続きも、会社設立後すぐに行う必要があります。年金事務所で「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を提出し、会社として健康保険と厚生年金に加入します。法人は従業員がいない場合でも適用事業所となるため、この届出は設立日から5日以内という非常に短い期限で提出が求められます。

また、同時に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」も提出します。これは加入すべき人(被保険者)が発生した際に提出する書類で、役員も社会保険に加入するため、たとえ1人会社でも必要な手続きです。役員報酬を受け取る場合は設立と同時に対象者が発生しますので、新規適用届と合わせて提出しましょう。社会保険の届け出は期限が短いため、登記完了後ただちに取りかかることが大切です。

参考:新規適用の手続き|日本年金機構

従業員を雇用する場合、必要な手続きは?

会社設立後に従業員を雇う場合は、労働保険(労災保険)や雇用保険の加入手続きを速やかに行う必要があります。初めて社員やアルバイトなどの労働者を雇用した際には、所定の行政機関で保険への加入届出を行いましょう。また、一定規模以上の会社では就業規則の作成・提出も義務となります。

労災保険(労働保険)の加入手続きを行う

労働者を1人でも雇用したら、労災保険への加入手続き(労働保険関係の成立手続き)が必要です。労災保険は業務中の労働者の災害に備える保険で、会社は労働基準監督署に対して「保険関係成立届」を提出します。これは最初の労働者を雇用した日の翌日から起算して10日以内が提出期限です。

また、労災保険と同時に労働保険の概算保険料を申告・納付する必要があり、「労働保険 概算保険料申告書」を成立日の翌日から50日以内に提出します。これらの手続きを行い、労災保険へ正式に加入することで、従業員に万一の災害が起きた際の補償体制を整えることができます。

参考:労働保険の成立手続|厚生労働省

雇用保険の適用手続きを行う

従業員を雇用したら、雇用保険への加入手続きも必要です。雇用保険は従業員が失業した際に給付を受けられる保険で、労働者が一定の勤務条件(週20時間以上の勤務かつ31日以上の雇用見込みなど)を満たす場合に適用されます。初めて適用対象の労働者を雇った事業所は、ハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」を提出し、事業所として雇用保険適用事業所の登録を行います。提出期限は適用事業所となった日の翌日から10日以内です。

さらに、その従業員ごとに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出して個別に加入手続きを行います。こちらは労働者を雇用した月の翌月10日までに提出する必要があります(通常、適用事業所設置届と同時に行います)。これらの手続きを完了すると、後日、雇用保険被保険者証が交付され、従業員は正式に雇用保険へ加入されます。

参考:雇用保険適用事業所を設置する場合の 手続きについて|労働基準監督署

就業規則を作成・提出する(必要な場合)

常時使用する従業員が10名以上になる場合、就業規則の作成と届出が義務となります。就業規則とは会社での労働条件や職場規律を定めた規程で、社員が10人以上いる事業所では労働基準法により作成が義務づけられ、所轄の労働基準監督署へ届け出なければなりません。会社設立時点で既に10人以上の従業員を雇用している場合は、他の手続きと合わせて速やかに就業規則を提出する必要があります。

また、従業員が当初は少なくても将来的に10人以上になる場合には、その時点で就業規則を作成して提出します。さらに、就業規則を後で変更した場合も同様に届出が必要です。

就業規則の整備は従業員とのトラブル防止や労務管理の明確化にも役立ちますので、対象となる場合は忘れずに対応しましょう。

節税のため任意で行うべき税務上の手続きは?

法律上必須ではありませんが、会社設立時に提出することで節税や手続きの効率化につながる任意の届出があります。自社の事業規模や方針に応じて検討が必要です。

青色申告の承認申請を行う

法人が青色申告を利用するには、税務署に「青色申告の承認申請書」を提出します。赤字の繰越控除や欠損金の活用などの特典があり、節税効果があります。第1期から適用するには、設立日から3ヶ月以内か、事業年度終了日のいずれか早い日までに申請が必要です。期限を過ぎると初年度は青色申告できません。

源泉所得税の納期の特例を申請する

給与から天引きした源泉所得税は通常毎月納付しますが、従業員が常時10人未満の小規模法人は、年2回にまとめて納付できる「納期の特例」を申請可能です。申請書を税務署に提出し、承認されれば事務負担を大幅に軽減できます。申請のタイミングは自由ですが、早めの手続きをおすすめします。

消費税の届出(課税事業者選択・インボイス登録)を検討する

資本金1,000万円以上の法人は初年度から自動的に課税事業者となり、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」を提出します。資本金1,000万円未満で免税事業者の場合でも、取引先の要請などでインボイス発行事業者の登録が必要なことがあります。登録には「適格請求書発行事業者の登録申請書」が必要で、必要に応じて課税事業者選択届も提出します。取引関係や将来の方針を踏まえた判断が求められます。

法人口座の開設や社内の準備の進め方は?

