• 更新日 : 2024年10月2日

青色申告とは?やり方・対象者を初心者や個人事業主・フリーランス向けに優しく解説

青色申告は、日々の取引を複式簿記(もしくは簡易帳簿)にて記帳し、その記帳に基づいて正しい確定申告をする制度です。青色申告特別控除などの各種制度があるため、白色申告よりも節税効果があります。

青色申告のやり方は【①青色申告承認申請書の提出→②確定申告書の作成方法を決める→③青色申告の提出書類を準備・作成する→④税務署に提出する】という流れで行います。

会社から独立してフリーランス(個人事業主)となった場合、毎年確定申告書を提出する必要が生じます。当記事では、青色申告とはどんな申告制度かといった基礎的な内容から、青色申告のやり方まで、分かりやすく丁寧に紹介します。

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なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。

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目次

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青色申告とは?

フリーランスが青色申告を選択するメリットは?

青色申告制度とは、毎日の取引を会計帳簿に記帳し、記帳に基づいて申告をすることで、所得計算などで税務上有利な取扱いが受けられる制度を言います。

青色申告をする場合には、その年の3月15日までに税務署へ「青色申告承認申請書」を提出します。その年の1月16日以降に開業した場合は開業の日から2ヶ月以内に申請書を提出します。

提出期限を過ぎてしまうと青色申告ができず、自動的に白色申告になってしまいます。

青色申告のメリットはたくさんありますが、特に青色申告特別控除所得金額から、10万円or55万円or65万円の控除)」、「青色事業専従者給与の必要経費算入」、「純損失の繰越しと繰戻しなどが、節税効果の高い特典です。

(詳しくは「青色申告のメリット」の見出しをご覧ください)

ただし、青色申告承認申請書を提出して終わりではなく、

  • 事業収支を記帳する
  • 決算書を作成し、税務署に提出(確定申告時)

といった対応が必要となります。

青色申告の期間について

確定申告のやり方は?いつ、どうやってする?

青色申告(確定申告)の期間は、毎年原則2月16日~3月15日です。

つまり2023年1月1日~12月31日分(令和5年分)の所得税の確定申告は、2024年2月16日(金)~3月15日(金)の間に行う必要があります。

個人事業主・フリーランスの青色申告のやり方

青色申告のやり方は、青色申告の承認を経たうえで、「日々の記帳」→「決算書類作成」→「申告書作成・提出」という流れが基本です。

以下では、青色申告のやり方をわかりやすく、順序がイメージできるように紹介します。

①青色申告承認申請書の提出

青色申告を希望するのであれば、青色申告承認申請書の提出も行います。

対象となる年の3月半ばまで(その年の1月16日以降に事業を開始した場合は事業開始の2カ月以内)に管轄の税務署に提出してください。ただ、忘れないようにするためには、できれば開業届と同時に提出することをおすすめします。

(無料)マネーフォワード クラウド開業届は「所得税の青色申告承認申請書」を簡単に作成可能です

手書きで青色申告承認申請書を作成する場合は、「青色申告承認申請書の書き方・作成方法」の見出しをご確認ください。

②確定申告書の作成方法を決める

青色申告の確定申告書の作成方法が主に4つありますので、どの方法で作成するかを決めます。

作成方法
  1. 確定申告書作成コーナーで作成
  2. 確定申告ソフトで作成
  3. 手書きで作成
  4. 税理士などの士業の方に依頼する

1.確定申告書作成コーナーで作成

確定申告書作成コーナー

引用:確定申告書等作成コーナー|国税庁

国税庁のWebサイトには、「確定申告書等作成コーナー」というサイトがあり、必要事項を入力するだけで青色申告の確定申告書を作成できるようになっています。

確定申告書作成コーナーのメリット
  • 画面の指示に従って入力を進めることで簡単に作成が可能
  • 納税額も自動で計算される
  • 収支計算が複雑ではない方、経費などが少ない方におすすめ

確定申告書等作成コーナーで作成した確定申告書は、印刷して税務署に直接持参する以外に、インターネット経由で税務署に送信する方法(e-Tax)、税務署に郵送する方法などがあります。

2.確定申告ソフトで作成

マネーフォワード クラウド確定申告

引用:マネーフォワード クラウド確定申告(※執筆日時点のイメージ画像)

