- 更新日 : 2022年9月21日
 
輸入ビジネスで起業する方法や必要なことについて解説
輸入ビジネスとは、海外で商品を仕入れ、日本で販売して利益を得るビジネスのことです。貿易業での起業に特別な許認可は必要なく、越境ECの発展により個人で輸入ビジネスを起業する方が増えています。手続きを理解すれば比較的簡単に行えますが、輸入禁止品目や不良品発生時の保険など、注意すべき点もさまざまです。
本記事では、輸入ビジネスで起業する方法や流れ、注意ポイントなどを解説します。輸入ビジネスでの起業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
輸入ビジネスとは
輸入ビジネスとは、海外から商品や原材料などを輸入し、それを日本で販売することです。売値から仕入れ値と経費を引いた額が収益になります。仕入れには、海外の販売サイトを利用する方法と、直接買い付けに行く方法があります。
輸入ビジネスで利益を上げる方法は、大きく以下の2つです。
- 販売量を増やす
 - 日本で高く売れるものを少量販売する
 
個人で輸入ビジネスを起業する場合、販売量の拡大には限界があるため、日本で高く売れるものに絞ってビジネスを行うのが有効な戦略と言えます。
貿易業とは
輸入ビジネスは貿易業に該当します。貿易業とは、商品の輸出入を行う業界のことです。輸出業と輸入業どちらも手がける会社もあれば、どちらかに特化している会社もあります。
貿易業は、1人が小規模で始めるものから、企業がコンテナを使って大量に商品を輸出入するものまで、規模は実にさまざまです。近年は、特に越境ECの発達によって、個人が貿易業で起業しやすくなっています。
輸入ビジネスで起業する方法
輸入ビジネスでの起業にあたり、特別な許認可は不要です。しかし、取り扱う品目によっては、輸入許可が必要なものもあります。以下のような品目には注意しましょう。
- 医薬品・化粧品など
 - アルコール類
 - 食品全般
 - 家電製品
 - 中古品
 - 水産物
 - 薬劇物
 
税関のホームページに輸出入禁止品目や規制品目が掲載されているので、必ず確認してください。
また、個人輸入であっても輸入通関が必要です。輸入通関とは、以下のような輸入に関する一連の手続きのことを指します。
- 税関に対して輸入申告を行う
 - 所定の審査・検査
 - 関税・消費税等を納付
 - 輸入許可を受ける
 
輸入手続きでは、輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)を利用し、ネット上で電子申告手続きを行う方法が一般的です。電子広告は、通関業者の専用システムからアクセスして行う必要があります。そのため、個人で輸入手続きを行う際は、通関業者に申告手続きを依頼することが必要です。
輸入ビジネスで起業する流れ
輸入ビジネスで起業する流れは以下のとおりです。
- 商品の選定
 - 商品の発注
 - 税関で輸入通関手続き
 - 販売準備
 - 開業
 
輸入ビジネスで成功するためには、商品の選定がポイントです。さらに、輸出入が禁止されている商品でないかを確認し、輸入通関手続きにも注意しましょう。販売準備や開業自体は、そこまで難しくはありません。以下では、それぞれのステップについて詳しく解説します。
商品の選定
まずは、取り扱う商品を選定しましょう。規模の拡大に限界がある個人ビジネスの場合、日本であまり売られていないものやニーズが高いものなど、希少価値の高い商品を選定するのがおすすめです。
商品の選定方法には、実際に現地の見本市や展示会などで選ぶ方法だけでなく、海外のECサイトで選ぶ方法もあります。前者は実物を確認して選定できるため安心ですが、交通費や時間がかかるのは難点です。また、後者は商品を気軽に選べますが、実物を見られないというデメリットがあります。
商品の発注
取り扱う商品を選んだら、仕入れ先を決定し、発注しましょう。発注時は以下のポイントに注意が必要です。
- 最低注文数
 - 仕入れ額の見積もり
 - 日本へ輸出できるか
 
