• 更新日 : 2025年8月15日

会社設立の流れを解説!株式会社の設立に向けた準備や必要書類、費用もまるわかり

会社設立とは、法務局に会社の情報を登録する「商業登記」の手続きを指します。合同会社の場合は、株式会社の設立手続きに必要な「定款の認証」が不要となるため、よりスピーディーかつ低コストで設立できるのが特徴です。

この記事では、最も一般的な株式会社の設立方法を中心に、流れや必要書類、費用について詳しく解説します。

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会社設立の流れ

会社設立は、以下のステップで進みます。

では、それぞれの手続きや方法について具体的にみていきましょう。

ステップ1. 会社概要の決定

会社設立方法_会社概要の決定

これから起業する場合も、個人事業主法人化する場合も、まずは会社の定款に記載する基本的な項目を決定します。

  • 商号
    会社設立時に登記簿に登録する会社名です。
    同一住所で同じ商号は使えないなどのルールがあります。
  • 事業目的
    その会社がどのような事業を行うかを明確にするものです。
    将来行う可能性のある事業も記載しておきましょう。
  • 本店所在地
    会社の住所です。
    自宅やレンタルオフィス、バーチャルオフィスなどでも登記可能です。
  • 資本金
    事業の元手となる資金のことです。
    法律上は1円から設立可能ですが、会社の信用にも関わるため、事業計画に合った額を設定しましょう。
  • 発起人
    会社を設立する人(出資者)を決めます。
  • 発起人の出資額
    誰がいくら出資するかを決めます。合計額が資本金の額と一致します。
  • 発行可能株式総数
    会社が将来発行できる株式の上限数です。
    変更するには株主総会の決議と登記手続・費用が必要になるため、できるだけ余裕を持たせるようにしましょう。
  • 株式譲渡制限
    株式を譲渡する際に会社の承認を必要とするかどうかを決めます。
    中小企業の多くは「制限あり」とします。
  • 公告方法
    法律で定められた会社の情報を知らせる方法を決めます。
    官報・日刊新聞紙・電子公告の3種類があります。
  • 事業年度
    会社の会計期間(例:4月1日~翌年3月31日)を決めます。
  • 設立時取締役
    会社設立時の取締役、代表取締役などを決めます。

ステップ2. 会社の実印作成(任意)

会社設立時には、一般的に以下の印鑑を用意することが多くなっています。

  • 代表者印(実印)
  • 銀行印
  • 角印
  • ゴム印

もともと商業登記に実印が必要でしたが、令和3年2月15日よりオンラインで登録申請を行う場合は、印鑑の提出は任意になりました。

ステップ3. 定款の作成・認証

定款のイメージ

画像出典:定款 株式会社|起業テンプレート

ステップ1. で決めた基本事項をもとに、会社のルールをまとめた定款を作成します。定款は、会社の基本ルールとイメージしていただければ分かりやすいでしょう。

株式会社の場合は、定款を作成した後、公証役場で定款が法令に基づいて作成されたことの証明を受けます。これを「定款の認証」といいます。

定款についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。

ステップ4. 資本金の払い込み

発起設立の場合は発起人が、募集設立の場合は出資者全員が、発起人または設立時取締役のうち誰か1人の銀行口座に出資金を払い込みます。このとき払い込んだ金額が「資本金」となります。

