• 更新日 : 2025年9月2日

会社設立や起業の相談先10選!無料相談窓口・士業を徹底比較

会社設立や起業を検討している場合は、司法書士や税理士などの士業、無料相談窓口である商工会議所など、会社設立をサポートしてくれる専門家や団体に相談するのもおすすめです。会社設立に関する相談先は、目的や予算に応じて大きく3つのタイプに分けられます。

  1. 設立手続きを代行してもらいたい場合(士業などの専門家)
  2. 無料で相談したい場合(公的機関)
  3. オンラインサービスを利用したい場合

それぞれの特徴を理解して、ご自身の状況に合った場所を選ぶのがおすすめです。

この記事では、会社設立の相談先にはどのようなところがあるのか、それぞれの特徴なども交えて解説します。

①税理士などの専門家に相談する場合

会社設立や起業に関する相談先は、以下の専門家が考えられます。それぞれの専門家に相談した場合のメリット・デメリットについて、詳しく見ていきましょう。

  • 税理士(公認会計士)
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 弁護士
  • 社会保険労務士
  • 中小企業診断士

税理士(公認会計士)

税理士は税務の専門家で、主に中小企業の税務をサポートしています。公認会計士は企業監査の専門家で、主に大企業などの監査を行います。公認会計士は、付随行為として商業登記を業として行うことが認められており、税理士登録をすることで税務申告も可能です。税理士を兼任する公認会計士は、少なくありません。

税理士や公認会計士に会社設立の相談をすることのメリットは、会社設立時の融資や助成金など、資金調達面のサポートを受けられることです。税理士は商業登記を代行することはできませんが、司法書士などと連携することで登記をサポートします。公認会計士は商業登記を代行できるので、融資・助成金から登記まで同じ公認会計士に依頼することが可能です。

資金調達に関しては別途料金がかかりますが、商業登記に関しては無料または定額の手数料でサポートしている税理士や公認会計士が多いようです。これは、会社設立後の顧問契約を前提にしているからです。年間の顧問料は売上の3~8%程度(料金設定は事務所によって異なります)であり、顧問契約を結べば顧問料を安定的に得られるため、会社設立時のサポートは料金を取らないか、低く設定しています。

顧問契約を考えているなら、税理士や公認会計士への相談にはメリットがありますが、顧問契約や税務サポート、資金調達面のサポートを希望しない場合は、税理士や公認会計士に相談するメリットはあまりありません。

司法書士

司法書士は商業登記や不動産登記を中心に、法律に関わる書類の作成や申請代行をする専門家です。会社設立のための商業登記といえば、司法書士を思い浮かべる人が多いでしょう。

司法書士に会社設立について相談するメリットは、登記についても相談できることです。司法書士であれば、書類の作成から登記まで代行してもらえるため、会社設立時の商業登記がうまくできるかわからず不安な人や、すべてを代行してもらいたい人におすすめです。司法書士は登記をメイン業務としているため電子定款作成に精通している人が多く、電子定款であれば印紙代4万円を節約できます。電子定款の作成を考えているなら、司法書士への相談や依頼を検討するとよいでしょう。

デメリットは、会社設立のための登記申請の代行や書類作成を依頼した場合、他に依頼する場合よりも費用がかかることです。事務所の料金設定によって異なりますが、相談は無料でも、会社設立の登記まで依頼すると10万~30万円程度の手数料がかかることがあります。

行政書士

行政書士は、官公庁などへの提出が必要な許認可書類の作成や手続きの代行をメイン業務とする、行政関連の書類作成の専門家です。会社設立関連では、定款の作成と認証、許認可書類の作成と手続きの代行を依頼できます。

行政書士に相談することのメリットは、許認可関連についても相談できること。建設業や不動産業、飲食業など、一部の業種は会社設立の手続きに加えて、行政の許認可が必要です。行政への許認可の申請漏れを防ぐためにも、許認可が必要な業種は設立時に行政書士に相談することをおすすめします。

デメリットは、会社設立に必要な定款の作成と認証は依頼できますが、登記申請は代行してもらえないことです。行政書士は登記申請の代行ができないため、代表者などが自ら行うか、別途司法書士などの専門家に依頼する必要があります。費用に関しては、相談は無料のところもありますが、許認可などを依頼する場合は10万円以上の手数料がかかることもあるため、事前に確認しておきましょう。