会社設立後は、行政手続きだけでなく、法人口座の開設や会計・労務体制の整備など、事業運営に欠かせない社内準備も早めに進めておくことが重要です。

法人銀行口座を開設する

法人用の銀行口座は、事業資金の管理に不可欠です。開設には、登記事項証明書や法人印鑑証明書、代表者の本人確認書類などが必要で、銀行によっては事業計画書やウェブサイトなどの提出を求められることもあります。審査には日数を要する場合があるため、設立後すぐに準備を始めましょう。ネット銀行も含めて複数の選択肢があるため、自社に合った金融機関を選ぶことが大切です。

会計・経理の体制を整備する

設立後すぐに会計ソフトを導入するか、税理士と契約して経理体制を整えましょう。青色申告を行う場合は複式簿記による帳簿管理が求められます。また、従業員を雇う場合には労働者名簿や出勤簿、賃金台帳など、労務管理上の帳票類も整える必要があります。さらに、役員報酬は原則として毎月同額を支給する定期同額給与として、設立から3ヶ月以内に取締役会などで正式決定し、議事録に残しておく必要があります。

その他の事業開始準備を進める

電話番号や名刺、会社ウェブサイトなど、外部との信頼関係構築に関わる要素も準備しましょう。営業許可や資格が必要な業種では、所轄官庁への許認可申請も忘れずに行います。また、個人事業から法人化した場合には、廃業届や青色申告取りやめ届などの手続きも必要です。不明点がある場合は、行政書士や社労士など専門家の支援を受けるのが安心です。

会社設立直後に利用可能な融資・資金調達方法は?

法人設立直後は売上が安定せず、資金繰りに不安を抱えることが多い時期です。そんな創業フェーズでも活用できるのが「創業融資」や「制度融資」です。実績がない段階でも申請可能で、早期の資金確保に有効です。

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」

実績のない新設法人でも利用できる代表的な融資制度が、日本政策金融公庫(日本公庫)の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。特徴は以下の通りです。

  • 融資額:最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円まで)
  • 返済期間:設備資金は最長20年、運転資金は最長10年(いずれも据置期間最長5年)
  • 担保・保証人:無担保・無保証も相談可(状況により必要な場合あり)
  • 金利:基準利率(1〜2%台が一般的。条件により特別利率あり)
  • 対象者:創業予定または創業後おおむね7年以内の事業者

申請には、創業計画書、履歴事項全部証明書、定款、事業用設備の見積書、資金繰り計画、自己資金の通帳コピーなどが必要です。自己資金の有無や通帳上の確認可能性、計画書の実現性が重視されます。面談では、事業の具体性や起業動機、収益見通しなどが問われるため、事前にしっかり準備しましょう。

参考:新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫

自治体の「制度融資」で利子や保証料を抑える

地方自治体が金融機関や信用保証協会と連携して実施する「制度融資」も設立直後に使える選択肢です。

たとえば、東京都の創業融資支援事業では、以下のようなメリットがあります。

  • 保証料や利子の一部を自治体が補助
  • 銀行の信用が不足していても保証協会の保証付きで融資が可能
  • 融資額は数百万円〜1,000万円超まで柔軟に対応

申請には、まず商工会議所や区役所の窓口に相談し、創業計画書の作成支援を受けながら進めます。こちらも自己資金の有無や事業計画の説得力がポイントになります。

設立後の手続きを着実に進めてスムーズなスタートを切ろう

会社設立後には多岐にわたる手続きが待ち受けていますが、優先順位と期限を把握して一つ一つ対処すれば問題なく乗り越えられます。税務署や年金事務所などへの届出は期限内に必ず提出し、法人口座開設や社内の経理体制整備も早めに行いましょう。会社設立後にやることをリストアップし、スケジュールを立てて実践することで、手続き漏れによるトラブルやペナルティを防げます。必要な手続きを確実にこなし、万全の体制で事業をスタートさせましょう。


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