• 作成日 : 2022年11月20日

個人事業主の税金が非課税になる条件とは?税金の種類ごとに解説!

個人事業主の税金が非課税になる条件とは?税金の種類ごとに解説!

個人事業主として事業活動をする際、気になることはやはり税金ではないでしょうか。さまざまな種類の税金があるなかで、どの税金がかかるのか、いくら稼いだらどのくらいの税金がかかるのか、あらかじめ知っておきたいところです。今回は、個人事業主にかかる「所得税、住民税、個人事業税、消費税」が「非課税」になるポイントについて解説します。

そもそも個人事業主の税金は非課税になる?

個人事業主の税金は、税金の種類に応じて一定以上の課税売上や所得(収入-必要経費)がある場合にかかってきます。そのため、一定未満の課税売上や所得(収入-必要経費)の場合は「非課税」となります。個人事業主にかかる「所得税、住民税、個人事業税、消費税」のそれぞれ「非課税」となる条件を確認しましょう。

個人事業主が納める税金の種類・計算方法は?

一定以上の課税売上や所得(収入-必要経費)がある場合に個人事業主が納める税金の種類や計算方法について解説します。

所得税

所得税は、毎年1月1日から12月31日までの所得を原則として翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告によって納税します。計算方法は、収入(売上)から必要経費を差し引いて所得を算出し、所得から基礎控除配偶者控除医療費控除など、要件に該当する十数種類の所得控除を差し引き、課税所得を求めます。課税所得の金額に対して最低税率5%から最高税率45%の税率をかけた額が税額です。

さらに、要件に該当する場合、住宅ローン控除などの税額控除を控除し納付税額を求めます。

住民税

住民税は、都道府県や市区町村が行う教育や福祉、行政サービスなどを維持するために必要な経費を分担して支払う税金で、1月1日現在の住所地に納税する税金です。

所得税の確定申告したデータを基に6月頃に役所から納税通知書が届くので、住民税額をコンビニエンスストアや口座引き落とし、クレジットカード払いなどで支払います。

計算方法は、所得税の計算と似ていますが、住民税は、課税所得に10%の税率をかけて求める「所得割」と、所得に関係なく全員に課される「均等割」が5,000円(市町村民税3,500円、道府県民税1,500円)あります。なお、所得割と均等割の税率は地域によって違いがありますので、注意しましょう。

個人事業税

個人事業税は、その名のとおり個人事業主にかかる税金です。一定の業種かつ一定以上の所得に該当すると、個人事業税を納める必要があります。前年の所得が290万円を超えた場合に、8月ごろに都道府県事務所から納税通知書が届くので原則2回に分けて納税します。

計算方法は、収入(売上)から必要経費を差し引いて所得を求めます。そして、最高290万円の事業主控除を引き課税所得を算出します。そのため、所得が290万円未満であれば、個人事業税は「非課税」です。税額は、課税所得に税率をかけて求めます。税率は、業種によって3%から5%の税区分となりますので、所得税や住民税に比べて税負担が軽い税金といえます。

消費税

消費税は、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるがどうかで決まります。この基準期間は「2年前」(前々年)のことを指します。基準期間において1,000万円を超えると、課税事業者として確定申告の義務が生じ、売上にかかった消費税(課税売上)から仕入れなどにかかった消費税(課税仕入)を差し引いて消費税額を納めます。

仮に、1,000万円を超えない場合は、次に特定期間の課税売上高を確認します。特定期間は「1年前の上半期」(前年の上半期)です。個人事業主の場合は1月から6月です。この特定期間の課税売上高が1,000万円を超えない場合は消費税を納める必要はありません。納税義務のない事業者を免税事業者といいます。課税事業者になった場合は、税務署に「消費税課税事業者届出書」を提出して翌年3月31日までに消費税額を納めます。

計算方法は、お客さまから預かった消費税から、事業者が仕入れや経費などで支払った消費税を差し引いて計算します。これを原則課税方式といいます。

そして、基準期間の売上が5,000万円以下の場合に選択できる簡易課税方式という方法があります。この簡易課税方式の場合は、事業者が仕入れや経費にかかった消費税額を計算しなくても、業種によって区分される「みなし仕入れ率(90%から40%)」を使って消費税額を求めることができる方法です。お客さまから預かった消費税額だけで、納税額が簡単に計算できるため簡易課税方式といいます。

個人事業主の所得税が非課税になる条件は?

個人事業主の所得税を少しでも減らすための策として有効な方法を解説します。

青色申告特別控除を利用する

所得には事業所得のほか不動産所得などもありますが、ここでは事業所得について見ていきましょう。

通常、事業所得を計算する際に収入(売上)から必要経費を差し引き計算しますが、事前に青色申告届出書を提出しておくことで、最高65万円の青色申告特別控除を控除することができます。具体的には、事業収入がある方が事業を継続して実施していること、申告期限を守り、帳簿をしっかりつけ、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行うことで65万円の控除を受けることが可能です(e-Taxによらない申告の場合は55万円)。また、簡易帳簿において記帳し、貸借対照表を添付しない場合であっても10万円の控除を受けることができます。青色申告特別控除は、いわゆる必要経費の上乗せでもあるので、利用できる方は青色申告届出書を提出しましょう。

