• 作成日 : 2025年3月7日

個人事業主のパーソナルトレーナーとして開業するには?確定申告や経費も解説

個人事業主のパーソナルトレーナーとして開業する方法に、トレーニングジムを個人経営する方法と、独立して業務委託契約によりジムで働く方法があります。個人事業主になると、必要に応じて個人での確定申告が必要です。個人事業主のパーソナルトレーナーが開業する方法や確定申告の必要性について解説します。

個人事業主のパーソナルトレーナーとして開業する方法

個人事業主のパーソナルトレーナーとは、ジムに所属しない独立したトレーナーのことです。個人事業主として開業するために必要なことを紹介します。

必要な資格やスキルを習得する

結論からいうと、パーソナルトレーナーになるために必要な資格はありません。

パーソナルトレーナーとは、1対1で個人に栄養管理やトレーニングの指導などを行う仕事で、顧客の健康や体力づくり、ボディメイキングをサポートする仕事になります。顧客が目指す体づくりを実現するには、パーソナルトレーナーとしてのある程度の実績がないと、独立開業して売上を立てるのは難しい部分があるでしょう。

パーソナルトレーナーに関連する資格として、NESTA-PFT、NSCA-CPT、NSCA-CSCSなどがあります。また、独自のサポートができるように、専門学校や大学などでトレーニング科学や栄養学などを学ぶケースもあります。選ばれるパーソナルトレーナーになるには、スキルや資格などを身につけておくことも大切です。

開業届を提出する

開業届は、新規で事業所得、不動産所得、山林所得が生ずる事業を開始する場合に必要な手続きです。「個人事業の開業・廃業等届出書」を管轄の税務署に提出して事業の開始を知らせます。個人事業主としてパーソナルトレーナーの仕事を始める場合、パーソナルトレーニングで得られる収入は事業所得に該当すると考えられることから、開業から1カ月以内に開業届を提出する必要があります。

個人事業主のパーソナルトレーナーの働き方

個人事業主のパーソナルトレーナーの働き方として、自分で事務を経営する方法と業務委託で働く方法があります。

パーソナルジムを個人経営する方法

パーソナルジムを建てたり、自宅の一部をジムに改装したりして、パーソナルジムを個人経営する方法があります。自分だけのジムをつくりあげられるため、独自のメソッドに従ってマシンなどの機器をそろえられます。ただし、ジムの経営では水道光熱費や家賃などのランニングコストが発生するため、会員数を増やして費用以上に収入を増やしていかないと経営が厳しくなることがあります。はじめからジムをもつことが難しい場合は、貸しスタジオを活用するのも方法のひとつです。

パーソナルジムの業務委託で働く方法

パーソナルジムやフィットネスクラブと業務委託契約を結び、契約に従ってパーソナルトレーナーとして働く方法もあります。業務委託のメリットは、個人経営のようにジムを用意しなくても済むことです。

個人事業主のパーソナルトレーナーの年収

個人事業主のパーソナルトレーナーの年収について、公的な統計データはありません。正社員としてパーソナルトレーナーの仕事をした場合、年収300~500万円程度が目安とされているため、個人事業主も同程度かやや多いくらいが目安になるでしょう。なお、個人事業主の場合は、トレーニング料金をいくらで設定するか、どのくらいの顧客を抱えるかによって収入に開きがあります。例えば、10万円のプランを月10人にコンスタントに提供できた場合、年間1,200万円の収入を得られる計算になります。

個人事業主のパーソナルトレーナーが失敗しないためのポイント

パーソナルトレーナーが個人事業主として開業する場合に意識したい成功に役立つポイントを3つ紹介します。

個人契約のお客様を増やす

個人契約とは、顧客とパーソナルトレーナーがパーソナルジムなどを介さずに直接契約を結ぶことです。業務委託でパーソナルジムなどでトレーナーとして働いている場合、個人契約は収入を伸ばすための有効な手段となります。パーソナルトレーナー向けのマッチングサイトやSNSなどで情報を発信して顧客を得る方法もあります。

個人契約のなかでも、スポーツチームやアスリートと契約できるようになると、収入が大きく上昇する可能性があるでしょう。ただし、アスリート向けのパーソナルトレーニングはより専門的な知識が必要となることから、スキルや資格を日々研鑽しておくことが重要です。