資本金についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。

ステップ5. 登記申請書類の作成・提出

商業・法人登記の申請書様式

画像出典:商業・法人登記の申請書様式|法務局

登記に必要な書類一式を作成し、本店所在地を管轄する法務局に提出します。法務局に書類を提出した日が、会社の設立日となります。

ここでは、株式会社を設立する場合の主な必要書類を解説します。

必ず提出が必要な書類
  • 登記申請書
    会社の商号や本店所在地、登録免許税の金額など、登記の申請内容を記載する書類の本体です。
  • 登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
    設立にかかる税金である登録免許税を、収入印紙で納付するための台紙です。
  • 登記すべき事項
    登記簿に記録される会社の情報をテキストデータなどで作成したものです。CD-Rなどで提出することも可能です。
  • 定款
    公証役場で認証を受けた、会社の根本規則を定めた書類です。
  • 取締役の就任承諾書
    設立時の取締役が、その就任に同意したことを証明する書類です。
  • 払込証明書
    定款で定めた資本金の全額が、発起人の口座に払い込まれたことを証明する書類です。
  • 印鑑(改印)届出書
    会社の実印(代表者印)を法務局に登録するための書類です。
場合によって必要となる書類
  • 発起人の決定書
    定款で本店の具体的な地番まで定めていない場合に、本店所在地を発起人の合意で決定したことを証明する書類です。
  • 代表取締役、監査役の就任承諾書
    設立時に代表取締役や監査役を定めた場合に、それぞれの就任承諾書が必要です。
  • 取締役全員の印鑑証明書
    取締役会を設置しない会社を設立する場合に必要です。取締役会を設置する場合は、代表取締役の印鑑証明書のみとなります。

申請後、登記が完了するまでには1~2週間ほどかかります。登記が完了すると「登記完了証」が交付され、会社の「登記事項証明書(登記簿謄本)」や「印鑑証明書」が取得できるようになります。これらの書類は、法人口座の開設や各種届出に必要となるため、完了後に速やかに入手しましょう。

登記申請書類の準備を効率化する方法

登記申請書類の準備は、すべて自分で行うことも可能ですが、時間と手間がかかります。そのため、一般的には以下の方法が選ばれています。

  1. 法人設立ワンストップサービスを利用する
    法人設立ワンストップサービスは、マイナンバーカードがあれば、オンラインで設立に関する行政手続きを一括して行える国のサービスです。
  2. クラウド会社設立サービスを利用する
    クラウド会社設立サービスなら、案内に沿って入力するだけで必要書類を自動作成できます。費用を抑えつつ、手間を省きたい方におすすめです。
  3. 専門家(司法書士など)に依頼する
    司法書士などの専門家に依頼すると、費用はかかりますが、手続きをすべて代行してもらえるため、最も確実で安心できる方法です。

会社設立に必要な費用

会社設立に必要な費用は?【株式会社/合同会社別】

株式会社の設立費用

株式会社の設立費用は、合計金額は約20~25万円であり、主に以下のような費用がかかります。

株式会社の設立費用
定款用収入印紙代(紙)4万円
(電子)ー
定款認証にかかる手数料3万~5万円*
謄本代など約2,000円
登録免許税15万円~

*資本金100万円未満の場合:3万円、100万円以上300万円未満の場合:4万円、その他の場合:5万円

合同会社の設立費用

一方で、合同会社を設立する場合の費用は、合計金額は約10万円~であり、主に以下のような費用がかかります。

合同会社の設立費用
定款用収入印紙代(紙)4万円
(電子)ー
定款認証にかかる手数料
謄本代など
登録免許税6万円~

マネーフォワード クラウド会社設立の場合は、電子定款の利用で、上記のように合同会社の設立にかかる費用のコストを抑えることが可能です。

会社設立にかかる費用の比較表

会社設立後に必要な手続き

無事に設立登記申請が受理され会社が設立されたとしても、各種届出など会社設立後に必要な手続きもあります。ここでは、会社設立後に必要な手続きを見ていきましょう。

会社の口座開設を行う

会社設立が完了したら、会社名義の口座を開設します。審査基準は個人の場合よりも厳しく、開設まで時間がかかることが多いので、会社設立後速やかに手続きをしてください。

口座開設に必要な書類は以下の通りです。

口座開設に必要な書類一覧
  • 会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 定款
  • 会社印
  • 代表者の印鑑証明書
  • 代表者の実印
  • 代表者の身分証明書
  • 会社の概要がわかる資料

