1. 開業届作成ソフト「マネーフォワード クラウド開業届」
  2. 開業届の基礎知識
  3. 確定申告しない、申告不要な人でも開業届は必要?
  • 更新日 : 2021年6月11日

確定申告しない、申告不要な人でも開業届は必要?

確定申告しない、申告不要な人でも開業届は必要?

新しく事業を開始する場合、管轄の税務署に開業届を出す必要があります。売上も十分で事業として安定しているなら当然、届出の必要があると判断できるでしょう。

しかし、確定申告をしなくてもよいような少額の利益しかない場合はどうでしょうか。確定申告しない場合、つまり確定申告が必要ない場合であっても開業届を税務署に出さなければならないのでしょうか。

この記事では、確定申告が必要ない場合の開業届の必要性と関連性、注意点を解説していきます。

確定申告の必要がなくても開業届は必要なのか

確定申告が不要でも開業届は必要なのでしょうか。開業届をするべき対象者を踏まえ、確定申告の有無との関係性をまずは解説していきます。

開業届をするべき人

確定申告と開業届の関係性について解説する前に、開業届をするべき人はどのような人なのか確認しましょう。国税庁の「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」において、手続きの対象者となっているのは、事業を新たに開始した人、事業所などを新設・増設・移転・廃止した人、事業を廃止した人です。

このうち開業のみを取り出すと、新たに事業をはじめた人、事業は開始していないものの事業のために新たに事務所や事業所を開設した人が、開業届をすべき人と判断できます。実際には、事務所開設と事業の開始はほとんど同時に行われることが多いため、事業開始のタイミングに合わせて開業届を出すことが多いです。

確定申告と開業届に関連はない

確定申告をしなければならない人は、基本的に合計所得から所得控除などを差し引いた時、所得税額のある人、つまり税金の納付が必要になる人です。

開業届は、事業を開始する場合に必要な届出ですので、納税額がある場合に必要な確定申告とは、なんの関連性もないことが分かります。

確定申告が不要でも開業届が必要なケースもある

確定申告の有無と開業届に関連性がないことを考えると、確定申告が必要ない場合でも、開業届が必要なケースはあると考えられます。つまり、冒頭の、確定申告をしない場合でも開業届が必要なのかという答えは、必要なケースもあるです。

確定申告の有無を中心に考えるのではなく、開業届が必要な事業の開設などがあった場合は、確定申告も必要になるケースもあると考えた方が良いでしょう。

個人事業主会計期間は1月1日から12月31日の1年間ですので、例えば12月に開業したら事業所得が発生する期間は1カ月(1年のうちほかに所得はなかったとします)です。1カ月の間、確定申告するほどの所得が発生しなければ確定申告しないケースもありますので、この場合、確定申告しなくても開業届は必要なケースだといえます。

確定申告が必要な人は?

はじめに開業届と確定申告の関係性、開業届が必要な人について説明しましたが、理解を深めるために確定申告が必要な人についての代表的な例も確認しておきましょう。

複数から給与所得を受けている人

本業のほかにアルバイトやパートなどで副業をしていて、複数から給与所得を受け取っている場合、年末調整を受けなかった給与収入が20万円を超えたら確定申告が必要です。(※給与の全部が源泉徴収の対象になっている場合に限られます)

会社員で給与所得以外に該当する副業をしている人

会社から給与収入がある会社員で、副業が給与所得に該当しない、例えば業務委託で仕事をした場合は所得が20万円を超えた時、確定申告が必要です。

公的年金を受給している人

老齢基礎年金や老齢厚生年金など、公的年金を受給している場合も、確定申告が必要なケースがあります。原則は、公的年金等の雑所得から所得控除などを差し引いた時に課税額があれば確定申告することとなっています。

ですが公的年金等の場合、収入金額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合において、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である時は確定申告の必要はありません。

退職金を受け取った人

退職所得は、退職所得の受給に関する申告書を勤務先に提出していれば、分離課税で支給時に源泉徴収されることから、基本的に確定申告の必要はありません。退職金を受け取った場合で確定申告が必要なのは、源泉徴収されない外国企業から退職金を受け取ったケースです。

そのほかの所得で課税額がある人

公的年金受給者、給与所得や退職金の受け取りがあった人以外については、事業所得などすべての所得を集計して、所得控除を差し引いたあと所得税額がある(配当控除があれば残額がある場合)時、確定申告が必要です。

確定申告には青色申告と白色申告がある

確定申告には、青色申告白色申告があります。青色と白色、どちらで申告を行うかは、多少なりとも開業届にも関連してくることです。この項では、青色申告と白色申告の概要を紹介します。

青色申告制度

所得税の青色申告制度とは、税法に従い、納税者が正しい申告をするための制度です。ただし、青色申告をしないからといって、正しい申告をしなくても良いということにはなりません。

しかし、正確な申告のためには一定水準の記帳が必要ですし、会計上の手続きには複雑な面もあります。青色申告は、一定水準を満たした正しい申告をした人を対象に所得税の特典を認めた制度です。

