- 更新日 : 2022年7月25日
会社設立したら法人も青色申告の申請を!メリットや期限などをわかりやすく解説
会社設立をしたら設立届と一緒に、必ず法人税の青色申告の承認申請書を出しましょう。今回はこの青色申告の承認申請書の概要や書き方、提出期限、さらには青色申告のメリット(特典)などについて解説したいと思います。
目次
法人の青色申告とは
会社が決算期になると、その一年間の売上や経費を集計し、利益を計算して「法人税」という税金を納めなければなりません。
法人税を青色申告で申告するためには青色申告の届出とともに、会社の利益を計算するうえで、複式簿記という一定のルールに従って帳簿を付けることが必要になってきます。
この要件に従って申告しない場合は、自動的に白色申告ということになるのですが、青色申告で申告すれば、税金関係でさまざまなメリットを受けることができます。
法人が青色申告を行うメリット
まず最初に、法人が青色申告を行うメリットを3つご紹介します。
メリット1. 欠損金の繰越控除
青色申告であれば、仮に今期が赤字であっても、翌期以降にその赤字を繰越すことができます。最長で9年間(注)繰越すことができるので、その間に黒字となった場合、繰り越されてきた赤字と相殺することができ、その期の税金を抑えることができます。
例えば前期100万円の赤字で、今期30万円の黒字の場合には、前期の赤字と今期の黒字を相殺することができ、今期は黒字に対する税金を納める必要がありません。さらにこの場合、その翌期も70万円の黒字までは税金がかからないことになります。
(注)平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金の繰越期間は10年となります。
メリット2. 欠損金の繰り戻しによる法人税の還付
前期に黒字で税金を納めていて、今期が赤字になった場合には、その赤字分を前期の黒字と相殺することができます。
この場合、すでに前期の黒字分の税金は払っていますので、今期の赤字分と相殺して前期納めた税金の一部が還付されることになります。
メリット3.30万円未満の減価償却資産については一括で経費にできる
税法上では10万円以上のものは資産に計上し、数年にわたって費用化しなければならないのが原則です。しかし、青色申告の場合で中小企業者であるなど一定の要件を満たす場合には、30万円未満の減価償却資産については、一括してその年の費用にすることが認められています(年間合計300万円まで)。
法人が青色申告を行うデメリット
法人が青色申告を行うデメリットは、ほとんどありません。強いてあげるのであれば、青色申告をするためには組織的な帳簿を備え、複式簿記の原則に従って記帳をする必要があることです。
しかし、白色申告であったとしても、法人税の納付額の計算を正確に行うためには、組織的な帳簿を備えること、複式簿記の原則に従って記帳をすることが通常必須となります。
そのため、法人が青色申告を行う際のデメリットはないといって良いでしょう。
法人の青色申告の申請方法・期限
青色申告を適用するためには「青色申告の承認申請書」を入手し、管轄の税務署へ提出します。「青色申告の承認申請書」は税務署や、国税庁のHPからもダウンロード可能です。
青色申告の届出「青色申告の承認申請書」は通常、会社設立日から3カ月以内に提出する必要があります。
会社設立日が4月1日の場合、6月30日までに青色申告の届出を出さなければなりません。この日を過ぎた場合、残念ながらその年は青色申告を適用することができなくなるのです。そのため、青色申告の届出は会社設立時に「法人設立届」と一緒に提出する方が望ましいです。
特に、提出した届出を「承認した」という連絡はありませんが、提出した月の翌月末までに「承認不可」の通知がなければ、承認されたと見なしてかまわないことになっています。よほどのことがないかぎり承認されるので、安心して事業に専念しましょう。
法人の青色申告承認申請書の書き方
①納税地や法人名など、法人の基本情報を記載します。登記簿謄本や定款などを見ながら記載しましょう。
②青色申告を開始したい事業年度を記載します。
③該当するものにチェックをし、日付を記載します。
④帳簿組織の状況には、総勘定元帳などの帳簿名や会計ソフトなどの形態、毎月などの記帳の時期を記載します。
会社設立したら青色申告の特典を受けましょう
法人が青色申告をすると、欠損金の繰越控除など多くの特典を受けることができます。それらの特典は節税に繋がるものが多く、法人にとってとても有利なものです。また、青色申告を行うデメリットもほとんどありません。会社を設立した場合は、必ず青色申告を行いましょう。
よくある質問
法人が青色申告を行うメリットとは
欠損金の繰越控除など、さまざまなものがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
法人が青色申告を行うデメリット
デメリットはほとんどありません。詳しくはこちらをご覧ください。
青色申告の承認申請書はいつまでに提出すればよいですか?
通常、会社設立日から3か月以内に提出する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
定款の関連記事
新着記事
創業融資の7つのリスク!後悔しない借入のコツ、審査落ちの対策を解説
創業融資にはメリットだけでなくリスクもあります。この記事を読めば、「創業融資のリスクは?」「審査落ちの対策がわからない」という悩みを解決できます。 本記事で、創業融資で想定可能なリスクや、創業後にオススメの補助金などについて確認していきまし…
詳しくみる法人化のリスクとは?後悔しないための対策、タイミングを徹底解説
個人事業主の中には、節税などのメリットを享受するために法人成りを検討している人もいるでしょう。ただし、法人化にもデメリットがあり、必ずしも得するとは限りません。 本記事では、法人化のリスクについて解説します。法人化して後悔しないための対策や…
詳しくみるレンタルオフィスでの創業融資は可能?審査のコツや補助金も解説
レンタルオフィスでも創業融資を受けることは可能です。ただし、金融機関の信頼を得るためにきちんとした創業計画書を準備しなければなりません。 本記事では、レンタルオフィスでの創業融資が可能かどうかについて解説します。レンタルオフィスで利用できる…
詳しくみる医療法人の資金調達方法は?一般企業と異なる点や注意点を解説
医療法人の資金調達は、一般企業とは異なる特徴を持ち、特有の制約や課題が伴います。医療機器の導入や施設の維持には、多額の費用が必要となるため、安定した資金調達手段の確保が不可欠です。 本記事では、医療法人の資金調達の重要性や一般企業との違い、…
詳しくみる違法な資金調達とは?ファクタリングの危険性や関連する法律なども解説
違法な資金調達は、企業や個人の信用を失墜させ、法的な制裁を招く危険な行為です。ファクタリングを装った詐欺や、補助金の不正受給など、巧妙化する手口に巻き込まれないよう注意が必要です。 本記事では、違法な資金調達の実態や安全な資金調達方法などに…
詳しくみる印鑑登録は法人登記と同時に行う?印鑑証明書を取得するまでの流れを解説
法人の印鑑登録とは、会社の実印となる代表者印を法務局に届け出て登録することを指します。原則として法人登記の際に代表者印を提出する必要があるため、法人の設立登記とあわせて印鑑登録を済ませることが一般的です。 この記事では、印鑑登録を法人登記と…
詳しくみる