• 更新日 : 2021年6月11日

開業する人必見!青色申告か白色申告か?違いと選び方を解説

開業する人必見!青色申告か白色申告か?違いと選び方を解説

事業を開始したら、毎年所得や税額を計算し、確定申告をしなければなりません。確定申告には青色申告白色申告の2つの方法があります。

それぞれメリット、デメリットがありますので、違いを知っておきましょう。本記事では、青色申告と白色申告の違いや選び方について説明します。

青色申告と白色申告の違い

個人事業主が確定申告する場合、青色申告と白色申告の2つの方法があります。それぞれの申告方法の概要を知っておきましょう。

青色申告なら税務上の特典を受けられる

個人事業主は確定申告をする前提として、日々の取引を帳簿に記録しておく記帳義務があります。青色申告を選ぶ場合には、白色申告よりも複雑な方法で記帳を行わなければなりません。

その代わりに、青色申告では白色申告にはない税務上の特典が受けられるしくみになっています。

青色申告にも2種類ある

青色申告で税金を計算する際には、「青色申告特別控除」として、所得から一定額を控除できます。青色申告は、控除額によって、「55万円(または65万円)控除」と「10万円控除」の2種類に分かれます。※55万円と65万円の違いについては後述

各申告方法の大まかな違いは、次の表のようになります。

青色申告
(55万円・65万円控除)
青色申告
(10万円控除)
白色申告
事前の届け出必要必要不要
帳簿の種類複式簿記簡易簿記簡易な方法による記帳で可
帳簿の種類主要簿
仕訳帳
総勘定元帳
補助簿
現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
など
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・経費帳
帳簿の様式の定めなし
確定申告時の提出書類確定申告書B
青色申告決算書
確定申告書B
青色申告決算書
(賃借対照表はなくても可)
確定申告書B
収支内訳書
税務上の特典ありありなし

白色申告のメリットと必要な手続き

白色申告は、原則的な確定申告の方法です。白色申告する場合には、事前の届出は必要ありません。確定申告の時期が来たら、確定申告書と収支内訳書を提出すればOKです。

白色申告は帳簿付けが簡単

個人事業主は白色申告をする場合でも、収入金額や必要経費を記載すべき帳簿(法定帳簿)を備え付けて、記帳を行う義務があります。

ただし、白色申告者の帳簿の様式や種類は決まっていません。取引の実態に合わせて帳簿を作成することができます。保存している納品書等により取引の内容が確認できるなら、帳簿には日々の売上を一括して記入する簡易な形でもかまいません(下図参照)

国税庁:「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」より抜粋
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/kichou03.pdf

途中から青色申告に切り替えることも可能

開業時には白色申告を選んだ場合も、将来的に青色申告に変更することも可能です。初年度は白色申告をやってみて、次の年から青色申告に切り替えることもできます。

ただしその場合は、後述する期限までに青色申告する旨の届出を提出しなければなりません。

青色申告のメリットと必要な手続き

青色申告には白色申告にないメリットがあります。青色申告で受けられる特典の内容や青色申告をするための手続きを知っておきましょう。

青色申告をすれば受けられる特典

青色申告で受けられる税務上の特典には、次のようなものがあります。

①青色申告特別控除

青色申告をした場合に無条件で一定額を所得から差し引きできる制度です。青色申告特別控除の額は、複式簿記による記帳を行った場合には55万円、簡易簿記(単式簿記)による記帳を行った場合には10万円となっています。

なお、複式簿記による記帳をし、e-Taxでの電子申告または電子帳簿保存(※税務署の事前承認要)を行った場合には、本来55万円である青色申告特別控除の額が65万円に増えるという特典があります。

②純損失の繰越控除

事業で損失が出て赤字になった場合、その損失を翌年以降3年間繰り越して黒字の所得から差し引きできる制度です。

例えば、初年度が150万円の赤字だった場合には、翌年以降毎年50万円の黒字が出たとしても、3年間は所得税が発生しないことになります。

③青色事業専従者給与

家族を従業員とする場合、青色事業専従者として届出しておけば、その家族に支払った給与を全額必要経費に算入できます。白色申告では専従者控除として、配偶者86万円、その他の親族1人につき50万円の控除のみです。

