- 作成日 : 2025年8月29日
サラリーマンは会社設立で節税できる?合同会社がおすすめの理由やばれるリスクも解説
毎月の給与から天引きされる税金を見て、「もっと手取りを増やせないか」と感じているサラリーマンの方は多いのではないでしょうか。iDeCoやNISA、ふるさと納税といった節税対策の効果は、高年収になるほど限定的です。そこで、次なる一手として注目されるのが、会社設立(法人化)です。
この記事では、サラリーマンが会社を設立することでどのような節税が可能になるのか、どのくらいの年収から検討すべきか、会社にばれるリスクへの対策まで詳しく解説します。
目次
サラリーマンが会社設立で節税できる理由
サラリーマンができる節税策の多くは、生命保険料控除やiDeCoのような所得控除です。これらは所得から一定額を差し引くものですが、控除できる金額には上限があり、節税効果は限定的です。
一方で、法人を設立すると、個人事業では経費と認められない役員報酬などの支出を経費として計上できるようになります。これにより、所得税や住民税の負担を軽減できるのです。
また、個人に適用される所得税は、所得が増えるほど税率も高くなる累進課税であるのに対し、法人税の税率はほぼ一定です。個人の課税所得が900万円を超える水準になると、法人税率を超える所得税率が適用される可能性があります。
サラリーマンの会社設立による節税メリット
具体的にどのようなメリットがあるのか、5つのポイントに絞って解説します。
1. 経費として認められる範囲が広がる
サラリーマンが法人化する最大のメリットは、事業に関連する支出を幅広く経費にできることです。例えば、自宅を事務所として利用する場合、家賃や水道光熱費、通信費の一部を法人の経費(地代家賃など)として計上できます。また、役員社宅制度を導入すれば、会社が借りた物件に役員が住むことで、家賃の大部分を会社の経費にすることも可能です。
2. 役員報酬で給与所得控除を活用できる
サラリーマンが会社を設立すると、給与を得ながら、自分の会社から役員報酬を受け取ることができます。役員報酬にも給与所得控除が適用されるため、本業の給与と合わせて給与所得控除を受けられることになります。所得を分散させることで、それぞれの所得にかかる税率を低く抑える効果も期待でき、非常に効果的な節税手法です。
3. 役員退職慰労金を活用できる
法人を設立すれば、将来退職する際に、自分自身へ役員退職慰労金を支払うことができます。退職金は他の所得と比べて税制面で非常に優遇されており、退職所得控除という大きな控除が適用されるため、税負担を大幅に軽減できます。長期間にわたって利益を内部留保し、最後に退職金として受け取ることで、将来に向けた資産形成と節税を両立させることが可能です。
4. 事業の赤字を10年間繰り越せる
法人で事業を行った結果、赤字(欠損金)が出た場合、最大10年間繰り越すことができます。翌年以降に黒字が出た際に、繰り越した赤字と相殺することで、法人税の課税対象となる所得を圧縮できます。事業開始当初は赤字になりやすいことを考えると、この制度は長期的な視点で事業を運営していく上で大きな支えとなります。
5. 消費税の免税事業者になれる可能性がある
資本金1,000万円未満の新設法人は、基準期間の条件を満たす場合に限り、原則として設立後最大2年間の消費税納税が免除されます。売上と一緒に預かった消費税を納税する必要がないため、その分がそのまま会社の利益となります。事業内容によっては、このメリットだけでも設立コストを十分に回収できる可能性があります。
サラリーマンが会社設立を検討すべき年収の目安
法人化のメリットは大きいですが、誰にでもおすすめできるわけではありません。明確な判断基準となる年収の目安を見ていきましょう。
副業の事業所得が600万円を超えたとき
一般的に、サラリーマンとしての給与とは別に、副業での事業所得(売上から経費を引いた利益)が年間600万円を超えるあたりが、法人化を検討すべき最初のタイミングです。所得税率が法人税率を上回り始めるため、法人を設立して役員報酬や経費を活用した方が、トータルの手取り額が増える可能性が高くなります。
給与年収2,000万円を超えているとき
年収2,000万円を超えるサラリーマンの場合、給与所得控除が上限額(195万円)に達するため、それ以上の節税策が限られます。資産管理会社を設立し、株式投資や不動産投資などを法人で行う手法が極めて有効です。
サラリーマンが「不動産所得などがあるので節税したい」と考える場合、資産運用会社の設立は有力な戦略となります。法人であれば、投資関連のセミナー参加費や書籍代、情報収集のための交通費なども経費にできるメリットがあります。
サラリーマンの節税に合同会社の設立おすすめな理由
