- 作成日 : 2025年3月3日
個人事業主がクレジットカード決済を導入するには?メリットや費用を解説
クレジットカード決済の導入は、集客や売上アップ、売上管理の効率化など複数のメリットがあります。近年キャッシュレス決済の利用比率が向上しているため、個人事業主もうまく活用するとよいでしょう。
本記事では、クレジットカード決済のニーズが高まる背景や導入のメリット、店舗・ネットショップに導入する方法、費用シミュレーションを解説します。
目次
クレジットカード決済のニーズが高まっている背景
近年、キャッシュレス決済の普及が進み、クレジットカード決済などの需要が高まっています。キャッシュレス決済とは、クレジットカードやデビットカード、QRコード、電子マネーなど、物理的な現金以外による決済方法のことです。
キャッシュレス決済に対する大きな変化の背景にあるのは、政府の積極的な後押しや消費者の意識の変化による影響だといえるでしょう。
たとえば、2018年に政府が「キャッシュレス・ビジョン」を策定しました。そのビジョンによると、大阪・関西万博のある2025年までの目標として、キャッシュレス決済比率を40%まで増やすとしています。さらに、将来的には世界最高水準であるキャッシュレス決済比率80%を目標としています。
消費者庁の発表によると、世界各国と比較した場合、日本のキャッシュレス決済比率はまだ低い水準にあるようです。しかし、日本のキャッシュレス決済比率は年々増加しており、2022年には36%まで成長しました。
「キャッシュレス決済について消費者に知っていただきたいこと」で発表されたデータによれば、日本におけるキャッシュレス決済のなかでも、クレジットカードによる決済の比率が圧倒的に高いです。
これらのデータからも、キャッシュレス決済に対する消費者のニーズが高まっていることが確認できるでしょう。そのなかでもとくに利用率の高いクレジットカード決済は、早めの導入が望ましいといえます。
参考:経済産業省 キャッシュレス・ビジョン
参考:消費者庁 キャッシュレス決済について消費者に知っていただきたいこと
個人事業主がクレジットカード決済を導入するメリット
個人事業主がクレジットカード決済を導入することで、以下のようなメリットが期待できるでしょう。
- 客単価やリピート率が向上する
- 売上管理を効率化できる
- 現金管理の手間が省ける
- マーケティング戦略に利用できる
また、クレジットカード決済の導入によって、消費者にとっても以下のようなメリットがあります。
- 現金がなくても買い物が可能
- 後払いができる
それでは、個人事業主がクレジットカード決済を導入するメリットをさらに詳しく確認していきましょう。
客単価やリピート率が向上する
クレジットカード決済を含め、さまざまな決済手段に対応できるようにしていれば、集客や売上アップが期待できます。お客様によっては、自分の希望するキャッシュレス決済に対応していない、現金払いのみのお店などの利用を避ける場合があります。また、それ以外のお客様も、「買いたいものがあったけれど手持ちの現金がなくて購入できなかった」というケースがありえるでしょう。
現金払い以外での決済に対応できるようにしていれば、そのようなお客様にも購入してもらえる可能性を上げられます。とくに、キャッシュレス決済のなかでも利用率が圧倒的に高いクレジットカード決済に対応していれば、機会損失を減らしやすくなると考えられます。
また、クレジットカード決済は所持金が支払いの上限とならないため、現金払いよりも支出金額が高くなりやすいです。とくにインバウンドのお客様が多い地域であれば、訪日旅行客の購買機会を逃さないためにも、導入を検討すべきでしょう。
クレジットカード決済などは、サブスクリプションや継続決済、オンラインショップとの相性もよいです。これらを取り入れることで、顧客単価を高める、リピート率向上につなげるなどの売上アップ効果を狙えると考えられるでしょう。
売上管理を効率化できる
クレジットカード決済の導入は、売上管理の効率化につながるというメリットもあります。決済に関する履歴が自動で記録されるため、保存データを活用することで売上に関する情報を迅速かつ正確に管理可能です。売上管理や在庫管理のためにデータを打ち込む手間が省けるため、その分かかっていた時間を短縮できるでしょう。
紙の帳簿や会計ソフトなどを使って確定申告や仕訳などを行う際の作業も、クレジットカード決済の導入前より簡単になります。
現金管理の手間が省ける
クレジットカード決済を導入すると、現金管理の手間が省けることもメリットです。
現金で決済する場合であれば、レジへの打ち込みや現金の受け取り、おつりを渡すという作業が必要になります。しかし、キャッシュレス決済にすればこれらの処理がワンタッチで済み、スピーディーに対応できることも魅力です。
キャッシュレス決済をした場合は、現金で決済する場合と違っておつりが発生しません。結果的に、代金やおつりの数え間違いといったヒューマンエラーもなくせます。