弁護士

弁護士は、幅広い法律の知識を有し、法律相談や訴訟、予防法務など、法律に関わるあらゆる業務を行う専門家です。「商業登記は司法書士」というイメージがありますが、弁護士も商業登記を代行できます。また弁護士は、弁理士、税理士、行政書士、社会保険労務士、海自保佐人の登録もできます。弁護士によっては行政書士に関連する許認可や、税理士に関連する税務や税務訴訟、社会保険労務士に関連する労務などもカバーしています。

弁護士に相談することのメリットは、会社設立にあたって機関設計(取締役、監査役、委員会などの会社の機関の設計)に法的な問題はないか、定款に法律上必要な事項の記載があるかなど、法律面のサポートが期待できることです。依頼内容や代行の範囲などによって変動しますが、一般的に会社設立の代行費用は10万円以上です。その他、会社設立後に必要になる各種社内規定の整備や、雇用契約書などのフォーマット作成などについても相談できます。法律面を含めて、幅広くサポートを受けたい場合は弁護士に相談するとよいでしょう。

法務以外のことも相談したい場合は、相談内容に関する実績の有無を確認しておきましょう。

社会保険労務士

社会保険労務士は労務の専門家で、労働や社会保険、年金に関する業務を行います。会社を設立すると社会保険への加入義務が生じるため、会社設立との関連が深い専門職の一つといえるでしょう。

社会保険労務士に相談することのメリットは、社会保険や労働保険関連について詳しい相談ができることです。会社設立後に必要な就業規則や、36協定などに対応するための労務管理についても相談できます。社会保険制度や労働保険制度について知りたい人や、従業員の雇用や社会保険について知りたい人、会社設立にあたって社会保険加入などのサポートを受けたい人は、社会保険労務士に相談するとよいでしょう。料金は従業員数によって変わりますが、従業員数の少ない小規模企業が社会保険手続きの代行を社会保険労務士に依頼する場合の費用は5万円程度です。

デメリットは、会社設立に必要な登記関連のサポートを受けられないことです。登記の申請代行や定款作成を専門家に任せたい場合は、別途司法書士などに依頼する必要があります。

中小企業診断士

中小企業診断士は中小企業の経営課題の診断や、改善のための提案を行う専門家です。他の士業のような独占業務はありませんが、中小企業経営のプロとして認められています。

中小企業診断士に相談することのメリットは、会社設立後業務を開始するにあたって資金を必要とする場合に、融資制度や助成金についても相談できることです。中小企業経営のプロでもあるため、中小企業診断士と契約すれば必要に応じてコンサルティングを受けることもできます。会社の存続と安定した経営は、経営者にとって重要な課題であるため、必要に応じて中小企業診断士のサポートを受けるのもよいでしょう。中小企業診断士にコンサルティングを依頼する場合の費用は依頼内容によって変わりますが、10万円以上はかかると考えておきましょう。

デメリットは、会社設立に必要な登記などのサポートが受けられないことです。登記代行や税務、労務などは、必要に応じて他の専門家に依頼する必要があります。

②無料相談窓口を利用する場合

ここまで、会社設立に関して専門家に相談できる内容や、その際のメリット・デメリットについて見てきましたが、無料相談窓口で会社設立に関する相談をすることもできます。無料相談窓口には、法務局や商工会議所、商工会、日本政策金融公庫などがあります。ここでは、それぞれの特徴について解説します。

法務局

法務局は商業登記や法人登記といった登記申請を中心に、戸籍・国籍事務、訟務事務、人権擁護事務などを行う、国の地方組織です。法務局は全国に8ヵ所、地方法務局は42ヵ所あります。

法務局で相談できるのは、登記に関することです。登記申請のやり方や必要書類、登記申請の内容に関することなどを相談できます。登記申請を直接受けている機関なので、アドバイスにしたがって申請書類を作成したり、修正が必要な部分についてアドバイスを受けたりすれば、問題なく登記できるでしょう。法務局は、代表者などが自ら登記申請を行う際におすすめの相談先です。

デメリットは、登記申請に関することしか相談できないことです。また、あくまで公的機関であり、業務をサポートする専門家ではないため、書類作成までは依頼できません。相談はできますが、書類は相談者が自分で作成する必要があります。また、登記申請に関するアドバイスはもらえますが、相談時は法的な認否を確認することができません。

