- 更新日 : 2023年10月23日
シェアハウス経営の成功のコツは?個人運営でも儲かる?
シェアハウス経営は、一軒家のような建物に個室と共用設備を設け、複数人に部屋を貸すビジネスです。個室の数を増やしやすく、多くの入居者を受け入れられます。収益性の高さや空室リスクの低さなどメリットが多く、個人運営にもおすすめです。今回は、シェアハウス経営のメリット・デメリットや成功のポイント、必要な費用などを解説します。
目次
シェアハウス経営とは?
シェアハウス経営とは、建物に個室と共用設備を設け、部屋を複数人に貸し出す賃貸経営のひとつです。入居者同士で交流して新しい出会いを見つけたい方や、通常のアパート・マンションに比べてリーズナブルに入居したい方などから人気を集めています。
シェアハウス経営を始める際は、そもそもシェアハウスとは何か、ルームシェアやゲストハウスとはどのような違いがあるかについて理解しましょう。
そもそもシェアハウスとは?
そもそもシェアハウスとは、1つの家に複数人で居住するスタイルのことです。1つの家に個室とリビング、キッチンといった共用スペースがあり、入居者はそれぞれの個室に入居します。そして、リビングやキッチンなどをほかの入居者と共同で使用するのが特徴です。
個室とは別に共用スペースがあるため、ある程度のプライバシーを確保しながら、ほかの入居者との交流も楽しめます。
シェアハウスとルームシェア・ゲストハウスの違い
シェアハウスと混同しやすいのが、ルームシェアとゲストハウスです。
ルームシェアは、1つの物件を1人に貸し出し、その1人が家族や友人と部屋をシェアするスタイルのことです。
ルームシェアでは、1人と賃貸借契約を結び、契約者が規約の範囲内で自由に部屋をシェアします。たとえば、家賃20万円の部屋に5人がルームシェアで暮らす場合、契約者1人から20万円分の家賃を受け取ります。家賃を折半するのは契約者の自由です。
一方、シェアハウスでは、住人それぞれと個別に賃貸借契約を結びます。たとえば、1つの建物に5つの部屋がある場合は、5人の入居者とそれぞれ契約を交わし、それぞれから家賃を受け取る、という仕組みです。
また、ゲストハウスは一般的には短期貸しの宿泊施設のことを指します。シェアハウスが賃貸住宅のことを指すため、両者は異なるものとして区別されることが多いです。しかし、法律で明確に定義されているわけではなく、ゲストハウスの中には中長期の滞在が可能なものもあるため、両者の区別が曖昧であることも少なくありません。
シェアハウス経営は個人でもできる?
シェアハウス経営は、建物を用意し、経営に必要な知識や経営方法などを理解していれば、個人でも挑戦できます。
しかし、シェアハウス用の建物を選定したり、リフォーム内容を決めたりするのは容易ではありません。はじめてシェアハウス経営を行う場合は、不動産会社や管理会社などのサポートを得て、アドバイスを受けながら取り組むと安心です。
シェアハウス経営のメリット
シェアハウス経営は、アパートやマンション経営にはない以下のようなメリットがあります。
- 収益性が高い
- 空室になりにくい
- 築年数が古くても入居されやすい
特に、アパートやマンション経営では不利になりがちな物件でも、シェアハウスなら入居してもらえる可能性が高いのは魅力です。
ここでは、それぞれのメリットについて見ていきましょう。
収益性が高い
シェアハウス経営は、アパート・マンション経営よりも、収益性が高い傾向にあります。
シェアハウスでは、リビングやキッチンなどを共用にでき、残りのスペースをすべて個室にできます。そのため、同じ建坪でも、アパートやマンションに比べて個室の数を多く確保できるのがポイントです。入居者を多く募集できるため、高い収益性が期待できます。
一戸建てや小規模なアパートを建てられるような規模の土地を活用したい場合は、シェアハウス経営を選ぶのも1つの方法です。
空室になりにくい
シェアハウスなら、1つの物件に複数の個室を作りやすいため、空室リスクを回避しやすいというメリットもあります。
一戸建てを賃貸物件とする場合、通常であれば1組しか入居できません。入居者が見つからなかったり、退去してしまったりすれば、収入がゼロになってしまいます。
多くの入居者を受け入れられるシェアハウスなら、ある部屋が空室になった場合でも、ほかの部屋に入居者がいる限り、収入がゼロになることはありません。ある程度の空室があっても収入を得られるため、はじめて賃貸経営を行う方でも安心です。
築年数が古くても入居されやすい
築年数が古い物件であっても入居者を集めやすいのも、シェアハウスならではのメリットです。
シェアハウスを選ぶ方の多くが、とにかく安く住むことや、ほかの住人との交流を重視しています。築年数や物件の綺麗さなどをあまり重視していない層がターゲットとなるため、築年数が古い物件であっても、比較的入居されやすいのが特徴です。