クレジットカード決済をすることで、現金を狙った盗難を防止する対策にもつながります。さらに、レジが混雑しにくくなることでの顧客満足度の向上やレジ締め作業の短縮、その分ほかの作業に労力をさけることなどのメリットも期待できるでしょう。
マーケティング戦略に利用できる
クレジットカード決済によって自動的に残った履歴は、マーケティング戦略にも活用可能です。たとえば、以下のようなデータを分析できます。
- 売上の多い時間帯
- 売上の多い商品
- クレジットカード決済を利用した消費者の属性など
これらのデータを活用すれば、ニーズが高いであろう相手や購買意欲が高い商品、タイミングに絞ってのアプローチが可能です。その結果、購買に関するデータがないときよりも効果的なマーケティングにつなげられる可能性が高まるでしょう。
個人事業主がクレジットカード決済を導入する際の注意点
個人事業主がクレジットカード決済を導入する場合、以下のような注意点があります。
- 導入や運用にはさまざまなコストが発生する
- 売上金の入金に時間がかかる
- 入金サイクルがサービスごとに異なる
- 入金の際は基本的に手数料がかかる
- 通信障害などがあると決済できない可能性がある
- 個人事業主は加盟店審査が難しい場合がある
- 契約や解約条件をしっかりと確認すべきである
- 決済端末以外に必要機器がないかどうかも確認する
クレジットカード決済を取り入れると、現金払いのときと違って売上金がすぐに手に入らず、入金までに時間がかかります。売上金を入金できるサイクルもサービスごとに異なることもあって、必要なときにお金が手に入らないことがありえます。結果として、資金繰りに影響する可能性もあるでしょう。
また、インターネットを使えなくなったときに決済ができなくなることにも注意が必要です。カードの名義や番号などの情報が問題ないとカード会社に照会できなければ、会計処理に移れないためです。スムーズに対応できるよう、あらかじめマニュアルなどを準備しておくとよいでしょう。
個人事業主が店舗にクレジットカード決済を導入する方法
実店舗を持つ個人事業主がクレジットカード決済を導入するには、以下のように2つの方法があります。
- クレジットカード会社に加盟店申請する
- 決済代行サービスに申し込む
ただし、直接クレジットカード会社に加盟店申請する方法はあまり一般的ではありません。とくに個人事業主であれば決済代行サービスに申し込んだほうが、対応する決済ブランドを一括で導入でき、運用・管理の効率化になるなどメリットが大きいでしょう。
クレジットカード決済代行サービスを選ぶ場合は、以下のようなポイントで検討するのがおすすめです。
- 決済端末が「据え置き型」か「ポータブル型」か
- VISA・JCB・Mastercardなどのうち、どの決済ブランドに対応しているか
- コストや入金サイクルはどうか
- サポート体制は万全か
- 既存のシステムと連携できるか
端末代金の費用が気になる方は、タブレットやスマートフォンをPOSレジとして利用できるモバイル決済も選択できます。手頃な価格帯で、タブレット端末などにアプリをダウンロードすれば使い始められる手軽さが魅力です。
個人事業主がネットショップにクレジットカード決済を導入する方法
個人事業主が自身の開設したネットショップにクレジットカード決済を導入する場合には、もともと決済機能がついているサービスでネットショップを作成すると手軽でしょう。導入する際は、決済手数料のほかにどのような手数料がかかるかを確認して、利用するサービスを選びます。
実店舗とネットショップを並行して運営する場合は、以下のポイントに関しても確認することをおすすめします。
- 実店舗の在庫と連動できるか
- 実店舗とネットショップの売上をまとめて見られるか
個人事業主がクレジットカードの決済リンクを導入する方法
個人事業主が商品を販売する際に、InstagramなどのSNSで直接取引するケースがあります。クレジットカードの決済リンクを導入すれば、銀行振込などを依頼しなくても手軽に支払ってもらえて、お客様にとっても自分にとっても便利です。
決済リンクとは、クレジットカード決済をする画面に遷移できるリンクのことを指します。クレジットカードの決済リンクを用いる場合の流れは、以下のとおりです。
- 決済リンクの機能がある決済代行サービスに申し込む
- 商品の購入希望を受け付ける
- 決済リンクを送る
- お客様が決済リンクをクリックし、クレジットカード決済をする
店舗にクレジットカードの決済を導入する場合の費用シミュレーション
カード決済の導入方法には、クレジットカード会社と直接契約する方法と、決済代行サービスを利用する方法があります。個人事業主がクレジットカード決済を導入するには、まずはその2つのどちらで導入するのかを決めましょう。