確定申告ソフトは、申告書等の様式に則った入力画面に必要な項目を入力することで、申告用データを作成できるソフトです。

簿記や会計の知識がない方にも使用しやすく設計されているので、個人事業主・フリーランス・サラリーマンの副業を含め、青色申告の確定申告におすすめです。

確定申告ソフトのメリット
  • 直観的に使いやすく、簡単に確定申告書の作成・提出ができる
  • クレジットカードや銀行口座と連携できるので、スムーズに仕訳作業ができる
  • スマホで使えるソフトが多い
  • 確定申告が初めての方、個人事業主・フリーランスの方や、長期的に副業を行っていきたい方におすすめ

マネーフォワード クラウド確定申告

たとえば、マネーフォワード クラウド確定申告は、個人事業主や副業の方をはじめとして、青色申告を行う方に多く利用されている確定申告ソフトです。

3.手書きで作成

紙の確定申告書を使用して、手書きする方法です。

確定申告書の主な入手方法
  1. 税務署まで取りに行く
  2. 税務署から取り寄せる
  3. 確定申告の時期に設置される申告相談会場で入手する
  4. 自宅やコンビニエンスストアでプリントアウトする

紙の確定申告書は、計算ミスや記載ミスをしてしまうリスクが高く、実は初心者にはあまりおすすめできない方法です。一方で以下のようなメリットもあります。

手書きのメリット
  • 申告期間であれば、税務署に申告書を持ち込んで相談しながら作成できる
  • 時間はかかりやすいが、確定申告を行う達成感がある
  • パソコンが苦手な方や、税務署の方と慎重に確定申告をしたい方におすすめ

また、作成内容について質問がある場合には、税務署に直接相談することもできますし、電話で国税局電話相談センターなどを利用することができます。

参考:国税に関するご相談について|国税庁

4.税理士などの士業の方に依頼する

税理士に青色申告の代行をお願いすることも可能です。税理士への報酬はかかるものの、正確な内容で申告できる・節税が期待できる・様々な相談ができるといったメリットがあります。

青色申告を1人で行うのが不安な場合や、申告内容が複雑な場合は依頼を検討してみてもよいでしょう。

③青色申告の提出書類を準備・作成する

青色申告をするための提出書類は、次の3つです。

青色申告に必要な書類
  • 青色申告決算書
  • 確定申告書(原則として第一表、第二表)
  • 添付資料

※各書類の書き方については「青色申告の必要書類・提出書類と書き方」の見出しに記載しています

添付書類については、所得控除税額控除の内容によって変わってきます。

青色申告をする年分の純損失については、翌年以降3年間の所得の金額から繰越控除を受けることができます。この場合には、申告書第四表が必要です。

なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、確定申告書・青色申告決算書などの、青色申告に必要な書類が自動で作成できます。↓

青色申告決算書の画面

 

引用:マネーフォワード クラウド確定申告(※執筆日時点のイメージ画像)

④確定申告書などを期限までに税務署に提出する

青色申告をするための提出書類の準備ができたら、以下のいずれかの方法で確定申告書を提出します。

提出方法
  1. e-Taxによる電子申告
  2. 確定申告アプリでの電子申告
  3. 税務署窓口への持参
  4. 信書による郵送
  5. 税務署の時間外収集箱へ投函

55万円の特別控除に上乗せして10万円の特別控除を受けたいのであれば、原則としてe-Taxでの確定申告を行うか電子帳簿保存の必要があります。持参や郵送で提出の場合は、特別控除額は最大55万円となります。

また、確定申告書の提出日についても確認しておいてください。確定申告書の提出日は毎年2月16日~3月15日です(※上記の日付が土曜・日曜・祝日の場合は次の月曜日が期限日となります)。

e-Taxとは

電子申告は、税務署でも推奨されている方法です。

特にe-Taxは確定申告期間になると、土日祝を含む全日、24時間(メンテナンス時間を除く)利用できますので、忙しい人は電子申告が便利です。

また、マネーフォワード クラウド確定申告でもスマホアプリで確定申告書を作成し、アプリ内で提出することも可能です。(e-Taxでの電子申告や、窓口・郵送で提出にも対応しています。)

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青色申告の対象者は?

青色申告の対象者は?

