• 更新日 : 2025年2月20日

整骨院が法人化する目安は?会社形態やメリット、デメリットも解説

整骨院が法人化するには、売上と所得が目安になります。本記事を読めば「法人化する手続きがわからない」「整骨院が法人化するメリットは?」という悩みを解決できます。本記事で、整骨院が法人化する手続きや、法人化の注意点等について確認していきましょう。

整骨院が法人化する目安は?

整骨院が法人化する目安は、売上もしくは所得が一定の金額を超えたときです。

整骨院は一人で運営している個人事業主も多いですが、事業規模が大きくなってきた場合は法人化のメリットを活かしやすいでしょう。

今回は、法人化を考える目安として2つを紹介します。

  • 年間売上が1,000万円を超えたとき
  • 年間所得が800万円を超えたとき

年間売上が1,000万円を超えたとき

年間売上が1,000万円を超えたときに資本金1,000万円未満で法人化すれば、消費税の納税が最大で2年間免除されます。個人事業主が法人になると、事業年度が1年目からスタートされるため、消費税の課税事業者の判定期間である「基準期間」や「特定期間」が存在しないことが理由です。

ただし、インボイス制度の適格請求書発行事業者は、消費税が免税されるメリットを享受できません。

年間所得が800万円を超えたとき

年間所得が800万円を超えると、法人の節税効果が大きくなっていきます。所得税は、所得が増えるにつれて税率が上がる仕組みです。法人税の税率よりも高い場合、法人化した方が税負担が少なく有利だといえます。

所得税は最低5%から最高45%まで段階的に税率が上がっていきますが、中小企業の法人税の税率は15%または23.2%に抑えられるため、年間の課税所得を基に法人化を検討してみましょう。

整骨院が法人化するメリット

整骨院が法人化するメリットは以下の5つです。

  • 経費にできる幅が広がる
  • 節税の効果が期待できる
  • 決算期を自由に決められる
  • 有限責任になる
  • 赤字の繰越期間が延びる

ここから、それぞれの内容を確認しておきましょう。

経費にできる幅が広がる

法人化することで個人事業主に比べて経費にできる幅が広がります。

法人は代表者自身の給与を役員報酬として経費にできるため、定額などの要件はありますが事前に決めておけば課税所得を減らせます。

また、個人事業主の生命保険は所得控除に上限額が定められていますが、法人が契約している場合は保険料の全額を経費にすることも可能です。

節税の効果が期待できる

整骨院が法人化する目安でも紹介したとおり、所得が大きい事業者ほど所得税よりも法人税の方が安くなります。

また、所得税は超過累進課税で所得金額とともに税率も上がりますが、法人税は課税所得が年800万円以下の部分は税率が15%に、800万円を超えた部分は23.2%と一定の税率になるため、税率を気にしなくて良いのもメリットの一つでしょう。

決算期を自由に決められる

法人は個人事業主と違って、決算期を自由に決めることが可能です。確定申告は12月締めと決まっていますが、法人はどの月を締めの月に設定しても良いことになっています。

そのため、繁忙期を避けて閑散期を決算月にすることで、決算作業を効率化できるでしょう。その他にも、税金の支払い月などの大きな出費を考えて決めると、資金繰りが楽になるメリットもあります。

有限責任になる

個人事業主が法人化することで、事業の責任が有限となります。

法人の借りたお金が返済できなくなって廃業した場合、原則として社長個人は責任を負う必要がありません。個人事業主は借入の名義が個人名義であり、返済の責任も自分ですべて背負うことになります。

このように、法律上は法人と個人の財産は別人格として扱われますが、金融機関から融資を受ける際は基本的に社長の連帯保証人を求められ、社長は会社の債務を弁済する責任を負います。

赤字の繰越期間が延びる

法人になると、赤字の繰越期間が大幅に延びます。個人事業主の繰越期間は3年ですが、法人は10年間繰越が可能です。

大きな設備投資があったときは減価償却費の金額によって、単年で赤字になることもあり得ます。繰越期間が長ければ、将来黒字となった年の税額を抑えることができ、効率良く節税できるでしょう。

整骨院が法人化するデメリット

整骨院が法人化するデメリットは、以下の4つです。

  • 社会保険への加入が必要になる
  • 会計処理や税務申告に手間がかかる
  • 法人設立時に手間や費用が発生する
  • 赤字でも法人住民税の納税が必要になる

