• 作成日 : 2025年11月13日

車にかかる税金とは?車の購入や維持で活用できる節税方法を解説【個人事業主・法人別】

車を購入・保有するには、消費税、自動車税、重量税などさまざまな税金がかかります。一方で、車の使い方や選び方によっては、それらの税金を軽減したり、購入自体が節税につながったりすることもあります。

特に事業用として車を導入する場合には、費用を経費として処理できるため、所得税や法人税の負担を減らす有効な手段となります。

この記事では、車にかかる税金の仕組みを整理しながら、個人・事業者それぞれの立場で実践できる節税の考え方を解説します。

車の購入・維持にかかる税金は?

車を所有すると、購入時と保有期間中の両方で複数の税金が発生します。ここでは、購入時と保有中にそれぞれ発生する主要な税金を整理します。

購入時にかかる主な税金【消費税・環境性能割】

2025年時点で、車を購入する際にかかる主な税金は環境性能割と消費税となります。「環境性能割」は、燃費性能に応じて0〜3%が課されます。。

消費税は、車両本体価格やオプション・付属品などの合計額に対して10%の税率で課税されます。たとえば車両価格と付属品の合計が300万円(税抜)の場合、30万円の消費税が必要です。

なお、次項に記載する自動車重量税も取得時に3年分納付します。

また、障がい者向けの福祉車両については従来通り、消費税が非課税となる特例があります。さらに、自治体によっては低公害車や電動車に対する購入補助金制度が実施されており、EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)などの導入を支援する動きも続いています。

保有中にかかる主な税金【自動車税・軽自動車税・重量税】

車を保有している限り、毎年支払う税金として「自動車税(種別割)」または「軽自動車税」が発生します。これらは4月1日時点での所有者に課され、普通乗用車は排気量に応じて、軽自動車は用途別に定額で課税されます。1000cc以下の普通乗用車は年額25,000円、1500cc以下では約30,500円程度が目安です。軽自動車は全国一律で年額10,800円(自家用四輪)となっています。

また、ガソリン車・LPガス車などで新車登録から13年を超えた車両は重課税の対象となり、普通車で約15%、軽自動車では約20%の増額となります。一方、ハイブリッド車や電気自動車など、一定の低公害車はこの重課対象から除外されます。

自動車重量税は取得時及び車検の際に車両重量と登録年数に応じて支払う国税です。新車登録から13年未満の普通乗用車(1.5トン以下)では車検2年分で15,000円程度、13年を超えると34,200円程度となり、20,000円前後が増額されます。

2025年5月以降は、この重量税における燃費性能基準が厳格化され、従来のエコカーでも最新基準を満たさない場合は減免対象から外れることになりました。逆に、基準を満たしたEV・PHEV・FCVなどは、免税または大幅な減税が継続適用されます。

加えて、グリーン化特例(自動車税の減税措置)も2025年度以降継続されており、対象車両については翌年度の自動車税が最大75%減税されます。燃費性能や排出ガス性能が高いほど優遇される傾向は今後も強まるとみられます。

車に関する税金を節税するには?

車にかかる税金は避けられませんが、制度を正しく理解し、条件を満たすことで大幅に負担を軽くすることができます。ここでは、購入時・保有中それぞれの場面でできる節税方法を解説します。

購入時にできる節税対策【エコカー・補助金の活用】

環境性能に優れた車を選ぶことによる金銭的メリットは引き続き存在します。たとえば、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、水素燃料電池車(FCV)などに対しては、国や地方自治体による補助金制度が拡充・継続されており、実質的な購入費用を抑えることが可能です。

環境省の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」や、各自治体が独自に展開している「電動車導入支援制度」などがあり、車種や地域によっては数十万円以上の補助金が受けられます。これらの制度は、基本的に他の減税措置や優遇制度(エコカー減税、グリーン化特例など)との併用が可能です。

また、自治体によっては充電設備の設置費用に対する補助を実施しているケースもあり、車両本体だけでなくインフラ整備の面でも支援を受けることができます。

保有中にできる節税対策【エコカー減税・グリーン化特例】

保有中の節税策として最も効果的なのが、エコカー減税とグリーン化特例の適用です。これらは環境性能に優れた車に対し、自動車重量税や自動車税(種別割)を軽減・免除する制度です。電気自動車や最新のハイブリッド車であれば、初回車検時までの重量税が免税、翌年度の自動車税が最大75%減税されるケースもあります。

また、ガソリン車であっても「2030年度燃費基準」などの高基準を満たせば一部軽減対象になります。古い車を長く乗り続けると13年経過で重課(最大20%増税)されるため、減税対象車への買い替えも長期的には節税策となります。環境性能を示すステッカー(例:2030年度燃費基準達成車)を確認し、該当する車種を選ぶことがポイントです。

参考:自動車関係税制について (エコカー減税、グリーン化特例等)|国土交通省

個人事業主が車を購入すると節税できる?