④少額減価償却資産の特例

例えば、10万円以上の備品を購入した場合、帳簿上は固定資産となり、一定期間にわたって減価償却の処理をするのが原則です。

しかし、青色申告(中小企業者に該当する個人に限ります)の場合には、30万円未満の備品は少額減価償却資産として、購入した年に一括で経費に算入(※上限300万円)できます。

貸倒引当金の計上

青色申告では、売掛金の回収が翌年以降になる場合、貸し倒れのリスクに備えて原則として、売掛金残高の5.5%の貸倒引当金を計上できます。

白色申告では、貸し倒れになることがほぼ確定しているケースでしか貸倒引当金は計上できません。

青色申告をするための手続き

青色申告をするには、事前に税務署の承認を受けなければなりません。税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すれば、特に問題がない限り承認されます。

なお、「所得税の青色申告承認申請書」は、青色申告を開始したい年の3月15日までに提出する必要があります。ただし、開業時については、開業日から2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すれば、開業の年から青色申告が可能です。

青色申告にはペナルティがあることにも注意

青色申告は、税務署が定めたルールに従うことで特典が受けられる制度です。そのため、ルールを守らなければペナルティがあることにも注意しておきましょう。

例えば、確定申告書の提出が遅れた年は、本来55万円(または65万円)の控除が受けられる場合でも、控除額が10万円になります。

青色申告を取りやめするにも手続きが必要

青色申告の承認を受けるとそれ以降も原則、青色申告となるため、青色申告をやめる時には手続きが必要です。

青色申告を取りやめるには、取りやめしたい年の翌年3月15日、すなわち確定申告の期限までに「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出する必要があります。

開業時には青色申告と白色申告のどちらを選ぶ?

開業の際には、青色申告にすべきか、白色申告にするかで迷うかもしれません。どちらにするかの判断基準や選び方について説明します。

白色申告で十分な人は?

青色申告をすれば、節税メリットがあります。しかし、事業を行っても利益が出ないか、利益が出てもごくわずかであれば、そもそも税金はかかりません。

事業を始めたばかりで利益が出るかどうか分からない人や、事業を継続するかどうかまだ決めていない人は、あえて青色申告を選ばなくてもよいでしょう。

記帳に自信がなくても青色申告がおすすめ

青色申告でも、10万円控除なら簡易簿記でかまいません。青色申告の10万円控除は、白色申告の記帳の手間とさほど変わらないにもかかわらず、10万円控除やその他の特典が受けられます。複式簿記に自信がない人は、青色申告の10万円控除を検討しましょう。

青色申告でも会計ソフトを使えば記帳も簡単

青色申告で最大限のメリットを受けるには、複式簿記による記帳が必要です。複式簿記は知識がなければ難しいので、不安になる人も多いと思います。

ですが会計ソフトを使えば、簿記の知識が十分でない初心者でも、記帳が簡単にできます。青色申告で55万円や65万円の控除を受けたい場合には、会計ソフトを活用して記帳するのがおすすめです。

どちらにするかは開業から2カ月以内に決めなければならない

開業した年度から青色申告をするには、開業日から2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。開業日から2カ月を過ぎてしまうと、初年度は青色申告を選べず、白色申告せざるを得なくなってしまいます。初年度から青色申告したいなら、申請書の提出期限にも注意しましょう。

開業する際は青色申告で賢く節税

個人事業主となったら、税金について考えておくことが大切です。青色申告をすれば、白色申告にはない節税効果が得られます。

また、青色申告をするには手続きが必要です。最初の確定申告から青色申告したい人は、期限内に申請しましょう。

よくある質問

青色申告と白色申告の違いは?

青色申告を選ぶと、白色申告よりも複雑な方法で記帳を行わなければなりませんが、白色申告にはない税務上の特典が受けられるしくみになっています。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告をすれば受けられる特典は?

①青色申告特別控除、②純損失の繰越控除、③青色事業専従者給与、④少額減価償却資産の特例があります。詳しくはこちらをご覧ください。

開業時には青色申告と白色申告のどちらを選ぶ?

事業を始めたばかりで利益が出るかどうか分からない人や、事業を継続するかどうかまだ決めていない人は、あえて青色申告を選ばなくてもよいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談していただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

開業の関連記事

新着記事