青色申告の対象者は、「①所得区分が不動産所得、事業所得、山林所得のある者」かつ「②青色申告承認申請書をした者」です。

個人で事業活動を行い、法人設立をしていない個人事業主や、特定の会社に所属せずに契約に基づき働くフリーランスの収入は、事業所得として分類されます。このような個人事業主やフリーランスは、青色申告を選択して税務申告を行うことができます。

青色申告特別控除の対象者は?

青色申告のメリットは特別控除で節税効果が得られる点ですが、青色申告特別控除には最大65万円のほかに基本となる55万円、その下の10万円という3種類があります。

65万円の特別控除の対象者

65万円の特別控除を受けられる対象者は、複式簿記で記帳し、貸借対照表損益計算書を確定申告書に添付しており、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行っている者です。

マネーフォワード クラウド確定申告は「65万円の特別控除」に対応可能です

55万円の特別控除の対象者

複式簿記の記帳や添付書類は65万円の特別控除の要件を満たしているものの、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行っていない者は、55万円の特別控除となります。

10万円の特別控除の対象者

10万円控除の対象者は、65万円・55万円の特別控除に該当しなかった者です。つまり、65万円・55万円の特別控除を受けるためには複式簿記で記帳しなければなりませんが、10万円控除は簡易簿記の作成でかまいません。

また、確定申告で65万円控除を受ける場合、貸借対照表と損益計算書の揃った青色申告決算書を提出しますが、10万円控除では貸借対照表の作成義務はありません。

青色申告と白色申告との違い

青色申告と白色申告の違いは?

白色申告は、青色申告でない場合の申告方法を言います。

青色申告と違い、白色申告に事前申請は必要ありません。青色申告を期限内に提出できない場合、その年の確定申告は白色申告で行うことになります。

青色申告と白色申告との違いをまとめた表は、以下の通りです。

青色申告と白色申告との違い

青色申告と白色申告は、帳簿の記帳方法も異なります。青色申告は所得税の特別控除が受けられるなど節税効果のある特典がありますが、複式簿記で記帳することが条件です。複式簿記とは、2つの勘定科目を使い、お金の出入りと財産が増減した原因を同時に記録する方法です。

一方、白色申告も帳簿の記載自体は必要ですが、より簡易な方法で行えばよいとされています。白色申告で行う記帳は簡易簿記で、ひとつの勘定科目を使って現金の出入りを記録する方法です。簡単な方法で、複雑な簿記の知識も必要ありません。

マネーフォワード クラウド確定申告は「青色申告」「白色申告」両方対応!

青色申告と白色申告の帳簿保存期間の違い

しかし、平成26年1月からは白色申告であっても収入にかかわらず会計帳簿を作成し、会計帳簿や書類の保存が義務づけられました。したがって、それ以前ほど青色申告と白色申告の手間の差はなくなりました。

青色申告と白色申告における保存が必要な帳簿書類とその期間を比較すると次のようになります。業務取引で発生する場合は、これらの保管の義務が発生します。

【青色申告】

保存が必要なもの
保存期間
帳簿
仕訳帳総勘定元帳現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など
7年
書類
決算関係書類損益計算書、貸借対照表、棚卸表など
7年
現預金取引等関係書類領収証、小切手控、預金通帳、借用証など
7年※
その他の書類請求書見積書、契約書、納品書、送り状など
5年

※前々年分所得が300万円以下の場合は5年
現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳は青色申告の中でも簡易帳簿(青色申告特別控除額最高10万円)の標準的な帳簿を示しています。

【白色申告】

保存が必要なもの
保存期間
帳簿
収入金額や必要経費を記載した帳簿
7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿
5年
書類
決算に関して作成した棚卸表その他の書類
請求書、納品書、送り状、領収書などの書類
5年

出典:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁

青色申告の必要書類・提出書類と書き方

青色申告で提出する書類は、確定申告書と青色申告決算書の2種類です。各種控除を受ける場合は、控除関係書類も必要となります。

また、仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿は、7年の保存が必要です。

以下では、青色申告の必要書類の内容と書き方について解説します。

青色申告決算書(全4ページ)

青色申告決算書とは1年間帳簿を付けたものをまとめ、決算書としたものです。青色申告決算書には次の様式があります。
なお、現金主義様式を使用する場合は事前届出書の提出が必要です。

