• 更新日 : 2025年8月19日

フリーランス(個人事業主)の事業計画書の書き方は?無料テンプレートを基に簡単解説

フリーランス(個人事業主)は、資金調達等がなければ開業時に事業計画書を作成する必要はありません。しかし、作成すれば事業の内容を明確にできたり、競合との差別化を図れたりするなどさまざまなメリットがあります。

作成する際は、テンプレートやひな形を活用すると便利です。本記事では、フリーランス(個人事業主)の事業計画書の書き方を詳しく解説します。

※なお、フリーランスは個人事業主のみを指すものではありませんが、この記事は個人事業主であるフリーランス向けとなります。

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フリーランス向けの事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例のダウンロード方法

事業計画書_テンプレート

フリーランスでも事業計画書の作成は必要?

事業計画書 フリーランス|作成例+テンプレート

画像:フリーランス向け事業計画書のテンプレート(こちらからダウンロード可能)

事業計画書とは、収益見込みや今後事業をどのように運営していくかを示した書類です。フリーランスや個人事業主として事業を始めるにあたって、事業計画書の作成は必須ではありません。ただし、できる限り作成しておいたほうがよいでしょう。

フリーランスが事業計画書を作成するメリットは?

フリーランスや個人事業主でも事業計画書を作成すべき主な理由は、以下のとおりです。

  • 銀行などから資金を調達する際に提出が求められるため
  • 自分が始める事業の全体像を明確にして客観的に分析するため
  • 収益を上げるためにすべき行動を明確にするため
  • 自分の強みや弱みを知ることで競合との差別化に役立てるため

中小企業庁の2016年版小規模企業白書によると、個人事業主でも4割以上の人が、経営計画(事業計画や収支計画などのこと)を作成したことがあると回答しました。同調査で、作成による主な効果として「経営方針と目標が明確になった」「自社の強み・弱みを認識できた」などが挙げられています。

参考:中小企業庁 2016年版 小規模企業白書 第1部 小規模事業者の動向

フリーランス向けの事業計画書テンプレート【無料ダウンロード可】

事業計画書 フリーランス|作成例+テンプレート

事業計画書を作成する際には、さまざまな項目を盛り込まなければなりません。そこで、事業計画書のテンプレートやひな形を活用すると便利です。

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フリーランス向けの事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例

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フリーランスの事業計画書の書き方・記入例

フリーランスの起業で作成する事業計画書に盛り込む内容は、主に以下のとおりです。

  • 創業の動機・目的
  • 経営者の職歴・事業実績
  • 取扱商品・サービス
  • 取引先・取引関係
  • 従業員
  • 借入の状況
  • 必要な資金と調達方法
  • 事業の見通し

次に、それぞれの書き方を紹介します。

創業の動機・目的

事業計画書の「創業の動機・目的」には、なぜその事業を始めるのかを読み手に伝わるようにわかりやすく記載します。今まで働いてきた業界と、開業する業種の関係性などについて触れるとよいでしょう。

たとえば、Web関連業界で働いてきた方が、新たにWebサイト制作業を開業する場合は、以下のように記載できます。

「7年間、Webマーケティング業界で働いてきた。その中で、Webサイトやブログの運営を開始するにあたって立ち上げで苦労している人たちを見てきたため、スタートアップ部分の支援をしたいと考えて創業を決意した。」

経営者の職歴・事業実績

「経営者の職歴・事業実績」では、経営者の学歴や職歴、保有している資格などを記載します。

また、具体的にどのような業務に携わってきたかを細かく記すことが大切です。「新規Webサイトの構築約150件」のように、創業する内容に関連することを記載するとよいでしょう。

なお、「創業の動機・目的」でも職歴に触れている部分がある場合は、整合性を保つことも重要です。

取扱商品・サービス

「取扱商品・サービス」では、どのような商品を提供するのか記載します。Webサイト制作業を営むのであれば、「Webサイトの制作」「広告の掲載」などと記載できるでしょう。

また「Webサイトに興味はあるが、立ち上げ方がわからない人」のように、どのターゲットに提供するのかも記載しましょう。そのほか、「個人でWebサイトを持つ人が増えている」など市場の特徴も「取扱商品・サービス」の中で触れます。

いずれも、強みをアピールすることを意識して記載することがポイントです。

取引先・取引関係

「取引先・取引関係」では、どのような顧客を想定しているのか、どのように商品を提供するのかを記載します。可能な限り、取引先名を具体的に記入すれば、信用度が高まるでしょう。個人相手であれば、「一般個人客」などと記載します。

そのほか、想定しているシェアや掛取引の割合、回収・支払の条件(例:末日〆翌月末日回収)も記載しましょう。

従業員

「従業員」には、従業員の数やその内訳を記載します。フリーランス(個人事業主)の場合、役員欄の記載は不要です。

フリーランス(個人事業主)でも、従業員を雇用するケースはあり得ます。個人事業主で従業員を雇用すれば、事業拡大しやすくなる点、経理・総務などの事務作業を任せて本業に集中できる点などがメリットです。

借入の状況

「借入の状況」には、住宅ローン・マイカーローン・教育ローン・カードローンなど、事業以外の借入も記載します。借入の種類や借入残高、年間返済額などを記載しましょう。

ノンバンクでのキャッシングの借入がある場合も、隠さず申告することが大切です。ただし、余裕がある場合はあらかじめ返済しておいた方が事業計画書の見栄えはよくなります。