効果的な集客方法を検討する

個人事業主のパーソナルトレーナーが安定的に収入を得られるようにするには、集客が重要です。ただし、いくら集客に効果的な方法を取り入れても、利用してみたいと思われなければ広告宣伝のコストばかりが膨らんでしまいます。

まずは、どのような層に向けてサービスを売り出していきたいのか、ターゲットを明確に定めることが大切です。競合になる周辺のジムとも比較して、変化を出せるようなターゲット選定を行います。サービスを訴求したい年代や性別などが定まったら、SNSが効果的か、チラシが効果的か、選択すべき集客方法も変わってきます。ターゲットがリーチしそうな方法に絞ってプロモーションを行うことが大切です。

開業後は忘れずに確定申告を行う

確定申告とは、個人の年間の所得金額や所得税の額を確定させるための手続きです。パーソナルトレーナーは独立して会社の所属から外れると、会社から所得税の精算手続きである年末調整を受けられなくなってしまいます。個人事業主であるパーソナルトレーナーは、年末調整の代わりに、自分で所得税の確定申告を行わなければなりません。

個人事業主のパーソナルトレーナーは確定申告が必要

個人事業主のパーソナルトレーナーは、事業での所得(収入から必要経費を差し引いた金額)があり、所得税が発生するような場合は、確定申告が必要です。1月1日から12月31日までの1年間の所得金額と所得税の申告を、原則として翌年の3月15日(土日祝の場合は次の平日が申告期限)までに行います。

年間の収入がパーソナルトレーナーによるものしかない場合で、事業全体が赤字になる場合は、確定申告は必要ありません。ただし、青色申告を選択している場合は、赤字が発生した年も確定申告をしなければ、翌年以降に赤字を繰り越せなくなってしまいます。個人事業主のパーソナルトレーナーは、基本的に確定申告が必要と考えるのが無難でしょう。

個人事業主のパーソナルトレーナーが経費にできる費用

個人事業主のパーソナルトレーナーが経費にできる費用には、下記のような項目があります。

勘定科目概要
工具器具部品トレーニングマシンなど1セット10万円以上する器具。資産に分類される器具は一度資産計上し、減価償却を通じて耐用年数にわたり必要経費に計上します。(取得価額30万円未満のものについては「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の適用で取得時に全額を費用にすることができます。)
地代家賃トレーニングジムとして場所や駐車場を借りている場合の毎月の家賃や駐車場代
水道光熱費トレーニングジムの電気や水道代など
消耗品費トレーニングジムに設置しているティッシュやトイレットペーパー、タオル、洗剤などの消耗品
通信費トレーニングジムに設置している固定電話の費用やインターネット利用料
研修費セミナー参加費など

個人事業主のパーソナルトレーナーが法人化すべきケース

個人事業主にかかる税金と法人にかかる税金は異なります。特に仕組みが大きく異なるのが、どちらも所得に対して課税される所得税と法人税です。下記の表のように、個人事業主に課される所得税は、課税所得金額が増加すると所得税率が段階的に上昇する超過累進課税となっています。対して、法人の所得に課せられる法人税率は、所得金額にかかわらず一律です。

パーソナルトレーナーの事業で得た課税所得金額が増えると、個人事業主で経営するよりも法人化したほうが税金面でのメリットを得られる可能性があります。

課税所得金額所得税率法人税率
195万円以下5%23.2%
※中小企業の所得800万円以下の部分は15%または19%
195万円超330万円以下10%
330万円超695万円以下20%
695万円超900万円以下23%
900万円超1,800万円以下33%
1,800万円超4,000万円以下40%
4,000万円超45%

出典:No.2260 所得税の税率|国税庁No.5759 法人税の税率|国税庁

なお、金融機関の融資は、個人事業主向けよりも法人向けのほうが上限金額は高い傾向にあります。今後、新たにトレーニングジムを建設するなどで多額の資金が必要になる場合は、法人化を検討すべきタイミングといえるでしょう。

個人事業主のパーソナルトレーナーは確定申告をしよう

パーソナルトレーナーの働き方は多様です。フィットネスクラブやパーソナルジムでパーソナルトレーナーとして雇用される以外に、自分でジムをもって経営する方法や業務委託でパーソナルトレーナーとして働く方法もあります。個人事業主のパーソナルトレーナーとして働く場合は、基本的に毎年確定申告が必要です。確定申告で経費計上などの漏れがないように、日々、会計ソフトなどを利用して記帳をするように心がけましょう。


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