  • 一般用様式
  • 不動産所得用様式
  • 農業所得用様式
  • 現金主義用様式

フリーランス・個人事業主で事業所得を得ているのであれば「一般用様式」を使ってください。

青色申告-所得税青色申告決算書 令和5年 フリーランス・個人事業主

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
「所得税青色申告決算書」を加工して作成

  1. 年・住所・氏名・業種・屋号(ある場合)を記載します。
  2. 個人事業主は「1月1日~12月31日」と記載します。
  3. ①欄に売上金額を記載します。仕入等があった場合はその金額を「売上原価」欄に記載し、売上金額-売上原価の金額を⑦に書きます。
  4. 経費を記載します。合計金額を㉜に記載し、⑦-㉜の金額を㉝に書きます。
  5. 各種引当金・準備金等がない場合は㊸に㉝の金額を記載、そして㊹に「青色申告特別控除額」の65万円を記載します。(e-Taxによる申告、または電子帳簿保存を行っている場合)㊸-㊹の金額を㊺に記載します。

青色申告決算書は、基本的には作成した会計帳簿から転記します。各勘定科目の最終残高を1ページ目の損益計算書及び4ページ目の貸借対照表に転記します。

マネーフォワード クラウド確定申告では「青色申告決算書」を自動で簡単に作成できます。

青色申告決算書(2、3ページ)

2、3ページ目は、損益計算書の内訳として、次の項目を記載します。

  • 各月の売上高や仕入高
  • 給与賃金、青色専従者給与、貸倒引当金
  • 青色申告特別控除額の計算
  • 減価償却費の計算、利子割着器量の内訳、地代家賃の内訳
  • 税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳

など

青色申告決算書の書き方の詳細は、こちらの記事や動画もご参照ください。

確定申告書(第一表、第二表)

確定申告書を書くためには、まず資料集めから行わなければなりません。

たとえ1ヶ月でも給与があれば源泉徴収票は必要です。また、得意先から送付された支払調書、所得控除関係の資料など、事業だけでなく個人として支払いをしたものも含め、収集しておきます。

事業の収入金額や所得金額は、青色申告決算書から転記します。

2024確定申告書(令和5年分以降)第一表

確定申告書 第二表 令和5年 2024

引用:令和5年分以降 所得税及び復興特別所得税申告書|国税庁

その他の不明な点は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」などで調べたり、税務署に直接問い合わせたりして、確認しましょう。

また、利用期間が限られているのですが、国税庁のサイトにはチャットボット(ふたば)というAI(人工知能)を活用した、税務申告の自動回答サイトもあります。

確定申告書の書き方の詳細は、こちらの記事もご参照ください。

添付資料

年々、確定申告書に添付する資料は簡略化されてきています。

平成31年4月以降は源泉徴収票の添付が不要となりました。国民年金の支払証明についても添付を省略し、5年間手元で保管することも可能になりました。さらに、生命保険料控除などについても控除証明書を電子データで交付する動きが進んでいます。

しかし、医療費控除など明細書や資料の添付を必要とするものも残っていますので注意しましょう。

青色申告に必要な書類についての詳細は、以下の記事をご参照ください。

青色申告承認申請書の書き方・作成方法

所得税の青色申告承認申請書の書式は以下の通りです。書き方をご紹介します。

なお、無料で利用できる「マネーフォワード クラウド開業届」で、オンラインから簡単に作成も可能です。

所得税の青色申告承認申請書
出典:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
「所得税の青色申告承認申請書」を加工して作成

  1. 納税地住所を記載します。事務所がある場合は事務所の住所、自宅を仕事場にする場合は自宅住所を記載します。また、納税地住所以外に事務所がある場合は「上記以外の住所地・事業所等」欄に記載します。ない場合は不要です。
  2. 管轄の税務署を確認し、記載します。
  3. 氏名・生年月日を記載します。
  4. 開業届に記入した職業を記載します。
  5. 屋号を記載します。個人名で活動するなどで屋号がない場合は空欄のままで構いません。
  6. 後述の「青色申告承認申請書の提出」を参考に、適用可能年を記入します。なお、開業届と同時に提出する場合は、開業する年を記入してください。
  7. 「本店」と記入します。店舗がある方の場合は店舗名や屋号を記入しても構いません。
  8. 事業で所得を得る方の場合は「事業所得」にチェックします。
  9. 今まで青色申告承認取り消しを受けていない場合は「無」にチェックします。また、開業日が1月16日以降の場合はその日を記載してください。相続による事業継承の有無のチェックも忘れないようにしましょう。
  10. 「複式簿記」「簡易簿記」の選択をします。65万円控除の場合は「複式簿記」です。複式簿記の場合は備付帳簿名の「総勘定元帳」「仕訳帳」「固定資産台帳」「買掛帳」「売掛帳」などにチェックを入れてください。

