- 更新日 : 2025年7月23日
開業届をオンライン(e-Tax)で提出するやり方は?スマホやパソコンの操作方法を解説
個人事業を始めたら、開業から1カ月以内に開業届を出さなければなりません。とはいえ、開業直後の忙しい時に、税務署に行く時間はなかなか取れないのではないでしょうか?
現在は、税務署に行かずにオンラインで簡単に開業届を提出する方法があります。本記事では、オンラインでの開業届提出のメリットと具体的な手順を詳しく解説します。
\スマホで簡単に開業届を作成・提出/
目次
開業届の提出方法は3種類
開業届とは、新たに個人事業を開始したことを税務署に知らせるための書類です。開業届を提出することで、正式に個人事業主として認められます。
開業届の提出方法は、オンライン、郵送、税務署窓口への持参の3つがあります。
1. オンライン(e-Tax)で提出する方法
国税庁のオンラインサービスであるe-Taxを使用し、オンラインで税務署に提出する方法です。
「マネーフォワード クラウド開業届」なら、フォームに沿って必要な情報を入力したのち、パソコンやスマホから簡単に電子申告(e-Tax)ができます。
最短5分、インターネットで完結するので、個人事業主やフリーランスの方など、非常に多くの方にご利用いただいております。
\スマホで簡単に開業届を提出/
2. 郵送で提出する方法
国税庁のホームページから開業届の様式をダウンロードし、管轄の税務署へ郵送する方法です。郵送を利用することで、わざわざ税務署まで行かずに済みます。
e-Taxはマイナンバーカードなどが必要なので、オンラインで作成し、郵送で送る方も多くいます。ただし郵送代がかかるので、マイナンバーカードを持っている人はe-Tax・オンラインでの提出をおすすめします。
3. 税務署の窓口に持参する方法
税務署の窓口に直接持って行く方法です。国税庁の公式サイトから、お近くの税務署を検索することができます。
- 開業届(+開業届の控え)
- マイナンバーカード
※マイナンバーカードがない場合は、本人確認書類+マイナンバー通知カードなど - その他、提出が必要な書類(青色申告承認申請書など)
窓口に持参すれば、記入漏れなどがあってもその場で直すことができます。ただし、税務署の開庁時間は、平日の8時30分から17時までとなっているので、平日忙しい場合にはあまり適さない提出方法です。
また、税務署には開庁時間以外にも書類を提出できる時間外収受箱が設置されており、休日や夜間にも投函可能です。切手も不要なので、税務署が近くにある方は、時間外収受箱に投函するのも1つの手です。
開業届をオンライン(e-Tax)で提出するメリット
開業届をオンライン(e-Tax)で提出するメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- 24時間いつでも提出が可能
- 簡単に作成できてそのまま提出が完了する
- 提出した履歴を確認できる
1. 24時間いつでも提出が可能
1つ目のメリットは、税務署の開庁時間に左右されず、24時間いつでも提出が可能な点です。
通常、税務署の開庁時間は8:30から17:00までとなっており、土日祝日と年末年始(12月29日から1月3日)がお休みです。
オンラインでの提出であれば、日中の忙しい時間に税務署や郵便局に向かう必要がありません。自宅や事業所から、時間に縛られることなく提出することができるのです。
2. 簡単に作成できてそのまま提出が完了する
2つ目のメリットは、フォームに入力するだけで簡単に開業届が完成し、そのままオンラインで提出まで完了する点です。
開業届をダウンロードして印刷する必要はなく、作成した書類をそのまま提出できるので、移動する手間を省くことができます。
また、郵送代がかからないので、時間とコストを削減することが可能です。
3.提出した履歴を確認できる
3つ目のメリットは、開業届を提出した履歴が明らかになる点です。
郵送の場合は、簡易書留やレターパックプラスで配達状況を追跡する必要がありますが、オンラインで提出した場合、送信履歴やメッセージの受信履歴が残ります。これにより、いつ提出し、いつ税務署へ届いたのか明らかになります。
開業届をオンライン(e-Tax)で作成する方法
e-Taxソフトで開業届を作成する際は、e-Taxソフトのインストールが必要です。
近年では、ソフトのインストールが不要でオンライン上で利用できる、民間企業の開業届作成サービスも多くあり、デザインや使いやすさが初心者向けに設計されているのが特徴です。
マネーフォワード クラウド開業届(サービス利用料0円)の場合、ソフトのインストールなどは一切必要なく、オンライン上でいくつかの質問に答えるだけで簡単に開業届の作成・提出ができます。
\電子申告でラクに開業届を提出/
画像:マネーフォワード クラウド開業届(執筆時点の情報なので、実際の画面表示は異なる場合があります)
e-Taxソフトを利用するための準備
e-Taxソフトを利用して開業届を提出するには、パソコンとインターネット環境、マイナンバーカードやICカードリーダライタ(もしくは、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン)が必要になります。
