- 更新日 : 2025年6月26日
テイクアウトカフェを開業するメリットは?開業までの流れも解説!
「いつかカフェを経営してみたい」という夢を持っている方は多いのではないでしょうか。店舗の用意から始めないといけないためハードルを高く感じているかもしれませんが、テイクアウト専門店であれば個人事業としても比較的始めやすいといえます。具体的に、テイクアウトカフェの開業にはどのようなメリット・デメリットがあるのか、そして実際に開業を目指すなら、知っておくべき手続きや取得すべき資格について解説します。
目次
テイクアウトカフェは儲かる?
一口にカフェといっても、いろいろな形態があります。店内で飲食ができるカフェ、持ち帰りもできるカフェ、持ち帰りを専門にするカフェなど、営業のやり方はさまざまです。
そのうち、持ち帰り専門のお店はテイクアウトカフェと呼ばれます。この場合お客さんは店内に滞在せず、商品も持ち帰ってもらうことを想定した上で、設備、メニュー、サービスを設計していくことになります。
テイクアウトカフェは、近年登場した営業形態というわけではありませんが、最近になって注目を集めるようになっています。その要因は大きく分けて2つあります。
一つは「新型コロナウイルスの流行」です。感染症対策も求められ、それまで以上に衛生面への配慮が必要となりました。飲食店に対する制限もあり、店内で食事をするお客さんが減ったお店もあることでしょう。
もう一つは「軽減税率の導入」です。飲食店の場合、イートインの場合は消費税が10%であるのに対し、テイクアウトだと軽減税率が適用されるため8%で済みます。お客さんとしてはテイクアウトにした方がお得感が得られます。
いずれの要因もいまだなくなっていませんし、今後もテイクアウトカフェに対する需要が続く可能性はあると考えられるでしょう。
テイクアウトカフェを開業するメリット・デメリットは?
テイクアウトカフェという営業形態での開業には、多くのメリットがあります。特にコスト面でさまざまな利点があるため、個人事業主として小規模の開業をする場合にも向いているといえるでしょう。
ただし、そのメリットを最大限活かすためには、テイクアウトカフェを経営することのデメリットについても知っておく必要があります。
テイクアウトカフェを開業するメリット
テイクアウトカフェであれば、店内でお客さんが飲食できるように設備などを構える必要がありません。スペースの確保、チェアやテーブルの用意などさまざまな初期投資が不要となります。
すでに複数の店舗を構えて大きな売上を出しているような法人であれば、それらの設備を準備することは大きなリスクとはならないかもしれません。しかし個人事業主が同じことをしようとすると、例えば、初期投資を借入金で賄ったものの、売上が少なく返済不能に陥るリスクなどを背負うことになってしまいます。
これに対しテイクアウトカフェであれば、初期投資の余裕がそこまでない個人事業主でも始めやすいです。
ランニングコストに関しても同様のことがいえます。比較的小さなスペースで足りるテイクアウトカフェなら家賃も小さく済みやすく、店舗の修繕費や光熱費など、小さい物件なら多くのランニングコストが小さく抑えられます。
さらに、人件費も少なくて済みます。店内に滞在するお客さんがいないため、接客スタッフも不要になるからです。
そして、お客さんの人数に制限をかける必要がないのもテイクアウトカフェであることのメリットでしょう。店内の席数を気にしてお客さんに待ってもらうこともなくなり、高回転でさばいていくことができます。
テイクアウトカフェを開業するデメリット
テイクアウトカフェを開業しても、多くのお客さんが訪れてくれないと大きな売上を出すことは難しいといえます。これは単価の低さに起因します。カフェ自体が低い単価で設定していることが多く、1人のお客さんに対してコーヒーを1杯提供するだけでは赤字になってしまうでしょう。
もちろん単価を上げることは事業主の自由ですが、相場を大きく上回る価格設定でお客さんに来てもらうためには、相応の付加価値、ブランド力が求められます。これから開業をしようとしているテイクアウトカフェが、高単価で営業を続けていくには相当の工夫が必要になるでしょう。
しかも、テイクアウトカフェは提供できる商品に制限がかかってしまいます。持ち帰りがしやすいようなサイズで提供しなければならないからです。フードだと持ち運びの最中に形が崩れてしまいやすく、バランスを保たないといけない繊細な商品を提供するのは困難です。商品の内容はもちろん、提供の方法、利用する容器も工夫する必要があるでしょう。
また、容器に対する費用が発生し続けることも認識しておかなければなりません。店舗の設備にかけるコストは小さくて済みますが、毎日使う容器・フォーク・箸・コップなどのコストは、お客さんを店内に呼び込む形態のカフェに比べて大きくなってしまいます。
テイクアウトカフェを開業する方法・流れは?