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副業やサラリーマンの青色申告のやり方

副業やサラリーマンの青色申告のやり方も、流れは個人事業主のやり方と同様であり、事前に青色申告承認申請書の提出が必要です。

しかし注意したいのが、副業の収入は雑所得のことが多いですが、雑所得は青色申告が認められていない点です。青色申告はあくまで「事業所得、不動産所得、山林所得がある方」が対象なので、雑所得が事業所得として認められないと青色申告はできません。

事業所得は、事業主がリスクを負い、事業主自身の判断で事業を営み、その行為が反復継続して初めて「事業」であると客観的に認められます。それはたとえ他に業務があり、複業として実施しているものであっても同様の認識、事実があれば事業所得となります。

2024年(令和5年分)の青色申告で気を付けたい変更点は?

2024年の青色申告では、確定申告書や青色申告決算書の様式が一部変わっています。

そのため、ダウンロードする際は、令和5年分に対応したものを使いましょう。

マネーフォワード クラウド確定申告などの確定申告ソフトでは、基本的に毎年の様式にアップデートされるので、確定申告ソフトを利用して確定申告すると安心です。

2023年の変更点

ちなみに、2023年の確定申告では以下のような変更点がありました。

個人事業主・フリーランスが青色申告を行うメリット

個人事業主が青色申告を行う青色申告を行うメリットとして次の6つが挙げられます。

青色申告を行う6つのメリット
  1. 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
  2. 家事関連費や青色事業専従者給与を必要経費に算入できる
  3. 純損失(赤字)を最大3年間繰り越すことができる
  4. 貸倒引当金の繰り入れができる
  5. 少額減価償却資産を必要経費に算入できる
  6. 特別償却(割増償却)が認められる

青色申告特別控除

所得金額から、最高10万円又は最高55万円(e-Taxによる申告又は電子帳簿保存の場合は最高65万円)を控除することができます。

所得控除と税額控除について

ここで、「控除」について補足しておきます。控除は差し引くという意味ですが、税金の計算をする場合、所得税に限らず「所得控除」と「税額控除」があります。

「所得控除」とは、課税所得を減らすことができる制度であり、「税額控除」とは計算した所得税からさらに減らすことができる制度です。

家事関連費や青色事業専従者給与の必要経費算入

自宅で事業をするフリーランスの方もいるのではないでしょうか。青色申告では水道光熱費等の家事関連費を必要経費に算入することができます。ただしその際は、「事業で〇割、家事で〇割使用」と明確な根拠や基準を持って分ける必要があります。

また、青色申告者と生計を一にしている配偶者や15歳以上の親族がその事業に専従する場合には、支払った給与は「青色事業専従者給与」として、その事業の必要経費とすることができます。
ただし、あらかじめ税務署に届出が必要です。

※白色申告の場合も事業専従者控除で一定額は控除できます。

純損失の繰越しなど

青色申告では、個人事業主は不動産所得、事業所得及び山林所得で赤字が発生した場合、赤字分を翌年度から3年間繰り越しができます。例えば、今年度が赤字、前年度が黒字だった場合には、今年度の赤字を前年度の黒字で控除することも可能です。

また、租税特別措置法という時限立法では、青色申告を前提に新たな税務上の特典が加えられることが多いです。

一括貸倒引当金の繰入

将来、代金の未回収が起きる可能性もゼロではありません。その際の損失に備えられるのが「貸倒引当金」です。

貸倒引当金とは、未回収の恐れがある債権の金額分をその年の所得から減額できるというものです。青色申告では貸倒引当金の設定ができます。期末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額について繰り入れた貸倒引当金は、必要経費として認められます。

なお、未回収金が回収できた場合は、次年度の決算時に貸倒引当金分の戻入処理を行います。

少額減価償却資産の必要経費算入

取得価格が10万円以上の固定資産等を取得した際、減価償却をする必要がありますが、青色申告の場合、取得価格30万円未満であれば、取得した年に一括で経費計上が可能です。ただし、年間合計で300万円までです。

特別償却(割増償却)