商工会議所・商工会

商工会議所は、商工会議所法に基づいて経済産業省の経済産業政策局が管轄する組織です。原則的に市単位で設置され、中小企業や国際的事業の支援などを行っています。

商工会は、商工会法に基づいて経済産業省の中小企業庁が管轄している組織です。原則的に町村単位で設置され、中小企業や小規模事業の支援を行っています。

商工会議所は、地域の商工業の発展を目的として設立された公的団体です。中小企業や個人事業主を主な会員とし、経営、税務、金融など多岐にわたる相談に対応しています。


商工会議所の特徴

  • 地域密着型: 各地域に設置されており、その地域の経済や産業に関する情報を豊富に持っています。地域の課題解決や振興事業にも積極的に関与しています。
  • 幅広い支援対象: 業種や規模を問わず、中小企業、小規模事業者、個人事業主、そしてこれから起業する人まで、幅広い層を支援対象としています。
  • 多様な専門家との連携: 商工会議所には、中小企業診断士税理士社会保険労務士などの専門家が登録されており、専門的な相談に応じてもらえます。

商工会議所で相談するメリット

  1. 無料で相談できる: ほとんどの相談は無料で利用できます。特に、経営や法務、税務に関する専門家への相談会は、費用をかけずにプロのアドバイスを得られる大きなメリットです。
  2. 経営の全般的な悩みに対応: 創業時の事業計画の策定から、資金繰り、販路拡大、IT化、人材育成まで、経営者が抱えるさまざまな課題について相談できます。
  3. 専門家とのつながりができる: 相談を通じて、あなたの事業に合った専門家と出会う機会を得られます。これにより、設立後の具体的な手続きや継続的なサポートを依頼する際の選択肢が広がります。
  4. 公的融資のサポート: 日本政策金融公庫などの公的融資制度を利用する際、商工会議所が事業計画書の作成をサポートしてくれることがあります。これは、融資審査をスムーズに進める上で非常に役立ちます。

商工会議所と商工会はどちらも中小企業をサポートしている組織であり、創業に関することをはじめ、さまざまな相談が可能です。商工会議所や商工会によっては、創業支援窓口を設けているところもあります。また、定期的に専門家を呼んで相談窓口を開設しているところもあり、必要に応じて専門家に無料で相談することができます。商工会議所と商工会は、無料で幅広く相談できることがメリットといえるでしょう。

デメリットは、基本的には相談しか受け付けていないことです。必要に応じてアドバイスはもらえますが、会社設立に必要な書類などは自分で作成しなければなりません。手続きにかかかる手間や時間を考えると、専門家に直接依頼したほうが効率的です。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、一般の金融機関の金融の補完を目的とした公的機関です。中小企業向けの事業をはじめ、農林水産業向けの業務や、国民一般向けの業務を行っています。

新しく事業を始める人を対象にした融資も行っているため、融資を受けたい事業者の相談先として適しています。日本政策金融公庫が創業前の支援として行っているのは、電話相談や窓口相談、オンライン相談、創業者向けのメール配信サービスなどです。創業時は創業計画書の作成支援や融資制度の紹介、創業後は経営に役立つ情報の配信などを行っています。


日本政策金融公庫の主な特徴

  • 創業時の融資に強い: 会社を設立する人向けに、無担保・無保証で利用できる「新規開業・スタートアップ支援資金」など、独自の融資制度が充実しています。これは、実績がないため民間の銀行から融資を受けるのが難しい創業期にとって、非常に大きなメリットです。
  • 低金利: 政策金融機関であるため、民間の金融機関と比べて比較的低い金利で融資を受けられることが多いです。
  • 返済期間が長い: 運転資金で最長7年、設備資金で最長20年など、長期的な返済計画を立てやすいのが特徴です。これにより、事業の初期段階で無理のない資金繰りが可能になります。

日本政策金融公庫で相談するメリット

  1. 創業融資の具体的な相談ができる: 設立予定の事業内容や資金計画について、融資担当者から直接アドバイスをもらえます。融資審査のポイントや、事業計画書の書き方についても具体的な助言を得られるため、融資成功の確率を高めることができます。
  2. 専門家目線での事業計画のチェック: 融資担当者は多くの創業者の事業計画を見てきているため、客観的な視点から計画の甘い部分やリスクについて指摘してくれます。これにより、事業計画をより現実的で説得力のあるものにブラッシュアップできます。
  3. 信頼性が高い: 政府系の金融機関であるため、審査基準や手続きが明確で安心感があります。
  4. 無料相談: 相談自体に費用はかかりません。

日本政策金融公庫に相談することのメリットは、融資や融資に必要な創業計画書などについて、詳しい相談ができることです。日本政策金融公庫に相談すれば、融資の案内までスムーズに進みます。十分な手元資金がなく、会社設立時に融資を受けたい場合は、日本政策金融公庫に相談するとよいでしょう。