なお、金融機関によって口座開設に必要な書類や資料は異なります。事前に金融機関のホームページなどを確認してください。

税務署・都道府県税事務所・市区町村役場へ法人設立届出書を提出する

会社を設立した後は2か月以内に、法人設立届出書を税務署・都道府県税事務所・市区町村役場へ提出する必要があります。

また、青色申告承認申請書も同時に提出するようにしましょう。青色申告承認申請書の提出は、その後の会社経営に大きな影響を及ぼしますので、忘れずに行ってください。

法人設立届出書の書き方は、こちらの記事をご確認ください。

従業員を雇う場合の手続き

従業員を雇う場合は、税務署へ「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出、及び社会保険事務所や労働基準監督署、ハローワークへ各種届出が必要です。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書の書き方や、そのほか会社設立後に必要な手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。


会社を設立するメリット

株式会社を設立するメリット

事業を始める際、多くの方が個人事業主と法人設立のどちらを選ぶべきか悩みます。それぞれにメリットがありますが、ここでは会社を設立する主なメリットを解説します。

社会的信用が高まる

法務局に登記された法人は、個人事業主よりも「きちんと事業を行っている」という印象を与えやすく、大企業との取引や金融機関からの融資で有利になることがあります。法人口座や法人名義のクレジットカードを作れることも、信用の証となります。

資金調達の選択肢が広がる

社会的信用があるため、銀行からの融資を受けやすくなります。また、株式を発行して多くの人から資金を集める「出資」という方法も使えるようになるのが大きな違いです。

所得が増えると税金が安くなる場合がある

個人事業主の所得税は、利益が増えるほど税率が上がる「累進課税制度」で、最大45%まで適用されます。

一方、法人税率は規模や所得額によって異なりますが、一定の範囲では中小企業向けの軽減税率(所得800万円以下は15%など)が設けられており、利益が大きくなった場合でも税率上昇の影響を受けにくい仕組みです。

このため、一定以上の利益規模では法人化によって総税負担を抑えられる可能性があります。

経費として認められる範囲が広い

社長自身の給与(役員報酬)や、自宅を事務所にした場合の家賃など、経費として認められる範囲が広くなります。経費が増えれば、その分利益が圧縮され、節税につながります。

赤字を10年間繰り越せる

事業で出た赤字(欠損金)を、翌年以降10年間にわたって繰り越せます。これにより、将来黒字が出たときに過去の赤字と相殺して、税金の負担を軽くすることができます。

決算月を自由に決められる

個人事業主は決算月が12月に固定されていますが、法人は自由に決算月を設定できます。会社の繁忙期を避けて決算業務を行うなど、柔軟な経営が可能です。

個人事業主が会社設立(法人化)を検討すべきタイミング

個人事業主として事業が軌道に乗ってくると、「いつ法人化(法人成り)すべきか?」という疑問が出てきます。ここでは、会社設立を具体的に検討すべき3つの代表的なタイミングを解説します。

年間の売上が1,000万円を超えたとき

個人事業主は、課税売上高が1,000万円を超えると、その2年後から消費税の納税義務が発生します。一方、法人を新設した場合、基準期間が存在しないため、資本金1,000万円未満などの条件を満たせば、原則として設立後の最初の事業年度とその翌事業年度は消費税が免除されます。

売上1,000万円超の翌年に法人化すると、この免除期間を活用できる場合があり、大きな節税効果につながる場合があります。

年間の利益(所得)が800万円前後になったとき

事業の利益が増えてきたときも、法人化を考えるべきタイミングです。

  • 個人事業主の所得税
    利益が増えるほど税率も高くなる仕組み(累進課税)です。
  • 法人の法人税
    利益が増えても税率はほぼ一定です。

一般的に、税金がかかる利益(所得)が800万円を超えると、個人の所得税率が法人の実効税率を上回るケースが多くなります。このタイミングで法人化し、自分への給与(役員報酬)を設定することで、トータルで支払う税金を抑えられる可能性があります。