次の場合にも減価償却費を普通償却分以外に、特別償却として認めるなどがあります。

個人事業主・フリーランスが青色申告を行うデメリット

青色申告のデメリットとして挙げられるのは、やはり正規の簿記の原則(一般には複式簿記)に従った記帳の煩雑さでしょう。さらに、貸借対照表の提出が求められ、一層ハードルが高く感じられるのかもしれません。

しかし、白色申告であっても記帳は必要です。青色申告のデメリットが貸借対照表の作成だけであれば、さほど大きなデメリットにはならないと考えられます。

特に、マネーフォワード クラウド確定申告などの、確定申告ソフトでは、貸借対照表をはじめとした、青色申告に必要な書類が自動で作成できるので、事業所得なのであれば基本的には青色申告を選ぶほうがおすすめです。

個人事業主・フリーランスの青色申告で経費にできる項目は?

フリーランス・個人事業主は青色申告の特典を活かした経費計上ができます。どのような項目を経費にできるのかを見ておきましょう。

フリーランスが経費にできる勘定科目

フリーランスが経費計上する際の主な勘定科目をご紹介します。

どの経費をどの勘定科目に振り分けるか、絶対の指定があるわけではない(毎度の振り分けが統一化されていれば良い)ので、あくまで参考として紹介します。

勘定科目
備考
租税公課事業のための税金関係事業税、自動車税、印紙税は租税公課として扱えますが、所得税、住民税国民健康保険税、相続税等は租税公課扱いにはできません。
修繕費事業に使う物品の修理費用事業に使う器具等を修繕する際の費用です。機能をグレードアップする修繕の場合は資産計上し、減価償却すれば経費扱いになります。
荷造運賃貨物運賃等貨物運賃費用以外に、梱包費用(ダンボール・ガムテープなど)も経費扱いにできます。
水道光熱費電気・ガス・水道料金事業に使った事務所の水道光熱費です。自宅が仕事場の場合は、事業で使った分を経費にできます。
保険料自動車保険・火災保険料など事務所の火災保険料、事業で使う自動車の損害保険料などです。
消耗品費事務用品、ガソリンなど事業に使った消耗品は経費にできます。パソコン等であっても、取得価額が10万円未満のものは消耗品費扱いにできます。
雑費どの科目にも属さない費用引っ越し費用、クリーニング費用など事業収入を得るための支出であれば経費にできます。
法定福利費雇用主として負担した社会保険料など個人事業主が5人以上の従業員を雇った場合に事業主が負担した社会保険料です。
給与賃金従業員に支払った給与など従業員(親族以外)に支払った報酬などです。
専従者給与生計を共にしている親族に支払う給与など青色申告事業者登録を行っており、事業に従事する親族がその年の12月31日時点で15歳以上、1年のうち6ヵ月以上事業に専従している場合に認められます。
※事業年度1年未満の場合は2分の1以上の期間
地代家賃事務所などの賃借料(家賃)、レンタルオフィスのレンタル料など事業で使う事務所の家賃などです。
自宅が仕事場の場合は、事業に使った割合分の家賃が経費扱いにできます。
外注費外部業者に支払った費用個人法人を問わず、外部業者に業務の一部を委託した場合に支払った費用です。
新聞図書費新聞・書籍・雑誌等に関する費用事業のために購入した書籍等の費用です。
支払手数料銀行の振込手数料、その他、支払った手数料など販売手数料、仲介手数料、代引き手数料も支払手数料に含まれます。
寄附金事業資金から出した寄附金個人事業主が寄附した分は経費にはなりません。ただし、「特定寄附金」の場合は寄附金控除の対象になります。
減価償却費固定資産の償却費資産計上した固定資産は一定期間で経費処理します。
旅費交通費電車・バスなどの交通費事業のために使った旅費及び交通費
通信費インターネット料金、電話料金、切手代など個人としても利用している場合は、事業で使った割合分の通信費を経費にできます。
広告宣伝費広告・宣伝等にかかった費用、販促にかかった費用直接顧客に会って宣伝を行う場合は「販売促進費」などとなります。
接待交際費顧客との飲食代、土産代など事業に直結する飲食代等の場合認められます。

按分が必要な経費について

自宅を仕事場にしている場合、水道光熱費や地代家賃を経費として計上できます。しかし、全額を計上するわけではありません。仕事場として利用する面積、利用している時間を計算し、利用している分だけを計上します。

例えば、自宅の面積のうち10%を事業で使っているのであれば、家賃の10%の金額を経費にできるということです。按分計算の根拠となった計算書も合わせて保管しておきましょう。

青色申告をする個人事業主は開業届を提出すべき?