所得税が非課税になる条件は、ご自身の家族構成などの状況によって異なりますが、独身の場合、収入(売上)から必要経費と青色申告特別控除を差し引いた所得が48万円以下であれば、全員一律で控除ができる所得控除の基礎控除が48万円引けますので、結果的に所得税が非課税となります。青色申告特別控除額「65万円、55万円、10万円」の違いによって非課税となる所得の金額が異なる点に注意しましょう。

所得控除の勤労学生控除を利用する

勤労学生控除とは、働きながら学校に通う学生の税負担(所得税、住民税)を軽減する制度です。所得税や住民税の計算において、収入(売上)から必要経費を差し引いて合計所得を算出し、そこから個人的な事情に関する所得控除を控除して課税所得を求め、課税所得に税率をかけて納付税額を求めます。この勤労学生控除は所得控除に該当します。

所得税では、収入(売上)から必要経費と青色申告特別控除を差し引いた合計所得が75万円未以下で一定の要件を満たせば、勤労学生控除として27万円の控除を受けられます。つまり、この勤労学生控除を利用することで、税負担を軽減して手取り額を増やすことができるわけです。ただし、親の扶養に入っている場合は、合計所得が48万円を超えると扶養から外れてしまい、親の税負担が増える可能性があるので注意が必要です。

収入(売上)から必要経費と青色申告特別控除を差し引いた合計所得が75万円以下であれば、所得税が非課税となります。合計所得から差し引く所得控除の基礎控除48万円と勤労学生控除27万円の合計75万円を合計所得から差し引くことができますので、結果的に所得税が非課税となります。

個人事業主の住民税が非課税になる条件は?

次に、個人事業主の「住民税」が非課税になる条件について解説します。

青色申告特別控除を利用する

住民税の計算において、青色申告特別控除を利用して住民税額を減らすことができます。青色申告特別控除額は上記の所得税で確認した金額と同じ「65万円、55万円、10万円」のいずれかです。住民税の所得割はほぼ10%」の税率ですので、例えば、65万円の青色申告特別控除を受けられる方は6万5,000円の節税効果があります。

収入(売上)から必要経費と青色申告特別控除額を差し引いた合計所得が43万円以下であれば、合計所得から差し引く所得控除の基礎控除が43万円なので、住民税の所得割が非課税となります。また、均等割については、原則、所得にかかわらず課税されます。

※自治体によって家族構成や扶養人数の違いなどにより計算が異なる場合がありますので、詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。

所得控除の勤労学生控除を利用する

上記の青色申告特別控除に加えて、勤労学生控除を利用することによって、手取りを増やすことができます。住民税の勤労学生控除額は26万円です。

収入(売上)から必要経費と青色申告特別控除額を差し引いた合計所得が69万円以下であれば、合計所得から差し引く所得控除の基礎控除43万円と勤労学生控除26万円なので、原則、住民税の所得割は非課税となります。また、均等割については、原則、所得にかかわらず課税されます

※自治体によって家族構成や扶養人数の違いなどにより計算が異なる場合がありますので、詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。

個人事業主の個人事業税が非課税になる条件は?

個人事業主の個人事業税が非課税になる条件を解説します。

特定の業種は非課税になる

個人事業税は個人事業主にかかる税金です。業種の区分によって税率が「第1種事業(3%)」、「第2種事業(4%)」、「第3種事業(5%もしくは3%)」と異なり、国税庁が示している業種区分に該当しない業種は、非課税となります。

個人事業主の消費税が非課税になる条件は?

基準期間(2年前)の課税売上高と特定期間(1年前の上半期、1月~6月)の課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税の免税事業者として非課税となります。そのため、個人事業をスタートして2年間は、原則、消費税がかからないということになります。

資本金が1,000万円以上の会社を設立した場合は、売上にかかわらず1年目から課税事業者となりますので、注意が必要です。

税金が非課税にならない場合でも節税対策は可能!

青色申告特別控除や勤労学生控除などのさまざまな特例を利用しても、所得が多い場合は税金がかかります。とはいえ、できるだけ税負担は少なくしたいところです。

会社員やアルバイトなどの給与所得者は必要経費が収入金額によって確定しますが、個人事業主の必要経費は原則自由です。そのため、事業活動に必要な仕入れや経費は必要経費として計算できます。レシートや領収書はしっかりと保管しておきましょう。

非課税となるボーダーラインを確認しよう!

個人事業主にかかる税金の非課税になる所得金額のボーダーラインを確認しておきましょう。特に意識をしておきたいのは住民税です。お住まいの自治体によって細かく計算が異なりますが、仮に住民税が非課税であれば、そのほかの税金も非課税となるでしょう。

しかし、節税ばかりを意識して収入(売上)が下がってしまっては本末転倒です。収入(売上)と節税の両方を意識して活動をしましょう。

よくある質問

個人事業主の税金は非課税になる?

個人事業主にかかる税金(所得税、住民税、個人事業税、消費税)において、一定の所得(所得税は48万円、住民税は43万円)以下であれば、原則、課税されません。詳しくはこちらをご覧ください。

個人事業主の所得税が非課税になる条件は?

家族構成などによって異なりますが、独身の場合、収入(売上)から必要経費と青色申告特別控除(65万円、55万円、10万円)を差し引いた所得が48万円以下であれば、所得税が課せられません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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