ここから、それぞれの内容を解説します。

社会保険への加入が必要になる

法人になると、社会保険の加入義務が発生します。個人事業主は従業員が5人未満の事業所には加入義務がなく、法人化の大きな変更点です。

社会保険は従業員が給与天引きで負担する金額と、法人で自己負担する金額を折半して支払う仕組みのため、追加のコストが発生します。

会計処理や税務申告に手間がかかる

法人化すると個人事業主に比べて、会計処理や税務申告に手間がかかります。社会保険の事務手続きや接待交際費の経費計上に上限が設けられるなど、個人事業主よりも計算方法が複雑です。

また、個人事業主は自身で申告可能でしたが、法人の決算に必要な書類は非常に煩雑で税理士に申告業務を依頼することが多く、税理士とのやり取りや顧問料も必須となります。

法人設立時に手間や費用が発生する

法人化の費用は株式会社が20万円前後、合同会社は10万円前後発生します。

自身で設立手続きをすると手間が発生してしまうため、税理士や司法書士に設立手続きの依頼をすることが一般的です。そのため、依頼費用が追加で発生することも踏まえると、設立全体でかかる費用はさらに多くなるでしょう。

赤字でも法人住民税の納税が必要になる

法人は個人事業主と違って、赤字でも法人住民税の納税が発生します。法人住民税には利益に応じて増加する所得割と利益に関わらず発生する均等割に分けられます。

均等割は地域や会社の規模に応じて変わりますが、最低でも7万円の納税が必要です。売上や利益が増えてから法人化を検討しますが、後に赤字になったときのデメリットについても覚えておきましょう。

整骨院が法人化する際の会社形態とは?

整骨院が法人化する際の会社形態は、医療法に基づいた医療法人にあたらず、株式会社や合同会社として設立します。

医療法人とは地域医療の担い手として設立された法人のことで、医療にかかわる業務のみ設立が可能です。医療法人社団と医療法人財団の2つがあり、医療法人財団は法人の設立数がかなり少なく、医療法人社団の設立が一般的です。

整骨院が法人化する流れや手続き

整骨院の法人化で必要な手続きは以下の5つです。

  • 会社概要の決定
  • 定款の作成・認証
  • 資本金の払い込み
  • 登記申請書類の作成
  • 会社設立登記

会社の設立日は、法務局に登記申請書類を提出した日となります。登記が完了した後、1週間から2週間ほどたった後に各種書類の申請が可能です。

登記事項証明書や印鑑証明書は提出頻度も多く、法人設立後の口座開設や融資申し込みなどで必要な書類となるため、早めに登記手続きを完了させましょう。

法人設立の流れについては、下記リンクを参照ください。

整骨院が法人化する際の注意点

整骨院が法人化した後は、個人事業の廃業手続きや社会保険の加入手続きなどが必要です。法人の設立は基本的な流れを理解し、ステップを踏んで進めることになります。設立後も提出する書類は多いため、すべてを自分でやることが難しければ、専門家に依頼しても良いでしょう。

また、経理業務が煩雑になるため、個人事業主のときと比べて税理士費用も増えます。法人化しても「思ったほど手元にお金が残らない……」といったことがないよう、法人化後に負担が増える費用についても事前に試算しておきましょう。

整骨院の法人化に役立つひな形・テンプレート

マネーフォワード クラウドでは、法人化や法人登記に役立つひな形・テンプレートを提供しています。下記リンクから無料でダウンロードできますので、自社に合わせてカスタマイズしながらご活用ください。

整骨院の事業計画書・創業計画書テンプレート

法人化するメリット5選

整骨院が法人化するメリットは以下の5つです。

  • 経費にできる幅が広がる
  • 節税の効果が期待できる
  • 決算期を自由に決められる
  • 有限責任になる
  • 赤字の繰越期間が延びる

個人事業主から法人化すると、社会的な信用度の向上が期待できます。経費にできる項目の幅が広がり、売上が増えても所得税より低い法人税率が適用され、税負担を抑えることが可能です。社会保険への加入義務が発生するなど事前にデメリットなども把握して、整骨院の法人化へ向けて準備を始めましょう。


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