- 更新日 : 2024年10月9日
ネットショップを開業するには会社設立すべき?法人化のメリットや手順、注意点を解説
これからネットショップを開業する人にとって、個人事業主で始めるか会社設立するかは大きな問題です。この記事では、ネットショップを開業する人に向けてそれぞれの方法のメリット・デメリット、どちらを選べばよいかの判断基準について解説していきます。
目次
ネットショップを開業するには会社設立すべき?
どちらにするのか悩む場合には、まずは個人事業主から始めることをおすすめします。法人から個人事業主に戻ることは難しいですが、その逆で個人事業主から法人化するのは比較的簡単だからです。
また、個人事業主から事業を始めた場合には、消費税の優遇期間が長くなる点も見逃せません。個人事業主から法人化した場合は、個人事業主で2年、法人で2年の合計4年間の消費税免税が受けられます。
個人事業主でネットショップを始めるなら、まずは開業届を提出しましょう。MoneyForwardクラウド開業届なら専門知識がなくてもフォームに従って入力すれば、スムーズに開業届が作れます。
逆に最初から会社設立したほうがよいケースとしては、起業してすぐに従業員を雇って大規模なビジネスを始めるような場合が挙げられます。法人のほうが経費として認められる範囲が広く、一定の売上規模があれば結果として得をする可能性が高いでしょう。
法人は自力で確定申告することが困難なため、必然的に申告業務を外注することになります。申告・経理業務を外注することで、経理事務に気を取られることなく経営に集中できる点もメリットです。また、法人化すれば信用力も上がり、金融機関からの資金調達もしやすくなるでしょう。
個人事業主から法人化を検討する場合は、まとまった利益(一般的には利益が800万円を超えることが目安)が出てきたら考え始めるとよいでしょう。法人化の手続きについて詳しく知りたい人は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
ネットショップを法人化するメリット・デメリット
ネットショップを法人化する際には、どのようなメリットとデメリットがあるのかについても知っておくことが大切です。
メリット
卸売業者から仕入れて販売する場合、卸売業者によっては個人事業主に販売しないケースもあるため注意が必要です。法人のほうが社会的信用を得やすいため、仕入や契約の際に不自由を感じる場面も少なくなるでしょう。
また、法人は個人事業主よりも金融機関から融資を受けやすくなります。ネットショップは仕入が先行して資金繰りに留意が必要となる業種です。資金繰りの中に融資を受ける選択肢があれば、事業拡大のための資金も用意しやすく効率的な事業運営が可能になります。
もう一つ、法人は認められる経費の幅が広いことも大きなメリットです。個人事業主よりも節税の方法が幅広くなるため、一定の水準以上の利益がある場合は、法人化したほうが手残りの資金を多くできるでしょう。
デメリット
法人化する時には登記などの会社設立費用がかかります。数十万円は必要なため、開業したばかりのネットショップにとっては決して安い金額ではありません。
また、冒頭でも少し触れましたが最初から法人にすると消費税の非課税期間が2年で終わってしまいます。個人事業主から法人化すれば合計4年の非課税期間を受けられるので、多くの場合では個人事業主から始めた方が金銭的メリットは多いでしょう。
もうひとつ、法人には個人事業主では存在しない「法人税の均等割」という税金が課されます。毎年7万円の税金が利益の有無にかかわらず発生するのは痛い出費です。
そのほかで意外な落とし穴になるものが、法人は基本的に自分で税務申告できない点です。自力で申告することは不可能ではありませんが、法人税は申告内容が複雑で個人事業主の確定申告に比べハードルが高くなります。よって、難易度や手間を考えると、お金を払ってでも税理士に頼んだほうが賢明でしょう。
ネットショップの会社を設立する手順
こだわりがなければまずは個人事業主がおすすめのネットショップですが、それでも会社設立したいという人向けに手順を解説します。
なお、これらの手順は個人事業主でも活用できるものです。「とりあえず」ではなくきちんとした形で事業を始めたい人は、手順に沿って開業準備を進めてみましょう。
1.商材を考える
まずは商材を考えます。すでに自分のお店があってネットショップを開設する人もいると思いますが、そうでない人にとって商材の決定は今後のショップのラインナップや雰囲気を決める重要なものです。食品、ファッション、雑貨、ホビー、コスメなどジャンルもさまざまなため、取り扱いたい商材と売れそうな商材の両軸からじっくり検討して決めていきましょう。
取り扱う商材によっては、自分で作るという選択肢もあります。お菓子やパンなどの食品、ハンドメイド雑貨販売で人気のショップもありますので、そうした可能性も含めて考えるのも面白いでしょう。
2.仕入ルートを検討する