事業のさらなる拡大を目指すとき

売上や利益の額だけでなく、以下のような事業のステージの変化も法人化のきっかけになります。

  • 社会的信用が必要になった
  • 資金調達をしたい
  • 従業員を雇用したい

先輩経営者の多くも、社会的信用の向上や事業拡大を理由に法人化を決断しています。ご自身の事業がこれらのタイミングに当てはまるか、ぜひ一度確認してみてください。

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> 創業支援に強い税理士が解説!法人化を検討すべき7つのタイミングとは

会社設立時に使える助成金・補助金

会社設立時に活用できる助成金や補助金の種類をいくつか取り上げます。

助成金は、労働環境の整備や雇用の確保などを支援する目的などで支給が行われます。代表的なのが、厚生労働省の事業主を対象にした雇用関係助成金です。一定の要件を満たした雇用維持や雇い入れなどに関して助成金が支給される制度になります。

一方で補助金は、国や地方自治体の政策目的のための制度です。補助金額は100万円単位から億単位にのぼることもあり、魅力的な制度となっていますが、助成金よりも受給のハードルは高めです。

創業時の資金調達マニュアル

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個人事業主から法人化した事例

個人事業主の法人化事例

ーー会社設立には、自分で手続きする方法と、専門家に依頼する方法がありますが、自分で手続きする方を選ばれた理由は?

会社設立についてネットで色々調べてみたところ、自分で簡単にできるサービスもあると知りました。
費用、手間、時間をかけたくなかったので、自分でできることは自分でやろうと思いました。

他のサービスは、営業が頻繁に来たり、自分が希望していた合同会社に対応していなかったので、最終的に「マネーフォワード クラウド会社設立」を選ぶことになりました。
サクサクと迷うこともなく簡単に最後まで進めることができ、申し込みから2週間足らずで法人化することができました。

> 事例インタビューの全文はこちら

起業時に会社設立した事例

起業時の利用事例

ーーマネーフォワード クラウド会社設立は無料&簡単そうだった

社会保険のことなどを考えると2020年4月には会社を作りたかったので、早速設立の流れをネットで検索したら、今度はマネーフォワード クラウド会社設立が引っかかったんです。簡単に手続きができそうでしたし、サービス利用料金が無料だったので使ってみることにしました。

いくら簡単と言ってもそれなりに大変だろうと思っていましたが、実際は時間も負担もかかりませんでした。

特にステップごとに「なにをやるか」が可視化されているのは安心感がありましたね。やるべきことをあらかじめ理解できていると無駄に心配することもありません。

あとは、フォームに情報を入れると書類が自動作成されるのはとても助かりました。書類の定型文などをいちいち調べる必要がないんですよね。結果的にたった数週間で会社を設立することができました。

> 事例インタビューの全文はこちら

なお、マネーフォワード クラウド会社設立なら、設立時に必要となる印鑑の購入や、設立後に必要な書類の作成、銀行口座の開設も可能です。

会社設立の方法は理解できましたか?

マネーフォワード クラウド会社設立が、会社設立経験者1,040人を対象に、2024年に行った調査によれば、64.7%が会社設立の手続きに何かしらの大変さを感じていた状況です。特に、記憶がまだ新しい会社設立1年目以内の場合は44.4%が「大変だった」と回答しました。

会社設立に関する調査結果

画像:先輩起業家が一番困ったことは?【会社設立の意思決定調査】

株式会社を設立する際は、多くの煩雑な手続きが発生します。事前に方法や要件を確認してから計画的に行わなければ、設立自体が遅れ、計画通りの事業活動ができなくなってしまうでしょう。

また、登記が完了し会社を設立した後も、税務署等へ必要な届出を行わなければなりません。これを怠ると会社の信用性にも影響が及び、思わぬ損失を生むこともあります。必要な手続きは期限内にきちんと行いましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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