アパートやマンション経営では不利になるような物件でも、シェアハウスとしての魅力を高める工夫を凝らせば、問題なく入居者を集められるでしょう。
シェアハウス経営のデメリット
一方、シェアハウス経営には以下のようなデメリットがあります。
- 管理が煩雑になりやすい
- 物件選定が難しい
- コストがかかりやすい
管理や物件選定の難しさは、シェアハウス経営ならではのデメリットです。不動産会社や管理会社に相談して、サポートを受けましょう。
また、収益性は高いものの、コストがかかりやすい点にも注意が必要です。
以下では、シェアハウス経営の3つのデメリットについて解説します。
管理が煩雑になりやすい
シェアハウス経営では、管理が煩雑になりやすいのが難点です。
シェアハウスでは、複数人が入居し、距離が近くなりやすいため、入居者同士のトラブルが発生する確率も高いです。特に、外国の方が入居する場合は、文化や習慣の違いからトラブルに発生するケースが多く見られます。
トラブル発生時は、オーナーが間に入って解決を目指す必要があり、管理が大変な点には注意が必要です。
管理を専門業者に依頼する方法もありますが、管理費用として賃料収入の約20%ほどと、決して低くはないコストが発生します。管理を依頼するほうがオーナーの負担を軽減できますが、管理費用も踏まえて黒字になるよう収支計画を立てなければなりません。
物件選定が難しい
シェアハウス用の物件選定が難しいのもデメリットです。
シェアハウス用の物件を取得する際は、物件を新築する方法と、中古の一戸建てを購入し、シェアハウス用にリフォームする方法の大きく2つがあります。
後者の場合、リフォームの可否は物件ごとに異なり、シェアハウス用にリフォームできない場合も少なくありません。
シェアハウスに適している物件は、以下のとおりです。
- 個室の数が多い/リフォームで多くの個室を設置できる
- 交通の便がよく、駅からのアクセスに優れている
- リビングやキッチンなどを共用設備として備えている/リフォームで設置できる
日本では、シェアハウスはまだまだ一般的とは言えません。そのため、シェアハウスに適した物件はあまり出回っておらず、理想的な物件に出会えない可能性があります。
コストがかかりやすい
シェアハウスは、初期費用やランニングコストがかかりやすい点にも注意しましょう。
シェアハウスは、規模が大きくなりやすいため、物件を新築する際は一定以上の初期投資が必要です。中古物件をリフォームする場合でも、大規模な工事が必要になることがあります。
さらに共用スペースに設置する家具や家電といった設備の設置費用や修繕費用、運営を業者に委託する場合の管理費用など、必要なコストはさまざまです。
シェアハウス経営では、月々の賃料収入から個別に修繕費用や設備費用を積み立てておくことが求められます。
シェアハウス経営にかかる費用
前述のとおり、シェアハウス経営ではさまざまなコストが発生します。コストを把握し、利益を出すためには賃料をどのくらいに設定するか、何人集めるべきか、などを考えましょう。また、はじめは入居者を集めるのに時間がかかり、利益を出すのに苦労することもあります。初期費用だけでなく、数ヶ月分のランニングコストを支払える状態で、シェアハウス経営を始めましょう。
ここでは、シェアハウス経営にかかる費用を、初期コストとランニングコストに分けて解説します。
初期コスト
シェアハウス経営でかかる初期コストは、物件の大きさや状態、リフォームの規模などによって左右されます。物件の購入費用のほか、約250〜400万円かかるのが目安です。
初期費用の主な内訳は、以下のとおりです。
- リフォーム工事費用:約200~300万円
- 共有スペースに設置する家具・家電の購入費用:約100万円
- そのほか諸費用(不動産取得税や登録免許税など)
ランニングコスト
ランニングコストとしては、以下のような費用がかかります。
それぞれの費用は、物件の規模や入居者の数、設備などによって大きく異なります。
初期コストだけではなく、ランニングコストも踏まえて収支計画を立てましょう。
シェアハウス経営を始める際の流れ
シェアハウス経営は、以下のような流れで進めましょう。
- コンセプトを決める
- 物件の選定と購入
- 内装や家具などの準備
- 管理方法を決める
オーナー自身ですべてを進めるのは難しいため、専門家に相談するのがおすすめです。プロの目線から、コンセプト設定や物件探し、必要なリフォームの内容などについてアドバイスしてくれます。
以下では、シェアハウス経営を始める際の流れについて解説します。
コンセプトを決める
まずは、ターゲットや立地、間取りなどに応じて、シェアハウスのコンセプトを決めましょう。