さらに、以下のような事前準備も必要となります。
- e-Taxを利用するために、利用者識別番号と呼ばれる16桁のID番号を取得する必要があります。
- e-Taxのホームページから開始届出書を作成・送信すれば、利用者識別番号を取得できます。
- 取得方法① WEBからマイナンバーカードを使ってアカウントを登録する
- 取得方法② WEBから利用者識別番号を取得する
- 取得方法③ マイナポータルの「もっとつながる」機能からe-Taxを利用する
- 取得方法④ WEBからID・パスワード方式の届出を作成・送信する
- 取得方法⑤ 税務署に行って、ID・パスワード方式の届出を作成・送信する
- 取得方法⑥ 書面で利用者識別番号を取得する
- インターネットを通じて申請等をする場合、送信時に本人であることを証明しなければなりません。このために用いられるものが電子証明書です。
- 電子証明書は電子的に本人であることを証明するもので、印鑑証明書と同じ意味のものです。電子証明書はマイナンバーカードに格納されているので、通常はマイナンバーカードを使います。
- e-Taxで開業届を提出するためには、e-Taxソフトが必要になります。
- e-Taxのホームページの「各ソフト・コーナー」からe-Taxソフトをダウンロードし、インストールします。別途税目のインストールも必要になるため、「所得税」を追加します。
\マネーフォワード クラウド開業届は、簡単3ステップで開業手続きができる/
e-Taxソフトで開業届を作成
e-Taxで開業届を作成・提出する流れは以下の通りです。
- e-Taxソフトを立ち上げ
- 申請・申告等一覧の中から「個人事業の開業・廃業等届出書」を選択
- 必要事項を入力
- ICカードリーダライタをPCに接続してマイナンバーカードをセット
- マイナンバーカードを読み取り、電子署名を付与して送信
なお青色申告をする場合には、同様に「所得税の青色申告承認申請書」も入力・送信します。
e-Taxで開業届を送信すれば、メッセージボックスに受信通知が届きます。これにより、開業届のデータが税務署に到達したことが確認できます。
開業届をオンライン(e-Tax)で提出する場合の注意点
便利なオンライン提出ですが、いくつかデメリットや注意点もあります。事前に確認しておきましょう。
事前準備に手間や費用がかかる場合がある
オンライン提出にはマイナンバーカードが必須です。まだ持っていない場合は、申請から受け取りまでに時間がかかります。
また、パソコンで提出する場合、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンがなければ、別途ICカードリーダーを購入する費用と設定の手間が生じます。
安定した通信環境とセキュリティ対策が必須
当然ながら、オンラインでの手続きには安定したインターネット環境が不可欠です。また、マイナンバーなどの重要な個人情報を取り扱うため、利用するパソコンやスマホには、ウイルス対策ソフトを導入するなど、利用者自身で十分なセキュリティ対策を講じる責任があります。
書類の不備や記入漏れに気づきにくい
窓口での提出と違い、その場で担当者に記載内容をチェックしてもらうことはできません。そのため、万が一記入漏れや書類の不備があった場合、提出した後にe-Taxのメッセージボックスに届く通知で初めて気づくことになります。
メッセージボックスを定期的に確認する習慣がないと、エラーの通知を見落とす恐れがあり、修正や再提出が遅れてしまう可能性があります。
控えはその場で受け取れない
開業届を窓口や郵送で提出する場合、控えを添付して税務署の受領印をもらうことができます。一方、オンライン提出では紙の控えはその場で発行されません。控えの代わりとなる受信通知と提出データのPDFを、自分で忘れずに保存・印刷しておく必要があります。
開業届を郵送で提出する方法
開業届を郵送で出せば、書類を封筒に入れてポストに投函するだけですから、インターネットでやり方を探すよりも意外と手間がかかりません。ただし、ミスがあればやり直しになってしまうことがあります。書類漏れや書き間違いがないかよく確認してから送りましょう。
郵送先
開業届を郵送する宛先は、納税地を管轄する税務署です。個人事業主の場合、納税地は原則自宅の住所地になります。
税務署の管轄や住所は、国税庁のホームページで調べることができます。
郵送するもの
以下のものを封筒に入れて郵送します。
- 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)
国税庁のホームページから用紙をダウンロードし、必要事項を記入します。 - 開業届の控え
開業届と同じ内容を記載した届出書(控用)またはコピーを控えとして作成し、同封します。税務署の受領印が押された控えが返送されます。 - 返信用封筒・返信用切手
受領印が押された開業届の控えの返送用に、自分の住所を書いて切手を貼った返信用封筒を同封しておきます。 - マイナンバー確認書類・本人確認書類
