- 作成日 : 2022年6月3日
必ず押さえておくべき起業のリスク一覧と対処法まとめ
個人事業主にせよ法人組織にせよ、新たに事業を始める際にノーリスクというわけにはいきません。事業が失敗して借金だけが残った、起業しただけで与信が通りにくくなった、などのリスクが考えられます。ご自身の家族を「起業のリスク」から守るためにも、覚えておきたいリスク要因を一覧にして解説します。
目次
起業には必ずリスクが伴う!
会社を立ち上げる際には、徐々に事業規模を拡大し将来的には安定した収入を得る、といったような明るい将来を誰もが夢見るでしょう。しかし、順風満帆な経営ができる保証はありません。また、仮に上手くいったとしても起業するだけで抱えてしまうリスクが存在します。
会社には「起業のリスク」が常につきまといます。起業を検討している方は、こういったリスクが存在することを想定しながら起業を進めていく必要があります。
必ず押さえておくべき起業のリスク一覧と対処法
具体的な「起業のリスク」とは何か?について一つずつ解説していきます。
お金に関する起業のリスク
会社は営業活動によって利益を生み出し、生み出した利益を事業に再投入して新たな利益を生み出す、というサイクルを繰り返しながら成長していきます。営業活動を行うには必ず元手が必要となります。起業が抱えるリスクで切り離せないのが「お金の問題」でしょう。
運転資金の調達
起業時にまず考えなければならないのが当面の運転資金でしょう。起業時にかかる費用や、起業後に必要となる運転資金などを、ご自身の資産から全額捻出できるのであれば問題はありませんが、準備できない場合には外部から資金調達することになります。
金融機関などから資金融資を受ける際のポイントとなるのが、過去の信頼や営業実績です。「与信」があるから金融機関は資金を貸し付けてくれるのですが、起業したばかりの会社には当然、信頼や過去の実績はありません。「与信」が通らず融資が受けられないといった事態を想定しながら資金調達を考えなければなりません。
事業に失敗して借金を背負う可能性がある
与信が通って借入をすることができた後でも、リスクは切り離せません。事業が失敗して多額の借金を背負う可能性も考えられるからです。事業計画そのものの見通しが甘く事業が立ちいかなくなるケースもあるでしょう。また昨今の新型コロナウイルス感染症にみられるように、イレギュラーな事態が発生する可能性もあります。
思うように利益が出せなければ、運転資金が乏しくなりやがて倒産することもあるでしょう。しかし、必ずしも借金がチャラになるとは限りません。もし、代表者が個人保証をしていれば借金は保証した代表者が引き継ぐことになるからです。
従業員に関する起業のリスク
一人社長であれば別ですが、事業が軌道にのって規模が拡大すれば、やがて従業員を雇用することも想定されます。雇用に関するリスクを列挙してみましょう。
雇用を維持しなければならない
従業員を雇用すれば、業績不振や倒産といった特別な理由がない限り、会社は雇用を維持していかなければなりません。従業員にも生活がありますから、一方的な会社の都合で自由に雇用したり解雇したりすることは極力避けなければなりません。安定した雇用の維持継続は会社にとっての責務であるといえます。
法令を遵守しなければならない
労働基準法や最低賃金法など、労働者保護の観点から定められた法令を総称して「労働保護法」と呼びます。従業員を雇用した後、会社はこういった様々な労働保護法を遵守する義務を負うことになります。法令を守らなかった場合でも「知らなかった」では済みませんので当然、会社がペナルティを負うことになります。
従業員とトラブルになることも
上記のように法令を遵守しなかった場合はもちろん、給料や労働時間、会社の経営方針などで意見が合わず、従業員とトラブルになることも想定されます。トラブルが解決できず事業継続に必要な人材が退職し、最悪の場合、訴訟にまで発展するケースもあります。
家族やプライベートに関する起業のリスク
「起業のリスク」は従業員だけではありません。ご自身やその家族にも少なからず影響を与える可能性があります。
収入が安定しない
事業が軌道に乗るまでの期間というのは収入が増えない、安定しないといったケースも考えられます。事業収入が安定しない時期は、生活に必要な家計費を事業から捻出するのも難しい時期でもあります。その間は、家族にも苦労をかけることになるでしょう。
倒産リスクに巻き込んでしまう
事業に失敗して多額の借金を背負ってしまった後も、事業主は返済を続けなければなりません。借金返済のために生活が厳しくなるか、最悪のケースでは自己破産して様々な制約を受ける生活を強いられるといったリスクも考えられます。
時間の制約を受ける
定時であがれるサラリーマンと違い、事業主であるご自身は常に仕事のことを考え行動しなければなりません。会社を維持していくには、休日や時間帯を問わず仕事をこなさなければならないのです。ご自身や家族とのプライベートの時間が減り制約を受けることはリスクとして受け止めなければならないでしょう。
ノーリスクで起業する方法はある?
最後に、ここまでに紹介した様々なリスクを踏まえ、ノーリスクで起業する方法について考えてみましょう。
お金に関するリスク回避
設立資金や運転資金といった「お金に関するリスク」の対処方法としては、充分な自己資金の準備が考えられます。金融機関など、外部から資金調達をすれば必ず借金を背負うリスクがあります。自己資金であれば、仮に全額失うことになってもそれ以上、外部から請求されることはありません。自己資金を充分積み立てたタイミングで起業するようにしましょう。
従業員に関するリスク回避
従業員に関するリスクを回避したいのであれば、一人社長あるいは家族経営などを検討するべきでしょう。事業規模が拡大すれば、それだけご自身や家族に事務的負担がかかるのはやむを得ませんが、従業員トラブルに巻き込まれる心配はありません。
家族やプライベートに関するリスク回避
起業後、収入が安定するまでの期間に不安があるのであれば、本業とは別に、生活の柱となる収入を確保しておくべきでしょう。例えば、毎月経常的に発生する不動産収入で生計を立てながら起業する、サラリーマンで給与所得を得ながら並行して起業する、といった感じです。
リスクを把握した上で起業の準備をしましょう!
仕事をする方にとって、起業して社長になるというのは夢の一つです。しかし、様々なリスクを抱えることも知っておかなければなりません。この記事を参考にしながら、自分に合った起業方法を探してみてはいかがでしょうか。
起業の具体的な方法については、以下の記事をご参照ください。
よくある質問
起業のリスクとは?
起業により、経営者本人が抱える可能性があるリスクのことです。借金を抱える、雇用契約でトラブルに巻き込まれる、一時的に生活が苦しくなるなどのリスクが考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。
従業員を雇用するリスクとは?
起業に伴い、従業員を雇用した場合に起こりうるリスクのことです。労働保護法を遵守しなかった場合にペナルティが課される、安定した雇用を確保する責務を負うなどのリスクが考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。
ノーリスクで起業するには?
充分な自己資金の準備、ご自身や家族経営での起業などが考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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