デメリットは、会社設立に必要な登記などに関しては、十分なアドバイスが受けられない可能性があることです。あくまで金融のサポートがメインなので、それ以外のことは専門家に直接相談したほうがよいかもしれません。

よろず支援拠点

よろず支援拠点は、国が全国に設置している無料の経営相談所です。中小企業庁が管轄しており、さまざまな分野の専門家がチームを組んで、経営上のあらゆる悩みに応じてくれます。


よろず支援拠点の4つの特徴

  1. 何度でも無料で相談できる: 相談は何度でも無料です。特定の課題だけでなく、事業の成長段階に応じて継続的に利用できるのが大きなメリットです。
  2. 専門家の幅広いネットワーク: 中小企業診断士、税理士、弁護士、ITコーディネーターなど、多様な専門家が在籍しています。相談内容に応じて、最適な専門家が対応してくれます。
  3. チームによる総合的なサポート: 複数の専門家が連携して、複雑な経営課題を多角的に分析し、解決策を提案してくれます。例えば、資金繰りの相談に加えて、販路拡大やECサイト構築の相談も同時にできるのが強みです。
  4. 「ワンストップ」での対応: 経営上のあらゆる相談に1つの窓口で対応してくれるため、複数の機関を回る手間が省けます。

よろず支援拠点で相談するメリット

  • 総合的な経営課題を解決できる: 会社設立だけでなく、設立後の事業計画のブラッシュアップ、資金調達、人材育成、マーケティング戦略など、幅広い相談が可能です。
  • 無料で質の高いアドバイス: 専門家に個別に相談する場合、通常は費用がかかりますが、よろず支援拠点ではこれらの相談が無料です。
  • 事業の「強み」や課題を発見できる: 専門家との対話を通じて、自分では気づかなかった事業の潜在的な可能性や、解決すべき課題が明確になります。

よろず支援拠点は、創業準備中の方から、すでに事業を始めている方まで、経営上の困りごとを抱えているすべての方にとって非常に有効な相談先です。まずは地域の支援拠点に連絡し、予約を取ることから始めてみましょう。

その他

この他にも、会社設立や創業に関して無料で相談を受け付けている公的な支援窓口があります。東京都産業労働局の東京開業ワンストップセンターや、中小企業・ベンチャー総合支援センター、都道府県等中小企業支援センター、地域中小企業支援センター、シニアアドバイザーセンターなどです。

いずれも、創業に関して気軽に相談できます。誰に相談すればよいかわからない人や、創業に関して無料で相談したい人は、このような公的窓口を利用するのもよいでしょう。

デメリットは、書類作成などについて具体的なサポートが期待できないことです。「定款に法的な問題がないか確認してほしい」といった具体的な相談がある場合は、無料相談窓口を利用するよりも、司法書士などの専門家に直接相談するほうが効率的です。

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会社設立に関して相談したい場合、専門家に相談する方法と無料相談窓口を利用する方法があります。全般的に相談したいなら、無料相談窓口を利用するとよいでしょう。相談したい内容が決まっているなら、それに対応できる専門家に相談することをおすすめします。料金は発生するものの、専門家なら必要に応じて書類作成などのサポートも受けられます。

定款作成や登記申請について不安があるなら、知識がなくても書類を作成できるサービスを利用する方法もあります。「マネーフォワードクラウド会社設立」なら、会社設立に関する知識がなくても、フォームやガイドにしたがって入力すれば登記書類を作成できます。

株式会社と合同会社の両方に対応していることや、電子定款の作成代行を除き利用料がかからないこと、メールやチャットで操作のサポートを受けられることがメリットです。「マネーフォワードクラウド会社設立」を利用すると、「マネーフォワードクラウド」などをお得な料金で利用できる仕組みもあります。

費用を抑えつつ、定款作成や登記書類作成をスムーズに進めたいなら、「マネーフォワードクラウド会社設立」の活用も検討するとよいでしょう。

よくある質問

会社設立について相談できる専門家は?

会社設立に関しては、税理士や公認会計士、司法書士、行政書士、弁護士、社会保険労務士、中小企業診断士に相談することができます。詳しくはこちらをご覧ください。

会社設立について相談できる無料相談窓口は?

法務局や商工会議所、商工会、日本政策金融公庫などで、会社設立に関する相談ができます。詳しくはこちらをご覧ください。

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