開業届にはマイナンバーを記載する必要があるため、マイナンバー確認書類(通知カード※、住民票など)と本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)の両方の写しが必要になります。マイナンバーカードを持っている場合には、マイナンバーカードの写しだけでかまいません。
※通知カードは令和2年5月に廃止されていますが、カードに記載された氏名、住所などが住民票に記載されている内容と一致している場合は、番号確認書類として利用できます - 青色申告承認申請書
開業時に青色申告承認申請をする場合には、「所得税の青色申告承認申請書」とその控えを同封します。
郵送の仕方
開業届を郵送する際には、本人確認書類の写しなど重要なものも同封します。
そのため郵便物が間違いなく税務署に届いたかどうかも確認できた方が確実ですので、簡易書留・レターパックなど追跡可能な方法で送りましょう。
控えを同封し忘れた場合の対処法
開業届の控えは、銀行で屋号の口座を開設する時などに必要になる場合があります。
そのため、もし控えを同封し忘れた場合には、税務署に「保有個人情報開示請求書」を出して写しを発行してもらい、控えにすることができます。
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開業届と同時に提出すると便利な書類
開業時には、開業届以外にも提出しておくと節税などの面で有利になる書類があります。これらの書類もオンラインで同時に提出できます。
所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は、個人事業主が確定申告を青色申告方式で行うために必要な書類です。マネーフォワード クラウド開業届なら、青色申告承認申請書の作成・提出もオンラインで可能です。
青色申告を行うためには事前にこの申請書の提出が必須であり、提出期限を過ぎてしまったり、開業届のみを提出している場合は、白色申告を選択するしかありません。
既に白色申告をしている個人事業主も、この申請書を提出することで、白色申告から青色申告への切り替えが可能です。
青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
生計を共にする配偶者や15歳以上の親族に給与を支払い、それを経費として計上したい場合に、青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書を提出します。この届出がないと、家族への給与は経費として認められません。開業時から家族に給与を支払う予定がある場合は、開業届と一緒に提出しましょう。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員を雇用する場合、預かった源泉所得税を原則として毎月納付する必要があります。源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出すれば、給与を支払う従業員が常時9人以下の場合に限り、納付を年2回(7月と翌年1月)にまとめられます。事務手続きの負担を大幅に軽減できるため、対象となる場合は提出をおすすめします。
給与支払事務所等の開設届出書
従業員を雇用する場合は、1か月以内に給与支払事務所等の開設届出書の提出が必要となります。マネーフォワード クラウド開業届なら、給与支払事務所等の開設届出書の作成・提出もオンラインで可能です。
なお、開業届の「給与等の支払の状況」欄を記載している場合には、提出不要です。
開業届の提出に関してよくある質問
開業届を提出するにあたって、よくある質問とその回答とまとめました。
マイナンバーカードがないと、オンライン提出はできない?
オンライン提出(e-Tax)の基本となるマイナンバーカード方式を利用するには、原則として、電子証明書が搭載されたマイナンバーカードが必須です。マイナンバー通知カードだけでは、本人確認ができないためオンライン提出は行えません。
もしマイナンバーカードがない場合は、事前に税務署で本人確認を行いIDとパスワードを発行してもらうID・パスワード方式を利用する方法もあります。
パソコンで提出する場合、ICカードリーダライタは必要?
いいえ。マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンがあれば、ICカードリーダライタの代わりとして使用できます。パソコンの画面に表示されるQRコードをスマートフォンのアプリで読み取り、連携させることで提出が可能です。
開業届の提出期限はいつまで?
開業届は、事業を開始した日から1カ月以内の提出が必要です。ただし、期限を過ぎてしまっても提出することはできます。なお、開業届を出さないままでも罰則はありません。
また、開業届を出していなければ、確定申告の際に青色申告を選択できません。そのため、開業届は青色申告承認申請書と一緒に期限までに出すようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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