ネットショップでは卸売業者などから安く仕入れて利益を乗せて販売することが、基本的なビジネスモデルになります。最近は、ネット上で仕入れできる仕入れサイトが充実しているため、まずは仕入サイトから始めてみるのもありでしょう。
ただし、ネット仕入れだけの場合、品揃えの差別化に限界が出てきます。そのような場合は、見本市などの商談に参加したり、工芸品やハンドメイド品の場合は作家と直接交渉したりして仕入ルートを開拓していくことがおすすめです。
3.ネットショップ開設サービスかモールか自社サイトか考える
ネットショップの構築には大きく次の3つの選択肢があります。
- ネットショップ開設サービス
- モール系ネットショップ
- 自社サイト構築
このうち最も手軽でコストがかからないものが、ネットショップ開設サービスです。固定費ゼロで売上に対して従量課金というサービスもあるため、売上が安定しない初期にはありがたいシステムです。ただし、集客力はほとんどないので自力で集客する必要があります。
集客力が弱いというデメリットをカバーしてくれるサービスがモール系ネットショップです。モール自体が顧客を抱えているため集客にさほど苦労しない点がメリットですが、月額出店料といった形で固定費が発生するので、負担できる範囲のコストかはよく検討しましょう。
最後に紹介するのが自社サイト構築という選択肢です。ゼロからネットショップを構築するため大きな初期投資と維持費がかかりますが、自分に合った形でサイトを構築できる点がメリットです。大きくビジネスを始めるなら自社サイトもありでしょう。
なお、会社設立の方法はネットショップでも一般的な会社設立の手続きと同じです。
以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
ネットショップを運営する際の注意点
ネットショップを運営する際に見落としがちな注意点についてまとめました。販売予定の商品に必要な許可申請がないかきちんと調べて、お客様が安心して買い物できるネットショップを作りましょう。
特定商取引法に基づく表示とは
特定商取引法とはネットショップを運営する事業者が守らなければならない法律です。ネットショップ上には必ず「特定商取引法に基づく表記」という必要事項を記載したページを用意する義務があります。
特定商取引法に基づく表示とは、具体的に以下のようなものです。
- 販売業者
- 運営統括責任者名
- 所在地
- 商品代金以外の必要料金の説明
- 申込有効期限
- 不良品の対応
- 販売数量
- 引渡し時期
- お支払方法
- お支払期限
- 返品期限
- 返品送料
- 資格・免許
- 屋号またはサービス名
- 電話番号
- 連絡先メールアドレス
ネットショップ開設サービスなどにはテンプレートが用意されているケースも多いので、記載漏れがないように有効活用しましょう。
輸入品を取り扱う際の届け出と許可申請とは
輸入品を取り扱う際には、国内の商品では必要とならないような許認可が必要になる場合があります。例えば、食品を輸入する場合、食品衛生法にもとづいた「食品等輸入届出」が必要です。
許認可の対応は、きちんと確認して対応しておかないと違法販売業者になってしまいます。輸入する商品によって規制が異なるため、商品ごとに調べて届け出や許可申請を行いましょう。
ネットショップ開業向けの事業計画書テンプレート(無料)
こちらから自由にお使いいただけるので、ぜひご活用ください。
・ネットショップの事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例
ネットショップの会社設立に向けて検討すべき内容は理解できましたか?
この記事では、ネットショップを開業するまでに検討すべき内容を紹介してきました。特に個人事業主にするか会社設立するかは悩みどころだとは思いますが、それぞれのビジネスの規模や形態によっても適切なスタイルが変わってくるため「自分だったらどうするか」をよく想像してみましょう。
個人事業主からネットショップを始める場合でも、まずは開業届を提出する必要があります。MoneyForwardクラウド開業届ならオンライン上で誰でも簡単に開業届が作成できますので、開業手続きにぜひご活用ください。
よくある質問
ネットショップを解説するなら法人と個人事業主どちらがいいか?
一長一短で断言できないが、悩むなら個人事業主がおすすめ 詳しくはこちらをご覧ください。
ネットショップを法人化するメリットは?
社会的信用が得やすい、金融機関から融資を受けやすい、認められる経費の幅が広く比較的節税しやすいなど 詳しくはこちらをご覧ください。
ネットショップを法人化するデメリットは?
会社設立費用がかかる(登記など)、自分で税務申告できない、法人税の均等割りがかかるなど 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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