法人としてカフェを開業する場合は、会社設立をしなければなりません。個人事業主として開業するなら、手続きの一つとして税務署への開業届の提出があります。
開業届を出すことで個人事業主にはなれますが、カフェとして営業を始めるにはさらに店舗となる物件を探さなくてはなりません。そして営業許可の申請も同時に進めていくことになります。
店舗となる物件を選ぶ
立地は、テイクアウトカフェの売上を大きく左右するものです。アクセスがよい、駅に近い、オフィスビルが近くに立ち並んでいる、といった条件があればお客さんも確保しやすくなるでしょう。
ただ、好立地の物件はそれ相応に家賃や取得費用が高くなります。そのため好立地・高コストの物件を選択する場合には、慎重に売上の予測などを立てる必要があるでしょう。見立て通りに売上が出せないと、すぐに営業困難な状況に追い込まれてしまいます。
「ここは駅に近いから多くの人がやってくるだろう」と単純に判断するのではなく、開業しようとしているお店のコンセプトをまずは考えましょう。その上で、ターゲットとなる層がその立地で獲得できるかどうかを判断していくことが重要です。同じくらい人が多い街でも、会社員が多いのか、学生が多いのか、ファミリーが多いのか、場所によって客層は異なります。
このような考え方を事業計画書に落とし込み、具体的な期間や数字を「見える化」するとよいでしょう。
飲食店営業許可申請の届け出をする
飲食店の営業を始めるには「飲食店営業許可」を得なければなりません。テイクアウト専門であろうと飲食店であることに違いはありません。許可を得ないまま営業をすると懲役や罰金といった刑罰を科される可能性がありますので、必ず「飲食店営業許可」を得ておきましょう。
「飲食店営業許可」を得るには、まずは店内の図面を保健所に持っていき、相談をします。シンクや消毒設備、収納棚、カウンターなどさまざまな設備の状況が審査に影響します。そのため内装工事を始める前に一度、保健所にチェックしてもらうようにしましょう。
大きな問題がなければ機材の搬入や設置、内装工事を進め、保健所に対して営業許可申請を行います。
申請後は、保健所の担当者が検査のため店舗にやってきます。申請した通りの施設になっているかどうか、飲食店として営業をしていくための基準をクリアしているかどうかが見られます。検査をクリアすれば、数日後、営業許可証が発行されます。申請手続きに不安がある場合は、行政書士、そのほかの法律の専門家に対応を依頼するとよいでしょう。
テイクアウトカフェの開業資金はいくらかかる?
テイクアウトカフェなら開業資金は比較的少なくて済みますが、それでも数百万円ほどかかる可能性があるでしょう。
カフェに必要な設備をそろえなければならず、工事費用も発生します。自宅を店舗にする場合には物件の取得費用や家賃分は浮かせることができますが、それでもカフェ営業ができるようにさまざまな機材を用意しなくてはなりません。
また、カフェの開業にあたっては運転資金も計算しておく必要があります。開業後すぐにお客さんはやってこないでしょう。数カ月は売上がほとんど出ないことも想定し、その期間中に発生する運転資金分も開業時に用意してください。用意する運転資金は、例えば家賃や水道光熱費、食材費、人件費などです。
テイクアウトカフェの開業に必要な資格は?
飲食店には1人以上の「食品衛生責任者」を置かなければなりません。食品衛生責任者とは、店舗における食品の衛生管理を監督する責任者のことです。飲食店には法律上の義務として、その設置が求められています。
食品衛生責任者になるには、栄養士や調理師、製菓衛生師などの有資格者であること、もしくは自治体が実施する講習会に参加する必要があります。
なお、テイクアウトカフェでフードを提供するのに調理師免許は必須とされていません。もちろん資格があればアピール材料として使えるかもしれませんし、お客さんからしても安心材料になります。
しかし、調理師免許はこれがないと営業ができないという資格ではありません。法令上必要なのは食品衛生責任者の設置と、飲食店営業許可の2つです。
テイクアウトカフェの開業に成功・失敗する人の特徴は?
テイクアウトカフェを開業して成功するケースがあれば、失敗するケースもあります。
成功するには、テイクアウトの特性を理解した工夫が必要です。例えば単価の安さをカバーするため、ドリンクと一緒に買いたくなるようなフードメニューを用意したり、グッズを用意したりするのもよいかもしれません。
お店のコンセプトに合った立地を探し、お客さんが多く訪れやすい場所で開業することも大切です。リピーターを獲得するためのアイデア、例えばポイントの付与やクーポンの発行なども検討することをおすすめします。
より多くのお客さんに認知してもらうため、SNS映えを考慮したメニューの考案も大切です。味はもちろん、見映えをよくすることでSNSに投稿してもらいやすくなります。こういったさまざまな要素を考えられるかどうかが成功する人と失敗する人の差といえるでしょう。
他店も参考にテイクアウトカフェを開業してみよう
テイクアウト専門店は年々増えてきています。そのため独自路線を開拓して他店と差別化を図ることも必要でしょう。しかし、全てがオリジナルである必要はありません。
他店もいくつか参考にして「どうすればうまくいきやすいのか」「どんな場合に失敗しやすいのか」といったことを事前によく調査してから開業に踏み切ると成功率を上げられるでしょう。
よくある質問
テイクアウトカフェを開業するメリット・デメリットは?
テイクアウトカフェの開業には、低コストで営業が開始できるというメリットと、低い単価で利益を出さなくてはならないというデメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
テイクアウトカフェを開業する方法・流れは?
テイクアウトカフェに適した物件を探し、食品衛生責任者になり(あるいはその人材を探す)、その上で飲食店営業許可を得る必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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