- 作成日 : 2025年8月30日
投資会社とは?日本・世界の大手一覧と怪しい会社の見分け方、個人投資会社設立まで解説
近年の資産形成への関心の高まりを受け、投資会社という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、その具体的な役割や証券会社との違い、どの会社を選べば良いのかを正確に理解している方は少ないかもしれません。また、一定の資産を持つ方の中には、個人で投資会社を設立するという選択肢を検討するケースも増えてきています。
この記事では、投資会社の基本的な仕組みから、国内外の主要な会社ランキング、個人が利用する際の注意点、さらには自分で投資会社を設立する方法まで分かりやすく解説します。
目次
投資会社とは
投資会社の最も基本的な役割は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きなまとまり(ファンド)にし、専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券、不動産などに投資・運用することです。そして、その運用によって得られた利益を、投資額に応じて投資家に分配します。
投資会社は、この運用を代行する対価として、投資家から信託報酬などの手数料を受け取ります。これにより、個人では難しい多様な資産への分散投資を可能にし、専門的な知見に基づいた運用を実現します。
銀行や証券会社との違い
投資会社は、銀行や証券会社としばしば混同されますが、その役割は明確に異なります。
銀行の主な役割は、預金と貸付です。私たちから預かったお金を、企業や個人に貸し出すことで利益を得ています。一方、証券会社は投資家と市場をつなぐ仲介役です。株式や投資信託などを売買したい投資家からの注文を受け付け、取引を成立させることが主な業務です。
投資会社は、資金を運用すること自体を専門としており、投資信託などの金融商品を企画する役割を担っています。
投資会社の種類
投資会社は、投資対象や手法によっていくつかの種類に分類されます。
- 資産運用会社(アセットマネジメント会社)
最も一般的な投資会社です。投資信託を組成し、個人投資家を含む幅広い層から資金を集めて株式や債券などで運用します。私たちがNISAなどで目にする投資信託は、主に資産運用会社が運用しています。 - ベンチャーキャピタル(VC)
未上場のスタートアップ企業に投資する会社です。企業が成長して上場(IPO)した際に株式を売却し、大きなリターンを狙います。ハイリスク・ハイリターンな投資が特徴です。 - プライベート・エクイティ(PE)ファンド
既に成熟した企業の株式を取得し、経営改善などを通じて企業価値を高めた後に売却して利益を得ます。 - ヘッジファンド
市場が上がっても下がっても利益を追求する「絶対収益」を目指すファンドです。デリバティブなど高度な金融技術を駆使し、主に富裕層や機関投資家を対象としています。
個人が投資会社を利用するメリット・デメリット
個人が投資会社を利用する、つまり投資信託などを購入することには、メリット・デメリットの両方があります。
メリットとしては、専門家による運用が挙げられます。投資の知識や時間がない人でも、プロに資産運用を任せることが可能です。また、少額からでも世界中の様々な資産に分散投資ができる点や、NISAなどを通じてオンラインで手軽に始められる点も魅力です。
一方でデメリットとしては、コストがかかることが挙げられます。運用を代行してもらうための手数料、特に信託報酬が発生します。さらに、元本が保証されているわけではないため、市場の変動によっては投資した資産の価値が元本を下回るリスクがあることも理解しておく必要があります。
日本の大手投資会社
日本の資産運用業界は、証券会社や銀行を母体とする投資会社が多くを占めています。それぞれの企業が持つ独自の特徴や強みを理解することで、自分に合った投資会社を選ぶことができます。
- アセットマネジメントOne
みずほフィナンシャルグループと第一生命ホールディングスが出資する国内トップクラスの規模を誇る資産運用会社です。伝統的な投資信託から機関投資家向け商品まで幅広い金融商品を提供しています。 - 野村アセットマネジメント
野村グループの中核企業として豊富な実績と情報収集力を有し、幅広い層の個人投資家から機関投資家に至るまで、多彩なニーズに応える商品ラインナップを展開しています。 - 三菱UFJアセットマネジメント
日本最大の金融グループである三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の一員であり、安定した経営基盤と、特に低コストのインデックスファンドシリーズ「eMAXIS Slim」が個人投資家に人気です。 - 大和アセットマネジメント
大和証券グループに属し、伝統的なアクティブ運用型ファンドから低コストのインデックスファンドまで、さまざまなタイプの商品を提供しています。長年培った運用ノウハウが特徴です。 - 日興アセットマネジメント
ETF(上場投資信託)分野に強く、特に個人投資家の間で認知度の高い商品を多く運用しています。日本国内だけでなく、海外投資家向けの商品の取り扱いも積極的です。
世界の大手投資会社
世界に目を向けると、日本とは比較にならない規模で資産運用を展開する巨大な投資会社があります。グローバル市場において圧倒的な影響力を持つ代表的な投資会社の特徴を紹介します。
- ブラックロック(米国)