ただし、クレジットカード会社と直接契約する方法は、個人事業主の導入方法としてはおすすめしません。なぜなら、ブランドごとに手続きが必要になったり、手数料や入金サイクルがバラバラになったりするなど、事務処理や経理処理がどうしても複雑化してしまうためです。
そのため、ここでは決済代行サービスを利用して店舗にカード決済を導入する場合を想定し、必要な費用をシミュレーションします。決済代行サービスでの費用の例は、以下のとおりです。
- クレジットカードの情報を読み取る決済端末……3万円ほど
- システム利用料金……月額0~1万円
- 決済手数料……2~10%
決済端末は購入せずにレンタル可能な場合もあります。一見コストが抑えられるように見えても、早期入金手数料や振込手数料、事務手数料、販売手数料などの追加費用が発生するケースがあります。
決済手数料は、クレジットカード決済を利用するたびに支払わなければなりません。発生する機会が多く、とくに費用がかさみやすいため注意が必要です。
たとえば決済端末が3万円、決済手数料が3%の決済サービスを用いて10万円を売り上げた場合の経費は以下のとおりです。
- 決済端末……3万円(導入時の費用)
- 決済手数料……10万円×3%=3,000円(決済手数料)
個人事業主のクレジットカード決済の導入費用は経費にできる?
クレジットカード決済の導入にかかった費用や決済手数料は、以下のように経費として計上できます。
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
支払手数料 | 10,000円 | 普通預金 | 10,000円 | 決済手数料の支払い |
費用の金額が小さく発生頻度が少ないのであれば、キャッシュレス決済手数料を雑費として処理してもよいでしょう。
個人事業主の経費の上限や経費にできるものなどを知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
個人事業主もクレジットカード決済を導入しよう
キャッシュレス決済は、近年どんどんニーズが高まっています。キャッシュレス決済のなかでも、とくにクレジットカード払いが人気です。
クレジットカード決済を導入することで、「客単価やリピート率が向上する」「売上管理を効率化できる」「現金管理の手間が省ける」などのメリットがあります。個人事業主の方にとっても、ぜひ導入したい決済方法だといえるでしょう。
今回ご紹介したポイントを参考にして、クレジットカード決済の導入を検討してみてはいかがでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
浜松市の開業届の提出方法(ネット・郵送)税務署一覧まとめ!
浜松市で開業届を提出する際は、ご自身がお住まいの地域を管轄する浜松市の税務署に提出する必要があります。 開業届は、事業所得や、不動産所得・山林所得が発生するような事業を開始をした方が、浜松市の税務署に提出しなければならない書類です。 青色申…
詳しくみるフリーランス・個人事業主必見!家事按分を活用して生活費を経費にするための5つのポイント
フリーランス・個人事業主になると、様々な税金の負担が大きく感じるようになります。そのような時には、普段使っているお金の一部を費用として仕分けられる家事按分を活用した節税がおすすめです。 しかし一方で、経費に計上する金額によっては税務署に否認…
詳しくみるフリーランスエンジニアは開業届の提出が必要?書き方も簡単に解説!
フリーランスエンジニアとは、会社組織などに属さず、プロジェクトごとに契約を結んで仕事をするエンジニアです。複数のプロジェクトを継続的に引き受けて事業展開している場合を狭義のフリーランスエンジニアと呼びますが、副業として単発でプロジェクトを引…
詳しくみるマッサージ店を開業するには?必要な資格と資金、助成金について解説
マッサージ店を開業すれば、年収1,000万円も目指せます。あん摩・マッサージ・指圧やはり・きゅう、接骨院などは国家資格が必要ですが、もみほぐしや足つぼマッサージ、カイロプラクティックなどは、資格は必要ありません。開業を成功させるには、開業前…
詳しくみる新潟市の開業届の提出方法(ネット・郵送)税務署一覧まとめ!
新潟市で開業届を提出する際は、ご自身がお住まいの地域を管轄する新潟市内の税務署に提出する必要があります。 開業届は、事業所得や、不動産所得・山林所得が発生するような事業を開始をした方が、新潟市の税務署に提出しなければならない書類です。 青色…
詳しくみるネイルサロンの開業には許認可・営業許可が必要?違法となるケースも解説
ネイルサロンを開業するにあたって、基本的に許認可を得る必要はありません。しかし、提供するサービスの内容によっては、営業許可が必要な場合もあります。 本記事では、ネイルサロンの開業を検討している方向けに、どのようなときに許認可が必要なのか、ま…
詳しくみる