特に、日本へ輸出できるかは重要なポイントです。商品によっては、その国で輸出が禁止されている場合もあれば、日本で輸入が禁止されている場合もあります。輸出入には国によってさまざまな禁止項目が定められているため、必ず禁止されていないかを事前に確認しましょう。
税関で輸入通関手続き
輸入した商品を受け取るためには、税関で輸入通関手続きが必要です。輸入通関は、輸入貿易の管理や関税の徴収、貿易統計の作成などを目的に行われます。
課税総額が20万円以下の場合は運送業者が代行してくれますが、20万円を超える場合は自身で行う必要があります。関税が発生した場合は、運送業者や郵便局・銀行などで支払いを行いましょう。また、税関が必要と判断した場合、現物検査が行われることもあります。
販売準備
商品が揃ったら、販売準備を行いましょう。販売サイトを作成したり、ECモールに出店したりすることで、販売体制を整えます。販売サイトを自作すれば、好きなようにサイトを設計できます。ただし、サイト作成のスキルやノウハウが必要になるため、初心者の方はECモールの利用がおすすめです。
最近では、サイト作成をサポートしてくれるサービスや、簡単にECサイトを構築できるサービスも増えているため、ぜひ利用してみてください。
開業
輸入販売事業を開始する場合は、法人を設立するパターンと個人事業主として開業するパターンがあります。
法人設立のメリットは、社会的な信用をより得やすくなる、大規模な取引を行いやすくなる、などです。
法人を設立するためには、登記を行います。登記の際は、登記申請書の作成や定款、資本金の払込証明書、役員就任承諾書といった書類を準備し、法務局に提出しましょう。提出日が会社設立日になります。なお、登記の書類は司法書士に作成を依頼することが一般的です。
会社設立の手順や手続きについて、詳しくはこちらをご覧ください。
また、個人で輸入販売事業を展開するなら、個人事業主として開業するのがおすすめです。個人事業主になることで、青色申告を行えるようになり、税務上のメリットを受けられます。個人事業主として開業する場合に必要な手続きは以下のとおりです。
- 個人事業の開廃業等届出書を提出する
 - 青色申告承認申請書を提出する(青色申告を行う場合)
 - 国民年金・国民健康保険に加入する
 
「個人事業の開廃業等届出書」を開業から1ヶ月以内に税務署に提出すれば、費用負担なしですぐに開業できます。
開業についての詳細は、以下の記事を参考にしてください。
輸入ビジネスに必要な資金
輸入ビジネスに必要な資金は、販売する商品や数量・方法によって異なります。ネットショップ販売の場合は、テナントが不要なので初期費用が少なく済む点はメリットです。
必要な資金の目安として、商品の仕入金額が挙げられます。輸入品を仕入れてから手元に届くまで、2週間ほど必要です。また、配送トラブルや不良品などで販売が遅れてしまうリスクもあります。クレジットカード払いの場合、支払い日が購入時点よりも後にくるため、販売が遅れて売上が入らないと、仕入額を支払えなくなるリスクがあるのです。そのため、最低でも仕入量に応じた金額を用意したうえで、事業を始めましょう。
輸入ビジネスの注意点
輸入ビジネスを始める前に、以下の注意点について理解しましょう。
- 輸入禁止品目に該当していないかを確認する
 - PL保険への加入
 
輸入禁止品目は、関税法で定められています。違反すると処罰の対象になるため、必ず確認してください。禁止品目は以下のとおりです。
- 麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚醒剤、あへん吸煙具
 - 指定薬物(医療等の用途に供するために輸入するものを除く。)
 - けん銃、小銃、機関銃、砲、これらの銃砲弾及びけん銃部品
 - 爆発物
 - 火薬類
 - 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第2条第3項に規定する特定物質
 - 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第20項に規定する一種病原体等及び同条第21項に規定する二種病原体等
 - 貨幣、紙幣、銀行券、印紙、郵便切手又は有価証券の偽造品、変造品、模造品及び偽造カード(生カードを含む)
 - 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
 - 児童ポルノ
 - 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
 - 不正競争防止法第2条第1項第1号から第3号まで又は第10号から第12号までに掲げる行為を組成する物品
 
また、PL保険とは生産物賠償責任保険のことで、消費者が受けた損害賠償責任を保障するための保険です。商品が不良品だった場合は、輸入者が責任を負う必要があります。万が一に備えて、加入しておくと安心です。
輸入ビジネスでの起業は、手続きと禁止品目の理解が重要
本記事では、輸入ビジネスでの起業を検討している方に向けて、輸入ビジネスで起業する方法や流れ、注意点などを解説しました。個人でも始めやすい輸入ビジネスですが、手続きと輸出入禁止品目について注意する必要があります。不安な点は、税関のサイトを参照したり適宜問い合わせたりして、公正なビジネスを行えるようにしましょう。
よくある質問
輸入ビジネスとは何?
輸入ビジネスとは、海外で商品を仕入れ、日本で販売して利益を得るビジネスのことです。直接海外で買い付けたり、海外のECサイトで商品を購入したりして商品を仕入れ、販売します。詳しくはこちらをご覧ください。
輸入ビジネスでの起業での注意点は?
商品が輸入禁止品目に該当しないか注意しましょう。輸入禁止品目は関税法で定められており、違反すると処罰の対象になります。薬物や爆発物、特許権を侵害するものなどさまざまな品目が該当します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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