必要な資金と調達方法

「必要な資金と調達方法」では、資金計画表を作成します。左側に必要な資金(設備資金・運転資金)、右側に調達の方法を記載しましょう。

Webサイト制作業を営む場合は、サーバー・ドメインの取得費・人件費・諸経費などが運転資金として考えられます。機械や車を購入する予定がある場合は、設備資金として記載しましょう。

調達の方法には、自己資金・親からの借入・知人からの借入・金融機関からの借入などがあります。日本政策金融公庫や民間の銀行から借入する際は、返済方法・返済回数・金利も記載しましょう(例:元金2万円×48回(年1.0%))。

事業の見通し

「事業の見通し」では、損益計画などを作成して事業にどれだけ費用がかかるのか、どれだけ利益を期待できるのかなどを具体的な数字で示します。損益計画の中で触れる主な項目は、売上高・売上原価・経費(人件費・家賃・諸経費・支払利息など)です。

創業当初(1年目)と軌道に乗り始めてから(2年目以降)では、売上高や売上原価の数字が変わってきます。そのため、別々に計算して記載するようにしましょう。

また、どのようにしてその数値になったのか、根拠を記載することも大切です。Webサイト制作業を営むケースでは、平均単価や想定している受注件数などを補記し、算出の根拠とします。

フリーランスが融資の審査で見られるポイント

フリーランス(個人事業主)が資金調達にあたって作成した事業計画書は、多くの場合、期融資元から「審査」されます。この審査のポイントとなるところを見てみましょう。

事業の実現性

計画が実現するかどうかは最も重要な判断基準です。記載した事業に収益性・成長性・継続性があるかどうかが厳しく問われます。

そのためには、計画書に記載された個々の数字が説得力を持つものでなければなりません。売上予想や収支計画における値に無理や矛盾がないこと、数字の根拠があることが求められます。

創業動機と創業者の経験の関連

過去の職歴や経験が創業する事業とどれだけ関連しているかどうかは、事業計画の実現可能性を左右する要素となります。

自己資本の蓄積

事業への本気度を示す指標が「自己資金」と言って過言ではありません。自己資本蓄積の度合いと借入のバランスをよく考えなければなりません。

取引先や販売戦略の具体性

販売先や仕入先がどれだけ具体的になっているかは、事業計画の信頼性を高めます。

説得力のある事業計画書を作成するポイント

説得力のある事業計画書を作成するには、わかりやすい内容にすることが大切です。以下の5W1Hを自分の中で整理してから、事業計画書を作成しましょう。

  • Why(なぜ・動機):なぜその事業を始めるのか
  • What(何を):何の商品を提供するか、その商品にニーズはあるのか
  • Who(だれ):ターゲットとなる層はどこか、安定した仕入先はあるか
  • How(どのように):どのように商品を提供するか
  • Where(どこで):どの市場に該当するか
  • When(いつ):創業のタイミングは今が適切か

さらに、事業計画ではHowだけでなく、How much(またはHow much)を付け足し、費用や数量などの具体的な数値を添えて5W2Hもよく用いられます。

根拠のある数字を使うことは、説得力ある事業計画書作成のポイントです。考えた計画が数字上も実現可能なのか、吟味しておきましょう。

また、5W1H以外に次のことも説得力のある事業計画書には欠かせません。そのための注意点をいくつか見ていきましょう。

客観的な数値を元に記載すること

計画書における数値は「計画の実現性」を裏付ける重要な要素になります。客観的なデータを活用して、売上予測や利益計画の根拠を明確に示しましょう。

特に日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」など業界のリアルなデータを参考にした現実的な数値設定を心掛けてください。客観的データに基づいた計画であることを示すことで、金融機関や投資家からの信頼を得やすくなります。

参考:小企業の経営指標調査|日本政策金融公庫

計画に具体性があること

事業計画では「誰に」「何を」「どのように」などについて「具体的」に明示します。極力曖昧な表現を避け、具体的な行動や時期、マイルストーンを設定し、実行プロセスを詳細に記述することが重要です。例えば「3か月以内に市場調査完了」など期限と内容を明確にします。

さらに、計画の問題点・課題点とその対策も含めることで、現実を見据えた実行可能な計画であることを示すことができます。

事業に対する熱意を伝えること

創業の動機や目的は事業計画書で最も重要な要素の一つです。抱いてきた想いを、本心から「自分の言葉で表現」することが大切です。なぜこの事業を始めるのか、どのような価値を提供したいのかを断定的に言い切るようにしましょう。

金融機関は経営者の「人柄や情熱」も重要な判断材料とするため、熱意ある創業者は共感を呼び、資金調達につながる大きな効果をもたらします。

なお、事業計画書についての追加情報や詳細は以下の記事をご参照ください。

フリーランスも事業計画書を作成しよう

フリーランスや個人事業主で新たに事業を始める際、事業計画書の作成は必須ではありません。しかし、銀行から資金を調達する際に提出が求められる点や、開業する事業を客観的に分析できることを考慮し、作成しておくのがおすすめです。

事業計画書には、創業の動機・目的や取扱商品・サービス、事業の見通しなどを盛り込みます。ひな形やフォーマットを活用し、さっそく事業計画書を作成してみましょう。


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