世界最大規模を誇る資産運用会社であり、ETFブランド「iシェアーズ」は世界的に著名です。高度なリスク管理と革新的な金融商品開発力で知られ、世界中の機関投資家や個人投資家から信頼を集めています。 - バンガード(米国)
低コストのインデックスファンドのパイオニアとして知られ、世界各国の個人投資家に手頃なコストで資産形成の機会を提供しています。特に長期投資を前提としたシンプルな商品設計が特徴です。 - フィデリティ(米国)
アクティブ運用に強みを持つ資産運用会社であり、専門性の高いファンドマネージャーが株式や債券市場で積極的な運用を行います。顧客サービスや投資家教育にも力を入れています。 - ステート・ストリート(米国)
機関投資家向けの商品開発とサービス提供に定評があり、世界で最も古く有名なETFのひとつ「SPY(SPDR S&P500 ETF)」を運用しています。年金基金などの機関投資家に特に強い基盤を持っています。 - JPモルガン・チェース(米国)
銀行業務を含む世界的な総合金融グループであり、資産運用部門では幅広い資産クラスを対象とした多様な金融商品を提供しています。特にグローバル市場の深い分析力とリスク管理力が評価されています。
信頼できる投資会社の選び方
大切な資産を預ける投資会社が運用する商品は、慎重に選ぶ必要があります。
- 金融庁の登録業者か確認する
金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で必ず確認し、無登録の業者との取引は控えましょう。 - 手数料(特に信託報酬)を比較する
手数料は長期的なリターンに大きく影響します。同じような投資対象のファンドであれば、手数料が低いものを選ぶのが基本です。 - 過去の運用実績を確認する
将来の運用成果を保証するものではありませんが、その会社やファンドのリスク管理能力・運用哲学を判断する重要な材料になります。 - 投資対象を理解する
どのような国や資産に投資しているか(投資信託の目論見書で確認可能)を理解し、自分のリスク許容度に合っているかを見極めましょう。 - 情報開示の透明性をチェックする
月次レポートなどで運用状況を丁寧に説明しているかなど、情報開示の姿勢も信頼性を判断するポイントです。
怪しい投資会社を見分ける方法
残念ながら、投資の世界にはリターンを求める人の心理につけ込む悪質な業者も存在します。怪しいと感じたら、絶対に話を進めないでください。
よくある詐欺的な手口
詐欺的な手口にはいくつかの典型的なパターンがあります。
例えば、「元本保証」や「月利〇%確実」といった言葉を使う勧誘です。金融商品の取引で元本や高い利回りを保証することは法律で禁止されており、この言葉が出たら100%詐欺と考えても良いでしょう。
また、未公開株や海外の有望事業といった、一般には手に入らない特別な情報があるかのように見せかけて射幸心を煽るのも典型的な手口です。さらに、電話やSNSで執拗に勧誘してきたり、「今だけ」「限定〇名」などと契約を急がせたりするのも、相手に冷静な判断をさせないための常套手段です。
被害に遭わないためのチェックリスト
大切な資産を守るために、以下の点を確認しましょう。
- 金融庁の登録業者か
金融庁が公開している「免許・許可・登録業者一覧」で確認することが必須です。 - 会社の所在地や連絡先は明確か
住所が架空であったり、連絡先が携帯電話のみの場合は危険です。 - 契約を急かされていないか
「今だけ」「限定〇名」などと決断を急がせるのは、冷静な判断をさせないための手口です。 - お金の振込先が個人名義ではないか
通常、法人口座など事業者名義の銀行振込が基本です。個人名義の口座への振込を指示された場合は詐欺の可能性が非常に高いです。
これらの点に一つでも当てはまれば、その会社との関わりはすぐに断ちましょう。
自分で投資会社を設立する方法
ある程度の金融資産を持つ個人投資家の中には、節税などを目的に自身の資産管理会社、いわゆる「個人投資会社」を設立するケースがあります。
個人投資会社を設立する手順は、一般的な株式会社や合同会社の設立手続きと同様です。
設立には、登録免許税や定款認証手数料などの実費で、合同会社なら約6万円から、株式会社なら約20万円からの費用がかかります。
個人投資会社設立のメリット
個人投資会社を設立する最大のメリットは、税負担を軽減できる可能性がある点です。
個人投資会社設立後の運営と注意点
会社設立はゴールではありません。設立後は、たとえ赤字でも法人住民税の均等割(最低でも年間約7万円)が発生し、毎年の決算・法人税申告が義務付けられます。税務や会計の処理は複雑なため、税の専門家である税理士と顧問契約を締結して運営するのが一般的です。
設立・維持にはコストと手間がかかるため、ご自身の資産規模や得られる節税メリットを慎重に比較検討することが不可欠です。
正しい知識で自分に合った資産運用を
本記事では、投資会社の基本的な役割から国内外の大手企業、怪しい業者の見分け方、そして個人での会社設立に至るまで、幅広く解説しました。
投資会社は、専門的な知見を活かして私たちの資産形成をサポートしてくれる心強い存在ですが、その種類や特徴は様々です。また、個人で投資会社を設立するという選択肢も、一定の条件下では有効な手段となり得ます。
最も重要なのは、正しい知識を身につけ、ご自身の目的や資産状況に合った方法を選択することです。この情報が、あなたのより良い資産運用のための判断材料となれば幸いです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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