個人事業主が車を業務に使う場合、その購入費や維持費を経費として処理でき、所得を圧縮することで節税につながります。ただし、すべてを無条件で経費にできるわけではなく、私用との区別や減価償却の処理など、正しいルールに基づいた計上が求められます。

業務で使う車は経費として計上できる

事業に使用する車は、購入費・自動車税・ガソリン代・保険料・車検費用・駐車場代など、幅広い支出を経費にできます。営業活動や資材の運搬など、業務に直接関連する車両であれば、これらの費用を事業経費として計上することで、課税所得が減り、所得税・住民税の節税効果が得られます。

私用との併用は「家事按分」で対応する

車を仕事と私生活の両方で使用している場合は、業務に使った割合だけを経費に計上する「家事按分」が必要です。たとえば月の走行距離が1000kmのうち400kmが業務用途であれば、関連費用の40%だけが経費として認められます。按分の根拠となる記録(走行距離・利用日数など)を残しておくことが重要です。

車両本体は減価償却で段階的に経費化する

購入した車の本体価格は高額資産となるため、一括で経費にはできません。税法上は「減価償却」によって、通常は新車で6年、中古車ならより短い期間に分けて計上します。たとえば300万円の新車であれば、毎年50万円ずつ経費にしていくイメージです。

また、青色申告者であれば「少額減価償却資産の特例」を使って、30万円未満の車両についてはその年に全額経費にすることも可能です。中古の軽自動車などを購入する場合は、この特例を活用することで即時の節税効果が期待できます。

参考:少額減価償却資産の特例について|中小企業庁

法人が社用車を購入すると節税になる?

法人が業務で使用する車を購入すると、車両代や維持費を損金(経費)として計上でき、法人税などの課税所得を圧縮することが可能です。ただし、私的利用や高級車の扱いには注意が必要です。適切に管理・運用することで、節税効果を最大化できます。

社用車の費用は法人の損金として計上できる

法人が購入した社用車は、車両本体の購入費、税金、保険料、燃料代、整備費用などを経費として処理できます。これらの費用を損金として計上することで、当期の法人所得を圧縮し、法人税の負担軽減につながります。

車両の購入費は高額なため、税法上は「減価償却」によって複数年にわたって費用計上されます。新車であれば法定耐用年数は6年であり、定率法で償却されていきます。

私的利用は経費として認められない

法人が所有する社用車は原則として業務用であることが前提です。経営者や従業員が私用で使用した分は、法人の損金として計上できません。たとえば、社長が社用車を使って家族旅行に出かけた場合、その費用部分は税務上否認される可能性があります。

さらに、その私的利用が給与として認定されると、役員賞与や従業員給与とみなされて追加の課税対象になる場合があります。これを防ぐには、業務利用と私用の区別を明確にし、使用記録や社内規定による運用ルールを整備することが重要です。

高級車も業務使用なら減価償却の対象になる

法人が高級車を購入した場合でも、業務上の必要性が説明できれば減価償却による損金算入が可能です。外資系企業や不動産業など、取引先への印象が重視される業種では、高級車が「業務上必要な接遇用資産」として認められるケースもあります。

ただし、業務に直接関係しない高級車を購入し、プライベート用途を含めて使用していると、経費として否認されるリスクがあります。購入目的や使用実態について合理的な説明ができるよう、使用記録や稟議書などを備えておくことが望ましいです。

一般の個人がマイカーを購入して節税できる?

原則として、一般の個人(給与所得者)が自家用車を購入しても、所得税や住民税の節税効果はありません。

車両の購入費用やガソリン代、メンテナンス費などは、税法上「生活に必要な支出(私的費用)」とみなされるため、年末調整確定申告で控除対象とはなりません。住宅ローン控除のような自動車購入に対する税控除制度も現時点では存在しないため、「車を買えば税金が戻る」というような仕組みはありません。

車の費用を経費にして節税するには?

事業で使用する車両に関する支出は、原則として経費計上が認められており、法人・個人事業主いずれの場合も、課税所得を減らして税負担を軽減する手段となります。

車の購入費や維持費を漏れなく経費に計上する

車を事業で使用している場合、以下のような費用を経費として計上することができます。

  • 車両購入費(減価償却)
  • 自動車税・軽自動車税(種別割)
  • 自動車重量税(※)
  • 自賠責保険料・任意保険料
  • ガソリン代・オイル代などの燃料費
  • 車検代・修理代・整備費
  • 有料道路の通行料(高速代・ETC利用料など)
  • 駐車場代・車庫代

※2025年の税制改正で、自動車重量税における環境性能基準が厳格化されており、最新の燃費基準を満たさない車はエコカー減税の対象外となることがあります。事業用車両の更新時にはエコカーや電動車の導入が、税負担軽減につながる可能性が高まっています。

これらの支出は、法人なら「損金」、個人事業主なら「必要経費」として所得から控除できるため、たとえば年間50万円分の車関連経費を計上した場合、同額分だけ課税所得を減らすことができます。結果として、法人税や所得税・住民税の軽減に直結します。

減価償却を使って車両代を分割経費化する

車両の購入代金は高額となるため、一括で経費にすることは原則できません。税務上は「固定資産」として扱われ、法定耐用年数に基づき毎年減価償却費として費用計上します。

  • 新車:耐用年数6年(乗用車の場合)
  • 中古車:使用年数に応じて短縮された耐用年数を適用

前述のとおり、青色申告を行っている個人事業主及び中小法人の場合は、「少額減価償却資産の特例(30万円未満)」を活用すれば即時償却も可能で、軽自動車や中古車の導入時に有利です。

車にかかる税金を正しく理解し、賢く節税につなげよう

車にかかる税金は、購入時の環境性能割・消費税や保有中の自動車税・重量税など多岐にわたります。2025年から、エコカー減税の基準強化が行われ、税制はより環境重視の内容へと変化しています。こうした変化を正しく把握し、電動車の導入や減価償却、補助金制度の活用などを通じて適切に対策を取ることで、車にかかる税負担を軽減することが可能です。

また、個人事業主や法人の場合は、車の購入費や維持費を経費・損金として計上できるため、所得税や法人税の軽減にも直結します。購入や運用の前に税制の最新情報を確認し、将来の負担を見据えた選択を行いましょう。


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