なお、青色申告をする場合には、青色申告を受けようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に事業を開始した場合はその事業開始後2カ月以内)に税務署長に青色申告承認申請書を提出する必要があります。

青色申告以外の確定申告

白色申告制度というものはありませんが、青色申告制度を利用した青色申告以外の確定申告は、一般的に白色申告といわれます。

白色申告であっても正しい申告が求められますが、青色申告とは違い、簡易的な記帳、簡易的な会計上の手続き(単式簿記)が認められています。

青色か白色かは選択式

青色申告と白色申告を比較すると、青色申告は正式な手続きが必要であるものの所得税の特典がある方法、白色申告は特典がないものの簡易な手続きが認められる方法といえます。青色申告は、不動産所得、事業所得、山林所得のある人に認められた制度で、対象者についてはどちらの申告方法を選択するか、納税者側での選択が可能です。

開業届が必要な人は、事業を開始した人ですが、事業の対象になるのは、青色申告と同じ、不動産所得、事業所得、山林所得に限られますので、リンクする部分でもあるといえます。

事業者で確定申告が必要ないケースとは?

開業届が必要でも、確定申告が必要ないケースもあると上記で説明しました。事業者に該当する場合であっても確定申告が必要ない場合とは、具体的にどのようなケースがあげられるのでしょう。青色申告、白色申告にかかわらず、確定申告が必要なケースについて説明します。

事業をはじめる準備は進めたが年度末までに事業を開始しなかった

事業をはじめる準備は進めたものの、年度末までに事業を開始しなかった場合は、確定申告の必要はありません。なお、このケースでは事業も開始していないので、開業届の提出もまだ必要ないということになります。

所得額が所得控除を下回ったため税金が発生しない

事業開始後、順風満帆に利益が出るとは限りません。事業拡大のための設備投資などで支出のうち費用になる部分が大きかったり、売上が落ち込んだりした場合、所得(益金から損金を引いた額)が思うように上がらないこともあります。

所得から控除される基礎控除社会保険料控除など、所得控除を差し引いた額がゼロまたはマイナスになる時は、所得税の対象になる課税所得はゼロになります。この場合、所得税が発生しませんので、確定申告は必要ありません。

ただし状況によっては確定申告した方が良いケースもある

確定申告が不要な場合であっても、状況によっては確定申告をした方が良いケースもあります。所得税の還付がある時です。例えば、同年度に源泉徴収された所得税があれば、確定申告によって還付を受けることができます。

また、金融機関から融資を受ける場合や、各種補助金・助成金の申請の際は確定申告書の提出は必須事項となりますので、確定申告をしておいた方が良いでしょう。

確定申告の必要ない専業者、副業者の届出の扱いは?

ここまで、事業者(不動産所得、事業所得、山林所得のある人)であっても、確定申告が必要ないケースもあると説明しました。それでは、確定申告の必要がない専業者の場合、副業者の場合で、開業届の必要性は変わってくるのでしょうか。

専業者なら開業届が必要と考えられる

事業所得、不動産所得、山林所得、のいずれかの所得が発生している人で、事業に専業している人なら事業者と認められますので、開業届が必要と考えられます。前述のように、確定申告の有無は関係ありません。

副業の開業届の必要性はケース・バイ・ケース

副業については、開業届が必要かどうかは微妙なところです。不動産所得、事業所得、山林所得、いずれかの所得があり事業として行っているのであれば開業届が必要ですが、同じような仕事内容でも事業と判断されないことがあります。

例えば、ブログを運営して広告収入を得ている場合です。事業として行っていないなら雑所得になりますが、事業として行っているのであれば副業でも事業所得になります。

会社員の副業と開業届については「副業する会社員も開業届は必要?提出のメリット・デメリットとは」で解説していますので、参考にしてください。

確定申告の必要がなくても開業届をするべきケースもある

確定申告の有無は、開業届が必要かどうかの判断にはほとんど関係ありません。確定申告の必要がなくても、開業届を出さなければならないケースもあります。確定申告に引っ張られず、開業届が必要な対象者であるかどうかに注目して判断しましょう。開業届が必要なのは、不動産所得、事業所得、山林所得のある人のうち、事業を開始した人です。

(参考)

国税庁|No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

国税庁|No.2070 青色申告制度

国税庁|No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度

国税庁|確定申告が必要な方

国税庁|[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

よくある質問

確定申告の必要がなくても開業届は必要なのか?

確定申告の有無と開業届に関連性がないことを考えると、確定申告をしない場合でも開業届が必要なケースもあります。詳しくはこちらをご覧ください。

事業者で確定申告が必要ないケースとは?

事業をはじめる準備は進めたが年度末までに事業を開始しなかった場合や、所得額が所得控除を下回ったため税金が発生しない場合があります。詳しくはこちらをご覧ください。

確定申告の必要ない専業者、副業者の届出の扱いは?

専業者なら開業届が必要と考えられますが、副業の開業届の必要性はケース・バイ・ケースとなります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

マネーフォワード クラウド開業届で開業手続きをかんたんに

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。