いざ会社を設立しようと決めたとき、主な選択肢となるのが「株式会社」と「合同会社」です。節税を主目的とするサラリーマンには、コストと運営のしやすさから合同会社が断然おすすめです。
合同会社は、2006年に導入された比較的新しい会社形態で、以下のようなメリットがあります。
サラリーマンが会社設立するための事業アイデア
「節税のために会社を作っても、どんな事業をすればいいの?」という方のために、比較的始めやすい事業アイデアを紹介します。
- Web関連事業
本業で培った専門知識やスキルを活かすのが近道です。Webマーケティング、Webライティング、プログラミング、デザインなど、パソコン一つで始められ、利益率も高い事業は法人化と好相性です。 - コンサルティング事業
営業、人事、財務など、あなたの専門分野で他の企業や個人を支援するコンサルタントとして活動します。実績を積めば、高単価な収益源になります。 - 資産運用(株式、FXなど)
株式投資やFXなどの資産運用を法人で行う資産管理会社も有効です。法人で得た投資利益を、法人経由で役員報酬として受け取ることで給与所得控除を活用し、所得を分散させる効果が期待できます。
サラリーマンの会社設立が会社にばれるリスク
会社設立の最大のハードルは、「勤務先に法人設立や副業がばれるのではないか?」という不安でしょう。
会社に知られる最も一般的な原因は、住民税の金額です。通常、住民税は前年の所得を合算して計算され、給与から天引き(特別徴収)されます。自分の会社から役員報酬を受け取ると所得が増えるため、主たる給与の支払を受けている勤務先で行う特別徴収する住民税額が不自然に高くなり、経理担当者に疑問を持たれる可能性があるのです。
サラリーマンの会社設立は節税のための新たな選択肢
この記事では、サラリーマンが節税のために会社を設立するメリットや注意点について、具体的な手法を交えて解説しました。給与所得だけではコントロールが難しい税金の負担を、法人化によって軽減できる可能性があります。
特に、給与とは別に、事業所得が600万円を超えるような方は、法人化を真剣に検討する価値があります。また、設立コストが安く運営しやすい合同会社を選ぶ方が良いでしょう。
ただし、法人設立と運営には専門的な知識が必要です。ご自身の状況で最適な判断を下すためには、必ず一度、会社設立や節税に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
個人事業主から法人へ「法人成り(法人化)する際の手続きは?自分でもできる?」
個人事業で事業が軌道に乗ると、法人化について検討する方もいることでしょう。しかし、どのようにして法人化すればよいのか、わからないという方は少なくありません。法人化するには作成しなければならない書類が多く、手続きも煩雑です。そこで今回は、法人…
詳しくみる法人化の売上分岐点とは?節税シミュレーションやあえて法人化しないケースも紹介
個人事業主として事業が軌道に乗り、売上や利益が伸びてくると、次に考えるのが「法人化」ではないでしょうか。 一般的に、ある一定の所得を超えると、個人事業主として所得税・住民税を支払うよりも、法人化して法人税等を支払う方が税負担を抑えられるケー…
詳しくみる競馬で法人化はできる?税金や競馬予想会社・競馬投資会社についても解説
競馬収益をもとに法人化を考える場合、法令や税務上の制約や、ビジネスとして展開する際の具体的な課題や対応策を知ることが不可欠です。 本記事では、競馬収益を事業化する難しさ、払戻金にかかる税金、確定申告の重要性、そして競馬予想会社や競馬投資会社…
詳しくみる個人投資家が資産管理会社を設立するメリットとは?
個人で資産を管理するより、資産管理会社を設立し法人として資産を管理する方が税制面で多くのメリットがあります。 多くの資産を運用する個人投資家は、毎年多くの税金を納税しています。個人に課せられる税金が増える傾向の税制改正が行われる中、税金を安…
詳しくみる軽貨物運送で法人化すべきタイミングは?メリット・デメリットや必要な手続きを解説
軽貨物運送事業の法人化を検討すべきタイミングは、事業規模を拡大しようとするときと所得金額が増えたときです。事業が軌道に乗ると、売上や利益の増加を目指すのは自然なことであり、法人化はその方法の1つといえます。本記事では、軽貨物運送事業を法人化…
詳しくみる駐車場経営の法人化とは?個人との違いや年収の目安、法人設立の手順
駐車場経営をしている方の中には、個人事業主から法人化を検討されている経営者の方もいらっしゃるかと思います。節税対策や安定した経営のための施策として、法人化は効果的な手段といえます。 ただ、年間所得が一定以上でないとそのメリットを十分に享受で…
詳しくみる