独創性のあるコンセプトを打ち出せば、コンセプトに惹かれた方を集めやすくなり、ほかのシェアハウスと差別化できます。
また、物件の目指すべき雰囲気が定まり、リフォームの方針や導入すべき設備などを決めやすくなるのもポイントです。
物件の選定と購入
次に、ニーズに合う物件を選定し、購入しましょう。物件を選ぶうえで注目すべきポイントは、以下のとおりです。
- 予算内で取得できるか
- 広さや立地がシェアハウスのコンセプトに適しているか
- シェアハウス向けにリフォームできるか
理想の物件を見つけるには時間がかかる場合もあるため、早めに物件選びをスタートさせましょう。
内装や家具などの準備
物件が決まったら、コンセプトをもとに内装や家具、設備などを準備しましょう。
シェアハウスで必要な設備や家具・家電の例は、以下のとおりです。
- リビング
- ダイニング
- 机・椅子
- ソファ
- キッチン
- トイレ
- 浴室
- 洗濯機・乾燥機・冷蔵庫
入居者の数やニーズに合わせて、家具・家電の個数を増減させましょう。
また、男女ともに入居可能とする場合は、トイレや洗濯機などを分ける方が望ましいことも多いです。
レイアウトを変更したり設備を変更したりしたい場合は、必要に応じてリフォームも行います。
管理方法を決める
入居者どうしがトラブルなく共同生活を送れるよう、管理方法やルールを明確に決めることが大切です。
オーナー自身で管理するのが難しい場合は、管理会社に相談し、管理業務の委託を検討してください。
さらに、以下のような事項についてルールを定め、入居者に周知しましょう。
- 掃除
- キッチンや洗濯機、トイレなどの設備利用
- ゴミの捨て方や分別方法
- 消耗品がなくなった際の報告方法や補充
- 冷蔵庫の使用方法
- 施錠や防犯
- 夜間・早朝の過ごし方(騒音防止)
- 飲酒・喫煙
- 入居者以外の宿泊
シェアハウス経営のポイント
最後に、シェアハウス経営を成功に導くためのポイントを3つ紹介します。
- すぐに住めるように家具・家電などの設備を整える
- 共有スペースにこだわる
- 定期借家契約を選ぶ
マンションやアパートではなくシェアハウスを選ぶ層のニーズを考え、入居者に喜ばれるシェアハウスづくりを目指しましょう。快適に共同生活を送れるような工夫も大切です。
すぐに住めるように家具・家電などの設備を整える
入居が決まったらすぐ住み始められるよう、建物が完成したりリフォームが完了したりしたらすぐに、家具・家電などの設備を整えることが大切です。
事前に設備を整えることで、入居者を募集する際も設備の充実度をアピールできます。設備が不十分であると、ほかのシェアハウスに負けてしまうでしょう。
競合と差別化するためには、設備が整っており、少ない荷物で引っ越しできることをアピールすることがポイントです。
共有スペースにこだわる
集客に成功し、長く住んでもらうためには、共有スペースにこだわって住みやすいシェアハウスを作ることが欠かせません。
インテリアや内装、設備にこだわるほか、清掃業者を入れて清潔な状態に保ったり、共有スペースを使う際のルールを細かく決めたりするのが効果的です。
また、シェアハウスに入居する方の中には、ほかの入居者との交流を重視する方も多く存在します。リビングやキッチン、中庭などを充実させることで、入居者どうしの交流が活発になり、楽しくスムーズな共同生活を送りやすくなるでしょう。
定期借家契約を選ぶケースが多い
入居者同士のトラブルを防ぐためには、普通借家契約ではなく定期借家契約を選ぶのがおすすめです。
入居者と定期借家契約を結ぶことで、特定の契約期間の満了とともに、賃貸借関係を終了できます。
普通借家契約では、貸主は入居者の更新・再契約を拒否できません。定期借家契約なら、特定の契約期間が終了した場合、再契約を結ぶ必要があるため、トラブルを起こした入居者の契約を拒否できます。
定期借家契約を選び、ルールを守って生活できる入居者を優先できる仕組みを整えることが、シェアハウス経営に成功するポイントのひとつです。
シェアハウス経営では物件選びと快適な居住環境づくりがポイント
シェアハウス経営は、初心者でも始められるビジネスです。比較的収益性が高く、築年数が古い物件であっても入居者を集めやすいというメリットがあります。シェアハウス経営に成功するためには、ニーズに合う物件を探し、入居者が快適に共同生活を送れるような居住環境づくりに努めましょう。共同生活ではトラブルが発生する可能性もあるため、管理を徹底することも大切です。不動産会社や管理会社のサポートも受けながら、シェアハウス経営を進めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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