• 作成日 : 2025年9月9日

太陽光発電で節税するには?減価償却や税制優遇の仕組み、確定申告の方法まで解説

太陽光発電の導入は、売電による収益確保だけでなく、税金の負担を軽くする手段にもなります。その効果を最大限に引き出すには、減価償却や税制優遇といった制度の仕組みを正しく理解することが大切です。

この記事では、太陽光発電で節税する具体的な方法、使える制度、注意点、そして確定申告の手順まで、わかりやすく解説します。太陽光投資の税金対策を考えている法人、個人事業主、そしてサラリーマンの方もぜひ参考にしてください。

太陽光発電で節税できる仕組みは?

太陽光発電で節税ができる主な理由は、経費を計上できる点にあります。事業で得た利益(所得)には法人税や所得税がかかりますが、税額は「利益 × 税率」で計算されます。つまり、経費を計上して課税対象の利益を小さくできれば、支払う税金を抑えられるのです。

太陽光発電設備は高額な投資ですが、その購入費用は一度に経費になるわけではありません。会計処理の減価償却を通じて、設備の価値が年々下がると考え、その減少分を減価償却費として毎年経費に計上します。この減価償却費が利益を圧縮し、節税効果を生み出す基本的な仕組みです。

法人・個人事業主・サラリーマンでの違い

節税の基本的な仕組みは同じですが、立場によって対象となる税金や申告方法が異なります。

  • 法人
    法人税などが対象。
    利益が大きくなるほど、経費計上による節税効果も高まります。
  • 個人事業主
    所得税や住民税が対象。
    所得に応じて税率が変わる累進課税のため、所得が高い人ほど節税効果は大きくなります。
  • サラリーマン
    副業として得た売電収入が対象。
    一般的に雑所得として申告しますが、規模によっては事業所得として扱われることもあります。

法人・個人事業主向け|太陽光発電の節税方法

事業として太陽光発電を行う法人や個人事業主が主に活用できる制度は、減価償却と中小企業経営強化税制の2つです。

1. 減価償却

減価償却とは、太陽光発電設備のような高額な資産の購入費用を、法で定められた使用可能な期間(法定耐用年数)にわたって分割し、毎年少しずつ経費として計上していく会計処理です。

全量売電用設備などの場合、法定耐用年数は一般的に17年です。例えば1,700万円の設備を導入した場合、定額法であれば、単純計算で毎年100万円(1,700万円 ÷ 17年)を減価償却費として経費計上でき、課税所得を100万円圧縮できます。

※自家消費を目的とした設備などでは法定耐用年数が異なることがあります。

定額法と定率法の違い

減価償却費の計算方法には、毎年同額を計上する定額法と、導入初期に多くの額を計上する定率法があります。

  • 定額法:毎年、同額の減価償却費を計上。収支計画が立てやすい。
  • 定率法:導入初期に多くの減価償却費を計上。初年度の節税効果が大きい。

個人事業主は定額法が基本、法人は定率法が基本ですが、いずれも届け出により変更できます。投資初期の資金負担を軽くしたい場合は、初年度の節税効果が大きい定率法が有利です。

2. 中小企業経営強化税制

中小企業経営強化税制は、特定の要件を満たす中小企業などが、生産性を高める設備投資を行った際に受けられる税の優遇措置です。この制度を活用すると、以下のいずれかを選択できます。

  • 即時償却
    設備購入費用の全額を、導入したその年の経費として一括で計上できます。突発的に大きな利益が出た年度の税金対策として非常に効果的です。
  • 税額控除
    設備購入費用の7%または10%を、納めるべき法人税(または所得税)から直接差し引けます。利益が少ない場合でも税負担を直接減らせる可能性があります。

この制度は、当初2025年3月31日までに取得・使用開始した設備が対象とされていましたが、現在は2027年3月31日まで延長されています。利用するには、事業計画を策定して国の認定を受けるなどの手続きが必要で、複雑なため専門家への相談が推奨されます。

3. 個人事業主は青色申告でさらに節税可能

個人事業主が事業として太陽光発電を行う場合、確定申告で青色申告を選択し、一定の要件を満たすことで最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。これは売電収入から経費を差し引いた所得金額から、さらに最大65万円を差し引ける制度で、大きな節税につながります。

サラリーマン向け|太陽光発電にかかる税金

サラリーマンが個人で自宅の屋根などに太陽光発電を設置したり、副業として投資したりする場合の税金について解説します。

所得の区分

  • 雑所得
    一般的な個人の副業や、自宅の屋根に設置した太陽光発電の余剰売電収入などは、多くの場合雑所得に分類されます。
  • 事業所得
    50kW以上の設備を設置しているなど、一定の規模や管理体制があり、事業として行っていると認められる場合は事業所得として申告できます。事業所得の場合、青色申告特別控除(最大65万円)が使えるなどのメリットがあります。

どちらに該当するかは個別の状況によるため、税務署や税理士に確認するとよいでしょう。

確定申告が必要なケース

給与所得者の場合、売電収入など副収入の所得金額の合計が20万円を超える場合は原則として確定申告が必要です。また、所得税の申告が不要でも住民税の申告義務が生じるケースがあります。

太陽光発電の節税におけるデメリット・注意点

太陽光発電で節税を考える際に、押さえておくべき注意点を解説します。

固定資産税がかかる

事業用として使用される太陽光発電設備は、規模にかかわらず固定資産税の課税対象となる場合があります。特に10kW以上の産業用設備では課税が一般的です。

毎年1月1日時点の所有状況を市町村に申告する必要があり、所得税や法人税の節税効果だけでなく、この新たな税負担も考慮して投資計画を立てる必要があります。

補助金を受け取った場合の会計処理に注意する

国や自治体の補助金を受けた場合、その金額を設備の取得価額から控除して、減価償却費を計算することができます。ただし、補助金の種類によって処理が異なる場合があるため注意が必要です。

税制の期限や条件を常に確認する

中小企業経営強化税制のように、税の優遇措置には期限が設けられています。制度がいつ終了したり、内容が変更されたりするか分かりません。国税庁や中小企業庁の公式サイトなどで常に最新情報を確認することが大切です。

売電収入の確定申告を忘れずに

売電収入は、事業所得または雑所得として課税対象です。経費を差し引いて一定の利益(20万円超)が出ている場合は、必ず確定申告をしましょう。申告漏れが発覚すると、本来の税金に加えて加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性があります。

太陽光発電を賢く活用し、税負担を軽減しましょう

この記事では、太陽光発電の節税効果を最大化するための具体的な方法について解説しました。

太陽光発電は、単なるクリーンエネルギー導入に留まらず、企業の財務戦略においても重要な役割を果たします。しかし、税制は複雑で改正も頻繁に行われます。最適な税金対策を講じるためには、信頼できる施工販売会社や税理士などの専門家と相談しながら、計画的に導入を進めることが成功への鍵となります。


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