個人事業主においては、開業届を提出していない人もいるかと思います。

もともとは給与所得者で副業で始めて事業を拡大した場合などは、開業日の特定が難しいと言えます。気付いた時点では開業届の提出期限を超えていたというケースもあるかと思います。

開業届は提出しなくても特に税務上のペナルティはありません。しかしながら、「青色申告承認申請書」には、開業日の記載が必要です。さらに、屋号による銀行口座の開設時には開業届の控えが必要となります。したがって、青色申告をする場合には、提出が遅れたとしてもやはり開業届を提出するほうがよいでしょう。

開業届の提出方法には、窓口持参、郵送、e-Taxなどの方法がありますが、どのような方法で提出するにせよ、控えを取得して提出した証拠を持っておきましょう。e-Taxで提出した場合には、「データを受け付けました」という文言が入ったメール文書が、受付印の代わりになりますので、保管しておいてください。

(無料)マネーフォワード クラウド開業届では「開業届」や「所得税の青色申告承認申請書」を簡単に作成可能です

開業届の書き方・提出方法についての詳細は以下の記事をご参照ください。

個人事業主・フリーランスが納める税金とは?

フリーランス・個人事業主が納める税金の種類には次のようなものがあります。

所得税国に支払います
税額は「収入-必要経費-各種控除」で算出された金額(所得額)を元に計算します
住民税都道府県と市区町村に支払います
消費税国に支払います
通常は2期前の課税売上高が1,000万円以上の時に支払います
令和5年10月からはインボイス制度が導入されるため、上記に加えてインボイス発行事業者が消費税を納税します
個人事業税都道府県に支払います
法律で定められた70の職種に対して課税されます
職種ごとに税率が定められています
※70の職種以外には課税されません

青色申告は難しい?初心者が簡単に青色申告するコツ

青色申告の難易度は、個人の経験や状況によって異なりますが、初めての方も1度行えば慣れてしまう方が多いです。

ただし、「会計帳簿の正しい記帳」「税務知識」などは最低限必要な項目です。青色申告の制度や税法に関する基本的な知識は押さえ、日常の収支の管理や、帳簿の整理などを行うようにしましょう。

青色申告に難しさを感じているか方や、青色申告に不安がある方は「青色申告ソフト(確定申告ソフト・会計ソフト)」の利用がおすすめです。

国税庁も「複式簿記による記帳に当たっては、市販の会計ソフトを利用することで、簡単にかつ負担なく記帳をすることができます。」と言及しており、複式簿記の知識に明るくなくても、簡単に青色申告が行えるようになります。

手書きで始めて途中から確定申告ソフトに移ることもできますが、月の仕訳が数十件を超えたら確定申告ソフトを検討するときだと言えます。

青色申告の帳簿付けには確定申告ソフトが分かりやすい

繰り返しますが、青色申告のためには正規の簿記の原則(一般には複式簿記)に従った会計帳簿が必要です。そのためにはすべての取引内容を仕訳しなければなりません。

手書き帳簿も不可能なことはありませんが、事業を運営する過程では取引内容を分析したり、資金繰り表を作成したりと、会計データを駆使して次の一手を考えるという場面に出くわします。それには、個々の取引をデータ化しておかなければなりません。将来の自分を守るためにデータ化するといっても良いでしょう。

最近のクラウド型の確定申告ソフトには、入力をサポートするさまざまな機能があります。慣れてくれば、銀行の入出金データとの連携機能を使うと、帳簿を付けることから幾分か解放されます。確定申告ソフトの中でもクラウド型のものは、月額費用のみなので導入しやすくなっています。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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よくある質問

青色申告とはなんですか?

青色申告とは、毎日の取引を会計帳簿に記帳し、記帳に基づいて申告をすることで、所得計算などで税務上有利な取扱いが受けられる制度を言います。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告のメリットはなんですか?

節税効果が高い「青色申告特別控除」「青色事業専従者給与の必要経費算入」などの特典があります。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告のデメリットはなんですか?

白色申告でも帳簿が必要であるため、特にデメリットはありません。強いて言えば、複式簿記を理解する手間が挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。


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